公開日 2018/11/02 06:00
飽くなき挑戦を続けるソニーの新たな到達点。いま絶対に聴くべきプレミアムモデル、IER-M9/M7、MDR-Z7M2誕生の秘密に迫る。(PART2 MDR-Z7M2編はコチラ)
ミュージシャンはもちろん、耳の肥えた音楽ファンからもいま、熱い注目を集める「ステージモニター」。そこにソニーが8年ぶりの新作「IER-M9/M7」を投入する。自社開発のマルチBAシステムを駆使した意欲作だ。ボーカルの質感や楽器の音色を忠実に再現しながら、音楽としての全体のバランス、正確なリズム表現も損ねない。ソニー史上、最高傑作のステージモニター誕生の背景を尋ねた。
■ソニー技術陣が思い描いた理想のステージモニターとは?
野村 ソニーとして、本格的な「ステージモニター」を開発するというのは、まったく新しいチャレンジだったと思うのですが、まずはどういった経緯で、このコンセプトが生まれてきたのでしょうか?
増山 プロフェッショナルの現場でもインイヤー型のモニターヘッドホンが主流になっていますし、オーディオファンの方々からも、ミュージシャンと同じ環境で音楽を聴きたいというニーズが増えているということは認識していました。そのいっぽうで、ソニーとしても技術的な蓄積もできてきて、音質を突き詰めた面白いものが作れるのではないかと考えたことが起点でした。
飛世 インイヤー型のモニターヘッドホンの開発にチャレンジするのは「MDR-EX800ST」以来、約8年ぶりとなります。ラインアップの頂点に、長きにわたり君臨できるような、高い完成度のイヤホンを目指して、開発を進めました。
野村 ソニーとしては、音質については、どういったものを「ステージモニター」だと位置付けられたのでしょうか?
桑原 これが正解だ、というステージモニターの音を定義することからスタートしました。さまざまなPAエンジニアやアーティストの方々からお話をうかがい、プロが納得する高音質がどういうものか、徹底的にディスカッションしました。
飛世 ソニーならではのこだわりとして、音質面では3つのポイントに注力しました。「楽器の音色の正確な表現」、「各楽器間のバランスと分離」、「グルーヴ感を含めたリズムの表現」。ここは徹底的に突き詰めた部分です。
野村 バランスド・アーマチュア型ドライバー(BA)を選んだのには、なにか理由がありますか? ダイナミック型やハイブリッド型という選択肢は、最初からなかったのでしょうか?
飛世 まず、BAは音の立ち上がりがはやく、リズムの正確性が求められるステージモニターに向いています。それからマルチBAシステムである、ということもポイントで、チューニングによって低域から高域まで音色をコントロールできることは、この方式を選んだ大きな理由のひとつです。また、BAの場合はドライバーの前側の空間を閉じることができるので「遮音性を高めやすい」というメリットもあります。
野村 音漏れを低減する「ノイズブロック構造」も特長でしたね。ユニバーサルタイプのステージモニターということになると、装着性も重要な要素ですよね。よりボディを小型にできるということも、BAを使うメリットでしょうか?
増山 装着性には非常にこだわりました。耳への収まりやすさや音導管の長さなどは、ソニーが秘蔵する多くの耳型を使って、なんども検証を行いました。
野村 新たに開発された「プリフォームドイヤーハンガー」も素晴らしいですね。使い勝手のよさを高めてくれています。
増山 自然と、かつ素早く、耳に安定させて装着できるのが特長です。形状を自分で調整するタイプのイヤーハンガーだと、きっちり調整しないと耳に沿わず浮いてしまうことも多いのですが、これならそういった心配がありません。
野村 コネクター部分についても、新たな工夫が盛り込まれているんですよね。
増山 コネクター部には様々な方向に負荷がかかることを想定し、端子や端子周りの形状に改良を加え、耐久性を高める仕様としています。
■徹底的に検証を繰り返したマルチBAシステム
野村 ところで、M9には5基、M7には4基のBAが搭載されていますね。
桑原 はい。ただし、マグネシウム合金を振動板に採用したトゥイーターは、M9だけに搭載されている特別なBAで、より繊細で、なめらかな高域再生が可能です。とはいえ、M9からこのトゥイーターを外せばM7になるという訳ではなく、すべてのBAが異なる帯域を受け持ち、それぞれに最適化された音響調整が施されていて、ひとつとして同じ役割を持つBAはありません。
野村 ネットワーク回路を持っていて、すべてのBAがそれぞれ異なる周波数帯域を受け持っているわけですね。
飛世 そのとおりです。ただし、それぞれのBAがハッキリと役割分担されているわけではなく、補完し合うようにチューニングされています。
野村 ソニーはBAを自社開発しているので、BAひとつひとつの音質調整まで、自由に設計できる強みがありますよね。さらに、それらを筐体内部にレイアウトする位置によっても、細かく音質を調整しているわけですね?
飛世 はい、そのとおりです。たとえばトゥイーターはできるだけ耳に近い位置に設定して、フルレンジユニットは後ろ目に配置した方が高域のよいところをダイレクトに届けられますし、あるいは同じフルレンジでも、音導管からの距離をわずかにずらして音を混ぜあわせたり、ネットワーク回路での帯域分割も含めると、本当にさまざまな組み合わせパターンが考えられました。ここはベストなバランスにたどり着くまで検証を繰り返して、時間をかけた部分です。
野村 その結果、たどり着いたのが「オプティマイズドサウンドパス構造」というわけですね。スピーカーの設計とは違っていて、面白くも奥深い部分ですね。
■「M9」と「M7」の兄弟機 あなたはどちらを選ぶ?
野村 そのほか、M9とM7の仕様面での違いはどんなところにあるのでしょうか?
飛世 基本的な設計思想は共通で、どちらもステージモニターとして十分なクオリティを備えていると考えています。その前提の上で、M9の方がより繊細な音の表現を獲得するために、ひとつひとつのパーツを厳選したこだわった作りになっています。ハウジングについては、M9がマグネシウムでM7が樹脂。フェイスプレートはM9がカーボン、M7がアルミ。それから細かいところでは、コネクターやプラグの金メッキの下地に非磁性メッキをしていることも、芯線のまわりをシルク編組としてタッチノイズを軽減していることもM9だけの特長になります。
桑原 ちなみにM9は音導管まで一体成型されたマグネシウムのハウジングを持っていますが、M7の音導管は真鍮製となっています。
野村 音づくりという面では、M9とM7にキャラクターの違いはありますか?
飛世 どちらも目指す世界は、プロのミュージシャンが満足できるサウンドで、その部分では共通なんですが…。
桑原 もちろん、なくはないのですが、なんだかエンジニアからいうと正解みたいになってしまうので、もうしばらくはユーザーの皆さんの声をお聞きしていたいです(笑)。
野村 それでは、私が感想を申し上げるのなら構いませんよね(笑)。M7はいわゆる一般的にステージモニター的とされる音質傾向で、より中域にフォーカスしていて、熱気や抑揚のようなものまで表現してくれるイメージですかね。M9はマグネシウム振動板を搭載していることもあってか、中高域の表現がよりナチュラルで繊細になっていると思うんですが、歪みが少なくなった効果もあってか、ローも綺麗にスーッと伸びているのが印象的でした。ステージモニターでありながら、ソニーらしいクリアネスを感じられるサウンドを持ちあわせているな、と。
桑原 なるほど、ありがとうございます(笑)。
野村 最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
飛世 エンジニアとして、今はもうこれ以上のステージモニターを作れないと、自信を持って断言できるほど、音質を突き詰めたイヤホンです。
増山 ボーカリストや楽器を演奏される方々、そして音楽ファンの皆さんにも、ぜひ手にとっていただきたいです。
総合的な完成度の高さが際立つ
素直に“ほしい”と思わせてくれる、随所に魅力溢れる製品がこの「IER-M9」だ。ステージモニター、一般的にはユニバーサルIEM(インイヤーモニター)とも呼ばれる製品に必須のサウンドキャラクターである、キレのよさや厚みをもつ中域、そしてボーカルから高域にかけてのきめ細やかなニュアンス表現を巧みに実現しつつ、さらにソニーならではといえるグルーブ感のよい低域やクリアな音色なども持ち、それらが絶妙にバランスされている。
いっぽうで、ハードロックからクラシック、EDMまで、音楽ジャンルを選ばす素直に楽曲の魅力を伝えてくれる点もうれしい。高域へのスムーズな伸びや全体的な歪み感の少なさも貢献しているのだろう。ステージモニターというキャラクター性を考えず、純粋にリスニング用の高級イヤホンとしても大きな満足感を得られる、良質なサウンドだ。これは新開発のスーパートゥイーター採用もさることながら、各BAドライバーユニットの微細な位置まで検討した作り込みの細やかさ、ケーブル素材も含めてテストしたサウンドチューニングの徹底ぶりによる賜物だろう。遮音性の高さ、装着感の良好さも含め、とても完成度の高い製品だ。
理想的なステージモニター
まさに“ザ・ステージモニター”といったサウンドキャラクターと装着性を持ちあわせているのがこの「IER-M7」だ。4基のBA型ドライバーユニットが生み出すサウンドは、メリハリがよくキレがあり、ドラムもベースもグルーブ感溢れるクリアなビートを聴かせてくれる。それでいてボーカルはしっかりとした存在感を示す、ハキハキとした明朗快活な歌声を聴かせてくれる。ボーカルやギターなどのメインパートをしっかり主張させ、締まりのある低域でリズム感も確実に伝えてくるサウンドは、まさにステージモニターならではの魅力に溢れている。他社製のステージモニターを愛用している人にとっても、馴染みのある音色傾向といえるかもしれない。
もうひとつのメリットが、コンパクトなサイズに纏め上げられたイヤホン本体。小型のBAドライバーとはいえ4基搭載してこのサイズを実現しているのは、ステージユースで大きなアドバンテージとなるはず。リスニング用としてもなかなかのもので、軽快な装着感により耳からポロリと落ちるようなこともなく、遮音性の高さから音楽により集中できる。安心してお薦めできる、良質な製品だ。
(協力:ソニーマーケティング株式会社)
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関係者が語る“ソニー史上最高傑作のステージモニター”「IER-M9/M7」誕生の背景。その音質を野村ケンジがチェック!
インタビュー:野村ケンジ飽くなき挑戦を続けるソニーの新たな到達点。いま絶対に聴くべきプレミアムモデル、IER-M9/M7、MDR-Z7M2誕生の秘密に迫る。(PART2 MDR-Z7M2編はコチラ)
ミュージシャンはもちろん、耳の肥えた音楽ファンからもいま、熱い注目を集める「ステージモニター」。そこにソニーが8年ぶりの新作「IER-M9/M7」を投入する。自社開発のマルチBAシステムを駆使した意欲作だ。ボーカルの質感や楽器の音色を忠実に再現しながら、音楽としての全体のバランス、正確なリズム表現も損ねない。ソニー史上、最高傑作のステージモニター誕生の背景を尋ねた。
■ソニー技術陣が思い描いた理想のステージモニターとは?
野村 ソニーとして、本格的な「ステージモニター」を開発するというのは、まったく新しいチャレンジだったと思うのですが、まずはどういった経緯で、このコンセプトが生まれてきたのでしょうか?
増山 プロフェッショナルの現場でもインイヤー型のモニターヘッドホンが主流になっていますし、オーディオファンの方々からも、ミュージシャンと同じ環境で音楽を聴きたいというニーズが増えているということは認識していました。そのいっぽうで、ソニーとしても技術的な蓄積もできてきて、音質を突き詰めた面白いものが作れるのではないかと考えたことが起点でした。
飛世 インイヤー型のモニターヘッドホンの開発にチャレンジするのは「MDR-EX800ST」以来、約8年ぶりとなります。ラインアップの頂点に、長きにわたり君臨できるような、高い完成度のイヤホンを目指して、開発を進めました。
野村 ソニーとしては、音質については、どういったものを「ステージモニター」だと位置付けられたのでしょうか?
桑原 これが正解だ、というステージモニターの音を定義することからスタートしました。さまざまなPAエンジニアやアーティストの方々からお話をうかがい、プロが納得する高音質がどういうものか、徹底的にディスカッションしました。
飛世 ソニーならではのこだわりとして、音質面では3つのポイントに注力しました。「楽器の音色の正確な表現」、「各楽器間のバランスと分離」、「グルーヴ感を含めたリズムの表現」。ここは徹底的に突き詰めた部分です。
野村 バランスド・アーマチュア型ドライバー(BA)を選んだのには、なにか理由がありますか? ダイナミック型やハイブリッド型という選択肢は、最初からなかったのでしょうか?
飛世 まず、BAは音の立ち上がりがはやく、リズムの正確性が求められるステージモニターに向いています。それからマルチBAシステムである、ということもポイントで、チューニングによって低域から高域まで音色をコントロールできることは、この方式を選んだ大きな理由のひとつです。また、BAの場合はドライバーの前側の空間を閉じることができるので「遮音性を高めやすい」というメリットもあります。
野村 音漏れを低減する「ノイズブロック構造」も特長でしたね。ユニバーサルタイプのステージモニターということになると、装着性も重要な要素ですよね。よりボディを小型にできるということも、BAを使うメリットでしょうか?
増山 装着性には非常にこだわりました。耳への収まりやすさや音導管の長さなどは、ソニーが秘蔵する多くの耳型を使って、なんども検証を行いました。
野村 新たに開発された「プリフォームドイヤーハンガー」も素晴らしいですね。使い勝手のよさを高めてくれています。
増山 自然と、かつ素早く、耳に安定させて装着できるのが特長です。形状を自分で調整するタイプのイヤーハンガーだと、きっちり調整しないと耳に沿わず浮いてしまうことも多いのですが、これならそういった心配がありません。
野村 コネクター部分についても、新たな工夫が盛り込まれているんですよね。
増山 コネクター部には様々な方向に負荷がかかることを想定し、端子や端子周りの形状に改良を加え、耐久性を高める仕様としています。
■徹底的に検証を繰り返したマルチBAシステム
野村 ところで、M9には5基、M7には4基のBAが搭載されていますね。
桑原 はい。ただし、マグネシウム合金を振動板に採用したトゥイーターは、M9だけに搭載されている特別なBAで、より繊細で、なめらかな高域再生が可能です。とはいえ、M9からこのトゥイーターを外せばM7になるという訳ではなく、すべてのBAが異なる帯域を受け持ち、それぞれに最適化された音響調整が施されていて、ひとつとして同じ役割を持つBAはありません。
野村 ネットワーク回路を持っていて、すべてのBAがそれぞれ異なる周波数帯域を受け持っているわけですね。
飛世 そのとおりです。ただし、それぞれのBAがハッキリと役割分担されているわけではなく、補完し合うようにチューニングされています。
野村 ソニーはBAを自社開発しているので、BAひとつひとつの音質調整まで、自由に設計できる強みがありますよね。さらに、それらを筐体内部にレイアウトする位置によっても、細かく音質を調整しているわけですね?
飛世 はい、そのとおりです。たとえばトゥイーターはできるだけ耳に近い位置に設定して、フルレンジユニットは後ろ目に配置した方が高域のよいところをダイレクトに届けられますし、あるいは同じフルレンジでも、音導管からの距離をわずかにずらして音を混ぜあわせたり、ネットワーク回路での帯域分割も含めると、本当にさまざまな組み合わせパターンが考えられました。ここはベストなバランスにたどり着くまで検証を繰り返して、時間をかけた部分です。
野村 その結果、たどり着いたのが「オプティマイズドサウンドパス構造」というわけですね。スピーカーの設計とは違っていて、面白くも奥深い部分ですね。
■「M9」と「M7」の兄弟機 あなたはどちらを選ぶ?
野村 そのほか、M9とM7の仕様面での違いはどんなところにあるのでしょうか?
飛世 基本的な設計思想は共通で、どちらもステージモニターとして十分なクオリティを備えていると考えています。その前提の上で、M9の方がより繊細な音の表現を獲得するために、ひとつひとつのパーツを厳選したこだわった作りになっています。ハウジングについては、M9がマグネシウムでM7が樹脂。フェイスプレートはM9がカーボン、M7がアルミ。それから細かいところでは、コネクターやプラグの金メッキの下地に非磁性メッキをしていることも、芯線のまわりをシルク編組としてタッチノイズを軽減していることもM9だけの特長になります。
桑原 ちなみにM9は音導管まで一体成型されたマグネシウムのハウジングを持っていますが、M7の音導管は真鍮製となっています。
野村 音づくりという面では、M9とM7にキャラクターの違いはありますか?
飛世 どちらも目指す世界は、プロのミュージシャンが満足できるサウンドで、その部分では共通なんですが…。
桑原 もちろん、なくはないのですが、なんだかエンジニアからいうと正解みたいになってしまうので、もうしばらくはユーザーの皆さんの声をお聞きしていたいです(笑)。
野村 それでは、私が感想を申し上げるのなら構いませんよね(笑)。M7はいわゆる一般的にステージモニター的とされる音質傾向で、より中域にフォーカスしていて、熱気や抑揚のようなものまで表現してくれるイメージですかね。M9はマグネシウム振動板を搭載していることもあってか、中高域の表現がよりナチュラルで繊細になっていると思うんですが、歪みが少なくなった効果もあってか、ローも綺麗にスーッと伸びているのが印象的でした。ステージモニターでありながら、ソニーらしいクリアネスを感じられるサウンドを持ちあわせているな、と。
桑原 なるほど、ありがとうございます(笑)。
野村 最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
飛世 エンジニアとして、今はもうこれ以上のステージモニターを作れないと、自信を持って断言できるほど、音質を突き詰めたイヤホンです。
増山 ボーカリストや楽器を演奏される方々、そして音楽ファンの皆さんにも、ぜひ手にとっていただきたいです。
総合的な完成度の高さが際立つ
素直に“ほしい”と思わせてくれる、随所に魅力溢れる製品がこの「IER-M9」だ。ステージモニター、一般的にはユニバーサルIEM(インイヤーモニター)とも呼ばれる製品に必須のサウンドキャラクターである、キレのよさや厚みをもつ中域、そしてボーカルから高域にかけてのきめ細やかなニュアンス表現を巧みに実現しつつ、さらにソニーならではといえるグルーブ感のよい低域やクリアな音色なども持ち、それらが絶妙にバランスされている。
いっぽうで、ハードロックからクラシック、EDMまで、音楽ジャンルを選ばす素直に楽曲の魅力を伝えてくれる点もうれしい。高域へのスムーズな伸びや全体的な歪み感の少なさも貢献しているのだろう。ステージモニターというキャラクター性を考えず、純粋にリスニング用の高級イヤホンとしても大きな満足感を得られる、良質なサウンドだ。これは新開発のスーパートゥイーター採用もさることながら、各BAドライバーユニットの微細な位置まで検討した作り込みの細やかさ、ケーブル素材も含めてテストしたサウンドチューニングの徹底ぶりによる賜物だろう。遮音性の高さ、装着感の良好さも含め、とても完成度の高い製品だ。
理想的なステージモニター
まさに“ザ・ステージモニター”といったサウンドキャラクターと装着性を持ちあわせているのがこの「IER-M7」だ。4基のBA型ドライバーユニットが生み出すサウンドは、メリハリがよくキレがあり、ドラムもベースもグルーブ感溢れるクリアなビートを聴かせてくれる。それでいてボーカルはしっかりとした存在感を示す、ハキハキとした明朗快活な歌声を聴かせてくれる。ボーカルやギターなどのメインパートをしっかり主張させ、締まりのある低域でリズム感も確実に伝えてくるサウンドは、まさにステージモニターならではの魅力に溢れている。他社製のステージモニターを愛用している人にとっても、馴染みのある音色傾向といえるかもしれない。
もうひとつのメリットが、コンパクトなサイズに纏め上げられたイヤホン本体。小型のBAドライバーとはいえ4基搭載してこのサイズを実現しているのは、ステージユースで大きなアドバンテージとなるはず。リスニング用としてもなかなかのもので、軽快な装着感により耳からポロリと落ちるようなこともなく、遮音性の高さから音楽により集中できる。安心してお薦めできる、良質な製品だ。
(協力:ソニーマーケティング株式会社)