東京都電機商業組合が令和7年新年賀詞交歓会を開催
冷蔵庫・エアコン買い替えに拍車。大幅拡充した東京ゼロエミポイントに注力/東京都電機商業組合・福田理事長
■地域電機店の存続・発展に向け決意も新た
東京都電機商業組合は、令和7年新年賀詞交歓会を開催した。8年目を迎える「組織増強100作戦」、一昨年新たに発足した青年部の活動強化、都内全域を網羅する協業化支援体制の3つを重点事業に位置づけ、さらに、東京都が実施する「東京ゼロエミポイント事業」の積極推進や「アスベスト技能講習会」など、地域電機店を取り巻く課題解決や今後の成長へ向けた取り組みを積極的に展開する。
会の冒頭に挨拶をした福田勝則理事長は、積極的な取り組みを展開する東京ゼロエミポイント事業について、「昨年暮れに執行部全員で都庁を訪問して小池都知事に直接お会いし、令和6年度の東京都予算に対するゼロエミポイント事業の継続と地域電機店の有効活用を要望させていただいた」と説明した。
「お陰様で内容が大幅に拡充し、10月から新たな制度として展開され、組合員の6割を超える513店が事業者登録を済ませた。『この事業が後押しとなり、対象商品であるエアコン、冷蔵庫、LED照明器具が好調だ』との声が組合員から数多く寄せられている。今後も組合員の経営に貢献できる事業推進に向け、東京都との連携強化を図っていく」と力を込めた。
組織増強の取り組みでは、令和6年には令和2年以来となる2桁10店の新規加入を達成。「累計で77店という大きな数字をあげている。組織増強を推進したくても未加盟店がないという県もあるなか、東京にはまだまだ多くの未加盟店があり、東京ゼロエミポイント事業者登録店のなかでも100店を超える地域店が組合に加入していない」と指摘した。
「これまで8年間の取り組みを通じて感じることは、顔見知りの仲間からの声掛け活動が一番成果に結びつくということ。メーカーとの会合や地元の集まりなどありとあらゆる機会を通じ、1店でも多くの仲間が組合に加入いただけるよう重ねてお願いしたい」とさらなる加入増へ意欲をのぞかせた。
「現在、私たちはカーボンニュートラルの実現に向けて、省エネ家電への買い替え提案やリフォームによる省エネ住宅化の提案などを積極的に取り組むお店になることが求められている。これまでの経験や培ってきた強みにさらに磨きをかけてほしい」と鼓舞した福田理事長。「本年の干支・乙巳(きのとみ)は、再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく意味合いを持つ年と言われている。地域電機店の存続・発展に向けて決意も新たに、直面する一つ一つの課題に対し真摯に取り組むとともに、次の世代を担う方々が希望の持てる活力ある組合を目指す」と力強く挨拶を締めくくった。
■家電メーカー各社が特徴ある製品開発で業界を盛り上げる
続いて来賓からの挨拶が行われた。東京都 環境局 気候変動対策部部長・荒田有紀氏は「東京都では2030年カーボンハーフの実現を目指し、電力のHTT(へらす、つくる、ためる)をキーワードに掲げた取り組みを進めている。さらなる対策強化が必要で、その一環として、より省エネ性能の高い家電への買い替えを進める東京ゼロエミポイント事業、省エネ家電への買い替えアドバイスなど家庭の省エネルギーのさらなる促進を目指す東京省エネマイスター店制度など、組合の皆様のご協力を得ながら推進している」
昨年11月には実施された各種団体からの東京都予算に関するヒアリングには、「福田理事長から直接小池知事に対し、省エネ家電への買い替えに対する支援事業の継続と地域家電販売店と連携した家庭における省エネ対策の推進という2つの柱でご要望をいただいた。都としても東京ゼロエミポイント事業をより多くの方に知っていただけるよう、また、都民の皆様が家庭での省エネ対策に一層取り組んでいただけるよう、ご高齢世帯を含め、地域の方々に密接に交流されている組合員の皆様の協力を賜りながら、2030年のカーボンハーフ実現へ向け取り組んでいく」
全国電商連関東甲信越地区協議会副会長・長野県電機商業組合理事長・北原國人氏は、「電気屋さんで売っているのは微々たるもの。ホームセンターやスーパーで買われている方がとても多い」と指摘する “電池”、「メガネ屋の専売商品のようになっている」と指摘する “補聴器” の2つを例に挙げ、電池では自店での工夫を凝らした提案、補聴器では新規の取り扱いなど長野県電機商業組合での積極的な取り組みが大きな成果をあげていることを紹介した。
「われわれの業界が他所の業界に食われている。大事なお客様に販売することをもっともっと真剣にやったらどうだろうか。これからは新しい分野へ出ていかなければいけない。新しい方策を自分たちで考えてやっていかないと電気屋は生き残れない」と日々一つ一つの取り組みの見直しの大切さを訴えた。
一般社団法人放送サービス高度化推進協会 受信環境推進部 統括部長・宇佐美雄司氏は、テレビ放送を取り巻く環境について、「放送よりも動画配信サービスが求められ、少し前までは若者がスマホで動画を見ると言われていたが、今ではテレビ放送のみならず、動画配信サービスも大きな4Kテレビで見ている方がたくさんいらっしゃる」と大きな変化を指摘。
このような変化に対し、「テレビ画面の奪い合いになるなかで、地デジ、BS、そしてBS4Kのコンテンツをしっかりと充実させていくことが重要。先日、アンテナメーカーさんから、最近の新築の戸建てはBSのパラボラアンテナを付けない動きが広がっているという話を聞いた。われわれにとっては本当に厳しい時代で、BS、BS4Kを浸透させていくことがますます重要になる。4Kテレビの拡販やパラボラアンテナの取り付けに引き続きお力添えをいただきたい」
最後に登壇した三菱電機住環境システムズ株式会社 東京支社 営業本部理事 営業本部長・工藤幸治氏は「今年の日本経済は予断を許さない状況にあるが、家電メーカー各社それぞれが、特徴のある製品を開発・生産することで業界に貢献していきたい」と力強く語り、メーカーに求められている消費者の琴線に触れるような魅力あふれる商品提供への使命感を訴えた。