将来的なサービス拡張予定も明らかに
全国のコミュニティFMを聴けるiPhone/iPod用アプリ“i-コミュラジ”登場 - 木村太郎氏らが会見
コミュニティ・サイマルラジオ・アライアンス(CSRA)、(財)日本気象協会、(株)フライトシステムコンサルティングの3者は、各地域のコミュニティFMラジオ放送を聴取できるiPhone/iPod用アプリ“i-コミュラジ”「コミュニティFM for iPhone」を3月24日よりAppStoreで販売開始した。価格は350円(税込)。
■全国どこからでもコミュニティラジオが聴取可能
本アプリは、CSRAに加盟している各地域のコミュニティFMラジオのサイマル配信を聴取できるラジオアプリケーション。ラジオ聴取機能以外にも、日本気象協会が運営する「tenki.jp」で天気情報を知ることができたり、各局が紹介する地域情報なども提供される。
なお、CSRAには全国から36社のコミュニティFMが加盟しているが、現時点では第1弾として9局がi-コミュラジで聴取可能。今夏までに全36局を順次聴取できるようにしていく予定だという。聴取可能なのは下記の9局。(株)FMなかつの「NOAS FM」(中津市)も近日中に公開予定だとしている。
・三角山放送局(札幌市)/(株)らむれす
・FM-JAGA(帯広市)/(株)エフエムおびひろ
・RADIO3」(仙台市)/(株)仙台シティエフエム
・湘南ビーチFM(神奈川県三浦郡)/逗子・葉山コミュニティ放送(株)
・FMぱるるん(水戸市)/水戸コミュニティ放送(株)
・フラワーラジオ(鴻巣市)/(株)フラワーコミュニティ放送
・REDSWAVE(さいたま市)/(株)エフエム浦和
・FM CASTLE(福知山市)/福知山FM放送(株)
・FM-N1(石川県石川郡)/(株)えふえむ・エヌ・ワン
なお、地域による聴取制限などはなく、ユーザーはどこからでも各局のサイマル配信を利用可能。AppStoreでのアプリ販売画面は日本語のみだが、iTunes Japanにアカウントがあれば海外からでもアプリをダウンロードして利用できる。
■将来的には放送中楽曲をiTMSから購入することも可能に
本日都内で開催された発表会には、CSRAの代表で湘南ビーチFMの代表取締役社長も務めるジャーナリストの木村太郎氏らが出席。あいさつの冒頭で2011年7月に控えるアナログ完全停波に触れた木村氏は「コミュニティ放送も劇的な質的変化をしないといけないと考えている」とコメント。「三次元的な展開を考えていかなければならないのではないか」と言葉を続け、重層的な情報を流せるような方法も付加していきたいと考えた上で「200万を越えたというiPhoneを利用しない手はないと考えた」と語った。
しかし木村氏は「iPhoneでラジオが聴けるだけでは三次元的な展開にはならない。“iPhoneラジオ”とは思ってない」ともコメント。iPhoneならではの様々な機能を活かしたものに発展させていきたいとの考え方も示した。
そして「まだ機能的には限定的。法的な規制などクリアしていかなくてはならない面も多い。そういったものに対応していきながら、より使いやすいものにしていきたい」と述べた。
木村氏に続いては、システム開発を担当したフライトシステムコンサルティングの代表取締役社長である片山圭一朗氏が登壇。「日本のラジオは地域認可制で、他の地域の放送はなかなか聴けない。今回は、今までにユーザーが味わったことのない新しい楽しみを提供する取り組みだ」と活動の意義を改めて説明した。
また「将来的には、流れている楽曲をユーザーがiTMSから直接購入できるしたり、動画配信もできるようにしたりしたい」と将来的な展望についてもコメント。同社で開発した、音声認識でつぶやきを投稿できるTwitter用ソフトなどにも言及し、「ラジオは元々双方向性が強いメディア。この技術をラジオのコミュニケーションにも活用していきたい」とも述べた。
そして、片山氏はユーザーの位置情報から最寄りの放送局に自動チューニングしたり、位置情報に合わせた広告を配信するなどといったことも可能であると説明。「アフィリエイトを使うなど、放送局にとって新しい収益源としても活用できるようにしたい」と語った。
フライトシステムコンサルティングからは、コンサルティング事業部 担当取締役の杉山隆志氏も発表会に出席。杉山氏は「我々がこれまで行ってきた活動を通して、コミュニティラジオとiPhoneという関係は新たな地域情報発信インフラとしてかなり期待できるのではないかと考えた」と今回の取り組みの背景を語る。
そして「日本の距離感をゼロにする」というキャッチコピーも発表。「iPnone端末を通して日本を旅する、日本各地の街の良いところを知ってもらえるツールにしたい」と語った。
また、杉山氏も将来の展望について言及。「ラジオとTwitterのパーソナル感はとてもマッチすると考えている。こうした点も今後深掘りしていきたい」とコメントするとともに、同社のiPhone向けラジオソリューションを近々バージョンアップ予定であることも公表。バックグラウンド再生に対応予定であることも明かした。
日本気象協会からは事業本部 情報システム事業部 部長の古市信道氏が出席。「もちろんtenki.jpは検索などで直接見ることもできるが、今回の取り組みでは地域情報から紐づけて天気を見られるというメリットがある」と、本アプリの利点を紹介する。
そして「防災情報や紫外線情報、花粉情報など様々な情報を持っている。これらからどの情報を出すのが最も有益なのかなどを考えて、今後に向けて検討している」と説明。「たくさんの方に利用していただけるようになりたい」と語った。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.インターネットで幅広い地域に情報発信できるようになったことがラジオの媒体としての価値にどう影響したか。ビジネス面で苦戦しているFM局もあると聞くが、そうした面は良い方向にいったのか。
A.収入は増えていない。ネット経由でクライアントが増えたという例は知らない。ただしリスナーは大きく増えたと実感している。もっとリスナーを増やしたい。放送局として価値を高めていくことが収入もつながっていくのではないか。
Q.ネットでの聴取が聴取率調査に反映されるような動きはあるのか。
A.コミュニティ放送の場合、本当の聴取率はコンマ以下になってしまう。ネットでは実数が出るが、それが逆にビジネスチャンスになると思う。例えば、5秒のCMをどれだけ見たのかというのがはっきり数字でわかる。そうしたビジネスもこれからはありうると思っている。
Q.制度的な制約という話があったが、それは具体的にはどういうことか。
A.いろいろあるが、ひとつの例として著作権の問題がある。ラジオであれば放送した楽曲に対して著作権料を支払うのは当然だが、ストリーミングで流したときにどうなるのかといったようなことだ。
また、アプリ料金の350円は、我々ラジオ局には入ってこない。いったんフライトシステムコンサルティングに行き、システム維持やコンテンツ提供者への支払いなどに充てられる。ここからラジオ局が料金を頂いてしまうと、ストリーミングで新たなビジネスを始めたということで著作権料が発生してくるかもしれないためだ。ラジオという器を買ってもらったのと同じものだという認識だ。
Q.フライトシステムコンサルティングはほかにもラジオ向けアプリがいくつか開発しているとのことだが、そうしたものと今回の違いはどこにあるのか。
A.それぞれカテゴリーが違うと思っている。地域情報はどのようなビジネスができるのかということを2年前から実証実験しているが、まさにこれをユーザーに身近に届けるのはコミュニティFMだと思っている。我々は地域活性化のコンサルティングを行っているが、何らかの手段がないと活性化しない。声を届けるというのに一番いいのが地域のFMであり、それを支えるのがタウン誌であったりTwitterであったりするのではないか。地域FMを核に様々な地域情報を発信し、街の商店街や経済を活性化させていきたい。
Q.全36局のうち第1弾は9局ということだが、タイムラグが出た理由はなんなのか。
A.それぞれの局ごとに状況が異なり、どの局がどのように対応できるかが見えにくいという事情があった。そこで、まずは事務局と比較的連絡が密でスキルが見えやすいところ、InterBEE2009で行った先行デモに参加した9局からスタートした。このノウハウを元に今後展開していく。
Q.気象協会との金銭的な動きはあるのか。
A.システム維持などに当然ながらコストがかかるので、その分が販売利益の一部から協会に動いている。
Q.地域情報のコンテンツに関しては、各放送局が本アプリ用に作っているのか。それとも、例えばホームページ用に用意している情報を流用しているのか。
A.サイトなど各局が持っている情報にリンクしている。将来的には色々な展開を考えている。iPhoneとホームページ両方が発展していくようなイメージを持っている。
Q.聴取地域の制限がないが、例えばTOKYO FMのサイマル配信では制限がある。どういう違いで可能になったのか。
A.逆に「なぜ制限をかけているのか」と思う。これが我々の考えだ。
■全国どこからでもコミュニティラジオが聴取可能
本アプリは、CSRAに加盟している各地域のコミュニティFMラジオのサイマル配信を聴取できるラジオアプリケーション。ラジオ聴取機能以外にも、日本気象協会が運営する「tenki.jp」で天気情報を知ることができたり、各局が紹介する地域情報なども提供される。
なお、CSRAには全国から36社のコミュニティFMが加盟しているが、現時点では第1弾として9局がi-コミュラジで聴取可能。今夏までに全36局を順次聴取できるようにしていく予定だという。聴取可能なのは下記の9局。(株)FMなかつの「NOAS FM」(中津市)も近日中に公開予定だとしている。
・三角山放送局(札幌市)/(株)らむれす
・FM-JAGA(帯広市)/(株)エフエムおびひろ
・RADIO3」(仙台市)/(株)仙台シティエフエム
・湘南ビーチFM(神奈川県三浦郡)/逗子・葉山コミュニティ放送(株)
・FMぱるるん(水戸市)/水戸コミュニティ放送(株)
・フラワーラジオ(鴻巣市)/(株)フラワーコミュニティ放送
・REDSWAVE(さいたま市)/(株)エフエム浦和
・FM CASTLE(福知山市)/福知山FM放送(株)
・FM-N1(石川県石川郡)/(株)えふえむ・エヌ・ワン
なお、地域による聴取制限などはなく、ユーザーはどこからでも各局のサイマル配信を利用可能。AppStoreでのアプリ販売画面は日本語のみだが、iTunes Japanにアカウントがあれば海外からでもアプリをダウンロードして利用できる。
■将来的には放送中楽曲をiTMSから購入することも可能に
本日都内で開催された発表会には、CSRAの代表で湘南ビーチFMの代表取締役社長も務めるジャーナリストの木村太郎氏らが出席。あいさつの冒頭で2011年7月に控えるアナログ完全停波に触れた木村氏は「コミュニティ放送も劇的な質的変化をしないといけないと考えている」とコメント。「三次元的な展開を考えていかなければならないのではないか」と言葉を続け、重層的な情報を流せるような方法も付加していきたいと考えた上で「200万を越えたというiPhoneを利用しない手はないと考えた」と語った。
しかし木村氏は「iPhoneでラジオが聴けるだけでは三次元的な展開にはならない。“iPhoneラジオ”とは思ってない」ともコメント。iPhoneならではの様々な機能を活かしたものに発展させていきたいとの考え方も示した。
そして「まだ機能的には限定的。法的な規制などクリアしていかなくてはならない面も多い。そういったものに対応していきながら、より使いやすいものにしていきたい」と述べた。
木村氏に続いては、システム開発を担当したフライトシステムコンサルティングの代表取締役社長である片山圭一朗氏が登壇。「日本のラジオは地域認可制で、他の地域の放送はなかなか聴けない。今回は、今までにユーザーが味わったことのない新しい楽しみを提供する取り組みだ」と活動の意義を改めて説明した。
また「将来的には、流れている楽曲をユーザーがiTMSから直接購入できるしたり、動画配信もできるようにしたりしたい」と将来的な展望についてもコメント。同社で開発した、音声認識でつぶやきを投稿できるTwitter用ソフトなどにも言及し、「ラジオは元々双方向性が強いメディア。この技術をラジオのコミュニケーションにも活用していきたい」とも述べた。
そして、片山氏はユーザーの位置情報から最寄りの放送局に自動チューニングしたり、位置情報に合わせた広告を配信するなどといったことも可能であると説明。「アフィリエイトを使うなど、放送局にとって新しい収益源としても活用できるようにしたい」と語った。
フライトシステムコンサルティングからは、コンサルティング事業部 担当取締役の杉山隆志氏も発表会に出席。杉山氏は「我々がこれまで行ってきた活動を通して、コミュニティラジオとiPhoneという関係は新たな地域情報発信インフラとしてかなり期待できるのではないかと考えた」と今回の取り組みの背景を語る。
そして「日本の距離感をゼロにする」というキャッチコピーも発表。「iPnone端末を通して日本を旅する、日本各地の街の良いところを知ってもらえるツールにしたい」と語った。
また、杉山氏も将来の展望について言及。「ラジオとTwitterのパーソナル感はとてもマッチすると考えている。こうした点も今後深掘りしていきたい」とコメントするとともに、同社のiPhone向けラジオソリューションを近々バージョンアップ予定であることも公表。バックグラウンド再生に対応予定であることも明かした。
日本気象協会からは事業本部 情報システム事業部 部長の古市信道氏が出席。「もちろんtenki.jpは検索などで直接見ることもできるが、今回の取り組みでは地域情報から紐づけて天気を見られるというメリットがある」と、本アプリの利点を紹介する。
そして「防災情報や紫外線情報、花粉情報など様々な情報を持っている。これらからどの情報を出すのが最も有益なのかなどを考えて、今後に向けて検討している」と説明。「たくさんの方に利用していただけるようになりたい」と語った。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.インターネットで幅広い地域に情報発信できるようになったことがラジオの媒体としての価値にどう影響したか。ビジネス面で苦戦しているFM局もあると聞くが、そうした面は良い方向にいったのか。
A.収入は増えていない。ネット経由でクライアントが増えたという例は知らない。ただしリスナーは大きく増えたと実感している。もっとリスナーを増やしたい。放送局として価値を高めていくことが収入もつながっていくのではないか。
Q.ネットでの聴取が聴取率調査に反映されるような動きはあるのか。
A.コミュニティ放送の場合、本当の聴取率はコンマ以下になってしまう。ネットでは実数が出るが、それが逆にビジネスチャンスになると思う。例えば、5秒のCMをどれだけ見たのかというのがはっきり数字でわかる。そうしたビジネスもこれからはありうると思っている。
Q.制度的な制約という話があったが、それは具体的にはどういうことか。
A.いろいろあるが、ひとつの例として著作権の問題がある。ラジオであれば放送した楽曲に対して著作権料を支払うのは当然だが、ストリーミングで流したときにどうなるのかといったようなことだ。
また、アプリ料金の350円は、我々ラジオ局には入ってこない。いったんフライトシステムコンサルティングに行き、システム維持やコンテンツ提供者への支払いなどに充てられる。ここからラジオ局が料金を頂いてしまうと、ストリーミングで新たなビジネスを始めたということで著作権料が発生してくるかもしれないためだ。ラジオという器を買ってもらったのと同じものだという認識だ。
Q.フライトシステムコンサルティングはほかにもラジオ向けアプリがいくつか開発しているとのことだが、そうしたものと今回の違いはどこにあるのか。
A.それぞれカテゴリーが違うと思っている。地域情報はどのようなビジネスができるのかということを2年前から実証実験しているが、まさにこれをユーザーに身近に届けるのはコミュニティFMだと思っている。我々は地域活性化のコンサルティングを行っているが、何らかの手段がないと活性化しない。声を届けるというのに一番いいのが地域のFMであり、それを支えるのがタウン誌であったりTwitterであったりするのではないか。地域FMを核に様々な地域情報を発信し、街の商店街や経済を活性化させていきたい。
Q.全36局のうち第1弾は9局ということだが、タイムラグが出た理由はなんなのか。
A.それぞれの局ごとに状況が異なり、どの局がどのように対応できるかが見えにくいという事情があった。そこで、まずは事務局と比較的連絡が密でスキルが見えやすいところ、InterBEE2009で行った先行デモに参加した9局からスタートした。このノウハウを元に今後展開していく。
Q.気象協会との金銭的な動きはあるのか。
A.システム維持などに当然ながらコストがかかるので、その分が販売利益の一部から協会に動いている。
Q.地域情報のコンテンツに関しては、各放送局が本アプリ用に作っているのか。それとも、例えばホームページ用に用意している情報を流用しているのか。
A.サイトなど各局が持っている情報にリンクしている。将来的には色々な展開を考えている。iPhoneとホームページ両方が発展していくようなイメージを持っている。
Q.聴取地域の制限がないが、例えばTOKYO FMのサイマル配信では制限がある。どういう違いで可能になったのか。
A.逆に「なぜ制限をかけているのか」と思う。これが我々の考えだ。