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同社オンラインショップ限定販売

ファイナルオーディオ、3Dプリンタで作ったBAイヤホン - 64チタン筐体採用で約16万円

公開日 2014/02/18 15:30 ファイル・ウェブ編集部
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ファイナルオーディオデザインは、(株)NTTデータエンジニアリングシステムズと(株)プロポックスと協力し、量産品としては世界初となる3Dプリンタで造形された64チタン製筐体を使ったバランスドアーマチュア型イヤホン「final audio design LAB I 」を2014年2月28日に発売する。全世界150セット限定で、日本では30セットのみの販売。取扱は同社オンラインショップ限定で、価格は16万円(税込)。

final audio design LAB I


本機は、実験的・挑戦的な製品を世に送り出す“ラボラトリー(LAB)シリーズ”の第1弾製品で、筐体を3Dプリンターで作っているのが大きな特徴。量産品としての精度と、金属表現の光沢仕上げの実現をテーマとしたという。なお本シリーズは今後も様々な展開をしていくとのこと。3Dプリンタでイヤホンやヘッドホンのキーパーツを作ることで、今までにまったくなかった性能と見た目を実現するものも開発中だという。


64チタン筐体で、不要共振を抑えクリアな音質を実現。オリジナル別注したフルレンジデュアルバランスドアーマチュア型ドライバーを搭載しており、ネットワーク回路は非搭載。ステンレス製メッシュフィルターと音響レジスターも備える。明瞭かつ力強い低音を実現するという。イヤーチップ2種類と、革製キャリーケースが付属する。ケーブルはタッチノイズを抑えるオリジナルフラットケーブル(長さ1.2m)。

ステンレス製メッシュフィルターなども備える


「ユーザーの意見も取り入れた、全く新しい製品づくりを実現できる」 - 発表会詳報

本日開催された「LAB I 」の発表会には、同社の細尾満氏らが登壇した。


ファイナルオーディオデザイン 細尾満氏。羽生結弦選手が同社のheavenVIを使っているようだというニュースもアピールしていた
ファイナルオーディオデザインは、2009年に発表された20万円のハイエンドイヤホン(関連ニュース)でオーディオファンの度肝を抜いて以来、エッジの効いた製品を世に送り出してきている。そのルーツは1974年創業の高級オーディオ機器メーカー。第1号機は、針先だけでなくカンチレバーがダイヤ製という独創的なカートリッジで、他の設計者が「やれればいいけど、できないよね」と言っていたものを、高井金盛氏(ファイナルオーディオ創業者・社長)が具現化したのだという。

「ファイナルオーディオの、こんなものあるといいよねという希望を超えるちょっとイカれたものづくり精神は設立当初から続いている」と語る細尾氏。2007年からは大手コネクターメーカー・日本モレックスと協業し、AV機器のODMを手がける事業会社S'NEXTを展開しており、「委託者のブランドで製品を設計・生産するODMで、どうやったら売れるのか?何がキモなのかを一緒に考えながら進めるものづくりを評価していただいている」のだという。


「LAB I 」開発背景

「LAB I 」の開発は「3Dプリンターを使ってなにかを作ってみたい!」という好奇心から3年ほど前に始まったものとのこと。細尾氏は3Dプリンタを使ったものづくりのメリットについて「小ロットで製品を作れること」「実際に製品を見ながら製品化を検討できること」だと説明する。

「ヘッドホンは金型だけで2,000万、開発費も合わせると3,000万円。イヤホンも、少なくとも金型で500万、開発費1,000万円以上掛かる。そうなると、小さなマーケットのなかでビジネスをするのが難しいので、不特定多数の方に向けた製品づくりをすることになる。ファイナルオーディオデザインはそういった環境のなかでも比較的とがった製品を出して、それを評価していただいていると感じているが、ユーザーさんとの関係は若干希薄で、双方向ではない。なので会議室で『コストが掛かるのでは』『クレームが来るのでは』などという意見が出て、“この指とまれ!”というようなエッジの効いた製品づくりができなくなって来ている」

現状のしくみでは、ユーザーの実際の意見が分からないまま会議室で様々な懸案事項が生まれ、エッジの効いた製品づくりができなくなって来ている、と説明する

さらに、「これまでの経験上、ユーザーさんは『こんなものが欲しい!』と明確には言えないけれど、実物を見て使ってみて『これじゃない!』という意見は言える。3Dプリンターを活用すれば、企画、開発、営業まで同じものを見て話ができるので、製品づくりの検討がしやすくなる。金属で造形した、量産品と同じかそれ以上の仕上げができる試作機を作れれば『3Dプリンタで試作して売ってみて意見を集め、売れそうだったら金型を作って量産』という全く新しい仕組み、ユーザーさんと双方向でコミュニケーションがとれた仕組みを実現できるのではないかと考えた」と続ける。

『3Dプリンタで試作して売ってみて意見を集め、売れそうだったら金型を作って量産』という全く新しい仕組みが実現できるのでは、と説明する

今後は3Dプリンタによる試作→ユーザーインタビューまでをパッケージにしたODM展開も視野に入れているという。「実現すれば、ファイナルオーディオだけでなく大手メーカーからも面白い製品が出しやすくなるのではないか」。

  ◇  ◇  ◇  


造形はNTTデータエンジニアリングシステムズが担当し、EOS製3Dプリンター「EOSINT M 280」を使用して行う。これは金属粉末を造形する装置であることが特徴だ。おおまかに言うと、金属粉末にレーザーを当てることで溶融させ、それをくっつけていくことでかたちを作っていく。

EOS製3Dプリンター「EOSINT M 280」を使用した

しかし、3Dプリンタはボタンひとつで自動的に成形されるわけではなく、設計や造形方案を検討し、独自のパラメーターを開発することではじめて最適な造形が実現できるという。また、全てを3Dプリンタで行うのではなく、向き不向きを見極めて他の技術と組み合わせることも重要とのことだ。


様々な試行錯誤ののち、鏡面仕上げで実機と同じような魅力を持つ筐体を実現できたという
また、今回は「鏡面仕上げ」を実現することを目指したという。というのは、実際に手にとってもらう際に「欲しい」と思わせるような外観でなければユーザーの心は動かないという考えからだ。当初はごつごつしたものしか作れなかったが、プロポックスの研磨技術なども組み合わせることで鏡面仕上げを実現できたとのことだ。

ユーザーの“欲しい”という心(=アニマルスピリット)を喚起するには、実機と同じかそれ以上のクオリティを実現することが必要ということで、今回は鏡面仕上げの実現を大きな課題として取り組んだという

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