音のソリューション勢ぞろい
防音/調音のプロフェッショナル“音のDAIKEN” − 多様な製品群の実力とは?
■総合建材メーカーが長年のノウハウを投入した音響調整グッズ |
『DAIKEN』ブランドで床や壁、室内ドアや階段など様々な住宅向け建材を取り扱う大建工業。音響調整パネル「サウンドデザインウォール」や「オトテン」を始めとした製品が「ホームシアターグランプリ2011」全4部門で金賞を受賞するなど、ホームシアターやオーディオインストーラーの高い支持を得ている。
そんな“音のDAIKEN”には、上記の「サウンドデザインウォール」と「オトテン」のほかにも、防音や調音に悩むファンにとって注目のアイテムが多数揃っている。
例えば、こちらも「ホームシアターグランプリ2011」プロダクト部門で金賞を受賞した吸音材「音調吸音板」。30年以上もの間人気を誇る超ロングセラーモデルであり、非常に優れた吸音特性を誇る製品だ。
また、前述の「サウンドデザインウォール」はカラーやデザインが異なる5種類で展開。ポップなカラーの「AR」、うづくり調でシックな「AC」など、デザイン面からも幅広い選択肢を用意している。性能面を追求しながらもデザインを犠牲にしないというのは、特にリビングでホームシアターを楽しんでいるようなファンにとっては今後も重要なポイントではないだろうか。
もちろん製品はこれだけではない。同じくホームシアターグランプリ2011金賞を受賞した防音ドア「SD3」や、自立タイプの音響調整アクセサリー「アコースティックツリー」、さらには「オトテン」と並んで広く知られる音響調整壁材であるロングセラー商品「オトカベ」や、2010年11月に新製品として登場したビス留め不要な音調吸音材「オトピタ01」など、防音/調音分野だけでも実に幅広い製品を取り揃えている。
■長い歴史を持つ「建築音響部」で設計・製造 |
これらの製品は、岡山市にある大建工業の建築音響部が企画・開発を行っている。同社は市内の工業団地に25万m2の広大な工場を所有しており、その一角に本格的な音響研究施設を構えている。
建築音響部の前身が発足したのは昭和59年。だが実はそれ以前から、同社の建築材が吸音性に優れていることから「オトカベ」「オトテン」といった製品を既に発売していた。
以後30年近くに及ぶ長い歴史の中で、施主の様々なニーズを吸い上げながら、防音や調音に関する積極的な研究開発を日夜行っている。
現在では防音や調音に関する製品の企画・開発だけでなく、製造や販売サポート、さらには防音に関する相談窓口「サウンドセンター」を設置し、「音」に関する様々な相談を受け付けている。
部署設立当時は「防音」という言葉すら一般的でなかった時代。他社に先駆けて「音」に取り組み、地道な研究開発を継続して行ってきた成果が、現在の多彩な製品ラインナップとして結実しているのだ。
施設内にあるいくつかの実験室を見学した。残響室では、試作中の製品についての吸音・調音性能を、63〜4,000Hzの音を発生する機械とマイクを使ってチェック。製品の大まかな性能を把握し、それをもとに設計の仕上げを行っていく。
その隣にある木造音響実験室は文字通り、実際の家屋と同様の、二階建ての木造建物。研究所内に家がすっぽり収められている状態だ。家と同じ条件なので、製品の実際の効果をしっかりと測定することができ、たとえば二階から階下への音の伝わりを調べて製品の効果をくわしく測定したり、などといったことも容易に行える。必要なときにすぐ実験を行うことができるので、きめ細かな製品開発が可能になるというわけだ。
さらに建築音響部の施設内には、最新のAVシステムを完備したシアタールームも用意されている。3Dプラズマテレビや大型スクリーン、プロジェクター、5.1chサラウンドシステムなどを備え、部屋の中には前述の「サウンドデザインウォール」や「オトテン」「オトカベ」「アコースティックツリー」など、DAIKENブランドの防音/調音製品が用いられており、その効果を存分に確認することができる。このシアタールームもまた、高性能な製品の開発に活用されているのだ。
■ショールームには本格的なシアタールームも |
こうやって作られた防音/調音製品の威力を実際に体験できるのが、東京・JR秋葉原駅電気街口から徒歩3分という好立地にある同社の東京ショールームだ。同所には同社が長年蓄積してきたノウハウを投入したオーダーメイド防音室兼ホームシアターの視聴室が設置されており、室外への音漏れや、住まいで再生した際の音の響きをチェックできる。
なお、同社では防音のレベルを、「S(Special)防音」「A(Advance)防音」「B(Basic)防音」という3段階で設定。東京ショールームには最高レベルであるS防音の本格的なシアタールームと、A防音のコンパクトな防音室が用意されている。
S防音は「ホームシアターやAVルーム、ピアノの練習室など本格的に音を楽しむ空間のための、オーダーメイド防音」で、A防音は「ピアノを弾いたり、自宅でカラオケを楽しんだりするのに適したミドルクラスの防音」。そしてB防音は「暮らしの中で発生する生活騒音にわずらわされない、日常レベルの防音」なのだという。
なお、前述の天井材「オトテン」は吸音性能が異なる複数のデザインを用意。S防音からA防音まで対応しており、施主の様々なニーズに幅広く使える建材だ。
同ショールームについて、評論家の大橋伸太郎氏は「東京ショールームを訪れて、目から鱗の落ちる思いがしました」とコメント。「防音ドア、強化したフローリング、内窓。私が日頃ホームシアターの環境性能を高めるために『こんなものがあったらいい』と思い描いていたものが、すべて揃っています」と展示内容を賞賛する。
そして、「いくら最新のAV機器を揃えても、十分に性能を発揮する環境がなければ、宝の持ち腐れです。環境を制することがホームシアターを制するのです」と、防音や調音の必要性を改めて説明。「ホームシアターのクオリティを高めるためには、最初に音と画の基礎工事が必要です。このショールームはホームシアターの確かなビジョンがみつかる数少ない場所とさえ言えます」と評価した。
なお、ショールームにはこのシアタールームだけでなく、壁材や床材、室内ドアなど建築部材もふんだんに展示されている。ドアサンプルだけでも、国内最大規模となる約130本を揃える。住まい作りに必要なものも、ホームシアターの実際も両方体験できるわけだ。
また、防音を体験できるショールームでは予約制で「防音相談会」も随時開催しており、同社の音のスペシャリストが相談に乗ってくれる。ホームシアターをこれから構築しようとしていたり、部屋の音響に不満を持っているようなユーザーは一度足を運んでみてもよいのではないだろうか。
■次回からいよいよ「防音/調音クリニック」スタート! |
これまで見てきたように“音”に対して長年の実績を持つ同社。そんな同社のスタッフが、ホームシアター/オーディオビジュアルファンの防音/調音への悩みを解決する特別企画「防音/調音クリニック」が次回よりスタートする。
同企画には、同社スタッフに加えて評論家の大橋伸太郎氏も参加。強力タッグを結成し、ユーザーの悩みを次々と解決。ファイル・ウェブではその様子を徹底レポートする。
第1弾は「リビングシアターでの悩み Part.1」を予定。インテリアとの兼ね合いも考えねばならないリビングシアターで、同社は防音/調音に対してどのようなソリューションを見せられるのか?ご期待頂きたい。
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