注目製品レビュー
独自技術でBluetooth再生も高音質化した − ケンウッド“Kシリーズ”「K-531」を聴く
ケンウッドのオーディオコンポーネント“Kシリーズ”に、独自技術によって高音質なBluetoothワイヤレス再生が楽しめる「K-531」が発表され、話題を集めている。本機のサウンドをライターの高橋敦氏が試聴した
Bluetoothの手軽さと、iPhone/iPodのデジタル接続による高音質を両立させたモデル
原音再生をコンセプトに進化を続ける「Kシリーズ」の最新システム。スマートフォン等のユーザーに向けて新たにBluetoothレシーバーを搭載した。ケーブル接続だと音楽を聴きながら、手元のスマートフォンでネットをチェックしたりするのにケーブルの存在が煩わしかったが、Bluetoothでのワイヤレス接続ならそういうことがない。ましてドック接続と較べれば、その身軽さは天と地の差だ。
Bluetoothは伝送時の圧縮による音質劣化が弱点だが、本機ではそこも対策されている。低音域の量感と中高域の情報量をDSP処理によって補正して自然なものとする「Bluetooth Sound Enhancer」を搭載。他にも、Bluetooth回路の基板をアンプ基板と独立させて相互干渉を低減、伝送時のビットレートを適時適当に切り替えるなど、様々な面から音質向上が図られている。
ベーシックな要素は前モデル「K-521」から継承している。アンプ部分は、音声データを一度もアナログに変換することなくアンプ最終段までデジタルのまま処理する、フルデジタルプロセッシングで信号の鮮度を維持。デジタル処理の部分では、音声をデジタルデータ化する際に失われる高域の補間機能「Supreme EX」や、音の偏りやリスニング位置による音の印象の違いを低減する音響パワー補正技術「CONEQ」を搭載する。
天板にはiPhone/iPod用のデジタル接続対応ドックを用意。Bluetoothの手軽さに対して、こちらは音質面では有利だ。
スピーカーキャビネットは全面15mm厚のMDFによる四方留め構造。その頑強さで安定した響きを得ている。
iPhoneと組み合わせて、期待のBluetooth接続から聴いてみた。「Bluetooth Sound Enhancer」の効果は大きく、オンにすると音色の活力がぱっと強まる。シンバルは明るくなり、ベースは太さと厚みを増す。ボーカルも抜けが良くなり、声の低音の響きも豊かになる。副作用は感じられないので、常時オンでよいだろう。
ジャズ・ポップス系のエスペランサ・スポルディング「Radio Music Society」からの曲では、シンバルは前述のように明るいがそれでいて派手すぎない。ベースはブリッとした弾力が少し強調されてドライブ感を強める。ドラムスは太く柔らかな抜けっぷりで、好ましい意味でのビンテージ感がある。大きな癖は出さず、それでいて各楽器のおいしいところを一押ししてくれる印象だ。
ロック・ポップス系の相対性理論「シンクロニシティーン」では、スネアドラムやシンバルの音色の濁点、ざらつきも生かして、ロックの荒さの表現もしっかりこなす。
続いてiPhoneをドックにつないでデジタル接続で聴くと、ギターの音色のカッチリ感やシンバルの薄刃さが増す。硬質で緻密な描写という印象だ。CD再生も、iPodデジタル再生ほどにはキレないが、それに近い印象。
絶対的な音質はドック接続やCD再生に優位があるが、Bluetoothの音のまとめ方も巧く、十分に楽しめる。ワイヤレスの身軽さで生活に音楽を溶け込ませたい方にとって、本機が提案するスタイルと音質は魅力的なはずだ。
◆高橋 敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
Bluetoothの手軽さと、iPhone/iPodのデジタル接続による高音質を両立させたモデル
原音再生をコンセプトに進化を続ける「Kシリーズ」の最新システム。スマートフォン等のユーザーに向けて新たにBluetoothレシーバーを搭載した。ケーブル接続だと音楽を聴きながら、手元のスマートフォンでネットをチェックしたりするのにケーブルの存在が煩わしかったが、Bluetoothでのワイヤレス接続ならそういうことがない。ましてドック接続と較べれば、その身軽さは天と地の差だ。
Bluetoothは伝送時の圧縮による音質劣化が弱点だが、本機ではそこも対策されている。低音域の量感と中高域の情報量をDSP処理によって補正して自然なものとする「Bluetooth Sound Enhancer」を搭載。他にも、Bluetooth回路の基板をアンプ基板と独立させて相互干渉を低減、伝送時のビットレートを適時適当に切り替えるなど、様々な面から音質向上が図られている。
ベーシックな要素は前モデル「K-521」から継承している。アンプ部分は、音声データを一度もアナログに変換することなくアンプ最終段までデジタルのまま処理する、フルデジタルプロセッシングで信号の鮮度を維持。デジタル処理の部分では、音声をデジタルデータ化する際に失われる高域の補間機能「Supreme EX」や、音の偏りやリスニング位置による音の印象の違いを低減する音響パワー補正技術「CONEQ」を搭載する。
天板にはiPhone/iPod用のデジタル接続対応ドックを用意。Bluetoothの手軽さに対して、こちらは音質面では有利だ。
スピーカーキャビネットは全面15mm厚のMDFによる四方留め構造。その頑強さで安定した響きを得ている。
iPhoneと組み合わせて、期待のBluetooth接続から聴いてみた。「Bluetooth Sound Enhancer」の効果は大きく、オンにすると音色の活力がぱっと強まる。シンバルは明るくなり、ベースは太さと厚みを増す。ボーカルも抜けが良くなり、声の低音の響きも豊かになる。副作用は感じられないので、常時オンでよいだろう。
ジャズ・ポップス系のエスペランサ・スポルディング「Radio Music Society」からの曲では、シンバルは前述のように明るいがそれでいて派手すぎない。ベースはブリッとした弾力が少し強調されてドライブ感を強める。ドラムスは太く柔らかな抜けっぷりで、好ましい意味でのビンテージ感がある。大きな癖は出さず、それでいて各楽器のおいしいところを一押ししてくれる印象だ。
ロック・ポップス系の相対性理論「シンクロニシティーン」では、スネアドラムやシンバルの音色の濁点、ざらつきも生かして、ロックの荒さの表現もしっかりこなす。
続いてiPhoneをドックにつないでデジタル接続で聴くと、ギターの音色のカッチリ感やシンバルの薄刃さが増す。硬質で緻密な描写という印象だ。CD再生も、iPodデジタル再生ほどにはキレないが、それに近い印象。
絶対的な音質はドック接続やCD再生に優位があるが、Bluetoothの音のまとめ方も巧く、十分に楽しめる。ワイヤレスの身軽さで生活に音楽を溶け込ませたい方にとって、本機が提案するスタイルと音質は魅力的なはずだ。
◆高橋 敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。