高橋敦が最速レポート
【速攻レビュー】ATH-IM04などオーディオテクニカ複数BAドライバー搭載機をぜんぶ聴いてみた
本日発表されたオーディオテクニカの新イヤホン「ATH-IM04」など4機種。1基〜4基のBAドライバーを搭載した新モデルの実力を高橋 敦氏が速攻チェックした。
BA型ドライバーの複数基搭載は現代ハイエンドイヤホンの常套手段だ。またドライバー搭載数の違いで価格帯と音の幅を広げることも、ユーザーにより多くの選択肢を提供する手法として有効と言える。
今回新たに発表された「ATH-IM0x」シリーズは、オーディオテクニカがまさにそれを全力で行ってきた渾身のシリーズだ。1基から4基までのBA型ドライバー搭載の全4モデルが投入される。
ドライバー構成は、「ATH-IM01」はフルレンジ1基、「ATH-IM02」は低域1基+中高域1基、「ATH-IM03」は低域1基+中域1基+高域1基、「ATH-IM04」は低域2基+中域1基+高域1基。
IM03とIM04は専用設計ネットワーク(帯域分割回路)によって全ドライバーをバランスよく正確なレスポンスで駆動。IM01とIM02については、音響放射抵抗を軽減する「アコースティックホーン」で高域の減衰を抑えていることがポイント。この技術は既存モデルでの実績がある。
他の基本要素は全モデル共通だ。筐体の形状と大きさは、IM01とIM02、IM03とIM04がおおよそ同じ。装着感と密閉性を考慮してデザインされている。
装着方法は、イヤーモニター用途を想定していることから、ケーブルを耳の上に回すスタイル。4ドライバーのIM04でも、イヤホン本体がそれほど重くはないこともあって、このスタイルで装着すれば耳周りへの負担は感じない。
ケーブルは接続の信頼性とメンテナンス性を兼ね備える着脱式。他社製品では見かけたことのない形状の端子は、その信頼性の面での採用だろう。
肝心の音質だが、まずシリーズトータルでの印象として、ドライバーが増減しても帯域バランスが極端には変化しないことが特徴。例えば低音用ドライバーが独立したからといって、ただ低音が増えるわけではなく、帯域を広げつつ低音の解像感といった要素が高まることの方がポイントだ。
各モデルを見ていこう。
▼ATH-IM01
ATH-IM01は、フルレンジらしく全体に素直なキレがあり、低音もビシッとタイトだ。それでいて音調は硬質ではなく、どちらかというとほどよいソフトさを備える。ロックのハイハットシンバルのキレも荒っぽくはなく、ベースもゴリゴリした感触ではない。ジャズのウッドベースの木質の温もりや、女性ボーカルの優しさの表現には特によい具合にフィットするモデルだ。
▼ATH-IM02
ATH-IM02は、IM01と比較すると全体にスピード感を増し、よりクリアでややハードタッチだ。ドライバーが低域用と高域用に分かれたことで、それぞれの負担が軽減されてより無理なく軽やかに駆動されているといった印象。
ベースやドラムスの低音の量感はIM01と比べて大きくは変わらない。むしろよりタイトに引き締まったようにも思える。高音の抜けも良くなっているので、ドラムスのアタックと収まりのパシッというキレが爽快だ。またその低音のまとまりの良さのおかげで全体のクリアさも高まり、空間の見晴らしも良い。
クリアさということでは、ボーカルのクリアさもIM01に対しての大きな優位だ。声の手触り感もより豊かになる。
▼ATH-IM03
ATH-IM03は、シリーズの中で最も落ち着いた音調と感じる。良い具合の湿度感がある音で、全体の穏やかなまとまりも好感触。快活なキレが持ち味のIM02との対比が面白い。
ベースやドラムスはキレのあるスピード感よりも、少し腰を落として重めに落ち着いたドライブ感が際立つ。ロックとも合わないことはないが、重めのグルーブを持ったファンクなどにはもっと合いそうだ。
空間の見晴らしの良さはIM02と同様に良好。それに加えてこちらは高域専用ドライバーが用意されたおかげか、音の響きの細かな粒子をさらに豊かに感じることができる。手数が少なく余韻や間を生かした曲では、この点が特に発揮される。
▼ATH-IM04
ATH-IM04は、4基ものドライバーを搭載しながら全体のバランスに全く破綻がなく、音調も驚くほどに自然だ。
ドラムスやベースは太りや膨らみがなく、あるべき位置にあるべき量感ですっと収まっており、アタックもすっと素直に抜ける。タッチとしてはこのシリーズの中ではやや硬質で、IM02に近い。それに加えて、低域用ドライバーを2基とした構成の力か、ウッドベースの響きの深みや音場の空気感といった要素は、より豊かに再現される。またクラブ系のディープなローエンドも、妙な強調をせずにフラットに届かせてくれる。
シンバルなども荒い鋭さの強調などはなく、綺麗な鈴鳴り感のある薄刃の音色。ハイハットシンバルの開閉などのキレも良く、細かなリズムもピシッと決まる。
ボーカルのクリアさはIM02と同様に素晴らしく、そこにさらに胸で響く深みや厚みのより一層の再現性が加わる。ダイナミクス、つまり抑揚の表現の幅も広がっていると感じる。
IM04の総合力はさすがだが他のモデルも、シリーズとして一貫性のある音質の範囲内で、それぞれにほどよい個性がある。一概に「予算内でいちばん上のモデル買っとけ!」とは言えない、それぞれが魅力的なラインナップだ。自分の好みにフィットするモデルはどれかなのか、ぜひ悩んでみてほしい。
BA型ドライバーの複数基搭載は現代ハイエンドイヤホンの常套手段だ。またドライバー搭載数の違いで価格帯と音の幅を広げることも、ユーザーにより多くの選択肢を提供する手法として有効と言える。
今回新たに発表された「ATH-IM0x」シリーズは、オーディオテクニカがまさにそれを全力で行ってきた渾身のシリーズだ。1基から4基までのBA型ドライバー搭載の全4モデルが投入される。
ドライバー構成は、「ATH-IM01」はフルレンジ1基、「ATH-IM02」は低域1基+中高域1基、「ATH-IM03」は低域1基+中域1基+高域1基、「ATH-IM04」は低域2基+中域1基+高域1基。
IM03とIM04は専用設計ネットワーク(帯域分割回路)によって全ドライバーをバランスよく正確なレスポンスで駆動。IM01とIM02については、音響放射抵抗を軽減する「アコースティックホーン」で高域の減衰を抑えていることがポイント。この技術は既存モデルでの実績がある。
他の基本要素は全モデル共通だ。筐体の形状と大きさは、IM01とIM02、IM03とIM04がおおよそ同じ。装着感と密閉性を考慮してデザインされている。
装着方法は、イヤーモニター用途を想定していることから、ケーブルを耳の上に回すスタイル。4ドライバーのIM04でも、イヤホン本体がそれほど重くはないこともあって、このスタイルで装着すれば耳周りへの負担は感じない。
ケーブルは接続の信頼性とメンテナンス性を兼ね備える着脱式。他社製品では見かけたことのない形状の端子は、その信頼性の面での採用だろう。
肝心の音質だが、まずシリーズトータルでの印象として、ドライバーが増減しても帯域バランスが極端には変化しないことが特徴。例えば低音用ドライバーが独立したからといって、ただ低音が増えるわけではなく、帯域を広げつつ低音の解像感といった要素が高まることの方がポイントだ。
各モデルを見ていこう。
▼ATH-IM01
ATH-IM01は、フルレンジらしく全体に素直なキレがあり、低音もビシッとタイトだ。それでいて音調は硬質ではなく、どちらかというとほどよいソフトさを備える。ロックのハイハットシンバルのキレも荒っぽくはなく、ベースもゴリゴリした感触ではない。ジャズのウッドベースの木質の温もりや、女性ボーカルの優しさの表現には特によい具合にフィットするモデルだ。
▼ATH-IM02
ATH-IM02は、IM01と比較すると全体にスピード感を増し、よりクリアでややハードタッチだ。ドライバーが低域用と高域用に分かれたことで、それぞれの負担が軽減されてより無理なく軽やかに駆動されているといった印象。
ベースやドラムスの低音の量感はIM01と比べて大きくは変わらない。むしろよりタイトに引き締まったようにも思える。高音の抜けも良くなっているので、ドラムスのアタックと収まりのパシッというキレが爽快だ。またその低音のまとまりの良さのおかげで全体のクリアさも高まり、空間の見晴らしも良い。
クリアさということでは、ボーカルのクリアさもIM01に対しての大きな優位だ。声の手触り感もより豊かになる。
▼ATH-IM03
ATH-IM03は、シリーズの中で最も落ち着いた音調と感じる。良い具合の湿度感がある音で、全体の穏やかなまとまりも好感触。快活なキレが持ち味のIM02との対比が面白い。
ベースやドラムスはキレのあるスピード感よりも、少し腰を落として重めに落ち着いたドライブ感が際立つ。ロックとも合わないことはないが、重めのグルーブを持ったファンクなどにはもっと合いそうだ。
空間の見晴らしの良さはIM02と同様に良好。それに加えてこちらは高域専用ドライバーが用意されたおかげか、音の響きの細かな粒子をさらに豊かに感じることができる。手数が少なく余韻や間を生かした曲では、この点が特に発揮される。
▼ATH-IM04
ATH-IM04は、4基ものドライバーを搭載しながら全体のバランスに全く破綻がなく、音調も驚くほどに自然だ。
ドラムスやベースは太りや膨らみがなく、あるべき位置にあるべき量感ですっと収まっており、アタックもすっと素直に抜ける。タッチとしてはこのシリーズの中ではやや硬質で、IM02に近い。それに加えて、低域用ドライバーを2基とした構成の力か、ウッドベースの響きの深みや音場の空気感といった要素は、より豊かに再現される。またクラブ系のディープなローエンドも、妙な強調をせずにフラットに届かせてくれる。
シンバルなども荒い鋭さの強調などはなく、綺麗な鈴鳴り感のある薄刃の音色。ハイハットシンバルの開閉などのキレも良く、細かなリズムもピシッと決まる。
ボーカルのクリアさはIM02と同様に素晴らしく、そこにさらに胸で響く深みや厚みのより一層の再現性が加わる。ダイナミクス、つまり抑揚の表現の幅も広がっていると感じる。
IM04の総合力はさすがだが他のモデルも、シリーズとして一貫性のある音質の範囲内で、それぞれにほどよい個性がある。一概に「予算内でいちばん上のモデル買っとけ!」とは言えない、それぞれが魅力的なラインナップだ。自分の好みにフィットするモデルはどれかなのか、ぜひ悩んでみてほしい。