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初開催は “初物” をフィーチャー

水谷豊、山崎貴など豪華クリエイター登壇。「Dolby Cinema Japan Awards 2024」授賞式レポート

公開日 2024/11/01 16:51 編集部:松永達矢
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ドルビージャパンは10月31日、Dolby Vision/Dolby Atmosで制作された作品と製作者を表彰する「Dolby Cinema Japan Awards 2024」を、丸の内ピカデリーにて開催した。本稿ではその模様の一部をお伝えする。

「Dolby Cinema Japan Awards 2024」が初開催

■豪華クリエイター陣が集結。国産コンテンツを飛躍させるドルビーのテクノロジー



この度、第37回東京国際映画祭内のイベントとして実施されたDolby Cinema Japan Awards 2024は、ドルビーの技術を用いて “日本のコンテンツ産業の国際的な発展と鑑賞体験の劇的な向上に貢献” した作品や団体を表彰するためのアワード。

主な選考対象となるのは、国内10スクリーンの劇場上映システム「Dolby Cinema(ドルビーシネマ)」で上映された作品。必然的に、広色域で鮮明な色彩と幅広いコントラストを表現するハイダイナミックレンジ(HDR)映像規格「Dolby Vision(ドルビービジョン)」、および音声トラックに位置情報を付与し劇場の環境に合わせて再生するオブジェクトベースの立体音響技術「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」で制作されていることになる。

初めての開催となる今回は、大きく分けて2つの賞を設置。実写劇映画、舞台作品、新作アニメ、音楽ライブといったジャンルごとに、国内で初めてDolby Cinemaとして制作された作品を表彰する「初 Dolby Cinema作品賞」と、ドルビーの技術を使用し制作に挑戦した作品/団体や、業界に大きな影響を及ぼした作品を選出する「特別賞」が設けられた。

「初Dolby Cinema賞」「特別賞」で様々な作品をフィーチャー

初 Dolby Cinema作品賞の実写映画部門として選ばれたのは、2019年公開の『轢き逃げ 最高の最悪な日』。ドルビーシネマ制作の設備が日本になかった時代、最高の映像と臨場感表現を追求するため、ハリウッド所在のマスタリングスタジオに赴いて完成させたことが評価された。本作の監督・脚本を手掛けた水谷豊氏、撮影監督の会田正裕氏、プロデューサーの遠藤英明氏、そしてキャストの小林涼子氏が登壇。各々その喜びをあらわにした。

本作は、水谷氏がメガホンを取った2作目の劇場作品。「撮影が始まる前にドルビー本社でDolbyVision/Dolby Atmosを見たときの衝撃と感動が心に深く残った」とのことからドルビーシネマでの制作を決意。当時の水谷氏はスケジュール的にハリウッドへの渡航ができなかったとのことだが、撮影監督の会田氏に全幅の信頼を寄せ、時間を掛けて仕上げてもらったと振り返る。

『轢き逃げ 最高の最悪な日』の監督を務める水谷豊氏

『轢き逃げ 最高の最悪な日』にて撮影監督を務める会田正裕氏

撮影監督の会田氏も、Dolby Vision/Dolby Atmosのデモンストレーションを水谷氏と共に見たとき「いつかこのフォーマットで撮りたい」との思いが芽生え、タイミングに恵まれ本作のドルビーシネマ化が叶ったという。当時はハリウッドにて制作を行ったが、今では国内での制作環境が整っていることを踏まえ「ますます邦画がドルビー作品で作られて世界に届いてくれれば」と、先駆者として思いの丈を語ってくれた。

新作アニメ部門では、2020年公開の『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が受賞。9月の通常版上映から、約3か月後の11月にドルビーシネマ版が公開されたが、当初制作の予定はなかったという。受賞に際して登壇した京都アニメーションの石立太一監督は「通常版として既に完成しており、話を頂いたときはちょっと懐疑的だった」とのこと。

京都アニメーションの石立太一監督(写真右)

しかし、ドルビーシネマでの演出効果や表現能力について話を聞き、短い検討期間ながら制作に着手。キュー・テックのカラリスト、今塚誠氏との協力で線の1本1本までこだわり抜いた結果、作品の奥行き、音響も映像も拡がることを実感するに至ったという。本作以降、数多くの劇場アニメ作品がドルビーシネマフォーマットにて公開されており、その端緒であることから賞に輝いた。

音楽ライブ部門は『池袋ウエストゲートパーク』『TRICK』などの監督で知られる堤幸彦氏によるライブフィルム、『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』が選出。これまでにアーティストのライブ映像を何十年撮影してきた堤氏だが、本作はありとあらゆるノウハウを詰め込んだ集大成であると、壇上にてコメントした。

『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』を監督した堤幸彦氏

また、ライブフィルムを制作する上で、実際に現地で見た人も、映像で初めてライブを体感する人も、同じように臨場感を体感することが重要であると堤氏。そのため、会場である東京ドームの音の届き方も数値として割り出したとのこと。

撮影現場には125台ものカメラを導入し、メンバー1人につき約20台を割り振った。そして臨場感を伝えるべくドルビーのテクノロジーを採用。堤氏は「ドルビーの力を借りて本当の意味での臨場感を醸し出すことができた」と撮影の裏側を語ってくれた。

同作に出演した嵐のメンバーを代表して、相葉雅樹さんからのコメントも紹介。「嵐にとって大切な作品を、ドルビーサウンドを通じて、あの日のステージのエネルギーを、ファンの皆さんだけでなく、嵐のコンサートに触れたことがない皆さんにも体感していただけたことは、ステージに立ったメンバーの1人としてとても嬉しく思います」との感謝の気持ちが寄せられた。

特別賞では、世界基準のACESワークフローを採用したことで広色域と階調表現に優れるDolby Visionを最大限に活かし、音響面においてもDolby Atmosによる臨場感あふれる体感型のサウンドに仕上げた『ゴジラ-1.0』が受賞作のひとつに選出。受賞に際し、監督の山崎貴氏が挨拶した。

『ゴジラ-1.0』監督の山崎貴氏

以前からドルビーシネマフォーマットでの映画製作を熱望していた山崎氏は、その願いが『ゴジラ-1.0』で叶ったという素直な思いを吐露。そして、 “ゴジラの恐怖” という大きなテーマを取り上げる上で、ドルビーの画と音でさらなるブラッシュアップを図れたとのことで、「本当に素晴らしい技術を作って頂いた」「通常の上映フォーマットでも一生懸命作り込んでいるが、魅力を底上げしてくれるのはドルビーの技術があってこそ」と、感謝の意を述べた。

企画・プロデュースを担当した東宝の岸田一晃氏は「映画館で体感すべき映画」を本作のコンセプトとし、鑑賞するのでは無く、眼の前にゴジラが立っているかのような体験を目指しながら制作を進めてきたとコメント。高い表現力を実現するドルビーシネマ版の制作においては「音響やグレーディングのスタッフがどんどんポテンシャルを発揮することができた」としており、「ゴジラがより怖く、近く感じられるようになった」とその効果を絶賛した。

『ゴジラ-1.0』のプロデュースを担当した東宝の岸田一晃氏

挨拶の締めくくりには、会場となっている丸の内ピカデリーを擁する建物も作中でゴジラの被害にあったことを引き合いに出し、真に迫る劇場体験もドルビーテクノロジーによる写実感があってこそだと力を込めた。


Dolby Cinema Japan Awards 2024の受賞結果は下記の通り。

■初Dolby Cinema賞
実写映画部門:『轢き逃げ 最高の最悪な日』
舞台作品部門:ゲキ×シネ『偽義経冥界歌』
新作アニメ部門:劇場版『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』
音楽ライブ部門:『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』

■特別賞
『君たちはどう生きるか』
『ゴジラ-1.0』
『FUKUYAMA MASAHARU LIVE FILM 言霊の幸わう夏 @NIPPON BUDOKAN 2023』
『BABYMETAL LEGEND ― 43 THE MOVIE』
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
サカナクション(音楽分野のイマーシブ体験普及に貢献)
東映株式会社(2013年、日本初のDolby Atmosダビングステージを導入)
株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス(2019年、Dolby Cinemaカラーグレーディング、DCPマスタリング、試写の対応開始)
『SHOGUN 将軍』

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