HDMIケーブルのロゴ表示規定も提案
HDMIライセンシング、HDMIの最新規格開発状況と仕様表記ガイドラインの説明会を実施
HDMIライセンシング社(HDMI Licensing, LLC)は、23日に都内で開催される「HDMIテクノロジーセミナー」を前に、本日プレス向けにHDMIの最新の規格開発状況に関する説明会を開催した。
説明会には同社プレジデントのSteve Venuti氏が出席し、HDMI 1.4規格に関連する技術アップデートやガイドラインの内容を紹介した。
HDMI関連の市場動向
Venuti氏は「2003年にHDMIの規格が誕生してから今日まで、HDMI採用デバイスの出荷台数は順調に伸び続けており、直近のIn-Stat社の調査によれば2009年を終えた時点で年間約4億台に達している。2013年には年間約8.1億台の出荷も見込まれている」と紹介。HDMI搭載機器の累計出荷台数は、昨年時点で10億台を超えたという数値も示された。
出荷台数の内容について「特筆すべきは、単純に台数が伸びているだけでなく、製品のバリエーションが広がっていることだ。いまやHDMIを搭載する製品はテレビやブルーレイなどホームシアターのカテゴリーを超えて、スマートフォンやデジタルカメラ、ポータブルプレーヤーなどモバイル系にも拡大している」という自信を見せるVenuti氏。近年ではデジタルテレビにおけるHDMI導入率が100%を達成したことを受け、今後はBDプレーヤーやDVDプレーヤーへそのカバー領域を広げて行く考えであるという。
HDMI最新規格の特徴
続いてVenuti氏は「HDMI 1.4の特徴」として、最新フォーマットの機能概要を概説した。HDMI 1.4の機能内容については、同社が昨年の5月に行ったプレスブリーフィングで発表されたものから大きく変更されていないが(関連ニュース)、今年の3月には3Dコンテンツの放送版の仕様を追加した「HDMI 1.4a」もリリースされた。
Venuti氏はHDMI 1.4が規格化された背景について、「本格的な3Dホームシアター、3Dゲームの普及を目的に09年6月リリースした。今年の3月には放送業界のニーズに応えるためVer.1.4aを立ち上げた」と説明。HDMIの3D対応については必須仕様のフォーマットが公開され、1.4から義務化された「Frame Packing方式」(1080p@23.98/24Hz、720p@50または59.94/60Hz)、Ver.1.4aから義務化された「Side-by-Side Half方式」(1080i@50または59.94/60Hz)、Ver.1.4aから追加・義務化された「Top-and-Bottom方式」」(1080p@23.98/24Hz、720p@50または59.94/60Hz)が挙げられている。ディスプレイ機器はこれら必須フォーマットの「全て」をサポートすることが要件となるほか、プレーヤーなどソース機器は「少なくとも1つ」を、リピーター機器は「各フォーマットを中継できる機能」を備えることなどが規定されている。なお、これらの必須フォーマットのほかに、各種ビデオタイミングと上記3種の3D伝送方式を使った任意の組み合わせもオプションフォーマットとして含まれて、メーカーは自らのニーズに応じて製品に適用することが認められている。
続いて「HDMIイーサネットチャンネル(HEC)」の説明が行われた。本機能はHD映像やオーディオ信号、コントロール信号といった従来のデータに加え、データ通信を1本のHDMIケーブルで統合して行うというもので、最大100Mbpsの転送スピードを実現し、HDMI経由でIPベースのアプリケーションが利用可能になる。
ケーブルの構造は従来のVer.1.4のケーブルからビデオ/オーディオ、EDI/HDCP、CECの各ラインはそのままに、イーサネット用チャンネルを新たに追加した格好となる。内部はユーティリティピンとホットプラグピンの2本でツイストペアを形成し、ピン17でシールドする構造によりイーサネット通信機能が追加されている。コネクタ形状は従来のものと変わりない。
HDMIケーブルにイーサネット通信の機能が追加されることのメリットについて、Venuti氏は「これまでAV機器のネット機能を活用するためには、それぞれの機器にイーサネットケーブルをつないで、別途HDMIケーブルで機器間をつなぐ手間があった。HDMIイーサネットチャンネルでは、例えばテレビ1台のみイーサーネットでつなげば、これをハブのように活用して、残りのホームシアター機器はテレビとHDMIでつなぐたでけで簡単にネット環境が共有できるようになる。機器設置の自由度が大きく高められるだろう」と説明する。
「HDMIイーサネットチャンネル(HEC)」対応のケーブルについては、1080i/720pまでの信号伝送、2.25Gbpsのデータ転送速度に対応する「Standard HDMI Cable with Ethernet」、1080p以上の信号伝送、10.2Gbpsのデータ転送速度に対応する「High Speed HDMI Cable with Ethernet」の2つにカテゴリに分類され、いずれも最大100Mbpsの転送スピードを実現することが要件となる。
その他、HDMI 1.4の特徴としてVenuti氏からは4K2Kや新色空間への対応、オーディオリターンチャンネル機能なども紹介された。またコネクタの種類に標準(Type A)、ミニ(Type C)のほか、スマートフォンやデジタルカメラなどポータブルデバイス用途を想定してさらに小型化を図ったマイクロ端子(Type D)が、今後追加されていくことについても触れられた。
さらにVer.1.4から新設される車載用HDMI「Type E」コネクタの内容も紹介された。新たに提案された車載用接続システムは、カーエンターテインメントでのHD配信用に設計されており、過酷な自動車走行環境にも耐えうる頑強な接続仕様も実現できるよう、ロック付のコネクタが装備される点などが特徴だ。HDMIイーサネットチャンネルのサポートは含まれない。加えて標準の「Type A」プラグで接続するAV機器を、車内用のシステムに中継するための「Type A リレーレセプタクル」コネクタや、リレーケーブルの用途についても紹介が行われた。
HDMI搭載機器・ケーブルの新たなガイドライン
3Dやイーサーネット対応など、あらたな機能を採り入れて進化したHDMIの最新ガイドラインと、ケーブル製品を対象としたロゴプログラムに関する説明も行われた。
ケーブル以外のHDMI搭載製品については、2012年1月1日以降は「1.4」等の“バージョン表記”が行えなくなることが明らかにされた。その理由についてVenuti氏は「Ver.1.4を例に挙げれば、3DやARCなど色々な機能があるが、全てのサポートが必須ではないため、様々な製品が一様にバージョンのみを表記してしまうと、コンシューマーが混乱を起こす可能性があると考えた」と説明する。一方で2012年1月1日までは、バージョンナンバーとともに“サポートしている機能”を併記することで、バージョン表記を使用できる限定条件も設けられている。また製品内部に用いられている部品についてはバージョン表記を継続して使うことができるという。
ケーブル製品の表記に関するガイドラインについても説明が行われた。イーサネット非対応のHDMIケーブルに関しては、「Ver.1.3」以前の製品も含めて、720p/1080i信号の伝送、2.25Gbpsのデータ転送速度に対応する製品が「Standard HDMI Cable」、1080p以上の信号伝送、10.2Gbpsのデータ転送速度対応の製品が「High Speed HDMI Cable」となり、HDMIイーサネットチャンネル以外の機能をサポートすることが条件となる。これに最大100Mbpsの転送スピードによるイーサネット通信機能が加えられたHDMIケーブルが、それぞれ「Standard HDMI Cable with Ethernet」「High Speed HDMI Cable with Ethernet」となる。また車載用については「Standard Automotive HDMI Cable」となり、それぞれの表記を統一していく方向性が示された。
Venuti氏は上記のHDMIケーブルに関するガイドラインの発効時期について「2009年11月18日より既にスタートしており、以降発売の製品についてはパッケージングや販促物に対しても新ルールが適用される」とした。ただし、Ver.1.3以下のHDMIケーブル製品については2010年11月18日までの猶予期間が設けられるとしている。
また上記のガイドラインに従って、ケーブルの種類を表記するためのテキストのプリントとロゴマーク案も紹介された。それぞれケーブル製品については、必ずどのケーブルスペックをサポートする製品なのか、製品の被覆部にプリントすることが求められるようになるという。Venuti氏は「テキスト表記やロゴなど統一していくことで、コンシューマーにわかりやすい表示を推奨していきたい」と語った。
説明会には同社プレジデントのSteve Venuti氏が出席し、HDMI 1.4規格に関連する技術アップデートやガイドラインの内容を紹介した。
HDMI関連の市場動向
Venuti氏は「2003年にHDMIの規格が誕生してから今日まで、HDMI採用デバイスの出荷台数は順調に伸び続けており、直近のIn-Stat社の調査によれば2009年を終えた時点で年間約4億台に達している。2013年には年間約8.1億台の出荷も見込まれている」と紹介。HDMI搭載機器の累計出荷台数は、昨年時点で10億台を超えたという数値も示された。
出荷台数の内容について「特筆すべきは、単純に台数が伸びているだけでなく、製品のバリエーションが広がっていることだ。いまやHDMIを搭載する製品はテレビやブルーレイなどホームシアターのカテゴリーを超えて、スマートフォンやデジタルカメラ、ポータブルプレーヤーなどモバイル系にも拡大している」という自信を見せるVenuti氏。近年ではデジタルテレビにおけるHDMI導入率が100%を達成したことを受け、今後はBDプレーヤーやDVDプレーヤーへそのカバー領域を広げて行く考えであるという。
HDMI最新規格の特徴
続いてVenuti氏は「HDMI 1.4の特徴」として、最新フォーマットの機能概要を概説した。HDMI 1.4の機能内容については、同社が昨年の5月に行ったプレスブリーフィングで発表されたものから大きく変更されていないが(関連ニュース)、今年の3月には3Dコンテンツの放送版の仕様を追加した「HDMI 1.4a」もリリースされた。
Venuti氏はHDMI 1.4が規格化された背景について、「本格的な3Dホームシアター、3Dゲームの普及を目的に09年6月リリースした。今年の3月には放送業界のニーズに応えるためVer.1.4aを立ち上げた」と説明。HDMIの3D対応については必須仕様のフォーマットが公開され、1.4から義務化された「Frame Packing方式」(1080p@23.98/24Hz、720p@50または59.94/60Hz)、Ver.1.4aから義務化された「Side-by-Side Half方式」(1080i@50または59.94/60Hz)、Ver.1.4aから追加・義務化された「Top-and-Bottom方式」」(1080p@23.98/24Hz、720p@50または59.94/60Hz)が挙げられている。ディスプレイ機器はこれら必須フォーマットの「全て」をサポートすることが要件となるほか、プレーヤーなどソース機器は「少なくとも1つ」を、リピーター機器は「各フォーマットを中継できる機能」を備えることなどが規定されている。なお、これらの必須フォーマットのほかに、各種ビデオタイミングと上記3種の3D伝送方式を使った任意の組み合わせもオプションフォーマットとして含まれて、メーカーは自らのニーズに応じて製品に適用することが認められている。
続いて「HDMIイーサネットチャンネル(HEC)」の説明が行われた。本機能はHD映像やオーディオ信号、コントロール信号といった従来のデータに加え、データ通信を1本のHDMIケーブルで統合して行うというもので、最大100Mbpsの転送スピードを実現し、HDMI経由でIPベースのアプリケーションが利用可能になる。
ケーブルの構造は従来のVer.1.4のケーブルからビデオ/オーディオ、EDI/HDCP、CECの各ラインはそのままに、イーサネット用チャンネルを新たに追加した格好となる。内部はユーティリティピンとホットプラグピンの2本でツイストペアを形成し、ピン17でシールドする構造によりイーサネット通信機能が追加されている。コネクタ形状は従来のものと変わりない。
HDMIケーブルにイーサネット通信の機能が追加されることのメリットについて、Venuti氏は「これまでAV機器のネット機能を活用するためには、それぞれの機器にイーサネットケーブルをつないで、別途HDMIケーブルで機器間をつなぐ手間があった。HDMIイーサネットチャンネルでは、例えばテレビ1台のみイーサーネットでつなげば、これをハブのように活用して、残りのホームシアター機器はテレビとHDMIでつなぐたでけで簡単にネット環境が共有できるようになる。機器設置の自由度が大きく高められるだろう」と説明する。
「HDMIイーサネットチャンネル(HEC)」対応のケーブルについては、1080i/720pまでの信号伝送、2.25Gbpsのデータ転送速度に対応する「Standard HDMI Cable with Ethernet」、1080p以上の信号伝送、10.2Gbpsのデータ転送速度に対応する「High Speed HDMI Cable with Ethernet」の2つにカテゴリに分類され、いずれも最大100Mbpsの転送スピードを実現することが要件となる。
その他、HDMI 1.4の特徴としてVenuti氏からは4K2Kや新色空間への対応、オーディオリターンチャンネル機能なども紹介された。またコネクタの種類に標準(Type A)、ミニ(Type C)のほか、スマートフォンやデジタルカメラなどポータブルデバイス用途を想定してさらに小型化を図ったマイクロ端子(Type D)が、今後追加されていくことについても触れられた。
さらにVer.1.4から新設される車載用HDMI「Type E」コネクタの内容も紹介された。新たに提案された車載用接続システムは、カーエンターテインメントでのHD配信用に設計されており、過酷な自動車走行環境にも耐えうる頑強な接続仕様も実現できるよう、ロック付のコネクタが装備される点などが特徴だ。HDMIイーサネットチャンネルのサポートは含まれない。加えて標準の「Type A」プラグで接続するAV機器を、車内用のシステムに中継するための「Type A リレーレセプタクル」コネクタや、リレーケーブルの用途についても紹介が行われた。
HDMI搭載機器・ケーブルの新たなガイドライン
3Dやイーサーネット対応など、あらたな機能を採り入れて進化したHDMIの最新ガイドラインと、ケーブル製品を対象としたロゴプログラムに関する説明も行われた。
ケーブル以外のHDMI搭載製品については、2012年1月1日以降は「1.4」等の“バージョン表記”が行えなくなることが明らかにされた。その理由についてVenuti氏は「Ver.1.4を例に挙げれば、3DやARCなど色々な機能があるが、全てのサポートが必須ではないため、様々な製品が一様にバージョンのみを表記してしまうと、コンシューマーが混乱を起こす可能性があると考えた」と説明する。一方で2012年1月1日までは、バージョンナンバーとともに“サポートしている機能”を併記することで、バージョン表記を使用できる限定条件も設けられている。また製品内部に用いられている部品についてはバージョン表記を継続して使うことができるという。
ケーブル製品の表記に関するガイドラインについても説明が行われた。イーサネット非対応のHDMIケーブルに関しては、「Ver.1.3」以前の製品も含めて、720p/1080i信号の伝送、2.25Gbpsのデータ転送速度に対応する製品が「Standard HDMI Cable」、1080p以上の信号伝送、10.2Gbpsのデータ転送速度対応の製品が「High Speed HDMI Cable」となり、HDMIイーサネットチャンネル以外の機能をサポートすることが条件となる。これに最大100Mbpsの転送スピードによるイーサネット通信機能が加えられたHDMIケーブルが、それぞれ「Standard HDMI Cable with Ethernet」「High Speed HDMI Cable with Ethernet」となる。また車載用については「Standard Automotive HDMI Cable」となり、それぞれの表記を統一していく方向性が示された。
Venuti氏は上記のHDMIケーブルに関するガイドラインの発効時期について「2009年11月18日より既にスタートしており、以降発売の製品についてはパッケージングや販促物に対しても新ルールが適用される」とした。ただし、Ver.1.3以下のHDMIケーブル製品については2010年11月18日までの猶予期間が設けられるとしている。
また上記のガイドラインに従って、ケーブルの種類を表記するためのテキストのプリントとロゴマーク案も紹介された。それぞれケーブル製品については、必ずどのケーブルスペックをサポートする製品なのか、製品の被覆部にプリントすることが求められるようになるという。Venuti氏は「テキスト表記やロゴなど統一していくことで、コンシューマーにわかりやすい表示を推奨していきたい」と語った。