
以前から好評の“トップマウント構造”を採用した、ビクターのインナーイヤホン新製品となれば、期待値は高い。特に上位モデルの「HA-FXC71」に注目しているヘッドホンファンは多いだろう。
上位モデルの「HA-FXC71」と「HA-FXC51」との技術的な相違点は、筐体に用いている素材と、内部構造が大きなポイント。HA-FXC51はアルミ製ハウジングを用いているのに対して、HA-FXC71はステンレス製ハウジングに加えて、高比重素材ボディと真鍮リングによるデュアルシリンダー構造を採用している。その相乗効果により振動ロスを適正に抑制し、ユニットの真価を引き出す。
その点を踏まえながら試聴してみたところ、サウンドの傾向も確かに異なっている。HA-FXC51は十分な解像感を備えつつも、中低域の太さと力強さが持ち味。シンバルは意外にしなやかな音色だ。
HA-FXC71はピシッと決まった音調。帯域バランスはよりフラットに、音色の響きはよりソリッドにという印象だ。ウッドベースは引き締めるだけではなく、アコースティックな抜け、空気感も活かしてくれる。ドラムスも同様に太さと抜けを兼ね備える好描写だ。
ビクター独自の“トップマウント構造”が実現した革新のサウンドはこの夏、一聴の価値ありだ。
【筆者プロフィール】高橋 敦
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 |
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