【春はステイサム】人身売買組織をぶっ潰せ!最強最速の運び屋を描くシリーズ第一弾
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2002年製作の『トランスポーター』をご紹介します!
『トランスポーター』(2002年・フランス/アメリカ)
(配信:Amazon Prime Video / U-NEXT / Hulu / Netflix)

Blu-ray&DVD発売中
Blu-ray:1,980円(税込)DVD:1,320円(税込)
発売・販売:TCエンタテインメント
『レオン』『フィフス・エレメント』『LUCY/ルーシー』などで知られるリュック・ベッソンが製作・脚本を手掛けたノンストップ・アクション・エンタテイメント。「契約厳守」「(依頼者の)名前は聞かない」「依頼品を開けない」という3つのルールを徹底し、どんな依頼品も完璧に目的地へと送り届けるプロの運び屋フランク・マーティン(ジェイソン・ステイサム)。しかし、依頼品の大きなバッグに人が入っていることに気が付いたフランクは、仕方なくルールを破ってバッグを開けてしまう。それを機に、命を狙われることになるフランクであったが……。

物語冒頭、先述した3つのルールを自分にも客にも遵守させ、卓越したドライビングテクニックを駆使して見事に依頼を果たすフランクの姿が描かれる。それは同時に、いかに彼が仕事の流儀にこだわっているか、いかに彼がプロフェッショナルな存在であるかが示される場面でもある。だが、そんな男が自らに課したルールを破ってしまったが故に窮地へと陥っていき、運び屋業そっちのけの壮絶な殺し合いバトルへと発展していく本作。無論、ドライビングテクニックだけではなく、銃の扱いや肉弾戦にも長けているフランクなので、多勢に無勢な状況ながらも奮闘して状況をひっくり返していくB級映画的なアクション性がこの作品の醍醐味となっている。それだけでも十分楽しめる本作だが、少しだけ注視する点を変えてみるのは如何だろう。

プロフェッショナルがプロフェッショナルたる所以。それは、目的達成のために築き上げられ、研鑽されたルールのもとに行動を起こしているからに他ならない。それを手放した途端に窮地へ陥るフランクの姿は一種の教訓であり、プロの仕事をしたいのであれば貫き通すべきものがあること。そして、ルールを手放した時こそ己の本質が露わになることを、この作品は教えてくれる。気楽に観るも良し、考察しながら観るも良し、さまざまな楽しみ方ができる良作です。
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ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 宝島社sweetでの連載をはじめ、WEB、雑誌、ラジオなどで、心から推すことのできる映画を紹介。そのほか、イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30 人のシネマコンシェルジュ」など、幅広く活動中。 |