画素ずらしを利用し低コスト化も実現
NHKなど、3,300万画素のスーパーハイビジョン用小型プロジェクター試写会を開催
NHK、NHKエンジニアリングサービス、JVC・ケンウッド・ホールディングス(株)の3社は、先日開発を発表したコンパクトなスーパーハイビジョン(SHV)プロジェクター(関連ニュース)の試写会を行った。
SHVは、3,300万画素の映像と22.2chのマルチチャンネル音響システムにより、高い臨場感を表現できる次世代テレビジョン放送サービス。2020年の試験放送開始を目標にしている。
試写会では、スクリーンサイズ280インチ相当、スピーカーは26ch+サブウーファー2chの26.2ch構成でソースの上映を実施。またSHVプロジェクター開発の中心となったNHK放送技術研究所の金澤 勝氏、(財)NHKエンジニアリングサービスの岡野文男氏、JVC・ケンウッド・ホールディングス株の佐藤正人氏が登場。SHVの美しさと、新開発の小型SHVプロジェクターのメリットをアピールした。
■新開発の小型SHVプロジェクターに搭載された技術とは
これまで発表されたフル解像度のSHVプロジェクターは2方式ある。1デバイスあたり3,300万画素のLCOSをRGB分の3枚搭載し、3板のフルSHV解像度表示が可能なモデルは、特別生産となるLCOSデバイスのコストが高く調整も難しいという問題があった。もう一つの、デジタルシネマ用の800万画素デバイスを使ってSHV相当の解像度を得る「デュアルグリーン方式」は、コストは抑えられるものの映写に複数台必要なため、システムが大型化してしまう点が問題だった。
今回試写を行った新開発の小型SHVプロジェクターは、3,840×2,160画素のLCOSデバイスをRGB各色用に計3枚搭載し、7,680×4,320画素の表示を実現。外形寸法は660W×342H×783Dmm、質量も約50.5kg(放射レンズ含まず)となる。「使用しているデバイスは、JVCの4Kプロジェクター向けなどに量産化しているもの。別注で作っていた8Kデバイスよりも動作安定性が高いのがメリット」(佐藤氏)だという。
このLCOSパネルの前に「e-Shiftデバイス」を配置し、画素ずらしを行うことでSHVをフル解像度で表示させる。e-Shiftデバイスは応答速度の速いOCB液晶パネルと屈折板をサンドイッチ構造にしたもの。電気信号により屈折率を変化させることで、1画素を毎秒60Hzの速さで、0.5画素分斜めにシフトすることを繰り返し、実質的に2倍の画素表現を可能にするものだ。
光源は超高圧水銀ランプで、330Wのものを2基搭載している。消費電力は1,100W。販売については「少なくともあと1〜2年は先になるだろう」(佐藤氏)とのこと。「ようやく試作機が何台かできあがってきたところ。事業化にあたっては我々だけでなく事業部とも折衝しなければならないし、時間がかかると思う」という。価格についても未定とのことだが、同氏は「フルSHV解像度モデルが億単位の価格だったので、こちらは1桁くらい落として、数千万円単位にしたいと考えている」と語っていた。
SHVは、3,300万画素の映像と22.2chのマルチチャンネル音響システムにより、高い臨場感を表現できる次世代テレビジョン放送サービス。2020年の試験放送開始を目標にしている。
試写会では、スクリーンサイズ280インチ相当、スピーカーは26ch+サブウーファー2chの26.2ch構成でソースの上映を実施。またSHVプロジェクター開発の中心となったNHK放送技術研究所の金澤 勝氏、(財)NHKエンジニアリングサービスの岡野文男氏、JVC・ケンウッド・ホールディングス株の佐藤正人氏が登場。SHVの美しさと、新開発の小型SHVプロジェクターのメリットをアピールした。
■新開発の小型SHVプロジェクターに搭載された技術とは
これまで発表されたフル解像度のSHVプロジェクターは2方式ある。1デバイスあたり3,300万画素のLCOSをRGB分の3枚搭載し、3板のフルSHV解像度表示が可能なモデルは、特別生産となるLCOSデバイスのコストが高く調整も難しいという問題があった。もう一つの、デジタルシネマ用の800万画素デバイスを使ってSHV相当の解像度を得る「デュアルグリーン方式」は、コストは抑えられるものの映写に複数台必要なため、システムが大型化してしまう点が問題だった。
今回試写を行った新開発の小型SHVプロジェクターは、3,840×2,160画素のLCOSデバイスをRGB各色用に計3枚搭載し、7,680×4,320画素の表示を実現。外形寸法は660W×342H×783Dmm、質量も約50.5kg(放射レンズ含まず)となる。「使用しているデバイスは、JVCの4Kプロジェクター向けなどに量産化しているもの。別注で作っていた8Kデバイスよりも動作安定性が高いのがメリット」(佐藤氏)だという。
このLCOSパネルの前に「e-Shiftデバイス」を配置し、画素ずらしを行うことでSHVをフル解像度で表示させる。e-Shiftデバイスは応答速度の速いOCB液晶パネルと屈折板をサンドイッチ構造にしたもの。電気信号により屈折率を変化させることで、1画素を毎秒60Hzの速さで、0.5画素分斜めにシフトすることを繰り返し、実質的に2倍の画素表現を可能にするものだ。
光源は超高圧水銀ランプで、330Wのものを2基搭載している。消費電力は1,100W。販売については「少なくともあと1〜2年は先になるだろう」(佐藤氏)とのこと。「ようやく試作機が何台かできあがってきたところ。事業化にあたっては我々だけでなく事業部とも折衝しなければならないし、時間がかかると思う」という。価格についても未定とのことだが、同氏は「フルSHV解像度モデルが億単位の価格だったので、こちらは1桁くらい落として、数千万円単位にしたいと考えている」と語っていた。