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内蔵HDD交換対応のHDDケースを活用する

「torne」でサクサク&ガンガン録りたい − ケースイが実践!“テラバイトHDD搭載 PS3”を自作してみた

公開日 2010/04/08 14:30 レポート:鈴木桂水
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発売後もショップで売り切れ状態が続き、まったく人気が衰えをみせないSCEのPS3専用地デジレコーダーキット「torne」だが、筆者も苦労して入手して本機のレポートを記事で紹介させていただいた。(関連ニュース

実際に使いはじめてみると、いろいろな不満点が出てきた。中でもHDDの容量に関しては、ノーマルなPS3ではあまりに少なすぎてtorne本来の「快適な操作のEPGで面白い番組をたくさん見つけて、サクサクと視聴する」というコンセプトが活かし切れない。


PlayStation 3
PS3は確かにUSB外付けHDDにも対応するが、筆者はこれだけでは満足できない。というのもtorneは録画番組をDVD、BDなど光ディスクに保存することができず、光ディスクへの書き込み機能を持たないPS3のスペックを考えると、今後もその機能追加は期待できそうにない。torneの場合、録画番組を保存する唯一の手段がHDDだけということになる。こうなるとUSB外付けHDDを光メディアのように買い増すのは懐が痛む。そこで筆者が注目したものがHDD交換式のHDDケースだ。

過去記事でも紹介したが、筆者はPS3にソニーのBDレコーダーBDZシリーズで録画したWOWOWの映画をおでかけ転送して、ライブラリーを作っている。すでにPS3の内蔵HDDを320GBに交換して安心していたのだが、海外ドラマ、映画、ドキュメントなど、リッチなコンテンツが放送されるWOWOWの番組を録画していると、1年も経たずにいっぱいになってしまった。

何とかしなければと、約1年をかけて紆余曲折しながら、“テラバイトHDD搭載のPS3”を完成させて愛用している。改造を実践する上では、ネットの書き込みなどをいろいろ参考にさせていただきながら挑戦したのだが、その過程は不良品を掴んだり、PS3との相性が悪かったりなど、トラブルの連続だった。だが、気がつけば1TBのHDDを搭載するPS3が2台完成していた。正直、このために少ない小遣いをどれだけ注ぎ込んだことだろう。そんなこんなで、完成した“テラPS3”がtorneとの組み合わせで大活躍している。いまのところ安定して使えているので、筆者の近況をご紹介したい。

予めおことわりしておくが、本記事はあくまで筆者個人が実践した「挑戦の記録」である。今回のレポートでご紹介する筆者のパーツ構成がどんな方々の環境でも上手く動作するとは保証できない。ましてや各メーカーが推奨している使い方、あるいは保証している製品を使ったわけでもないので、万が一の場合は愛用のPS3が破損することもある。記事でご紹介した内容について、もし読者の方々がそれぞれの環境で実践された際にトラブルが発生した際は筆者、ならびにPhile-webともに責任を負うことはできないので、予めご了承いただきたい。


PS3のHDD換装で問題になるのが、対応する純正の内蔵HDDが高価であり、かつ容量も少なめの2.5インチタイプだということ。さらに交換にも手間がかかる。PS3はSATA対応なので、SATAケーブルかeSATAへの変換ケーブルで本体内部の端子から引き出すなどして、安くて大容量のストレージが手に入る3.5インチHDD対応にすれば、予算を抑えて「テラ化」できる。今回筆者が使用したのは上海問屋が販売していた「PS3縦置きスタンド型 3.5インチ eSATAハードディスク エクステンダー Donyaダイレクト DN-PHD501」、「PS3縦置きスタンド型 3.5インチ SATAハードディスク エクステンダー Donyaダイレクト DN-PHD503」という製品だ。DN-PHD501は外付け型のeSATA対応HDDが接続できるタイプで、DN-PHD503は本体スタンド内にHDDを内蔵できるタイプだ。


今回使用したDN-PHD501のセット内容。スタンドとケーブルが主な梱包内容なので、かなりシンプルだ。
はじめは「DN-PHD501」とeSATA対応のHDDケースを組み合わせて、バルクのHDDを取っ替え引っ替えして「ライブラリーHDD」を増やそうと思っていた。しかし、実際には多くのトラブルに見舞われ難航したため、この組み合わせを一度断念した。トラブルの理由は後にHDDケースの不具合だと判明するのだが、とにかく先に進みたかったので、仕方なく「DN-PHD503」も購入した。

DN-PHD503を購入したものの、次に問題が発生したのがHDDとの相性だ。安価だったこともあり、ウエスタンデジタル社製の1.5TBのバルク品を購入したら、なんど挑戦しても認識しなかった。外付けHDDケースに入れてパソコンに接続すれば使えるので、相性が悪かったとした考えようがない。ちなみにシーゲート社製の250GB HDDは問題なく認識できた。結局、日立LG社製の1.5TB HDDを追加購入した。

筆者のPS3とは相性が悪かったウェスタンデジタルのHDD。同社の製品が全てNGというわけではなく、懲りずに別の型番の製品を購入したらPS3で使えた。こんな不安定な要素が多々あるので、便利なのにもかかわらずPS3のHDD換装を大声でオススメできない。

3.5インチHDDを内蔵できるDN-PHD503を使った「PS3テラブラック」がこれ。スッキリ配置できる。

こうして始めに完成したのがDN-PHD503を使った、通称「テラブラック」だ。しかし、これだとHDDの交換が面倒なので、主力マシンとしては頼りない。HDD改造のコツも掴めてきたので、再度DN-PHD501とeSATA対応のHDDケースの組み合わせに挑戦した。再挑戦にあたり、用意したのがロジテックのHDDケース「LHR-DS02SAU2」だ。これを選んだのが大正解だった。最初に失敗したHDDケースは本体だけでなく付属のeSATAケーブルも接触が悪く、さらにウエスタンデジタル社製のHDDとPS3の相性も悪かったという、“トラブル三重奏”に見舞われていたのだ。結局DN-PHD501とLHR-DS02SAU2に日立LG社製もしくはシーゲート社製のHDDを組み合わせて使うことで、問題なく“テラPS3 2号機”通称「テラシルバー」が完成した。

愛用している「PS3テラシルバー」がこれ。便利だが置き場所に困る。

筆者お気に入りのHDDケース「LHR-DS02SAU2」だ。動作が安定しているので、近々東芝のREGZAやVARDIAでも試してみようと思っている。


トラブルの原因になったHDDケース。基板とHDDが直差しなので、接続が不安定になっている。そのためか、基板の配線部にクラック(ヒビ)が入るなど、不安定な要素が発生したと思われる。さらに付属ケーブルが接触不良を起こしていた。
LHR-DS02SAU2はケースのフロントからHDDを簡単に抜き差しできるので、快適に使えるのが魅力だ。ソニーのBDZシリーズの「おでかけ転送」はPSP用とウォークマン用で方式が違うので互換性がない。しかし、PS3上ではどちらのコンテンツも同じように表示されるので、PS3に保存した動画をPSPもしくはウォークマンで持ち出すとき、操作に迷う。出力先を間違えると再生できないからだ。そこで筆者はLHR-DS02SAU2を使って、PSP用HDDとウォークマン用HDDを使い分けて、快適なモバイルムービーライフをおくっている。

内蔵用HDDをボタン一つでイジェクトできる。使い勝手は満点だ。

torneを使うならHDDを光ディスクのように大量に使わないと追いつかない。筆者は「おでかけ転送」のファイル形式別にHDDを用意している。

今回のテストは2009年の秋からスタートしている。そのためDN-PHD501とDN-PHD503は残念ながら、現在は販売を終了してしまった。ネットショップやオークションで探せば見つかるかもしれない。最悪、eSATAの延長ケーブルがあれば、なんとかなりそうだと筆者は考えているので、機会があったら省電力の新型でも挑戦してみたいと思っている。

eSATAケーブルは繊細なので、ちょっとでも差し込みが甘いと認識しない。しっかりとしたケーブルをチョイスしたい。

できればロジテックに新型PS3のHDD換装用に、LHR-DS02SAU2とeSATAケーブルのユニットを設計してもらええればラクができるのだが…。そこにはさらにtorneの収納スペースもあるとなおいいだろう。とにかくtorneの登場により、録画コンテンツを保存しておくPS3のHDDの“テラ化”には、今後大きな需要があると筆者は考えている。周辺機器メーカーの皆様にはぜひ、がんばっていただきたいところだ

「DN-PHD503」の背面。冷却ファンもついている。動作音はうるさいほうだ。

スタンドの中にHDDを格納。DN-PHD501、DN-PHD503のどちらもPS3を固定できないので、持ち運びには注意したい。筆者は100円ショップの両面テープで固定している。

次回はtorneを接続した使い勝手を紹介しようと思う。また、PS3のHDDの内容をフルバックアップする方法も報告したい。

※ご注意:今回掲載した記事の中で、筆者がご紹介した内容をお手元で実践される場合のサポートは受け付けておりません。また記事中に登場した製品などを使った事によって、お手元の機器に生じたトラブルや破損につきましては当方では一切保証できません。


◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。

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