新型同軸ユニットUni-Qを搭載したXQシリーズの注目機新型同軸ユニットUni-Qを搭載したXQシリーズの注目機
「季刊・オーディオアクセサリー」127号所収記事より転載

MUON(ミュオン)
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KEF(イギリス)は先頃、『MUON』と名づけられた世界100セット限定発売の、高さ2mに及ぶ巨大な4ウェイ7ドライバー、密閉型スピーカーシステムを発表して、世界を驚かせている。驚愕するのはその価格。なんと税込みで1,995万円! 聴く部屋と金銭的余裕のある方はどうぞ。

ここで紹介するのは、ぐんと庶民的な価格帯で新しく立ち上げられた「XQシリーズ」内の最小型と最大型の2機種。ポイントは新型同軸ユニット“Uni-Q”の採用にある。新型Uni-Qはドームトゥイーターがアルミからチタンに変更され、高域再生限界が大幅に伸張し、王冠状の拡散器の装着で広い指向特性を持つ。

「XQ10」は13cm口径の“Uni-Q”1個の小型ブックシェルフ型。キャビネットはリアダクトによるバスレフ方式。脚部が付属し、3点ピンポイント設置が可能だ。入力は4端子方式である。

「XQ40」は16.5cm口径ペーパー+カーボンファイバー振動板のウーファーを2個搭載し、16.5cm口径のUni-Qがある。能率はXQ10よりも4dB(2.5倍)高い90dB。形態はトール型。キャビネットはフロント2ダクトによるバスレフ方式で、シリーズ内で最大。入力は4端子方式だからバイワイヤリングが容易に実行できる。

いずれも仕上げはリアルウッド突き板でマボガニー、バーズアイメープル、ピアノブラックの3仕様がある。

両機が採用したUni-Qドライバー
両機が採用したUni-Qドライバー
XQ10
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XQ40
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注目のポイント

XQ10、XQ40共に入力はデュアル(4入力端子)。したがってバイワイヤリング、バイアンピングが可能。そうはいっても、XQ10にバイアンプリングは少しやり過ぎの感はある。XQ40はその限りではない。いずれにしてもXQ10は付属の3点ピンポイント脚を大いに活用してもらいたいし、XQ40は4点ピンポイント脚が付属。ガタつきを排除した配置を心掛けることによって、音像イメージは一層明確化される。
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XQ10はUni-Qだけのシステム。従って、新型Uni-Qのポテンシャルをストレートに聴くことができる。巧みなキャビネット設計もあって、小さいが低域方向は頑張っている。中域周辺は明るい傾向でツヤを感じさせる。高域方向は十分に伸張。空間もなかなか広いが、音像イメージは同軸型ゆえに明確である。あたかもシングルコーン・フルレンジユニットのような印象がある。

XQ40は2個のウーファーが加わっているため、当然だがXQ10よりも低域方向が伸びゆとりもある。

XQ10のリア部
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XQ40のリア部
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オペラ、声楽系がいいと思う。Uni-Qならではの音像イメージの明確さがあり、歌い手の口元がシャープにフォーカスする。Value 300SEと組み合わせると聴くジャンルを選ばなくなる。
ふくよかさが加わるなど相性がとてもいい
プリメインアンプ
SOUND
Value 300SE
¥231,000
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「真空管で聴くとどうだろうか」という興味のもとで、両機に対してSOUNDの「Value 300SE」を組み合わせてみた。結論から先にいえば相性がとてもいい。特にXQ10に対してはふくよかさが加わり、このアンプには属している“Hojun”と名づけられた低域補正、増強機能を使用すると低域方向が充実する。XQ40ではUni-Qと2個のウーファーとの音楽的つながりがスムーズになり、なごみの音調になった。




XQ10
 XQ10
 126,000円(ペア・税込)
型式 2ウェイバスレフ型
ユニット 150mm Uni-Q with 19mmアルミドームWF
周波数特性 53Hz〜55kHz
推奨アンプ出力 15W〜100W
出力音圧レベル 86dB(2.83V/m)
最大出力 107dB
インピーダンス 8Ω(min 3.2)
外形寸法 330H×190W×247Dmm
質量 6.4kg

XQ40
 XQ40
 485,100円(ペア・税込)
型式 3ウェイバスレフ型
ユニット 2×162mmLF、
165mm Uni-Q with 19mmアルミドームWF
周波数特性 50Hz〜55kHz
推奨アンプ出力 15W〜200W
出力音圧レベル 90dB(2.83V/m)
最大出力 112dB
インピーダンス 8Ω(min 3.2)
外形寸法 1020H×231W×302Dmm
質量 24.3kg

【取り扱い】
 KEF JAPAN
 TEL 042-388-2030
 ホームページ http://www.kef.jp/


藤岡 誠 筆者プロフィール
藤岡 誠 Fujioka Makoto
大学在学中からオーディオ専門誌への執筆をはじめ、40年近い執筆歴を持つ大ベテラン。低周波から高周波まで、管球アンプからデジタルまで、まさに博覧強記。海外のオーディオショーに毎年足を運び、最新情報をいち早く集めるオーディオ界の「百科事典」的存在である。歯に衣を着せず、見識あふれる評論に多くの支持者を得ている。アマチュア無線を長年の趣味としており、極めて若いコールサインを持っているのが自慢。ヒマラヤンが自慢の愛猫家であり、蘭や万年青の栽培に情熱を燃やす一面もある