ディスプレイやプロジェクター、ビデオカメラなどのブースをレポート
<NHK技研公開2009>“テレビの進化は止まらない”今年の目玉は衛星を使った多ch SHV映像中継!
毎年恒例のNHK放送技術研究所の公開展示「技研公開2009」が5月21日(木)〜24日(日)の4日間にわたり開催される。19日、一般公開に先立ちプレス向けの発表会が行われた。
<技研公開2009>
・日時:5月21日(木)〜24日(日) 10:00〜18:00(最終日は17:00まで)
・会場:NHK放送技術研究所(小田急線「成城学園前」駅からバス/東急田園都市線「用賀」駅からバス)
・入場料:無料
・HP:http://www.nhk.or.jp/strl/open2009/
■「テレビの進化は止まらない」をテーマに、先を見据えた技術開発を − 久保田所長挨拶
プレスビュー冒頭では、NHK技術研究所 所長の久保田啓一氏が登場。久保田氏は「今年の技研公開は、『テレビの進化は止まらない』をテーマに、最新の37項目の研究成果を展示する。約2年後に迫ったデジタル放送移行後も、テレビがサービスの中心で有り続るためには、常にこれまでの発想を超え、進化していくことが必要だ。NHKの経営計画である『いつでも、どこでも、もっと身近にNHK』を実現する技術開発と、さらに先を見据えた放送メディアの開拓に取り組んでいる技研の取り組みを知っていただきたい」と挨拶した。
それでは以下に、今回用意される37のブースから、注目すべき主な出展を見ていこう。本記事では「映像編」と題し、ディスプレイやプロジェクター、ビデオカメラなどのブースをご紹介する。
■スーパーハイビジョン多チャンネル・生中継伝送実験
今回の目玉はなんと言っても超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」を使用した、札幌とNICT鹿島宇宙技術センター(茨城県鹿島市)、NHK放送技研を結んだスーパーハイビジョン(SHV)多チャンネル・生中継伝送実験だ。
これは、さっぽろテレビ塔に設置したSHVカメラと22.2chマイクで収録した映像と、予め収録しておいたSHV2番組、計3チャンネルを衛星「きずな(WINDS)」に伝送。これを、新開発の300MHz広帯域変復調器を通して復調し、NHK放送技術研究所で受信・再生するというもの。
SHV映像を16分割し、おのおのを並列してAVC方式に圧縮符号化するため、リアルタイム処理を実現でき、SHV映像の生中継を可能としているのだという。こちらは入り口入ってすぐのフロアにある展示ブースのほか、地下1階のスーパーハイビジョンシアターでも、大画面で体験することができる。
■ビクターと共同開発・SHV映像技術を応用したメガネ無し3Dテレビ
裸眼で3D立体映像を楽しめるインテグラル方式テレビにSHV技術を応用し、より高解像度で鮮明な3D映像が得られるテレビも出展されている。
インテグラル方式複数の微小レンズを並べた特殊なレンズアイを撮影・表示の両側に配置し、立体映像を再現するというもの。この方式のテレビで投影する映像コンテンツは、微小な要素レンズを多数並べたレンズ板を通して撮影するのだが、1つの要素レンズを撮影・表示するSHVの画素数が多いほど、立体映像が鮮明に見える範囲(角度)が広くなるのだという。
そこでNHKは日本ビクター(株)と共同で、これまでの約4倍の要素レンズを使ったインテグラル立体撮影システムを開発。1.34mmのレンズを横400×縦250個並べることで、立体映像が鮮明に見える範囲を狭めることなく、立体映像の解像度を向上させたという。
■パナソニックと共同開発・103V型の4K2K PDPも登場
パナソニックと共同研究を行っているSHV用PDPについては、試作機として103V型のPDPを初お披露目した。これはハイビジョンの4倍となる解像度3,840×2,160の映像を映し出すことができるもの。
電極抵抗の増加による明るさのばらつき要因を、パネルシミュレーション技術により解析。その結果を参考に、電極構造や駆動電圧波形の最適化を進めたことにより、均一な明るさの画像表示を実現したという。
ブース説明員は、「将来的にはSHV映像(ハイビジョンの16倍の解像度:7,680×4,320)を映し出せるPDPを作るための中間目標。最終目標の実現に向かってこれからも研究を進めていく」と語っていた。
■フレキシブルに曲げることも可能!な有機ELディスプレイ
薄くて軽く、フレキシブルに持ち運びができる5.8型/213×120画素の有機ELディスプレイ。共同印刷(株)と共同で研究を進めている。
樹脂製の基板に有機TFTアレイを蒸着することで、薄型・軽量化を図り、さらに曲げるなどの取扱も可能にしたもの。フォトリソグラフィーによる電極や半導体の作製方法を改良することで、有機TFTをマトリックス状に構成した有機TFTアレイの性能や一様性を改善したという。
ただ現在試作段階ということで、実際に目にすると何の色も映っていない黒いドットが散見され、画質についてはまだ詰めが必要だと感じた。これは画素のなかにあるTFT(薄膜トランジスタ)を均一に駆動させるのが難しいためだという。説明員は「画質面での向上に加え、大画面化も図っていきたい」と語っていた。
■3,300万画素3板式カラーカメラ
昨年技研に出展された3,300万画素のCMOSデバイス(関連ニュース)を3枚搭載したプロトタイプカラーカメラ。今年は新たにカメラコントロールユニットを試作し、フル解像度SHVの広帯域映像信号(72Gbps)を処理する。カメラヘッドとコントロールユニット間は光ケーブルで接続。フル解像度SHV映像信号と64ch音声信号を1km程度転送することが可能だという。また、コントロールユニットとテレビなどの機器間接続を容易にするべく、12芯光マルチケーブル4本で接続が可能な小型伝送モジュールも試作・展示している。
<技研公開2009>
・日時:5月21日(木)〜24日(日) 10:00〜18:00(最終日は17:00まで)
・会場:NHK放送技術研究所(小田急線「成城学園前」駅からバス/東急田園都市線「用賀」駅からバス)
・入場料:無料
・HP:http://www.nhk.or.jp/strl/open2009/
■「テレビの進化は止まらない」をテーマに、先を見据えた技術開発を − 久保田所長挨拶
それでは以下に、今回用意される37のブースから、注目すべき主な出展を見ていこう。本記事では「映像編」と題し、ディスプレイやプロジェクター、ビデオカメラなどのブースをご紹介する。
■スーパーハイビジョン多チャンネル・生中継伝送実験
今回の目玉はなんと言っても超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」を使用した、札幌とNICT鹿島宇宙技術センター(茨城県鹿島市)、NHK放送技研を結んだスーパーハイビジョン(SHV)多チャンネル・生中継伝送実験だ。
これは、さっぽろテレビ塔に設置したSHVカメラと22.2chマイクで収録した映像と、予め収録しておいたSHV2番組、計3チャンネルを衛星「きずな(WINDS)」に伝送。これを、新開発の300MHz広帯域変復調器を通して復調し、NHK放送技術研究所で受信・再生するというもの。
SHV映像を16分割し、おのおのを並列してAVC方式に圧縮符号化するため、リアルタイム処理を実現でき、SHV映像の生中継を可能としているのだという。こちらは入り口入ってすぐのフロアにある展示ブースのほか、地下1階のスーパーハイビジョンシアターでも、大画面で体験することができる。
■ビクターと共同開発・SHV映像技術を応用したメガネ無し3Dテレビ
裸眼で3D立体映像を楽しめるインテグラル方式テレビにSHV技術を応用し、より高解像度で鮮明な3D映像が得られるテレビも出展されている。
インテグラル方式複数の微小レンズを並べた特殊なレンズアイを撮影・表示の両側に配置し、立体映像を再現するというもの。この方式のテレビで投影する映像コンテンツは、微小な要素レンズを多数並べたレンズ板を通して撮影するのだが、1つの要素レンズを撮影・表示するSHVの画素数が多いほど、立体映像が鮮明に見える範囲(角度)が広くなるのだという。
そこでNHKは日本ビクター(株)と共同で、これまでの約4倍の要素レンズを使ったインテグラル立体撮影システムを開発。1.34mmのレンズを横400×縦250個並べることで、立体映像が鮮明に見える範囲を狭めることなく、立体映像の解像度を向上させたという。
■パナソニックと共同開発・103V型の4K2K PDPも登場
パナソニックと共同研究を行っているSHV用PDPについては、試作機として103V型のPDPを初お披露目した。これはハイビジョンの4倍となる解像度3,840×2,160の映像を映し出すことができるもの。
電極抵抗の増加による明るさのばらつき要因を、パネルシミュレーション技術により解析。その結果を参考に、電極構造や駆動電圧波形の最適化を進めたことにより、均一な明るさの画像表示を実現したという。
ブース説明員は、「将来的にはSHV映像(ハイビジョンの16倍の解像度:7,680×4,320)を映し出せるPDPを作るための中間目標。最終目標の実現に向かってこれからも研究を進めていく」と語っていた。
■フレキシブルに曲げることも可能!な有機ELディスプレイ
薄くて軽く、フレキシブルに持ち運びができる5.8型/213×120画素の有機ELディスプレイ。共同印刷(株)と共同で研究を進めている。
樹脂製の基板に有機TFTアレイを蒸着することで、薄型・軽量化を図り、さらに曲げるなどの取扱も可能にしたもの。フォトリソグラフィーによる電極や半導体の作製方法を改良することで、有機TFTをマトリックス状に構成した有機TFTアレイの性能や一様性を改善したという。
ただ現在試作段階ということで、実際に目にすると何の色も映っていない黒いドットが散見され、画質についてはまだ詰めが必要だと感じた。これは画素のなかにあるTFT(薄膜トランジスタ)を均一に駆動させるのが難しいためだという。説明員は「画質面での向上に加え、大画面化も図っていきたい」と語っていた。
■3,300万画素3板式カラーカメラ
昨年技研に出展された3,300万画素のCMOSデバイス(関連ニュース)を3枚搭載したプロトタイプカラーカメラ。今年は新たにカメラコントロールユニットを試作し、フル解像度SHVの広帯域映像信号(72Gbps)を処理する。カメラヘッドとコントロールユニット間は光ケーブルで接続。フル解像度SHV映像信号と64ch音声信号を1km程度転送することが可能だという。また、コントロールユニットとテレビなどの機器間接続を容易にするべく、12芯光マルチケーブル4本で接続が可能な小型伝送モジュールも試作・展示している。