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新自由主義の歴史を描いたドキュメンタリーに大賞

【山形国際ドキュメンタリー映画祭 連続企画(5)】本年度の受賞作が決定

公開日 2009/10/15 16:18 山之内優子
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10月8日から山形市で開催されていた山形国際ドキュメンタリー映画祭で14日、各部門の受賞作が決定した。受賞作とその内容は以下の通り。

◯大賞に新自由主義の歴史を描くドキュメンタリー

世界のドキュメンタリー作家の長編新作1,141の応募作品より、インターナショナル・コンペティション大賞の「ロバート&フランシス・フラハティ賞」に選ばれたのは、カナダ制作「包囲:デモクラシーとネオリベラリズムの罠」。インタビュー形式で世界経済を席巻しようとする新自由主義の歴史を描いた160分の大作だ。

「包囲:デモクラシーとネオリベラリズムの罠」Encirclement--Neo- Liberalism Ensnares Democracy カナダ/2008/フランス語、英語/モノクロ/ビデオ/ 160分 監督:リシャール・ブルイエット Richard Brouillette

最優秀賞の「山形市長賞」には、ペルーのリマで生きる人々を追ったオランダ・ドイツ制作の「忘却」。優秀賞には、イスラエル、フランス制作でパレスティナ人警官殺害事件に関わったイスラエル人青年を中心とした「Z32」と、スイスの難民施設の日常を描いた「要塞」が決定した。また、外国人監督が山形を舞台に日本人ワーキングプアの姿を描いて話題となった「ナオキ」は特別賞に選ばれた。

◯アジア部門では在韓米軍基地周辺を描いた韓国女性監督作品
アジアの新作短篇を対象として、アジアドキュメンタリーを応援するアジア千波万波部門では、大賞の小川紳介賞に、在韓アメリカ軍基地周辺の人間模様を追った韓国の『アメリカ通り』が選ばれた。

「アメリカ通り」American Alley 韓国/2008/韓国語、英語/カラー/ビデオ/90分 監督:キム・ドンリョン Kim Dong-ryung

その他、各賞は以下の通り。

・奨励賞
『ビラル』監督:ソーラヴ・サーランギ
『されど、レバノン』監督:エリアーン・ラヘブ

・特別賞
『ハルビン螺旋階段』監督:季丹(ジ・ダン)
『細毛家の宇宙』監督:毛晨雨(マオ・チェンユ)

◯市民が投票で選ぶ「市民賞」なども選出

市民が投票で選ぶ「市民賞」は、インターナショナル部門の『ナオキ』と、アジア千波万波部門で上映されたドイツ制作『ユリ 愛するについて』が受賞。

また、映画上映関係者が日本の映画館で上映したい作品を選ぶ「コミュニティシネマ賞」には、インド制作「ビラル」が選ばれ、日本映画監督協会賞には、中国の『馬先生の診療所』監督が選出された。

山形映画祭と各賞の詳細については、こちらで確認できる。

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