公開日 2011/08/22 10:05
音楽をもっと自由に楽しむためのスピーカー − ケンブリッジ・オーディオ「MINX」レビュー
カジュアル・オーディオの決定版
イギリスのケンブリッジ・オーディオから満を持して発売されるスピーカーシステム“Minx(ミンクス)”がいよいよ国内発売となる。2.1chも、5.1chも本格サウンドを聴かせるスタイリッシュなスピーカーを林正儀氏が試聴した。
英・ロンドン生まれの高音質&スタイリッシュなスピーカー「Minx」誕生
スタイリッシュであることが、ステータスになるオーディオがあってよい。コンパクトサイズでありながら、デザイン性とHiFiサウンドを見事に融合した、新しいコンセプトのスピーカーがイギリスのCambridge Audio(ケンブリッジ・オーディオ)から登場した。ケンブリッジ・オーディオが、2年の開発期間を費やし、満を持して投入する「Minx(ミンクス)」シリーズだ。
著名スピーカーブランドである「Mordaunt-Short(モダン・ショート)」とともに、英オーディオ・パートナーシップ社のグループ企業として発展を続けるケンブリッジ・オーディオは、とても歴史の古いオーディオブランドだ。社名が表す通り、英の名門校であるケンブリッジ大学の出身者たちが1968年に創立し、ロンドン郊外に本拠を構えている。上質なサウンドと、先端のデジタル技術を融合させながら、リーズナブルなプライスの製品群が英国内はもとより、全世界のオーディオファイルたちに愛されている。また同社のスタッフは、全員が楽器の演奏をたしなむほど音楽を愛しているのだという。このことからも、オーディオ愛好家だけでなく、“音楽を高音質に楽しみたい”という、広くオーディオ入門層とも言える音楽ファンたちがケンブリッジ・オーディオを支持していることの理由が見えてくる。
オーディオアンプとプレーヤーを得意とするケンブリッジ・オーディオの、現在の主力モデルは2000年から築き上げてきた「Azur(アズール)」シリーズだ。ピュア・オーディオに端を発して以降、広くデジタル&映像分野にも進出するケンブリッジ・オーディオは、進取の気質に富むメーカーであり、近年ではDAコンバーター「Dac Magic」や、先進のアップサンプリング機能をもつネットワークオーディオプレーヤー「NP30」が注目を浴びている。ケンブリッジ・オーディオはさらに、フランスのオーディオブランド「FOCAL」のエンジニアも加えた強力な布陣でスピーカー製品の開発に着手した。最新モデルの「Minx」は、イギリスのトラディショナルなオーディオブランドが実現させた“新しいチャレンジ”なのだ。
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ピュアオーディオからホームシアターまで、様々な音楽再生をサポートするラインナップ
「Minx」シリーズには、2種類のサテライトスピーカーと、3種類のサブウーファーがラインナップする。いずれもコンパクトで高品位なデザインであることにも注目したい。
サテライトスピーカーの「Min10」を手にとって驚く。一見すると普通の8センチ角のエンクロージャーのように見えるが、本体に格納されたユニットに、ケンブリッジ・オーディオの先進技術が詰め込まれている。平面スピーカーのエキスパートであるNXTの技術をベースに、ケンブリッジ・オーディオが独自に開発した「BMR(Balanced Mode Radiator)ユニット」を搭載。「Bending wave」という“屈曲波”の原理を用いている。通常はフラットパネルスピーカーで用いられるこの原理を、従来のスピーカー設計に用いられるピストン運動(前後移動)と融合させた、パテント技術なのである。振動板は素材の異なる紙状の薄型特殊繊維を張り合わせたオリジナルのものを採用。これらの技術により、Minxのサテライトスピーカーは圧倒的に広い指向性と周波数特性を備えるとともに、パワフルな低域再生と、素直なレスポンス性能を備えた音を再現してくれる。サテライトスピーカーには、シングルユニットの「Min10」と、ダブルユニットの「Min20」が用意されている。
またBMR技術により、リスニングルームの全域にまんべんなく音を拡散でき、遠いところで聴いてもボリュームの減衰が少ないこともMinxの特徴である。リビングやシアタールームなど、普段の生活空間と一体になったリスニングルームに、何気なくMinxシリーズを配置しても、理想的なハイクオリティ・サウンドが自由自在に楽しめることもMinxシリーズの大きな魅力なのだ
型番に“X”の付いた、キューブ・スタイルのサブウーファーは小さいモデルから「X200」「X300」「X500」の3製品がラインナップする。ポイントになるのは、いずれもクラスDのデジタルアンプで駆動されていることだ。3モデルとも、型名がアンプ部最大出力のワット表示となっている。また小容積化に有利なパッシブドライバー技術「ABR(Auxiliary Bass Radiator)」が採用されていることも見逃せない。このABR技術と、ケンブリッジ・オーディオのソフトウェアのエンジニアリングチームの開発によるDSPを組み合わせたことで、これほどまでにコンパクトなサブウーファーをつくることができたのだという。例えば「X200」はメインユニットのほかに、左右2発のパッシブコーンを配置した。バネのような反発力で、いかにも強力なサウンドを楽しませる。「X300」「X500」はダブルユニットで、フラグシップの「X500」は最大500Wの出力を備えるハイパワー・モデルである。
「Minx」シリーズには4つのシステムセットが用意されている。ピュア・オーディオとしても楽しめるシンプルな2.1chシステムの「Minx212 stereo」と、これをベースに5.1chマルチ対応に発展させた「Minx215」、さらに5本の「Min20」に、異なるサブウーファーを組み合わせた「Minx325」、「Minx525」の4セットだ。なお、Minxシリーズ全てのモデルは、光沢のあるホワイトとブラックの2タイプからカラーリングを選ぶことができる。
Minxシリーズのラインナップ
Min10
【SPEC】●ユニット:57.15mm BMR×1個 ●感度:85dB(2.83Vrms入力) ●周波数特性:140Hz〜20kHz ●インピーダンス:8Ω ●パワーハンドリング:15〜50W推奨 ●外形寸法:78W×78H×85Dmm ●質量:0.45kg
>>ナスペック「Min10」製品情報ページ
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Min20
【SPEC】●ユニット:57.15mm BMR×2個 ●感度:87dB(2.83Vrms入力) ●周波数特性:130Hz〜20kHz ●インピーダンス:8Ω ●パワーハンドリング:15〜75W推奨 ●外形寸法:154W×78H×85Dmm ●質量:0.75kg
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>>製品データベース「Min20」
X200
【SPEC】●ユニット:165mm サブウーファー、165mmパッシブラジエーター×2 ●アンプ部最大出力:200W rms(クラスDデジタル) ●周波数特性:39Hz(-6dB)〜200Hz ●クロスオーバー:アクティブ/可変 50Hz〜200Hz ●外形寸法:219W×210H×222Dmm ●質量:5.0kg
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>>製品データベース「X200」
X300
【SPEC】●ユニット:203mm サブウーファー、203mmパッシブラジエーター ●アンプ部最大出力:300W rms(クラスDデジタル) ●周波数特性:33Hz(-6dB)〜200Hz ●クロスオーバー:アクティブ/可変 50Hz〜200Hz ●外形寸法:311W×266H×278Dmm ●質量:7.5kg
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>>製品データベース「X300」
X500
【SPEC】●ユニット:254mm サブウーファー、254mmパッシブラジエーター ●アンプ部最大出力:500W rms(クラスDデジタル) ●周波数特性:23Hz(-6dB)〜200Hz ●クロスオーバー:アクティブ/可変 50Hz〜200Hz ●外形寸法:365W×320H×350Dmm ●質量:11.7kg
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>>製品データベース「X500」
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