金融や半導体好調
ソニー、17年1Qは営業利益1,576億円。有機ELも好調、高付加価値シフト奏功
ソニーは、2017年度第1四半期(2017年4月1日〜2017年6月30日)の連結業績を発表。主に金融分野及び半導体分野の増収による大幅増収などによって、前年同期比597億円増となる809億円の四半期純利益を計上した。
■金融や半導体好調で大幅な増収増益
売上高は、前年同期比15.2%増加し1兆8,581億円で、営業利益は前年同期比1,014億円増の1,576億円。四半期純利益は、上述のように前年同期に比べ597億円増加の809億円となった。
なお、当四半期の営業利益には、カメラモジュール事業の製造子会社である索尼電子華南有限公司(SonyElectronics Huanan Co., Ltd./SEH)の持分全部の譲渡益275億円が半導体分野に計上されている。また、熊本地震にかかわる逸失利益などに対する保険金の受取67億円が半導体分野に、26億円がイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野にそれぞれ計上されている。こうした一時的な要因を除くと「実質的な増益幅は前年同期比で10%強にとどまる」(代表執行役副社長CFO 吉田憲一郎氏)という。
大幅な増収は、前述のように主に金融分野及び半導体分野の増収によるもの。そして営業利益の大幅な増益は、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野で減益があったものの、主に、半導体分野及びIP&S分野の損益改善によるものだという。
■テレビの高付加価値シフトが奏功
テレビなどが含まれるホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野の売上高は、テレビにおいて、販売台数の減少があったものの、主に4K対応機を中心とした高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善により前年同期比8.9%増加し、2,569億となった。
営業利益は、前年同期比23億円増の226億円。主要部品の価格の上昇及びマーケティング費用の増加があったものの、主に前述のテレビの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善により、分野全体で増益となった。
なおソニーでは6月に有機ELテレビ「BRAVIA A1」を発売しているが、「販売は順調に推移している」(吉田氏)という。そのほかの4Kモデルについても順調だとのことで、「4K比率という点では市場全体に比べてソニーのほうが若干高く推移しており、計画通り進捗している」(執行役員コーポレートエクゼクティブ 経営企画監理 経理担当 武田和彦氏)という。
IP&S分野の売上高は、前年同期比27.3%増加し、1,556億円。前年同期には熊本地震の影響があったことや、静止画・動画カメラにおいて販売台数の増加及び高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善があったことなどにより、大幅な増収となった。
営業利益は、前年同期比157億円増加し、232億円。販売費及び一般管理費の増加があったものの、主に前述の大幅な増収によって大幅な増益となった。
■スマホは台数増も前年並み/ゲームはPS VR好調
モバイル・コミュニケーション(MC)分野は、売上高はほぼ前年同期並みの1,812億円で、営業利益が前年同期比32億円増となる36億円。売上高はスマートフォンにおいて販売台数の増加はあったものの、主に製品ミックスの変化によってほぼ前年並みになったという。一方で営業利益では主要部品の価格の上昇があったが、オペレーション費用や研究開発費を削減したことなどによって増益となった。
G&NS分野の売上高は、前年同期比5.4%増加し、3,481億円。前年度の9月において実施したPS4のハードウェアの価格改定の影響などがあったものの、ネットワークを通じた販売を含むPS4のソフトウェアの増収及びPlayStation VRの貢献の影響などにより、当四半期において、分野全体で増収となった。
営業利益は、前年同期比263億円減の177億円。この大幅な減益は、主に前年同期には収益性が高い自社制作ソフトウェアの貢献が大きかったこと、及び前述のPS4のハードウェアの価格改定の影響によるものだという。なおPS4は第1四半期で330万台を売り上げ、「年間1,800万台の目標に向けて順調に推移していると理解している」とした。
半導体分野では、売上高が前年同期比41.4%増加の2,043億円と大幅増収。事業規模を縮小したカメラモジュール事業の大幅な減収があったものの、モバイル機器向けイメージセンサーの販売数量が大幅に増加したことに加え、前年同期には熊本地震の影響による生産の減少があったことなどによるものだという。そして営業損益は前年同期の435億円の損失に対し、当四半期は554億円の利益となった。
CMOSセンサーは「金額では8割近くがスマートフォン用」とのことだが、今後については「スマホ市場が大きく伸びるとは考えていない」とコメント。「ただしスマホが社会インフラのひとつになって欠かせない存在になっている。そのなかでカメラは最も使われる機能。フロントカメラの高機能化やセンシングなどでニーズは高まっていくだろう」とした。
スマホ以外の文やでは「監視カメラやドローン、FA(Factory Automation)の領域が伸びていると説明。「長い目で見る必要があるが、車のセンシングも今後は伸びていくだろう。センサーの用途は確実に広がっていくと見ている」と吉田氏は述べた。
■映画や音楽も好調。「Fate/Grand Order」やストリーミング音楽配信で増収
映画分野は、売上高が前年同期比12.3%増の2,058億円で、95億円の営業損失を計上。2017年7月公開の「スパイダーマン:ホームカミング」をはじめ未公開作品の広告宣伝費の増加の影響があったものの、テレビ番組制作及びメディアネットワークの増収の影響などにより、損失が前年同期に比べ11億円縮小した。
音楽分野は、売上高が前年同期比18.8%増の1,686億円で、営業利益は前年同期比91億円増の250億円。モバイル機器向けゲームアプリケーション「Fate/Grand Order」が好調だった映像メディア・プラットフォーム、主にストリーミング配信売上の増加した音楽制作の影響によって大幅な増収となった。
なお、主に為替の影響を考慮して、2017年度通期の連結業績の見通しを修正。4月に発表した時点から、売上高を3,000億円上積みの8兆3,000億円に修正する。ただし営業利益、税引き前利益、純利益の見通しは様々なリスクを考慮して据え置く。通期で売上高5,000億円、純利益2,550億円を見込んでいる。
吉田氏は「市場の変動が大きい事業を抱えているのでリスクマネジメントを怠らないこと。需要の変化にいかに機敏に対応できるかがキーになると思っている」と、目標達成への課題をコメント。「第1四半期としては2007年度に次ぐ2番目の利益を達成したが、その2007年度通期は営業利益5,000億円に届いていない」とし、「平井も言っているが、危機感を失うことが最も危ない。10年前および20年前の好業績のときには翌年に業績を落としている」と述べた。
■金融や半導体好調で大幅な増収増益
売上高は、前年同期比15.2%増加し1兆8,581億円で、営業利益は前年同期比1,014億円増の1,576億円。四半期純利益は、上述のように前年同期に比べ597億円増加の809億円となった。
なお、当四半期の営業利益には、カメラモジュール事業の製造子会社である索尼電子華南有限公司(SonyElectronics Huanan Co., Ltd./SEH)の持分全部の譲渡益275億円が半導体分野に計上されている。また、熊本地震にかかわる逸失利益などに対する保険金の受取67億円が半導体分野に、26億円がイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野にそれぞれ計上されている。こうした一時的な要因を除くと「実質的な増益幅は前年同期比で10%強にとどまる」(代表執行役副社長CFO 吉田憲一郎氏)という。
大幅な増収は、前述のように主に金融分野及び半導体分野の増収によるもの。そして営業利益の大幅な増益は、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野で減益があったものの、主に、半導体分野及びIP&S分野の損益改善によるものだという。
■テレビの高付加価値シフトが奏功
テレビなどが含まれるホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野の売上高は、テレビにおいて、販売台数の減少があったものの、主に4K対応機を中心とした高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善により前年同期比8.9%増加し、2,569億となった。
営業利益は、前年同期比23億円増の226億円。主要部品の価格の上昇及びマーケティング費用の増加があったものの、主に前述のテレビの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善により、分野全体で増益となった。
なおソニーでは6月に有機ELテレビ「BRAVIA A1」を発売しているが、「販売は順調に推移している」(吉田氏)という。そのほかの4Kモデルについても順調だとのことで、「4K比率という点では市場全体に比べてソニーのほうが若干高く推移しており、計画通り進捗している」(執行役員コーポレートエクゼクティブ 経営企画監理 経理担当 武田和彦氏)という。
IP&S分野の売上高は、前年同期比27.3%増加し、1,556億円。前年同期には熊本地震の影響があったことや、静止画・動画カメラにおいて販売台数の増加及び高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善があったことなどにより、大幅な増収となった。
営業利益は、前年同期比157億円増加し、232億円。販売費及び一般管理費の増加があったものの、主に前述の大幅な増収によって大幅な増益となった。
■スマホは台数増も前年並み/ゲームはPS VR好調
モバイル・コミュニケーション(MC)分野は、売上高はほぼ前年同期並みの1,812億円で、営業利益が前年同期比32億円増となる36億円。売上高はスマートフォンにおいて販売台数の増加はあったものの、主に製品ミックスの変化によってほぼ前年並みになったという。一方で営業利益では主要部品の価格の上昇があったが、オペレーション費用や研究開発費を削減したことなどによって増益となった。
G&NS分野の売上高は、前年同期比5.4%増加し、3,481億円。前年度の9月において実施したPS4のハードウェアの価格改定の影響などがあったものの、ネットワークを通じた販売を含むPS4のソフトウェアの増収及びPlayStation VRの貢献の影響などにより、当四半期において、分野全体で増収となった。
営業利益は、前年同期比263億円減の177億円。この大幅な減益は、主に前年同期には収益性が高い自社制作ソフトウェアの貢献が大きかったこと、及び前述のPS4のハードウェアの価格改定の影響によるものだという。なおPS4は第1四半期で330万台を売り上げ、「年間1,800万台の目標に向けて順調に推移していると理解している」とした。
半導体分野では、売上高が前年同期比41.4%増加の2,043億円と大幅増収。事業規模を縮小したカメラモジュール事業の大幅な減収があったものの、モバイル機器向けイメージセンサーの販売数量が大幅に増加したことに加え、前年同期には熊本地震の影響による生産の減少があったことなどによるものだという。そして営業損益は前年同期の435億円の損失に対し、当四半期は554億円の利益となった。
CMOSセンサーは「金額では8割近くがスマートフォン用」とのことだが、今後については「スマホ市場が大きく伸びるとは考えていない」とコメント。「ただしスマホが社会インフラのひとつになって欠かせない存在になっている。そのなかでカメラは最も使われる機能。フロントカメラの高機能化やセンシングなどでニーズは高まっていくだろう」とした。
スマホ以外の文やでは「監視カメラやドローン、FA(Factory Automation)の領域が伸びていると説明。「長い目で見る必要があるが、車のセンシングも今後は伸びていくだろう。センサーの用途は確実に広がっていくと見ている」と吉田氏は述べた。
■映画や音楽も好調。「Fate/Grand Order」やストリーミング音楽配信で増収
映画分野は、売上高が前年同期比12.3%増の2,058億円で、95億円の営業損失を計上。2017年7月公開の「スパイダーマン:ホームカミング」をはじめ未公開作品の広告宣伝費の増加の影響があったものの、テレビ番組制作及びメディアネットワークの増収の影響などにより、損失が前年同期に比べ11億円縮小した。
音楽分野は、売上高が前年同期比18.8%増の1,686億円で、営業利益は前年同期比91億円増の250億円。モバイル機器向けゲームアプリケーション「Fate/Grand Order」が好調だった映像メディア・プラットフォーム、主にストリーミング配信売上の増加した音楽制作の影響によって大幅な増収となった。
なお、主に為替の影響を考慮して、2017年度通期の連結業績の見通しを修正。4月に発表した時点から、売上高を3,000億円上積みの8兆3,000億円に修正する。ただし営業利益、税引き前利益、純利益の見通しは様々なリスクを考慮して据え置く。通期で売上高5,000億円、純利益2,550億円を見込んでいる。
吉田氏は「市場の変動が大きい事業を抱えているのでリスクマネジメントを怠らないこと。需要の変化にいかに機敏に対応できるかがキーになると思っている」と、目標達成への課題をコメント。「第1四半期としては2007年度に次ぐ2番目の利益を達成したが、その2007年度通期は営業利益5,000億円に届いていない」とし、「平井も言っているが、危機感を失うことが最も危ない。10年前および20年前の好業績のときには翌年に業績を落としている」と述べた。