経営スピードアップ/グループ内協業強化/固定費削減
ソニー、事業構造改革で経営体質を強化 ー 「抜本的改革で“強いソニー”へ」
別項でお伝えしたとおり、ソニーは本日2008年度連結業績見直しを下方修正することを発表。品川にあるソニー本社にて、報道関係者やアナリストに向けた説明会を実施した。会には同社会長兼CEO ハワード・ストリンガー氏、社長兼エレクトロニクス CEO 中鉢良治氏、EVP兼CFO 大根田伸行氏が登壇した。
まず始めに説明を行ったストリンガー氏は、今回の下方修正に至った経緯に触れ「グローバル企業を目指すべくネットワーク対応機器ラインナップや海外向け拡販の強化を行ってきたが、各部門で進展があったものの今日の世界的不況による需要・消費の低迷による影響から逃れられなかった」と発言。「こういった新たな経済状況のなかでは企業の弱点が露呈するものだが、ソニーの場合は垂直統合型ビジネスに壁があり新たなソリューションの誕生を阻害しているし、海外のコンペティターと渡り合える力が弱いことが分かった。そして何より“新しいもの”が不足している」と同社の経営を振り返った。こういった現状を打破するため、「抜本的改革以外に方法はない」と決意し、「コスト削減」「本社機能や重複部門の見直しをはじめとする事業構造の変革」「サプライの合理化」などを行い経営体質を強化していくことを明らかにした。
エレクトロニクスの主要カテゴリーにおいて、スピードと収益性を主眼に置き、製造事業所の統廃合や人員の最適化などを行う。また採算の取れない部門からの撤退や、外部委託なども検討する。
昨年12月9日に、エレクトロニクス事業で1,000億円以上の費用削減を目指す旨が発表されたが、さらにエレクトロニクス事業以外にゲーム・音楽・映画などでも構造改革を行い、2009年度には昨年度比で2,500億円の費用を削減するという。
「これでもまだ十分な数字ではないだろう」と語るストリンガー氏。「ソニーは大変な試練に晒されている。この現状は必ずや乗り越えられると思うが、容易ではないだろう。ものづくりや物流に対する考え方、ビジネスのやりかたそのものを改めていく」と発言し、今後更なる検討を加えていく見通しを示した。
■液晶テレビ事業 ー 国内事業所を一点集中/設計開発リソースの集約
まず液晶テレビ事業では、設計・生産をソニーイーエムシーエス(株)稲沢テックに集約。同社一宮テックは2009年6月をめどに生産を終了し、非正規社員を1,000人削減する。またシャープとの合弁会社(関連ニュース)については、協議を行いスタートのかたちを模索しているところだという。
海外事業所も再編を予定。また新興国市場の発展による普及価格モデルの比率増加を見据えOEM/ODM展開を推進する考えだ。
また、ハードウェアの設計とソフトウェアを全世界で共通化し、設計開発リソースを集中させることも発表。ソフトウェア開発の一部はインドなど海外の外部リソースへ委託する。2009年度末までに全世界的に設計関連部門の人員を約30%削減する見通しだという。
同社が掲げていた「液晶で世界一を目指す」という目標については、「目標自体に変わりはないが、中期計画内で実現するのは難しいかも知れない」(中鉢氏)との考えを示した。
■半導体・コンポーネント事業 ー 国内事業所を一点集中/設計開発リソースの集約
中小型液晶事業はソニーモバイルディスプレイ(株)に、バッテリー事業はソニーエナジー・デバイス(株)にリソースを集約し、開発・設計・製造を一点に集中させる。
「半導体事業は早期対策が必要。アセットライト化を進めるほか、CMOSセンサーを携帯電話やデジタルカメラに積極的に搭載していく」(中鉢氏)
■エレキとゲーム事業の連携強化 ー ネットワーク機能活かした融合狙う
エレクトロニクス事業とゲーム事業の連携を強化。プレイステーションネットワークを利用したネットワークサービスを強化し、ハードウェアとネットワークの融合を加速する。ストリンガー氏は今回の説明会のなかで「ネットワーク」の重要性を何度も強調。「今後必須なのはネットワーク関連製品。オンラインゲームやテレビを使用したネットワーク系のサービスを強化したい」との考えを示した。
■人件費など固定費を削減 ー 役員賞与は大幅カットへ
2008年度役員賞与、役員定額報酬を大幅に減額することも発表された。特に代表執行役3名は役員賞与を全額返上。管理職の賞与、月次報酬の減額も行う予定。
社員については、早期退職支援制度により人員の最適化を図る。ストリンガー氏は「(人員削減などの)難しい点について意志決定を先延ばしにしてきたのは私の責任」との考えを示し「非常にセンシティブな問題だが、各国のルールに則り対応を進めていきたい」と語った。
また広告宣伝費、一般経費、物流費を大幅に削減。研究開発費についても、テーマの見直しを行うほか、外部技術の活用により効率改善を目指すという。
「今は試練の時。暗雲が晴れたチャンスの時代に備える時期だ。今回の改革により、全社員に緊急事態であるという実感と切迫感を抱いてもらうことが回復への近道。いろいろなことを明確にするチャンスだとも思う。変革後はスピード・柔軟性・資金力を備え、強いソニーになっているだろう」と前向きな姿勢を語ったストリンガー氏。中鉢氏も「未だかつてない厳しい状況にあるが、特にエレクトロニクス事業にとって成長の原点であるイノベーションは大切だし、その力を育てていくのが私の使命だと考えている。ユーザーの豊かな暮らしを創造する製品づくりに全力を注ぐ考えだ」と延べ、世界的な未曾有の経済不況を“次の一手”につなげる展望と決意を示していた。
まず始めに説明を行ったストリンガー氏は、今回の下方修正に至った経緯に触れ「グローバル企業を目指すべくネットワーク対応機器ラインナップや海外向け拡販の強化を行ってきたが、各部門で進展があったものの今日の世界的不況による需要・消費の低迷による影響から逃れられなかった」と発言。「こういった新たな経済状況のなかでは企業の弱点が露呈するものだが、ソニーの場合は垂直統合型ビジネスに壁があり新たなソリューションの誕生を阻害しているし、海外のコンペティターと渡り合える力が弱いことが分かった。そして何より“新しいもの”が不足している」と同社の経営を振り返った。こういった現状を打破するため、「抜本的改革以外に方法はない」と決意し、「コスト削減」「本社機能や重複部門の見直しをはじめとする事業構造の変革」「サプライの合理化」などを行い経営体質を強化していくことを明らかにした。
エレクトロニクスの主要カテゴリーにおいて、スピードと収益性を主眼に置き、製造事業所の統廃合や人員の最適化などを行う。また採算の取れない部門からの撤退や、外部委託なども検討する。
昨年12月9日に、エレクトロニクス事業で1,000億円以上の費用削減を目指す旨が発表されたが、さらにエレクトロニクス事業以外にゲーム・音楽・映画などでも構造改革を行い、2009年度には昨年度比で2,500億円の費用を削減するという。
「これでもまだ十分な数字ではないだろう」と語るストリンガー氏。「ソニーは大変な試練に晒されている。この現状は必ずや乗り越えられると思うが、容易ではないだろう。ものづくりや物流に対する考え方、ビジネスのやりかたそのものを改めていく」と発言し、今後更なる検討を加えていく見通しを示した。
■液晶テレビ事業 ー 国内事業所を一点集中/設計開発リソースの集約
まず液晶テレビ事業では、設計・生産をソニーイーエムシーエス(株)稲沢テックに集約。同社一宮テックは2009年6月をめどに生産を終了し、非正規社員を1,000人削減する。またシャープとの合弁会社(関連ニュース)については、協議を行いスタートのかたちを模索しているところだという。
海外事業所も再編を予定。また新興国市場の発展による普及価格モデルの比率増加を見据えOEM/ODM展開を推進する考えだ。
また、ハードウェアの設計とソフトウェアを全世界で共通化し、設計開発リソースを集中させることも発表。ソフトウェア開発の一部はインドなど海外の外部リソースへ委託する。2009年度末までに全世界的に設計関連部門の人員を約30%削減する見通しだという。
同社が掲げていた「液晶で世界一を目指す」という目標については、「目標自体に変わりはないが、中期計画内で実現するのは難しいかも知れない」(中鉢氏)との考えを示した。
■半導体・コンポーネント事業 ー 国内事業所を一点集中/設計開発リソースの集約
中小型液晶事業はソニーモバイルディスプレイ(株)に、バッテリー事業はソニーエナジー・デバイス(株)にリソースを集約し、開発・設計・製造を一点に集中させる。
「半導体事業は早期対策が必要。アセットライト化を進めるほか、CMOSセンサーを携帯電話やデジタルカメラに積極的に搭載していく」(中鉢氏)
■エレキとゲーム事業の連携強化 ー ネットワーク機能活かした融合狙う
エレクトロニクス事業とゲーム事業の連携を強化。プレイステーションネットワークを利用したネットワークサービスを強化し、ハードウェアとネットワークの融合を加速する。ストリンガー氏は今回の説明会のなかで「ネットワーク」の重要性を何度も強調。「今後必須なのはネットワーク関連製品。オンラインゲームやテレビを使用したネットワーク系のサービスを強化したい」との考えを示した。
■人件費など固定費を削減 ー 役員賞与は大幅カットへ
2008年度役員賞与、役員定額報酬を大幅に減額することも発表された。特に代表執行役3名は役員賞与を全額返上。管理職の賞与、月次報酬の減額も行う予定。
社員については、早期退職支援制度により人員の最適化を図る。ストリンガー氏は「(人員削減などの)難しい点について意志決定を先延ばしにしてきたのは私の責任」との考えを示し「非常にセンシティブな問題だが、各国のルールに則り対応を進めていきたい」と語った。
また広告宣伝費、一般経費、物流費を大幅に削減。研究開発費についても、テーマの見直しを行うほか、外部技術の活用により効率改善を目指すという。
「今は試練の時。暗雲が晴れたチャンスの時代に備える時期だ。今回の改革により、全社員に緊急事態であるという実感と切迫感を抱いてもらうことが回復への近道。いろいろなことを明確にするチャンスだとも思う。変革後はスピード・柔軟性・資金力を備え、強いソニーになっているだろう」と前向きな姿勢を語ったストリンガー氏。中鉢氏も「未だかつてない厳しい状況にあるが、特にエレクトロニクス事業にとって成長の原点であるイノベーションは大切だし、その力を育てていくのが私の使命だと考えている。ユーザーの豊かな暮らしを創造する製品づくりに全力を注ぐ考えだ」と延べ、世界的な未曾有の経済不況を“次の一手”につなげる展望と決意を示していた。