最初に紹介したい新技術は「Wクリア倍速」だ。これまでのAQUOSの倍速駆動処理は、基本的には60Hzの映像のフレーム間に補間フレームを挿入し、120Hzで駆動するというものだったが、今回、新たに元映像にまでさかのぼって高画質化処理を行うフローが追加された。従来の補間フレーム挿入に加えて、倍速処理する際に動画ぼやけを抑える。2つの処理を行うことでより鮮明な映像を実現することから「“W”クリア倍速」という名称が付けられた。
具体的には、入力された映像信号に対して、カメラ撮影時のパン(ここではカメラ移動全般を指している)により際に生じる映像のぼやけを、動きベクトルを検出により解析。ぼやけ部分に対して輪郭強調などの補正処理を行う。カメラを移動しながら撮影する際、映像のぼやけは避けられないが、このぼやけを除去するのは、単純な倍速駆動処理では及ばない領域だ。今回、動きのある映像を元の信号から補正することで、テレビ放送をよりクッキリとした映像で表示することが可能になった。
|
Wクリア倍速の概念図。カメラがパンした際に生じるぼやけを検出して補正する回路を新たに追加した |
同時に動きベクトル検出を使った映像解析は「フィルム・デジャダー」と呼ばれる新機能にも活用されている。
映画のフィルム映像が24コマ/秒で撮影されていることは周知のことだと思うが、滑らかな映像表示が好みのユーザーにとって、映画特有のカクカクとした動き(ジャダー)が、ややクセのある表現して感じられることも確かである。24pの映像を120pに変換する際、途中に補間フレームを生成し、なめらかな映像表示を可能にするのが「フィルム・デジャダー」だ。メニュー画面では「フィルムモード」から設定できる。
ただし同種の機能の効果については、常に賛否両論があるのもご存じの通り。このため「しない(切)」設定も可能だ。さらに「アドバンス(強)」、「アドバンス(標準)」設定により、メニューから滑らかさの強さを選択することが出来、「標準」では3-2プルダウン処理映像の各コマの表示時間を等間隔で表示することができる。なお、この処理はパネルを駆動する直前で行われ、地上デジタル放送や衛星放送で映画を観る際も、逆3-2プルダウン処理によって元のソースが24pと判断されれば適用される。
|
フィルムモードの設定画面。補間の適用量をきめこまかく設定することができる |
|