公開日 2021/07/28 06:30
VGP2021 SUMMER 受賞インタビュー
AfterShokzの骨伝導ヘッドセットを国内展開するフォーカルポイント、新市場を築く果敢なチャレンジとは
PHILEWEBビジネス 徳田ゆかり
VGP2021 SUMMER
受賞インタビュー:フォーカルポイント
国内オーディオビジュアルマーケットに展開される数々の製品の中で、機器の魅力を熟知した評論家と全国の有力販売店によるプロの厳正なる審査によって、“絶対買い”のプロダクトを選出し発信する一大アワード「VGP」。今回の2021 SUMMERにて骨伝導ヘッドセットAfterShokz「OpenComm」が特別賞「テレワーク大賞」を受賞した。同ブランドを展開するフォーカルポイント株式会社の恩田英樹氏が、受賞の栄誉とともに同社のビジネス展開について語った。
フォーカルポイント株式会社 代表取締役社長 恩田英樹氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■オープンイヤースタイルで音楽や会話を楽しむ、骨伝導がもたらす新しい価値
ーー VGP2021 SUMMERにおいて、御社が展開するAfterShokzブランドの「OpenComm」が、「耳を塞がずに音を聴くことができる、ブームマイクを備えた骨伝導ヘッドセットに対して」とするテレワーク大賞を受賞されました。誠におめでとうございます。
恩田 このたびはこのような栄誉をいただき、誠に有難うございます。昨今、テレワークはもちろん、リモートでの会議が一般的なものとなりつつあります。そのようななか、弊社が扱う製品がテレワーク大賞を受賞したことは、本当に嬉しい限りです
私どもは商社としてさまざまな商材を手がけて国内で展開しておりますが、AfterShokzの骨伝導技術を有するイヤホン、ヘッドホンには特に注力しています。
AfterShokzの製品は耳の中に装着するのではなく、耳をふさがないオープンイヤースタイルであることが大きな特徴です。音楽を聞いたり通話をしたりしながら、周囲の音も聞き逃しません。耳の中に入れないので、長時間使用されても耳が痛くならず、耳の中も清潔に保ちます。音漏れの心配もありません。生活防水なので、雨の屋外でもご利用いただけます。
「OpenComm」はさらに、DSPノイズキャンセリング・ブームマイクを搭載して、周囲が騒がしい環境でもストレスなくコミュニケーションをとることができます。昨今のリモートでの会議など頻繁に行われるようになった状況下で、多くの皆様にご好評いただいています。お客様のワークスタイルやライフスタイルを変える製品として、大きなポテンシャルを秘めています。
■いち早くニーズを察知し、新カテゴリーを築いていくフォーカルポイントのビジネス
ーー 今回、恩田社長には、インタビューに初めてご登場いただきました。ご自身の経歴や会社の成り立ちなどをご紹介いただけますでしょうか。
恩田 会社を設立したのは1989年で、今年32年目となります。私が大学生だった1984年頃にアップルコンピュータのMacintoshが発売され、それを手に入れたのがきっかけでした。アップルコンピュータの製品が好きで、それを輸入する会社をつくったという感じです。もともとアメリカの金融会社の日本進出をコンサルティングする仕事をしていて、パソコン本体やLANの注文も受けるようになっていたのです。
映像処理がコンピューターで行われる時代になってからは、デジタルの映像編集機などの周辺機器も輸入して日本で販売していました。それがアップルの目に止まって、当時の日本法人の社長でおられた原田泳幸さんに声をかけていただき、2000年にアップル本社に入って1年間法人向けの営業本部長を務めました。
2001年にはアップルを退社して自分の会社に戻り、iPod用のケースや周辺機器などを手がけるようになりました。やがて世の中にiPhoneが登場し、それまでiPod用アクセサリを作っていた経験がそのままiPhone用アクセサリに活用できました。その後も、USB-C製品なども手がけるようになりました。
私どもは輸入商社としてさまざまな商材を手がけて来ましたが、おつきあいするパートナー様の数を限定しています。決して大きな会社ではない我々にできることは限られております。しかしできることについては徹底的に追求します。そしてユーザーニーズをいち早く察知してそれを展開します。
我々はその時代ごとに新しい技術を見据えて先取りし、それが一般化した時には既に次のことを扱っている、というスタイルを貫いてきました。トレンドカテゴリーを追うのでなく、カテゴリーがないところに行く。そこに賭けていかないと事業はできません。だからこそ我々は32年間継続できたのだと思います。骨伝導についてもこうした意識でやっております。
■高い技術力で唯一無二の製品を展開するAfterShokz
ーー AfterShokzブランドを展開するまで、どのような経緯があったのでしょうか。
恩田 2017年初旬のCESでまず先方から声をかけていただいたのがきっかけです。骨伝導の存在自体があまり知られていない状況でもあり、正直なところ、当初は我々も製品が市場に受け入れられるか読みきれない部分もありましたが、その後も先方が何度も訪ねてこられて熱心に説明してくださいました。大変なご苦労の中での開発や特許を取得された経緯、そして今後の見通しの話をシェアしていただき、私の中に強く響いて感じるものがありました。
骨伝導はスピーカーで音を出すのではなく、文字通り骨を通じて音を伝える仕組みで、骨が音を反響させますから、頭蓋骨や聴覚に併せてどのようにチューニングするか、それが重要なポイントです。私自身、何度もAfterShokzを訪れましたが、高性能な計測器やシミュレーターを使って、たくさんのサンプルを揃えた上で製品のオーディオ特性を決めています。その技術力の高さがわかりますと、私自身が骨伝導の信者になって一気に舵を切りました。2017年半ばからいよいよ双方で成長のイメージを共有しながら日本展開のプランニングを始めたのです。
我々もかつてはイヤホンなどのオーディオ商品を多く扱った時代がありました。今でこそ日本で有名になり多く出回っているブランドのいくつかは、先方のメーカー様が小さい規模だった頃に我々が最初に導入したものです。そしてグローバルブランド・ワンイメージ・ワンメッセージでやってきました。販売店様に対応して什器を入れていくなど様々な体験をして、オーディオの仕事に従事する手応えを感じてきたのです。
AfterShokzの商品には、数多くの骨伝導技術の特許が盛り込まれています。それはつまり、他のブランドでは真似できない技術の結晶であるということ。我々も日本国内の展開において大変注力していますし、今後も長い間、骨伝導のニーズは伸長していくと期待しています。
■2000拠点に試聴機を配置しての接点活動、万全のアフターケアで高い信頼を得る
ーー AfterShokzのプロモーション展開はどのように行われているのですか。
恩田 現在、販売店様の店頭に試聴機展示を展開を進めており、2021年内には全国2000拠点以上の店舗で試聴が可能になります。最新技術を搭載した骨伝導ヘッドホンのオーディオ性能や、その魅力を知っていただくまでには苦労もありましたが、実際に触れていただくことが何よりの効果です。試聴機でお聞きいただき、音楽再生上のすばらしさも、外音を取り込むことの信頼度もご理解いただけていると思います。
またここ2年ほどでオピニオンリーダー、インフルエンサーの方々がSNSを通じて推奨してくださるようになってきました。それを目にしたお客様がお店に行かれて、実機を試聴でき、安心してご購入できる流れになっています。
我々はこれまでに相当な数を販売して参りましたが、修理の対応を含めたサポートもすべて行っています。商品の売れ行きが好調になると、欠品したり、修理対応が遅くなったりしがちですが、我々は決してそのようなことのないよう徹底して体制を整えています。常に在庫を確保し、修理は可能な限り1日〜2日で終了して商品をお返しする。商品に2年保証もついています。そういう意味でも安心してご購入いただける環境を整えているのです。
当社にとって、AfterShokzの存在は非常に大きいのです。マーケットが特定できるものにフォーカスして特化する活動に全社あげてコミットしていますが、まさにAfterShokzに関しては全社あげて徹底的に進めております。
ーー 在庫を完備するだけでなく、アフターケアもされるのは大変なことですね。
恩田 ご購入されたお客様へのアフターサポートこそ、まさに日本の商社の存在価値だと思っています。また、ワールドワイド・ワンプライスでの展開を徹底して、日本では価格が高いといったようなことは我々にはありません。どこの国でも同じ値段で、日本国内でも販売店様の利益もしっかり出せるという構造ですし、メーカーさんにとってもメリットが大きい。ブランドを成功させるにはその方法しかありません。
ーー 今後御社は、どのような方向を目指していかれますか。
恩田 今はAfterShokzに集中して頑張るのが信条です。先方の代表とも頻繁にコミュニケーションを取っていますし、先方が苦労するときはこちらも苦労しなくてはいけないと思っています。我々にできることをしっかりとやっていくということです。
ーー 興味深いお話を伺うことができました。有難うございました。AfterShokzおよび御社のご活躍をますます楽しみにしております。
受賞インタビュー:フォーカルポイント
国内オーディオビジュアルマーケットに展開される数々の製品の中で、機器の魅力を熟知した評論家と全国の有力販売店によるプロの厳正なる審査によって、“絶対買い”のプロダクトを選出し発信する一大アワード「VGP」。今回の2021 SUMMERにて骨伝導ヘッドセットAfterShokz「OpenComm」が特別賞「テレワーク大賞」を受賞した。同ブランドを展開するフォーカルポイント株式会社の恩田英樹氏が、受賞の栄誉とともに同社のビジネス展開について語った。
フォーカルポイント株式会社 代表取締役社長 恩田英樹氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■オープンイヤースタイルで音楽や会話を楽しむ、骨伝導がもたらす新しい価値
ーー VGP2021 SUMMERにおいて、御社が展開するAfterShokzブランドの「OpenComm」が、「耳を塞がずに音を聴くことができる、ブームマイクを備えた骨伝導ヘッドセットに対して」とするテレワーク大賞を受賞されました。誠におめでとうございます。
恩田 このたびはこのような栄誉をいただき、誠に有難うございます。昨今、テレワークはもちろん、リモートでの会議が一般的なものとなりつつあります。そのようななか、弊社が扱う製品がテレワーク大賞を受賞したことは、本当に嬉しい限りです
私どもは商社としてさまざまな商材を手がけて国内で展開しておりますが、AfterShokzの骨伝導技術を有するイヤホン、ヘッドホンには特に注力しています。
AfterShokzの製品は耳の中に装着するのではなく、耳をふさがないオープンイヤースタイルであることが大きな特徴です。音楽を聞いたり通話をしたりしながら、周囲の音も聞き逃しません。耳の中に入れないので、長時間使用されても耳が痛くならず、耳の中も清潔に保ちます。音漏れの心配もありません。生活防水なので、雨の屋外でもご利用いただけます。
「OpenComm」はさらに、DSPノイズキャンセリング・ブームマイクを搭載して、周囲が騒がしい環境でもストレスなくコミュニケーションをとることができます。昨今のリモートでの会議など頻繁に行われるようになった状況下で、多くの皆様にご好評いただいています。お客様のワークスタイルやライフスタイルを変える製品として、大きなポテンシャルを秘めています。
■いち早くニーズを察知し、新カテゴリーを築いていくフォーカルポイントのビジネス
ーー 今回、恩田社長には、インタビューに初めてご登場いただきました。ご自身の経歴や会社の成り立ちなどをご紹介いただけますでしょうか。
恩田 会社を設立したのは1989年で、今年32年目となります。私が大学生だった1984年頃にアップルコンピュータのMacintoshが発売され、それを手に入れたのがきっかけでした。アップルコンピュータの製品が好きで、それを輸入する会社をつくったという感じです。もともとアメリカの金融会社の日本進出をコンサルティングする仕事をしていて、パソコン本体やLANの注文も受けるようになっていたのです。
映像処理がコンピューターで行われる時代になってからは、デジタルの映像編集機などの周辺機器も輸入して日本で販売していました。それがアップルの目に止まって、当時の日本法人の社長でおられた原田泳幸さんに声をかけていただき、2000年にアップル本社に入って1年間法人向けの営業本部長を務めました。
2001年にはアップルを退社して自分の会社に戻り、iPod用のケースや周辺機器などを手がけるようになりました。やがて世の中にiPhoneが登場し、それまでiPod用アクセサリを作っていた経験がそのままiPhone用アクセサリに活用できました。その後も、USB-C製品なども手がけるようになりました。
私どもは輸入商社としてさまざまな商材を手がけて来ましたが、おつきあいするパートナー様の数を限定しています。決して大きな会社ではない我々にできることは限られております。しかしできることについては徹底的に追求します。そしてユーザーニーズをいち早く察知してそれを展開します。
我々はその時代ごとに新しい技術を見据えて先取りし、それが一般化した時には既に次のことを扱っている、というスタイルを貫いてきました。トレンドカテゴリーを追うのでなく、カテゴリーがないところに行く。そこに賭けていかないと事業はできません。だからこそ我々は32年間継続できたのだと思います。骨伝導についてもこうした意識でやっております。
■高い技術力で唯一無二の製品を展開するAfterShokz
ーー AfterShokzブランドを展開するまで、どのような経緯があったのでしょうか。
恩田 2017年初旬のCESでまず先方から声をかけていただいたのがきっかけです。骨伝導の存在自体があまり知られていない状況でもあり、正直なところ、当初は我々も製品が市場に受け入れられるか読みきれない部分もありましたが、その後も先方が何度も訪ねてこられて熱心に説明してくださいました。大変なご苦労の中での開発や特許を取得された経緯、そして今後の見通しの話をシェアしていただき、私の中に強く響いて感じるものがありました。
骨伝導はスピーカーで音を出すのではなく、文字通り骨を通じて音を伝える仕組みで、骨が音を反響させますから、頭蓋骨や聴覚に併せてどのようにチューニングするか、それが重要なポイントです。私自身、何度もAfterShokzを訪れましたが、高性能な計測器やシミュレーターを使って、たくさんのサンプルを揃えた上で製品のオーディオ特性を決めています。その技術力の高さがわかりますと、私自身が骨伝導の信者になって一気に舵を切りました。2017年半ばからいよいよ双方で成長のイメージを共有しながら日本展開のプランニングを始めたのです。
我々もかつてはイヤホンなどのオーディオ商品を多く扱った時代がありました。今でこそ日本で有名になり多く出回っているブランドのいくつかは、先方のメーカー様が小さい規模だった頃に我々が最初に導入したものです。そしてグローバルブランド・ワンイメージ・ワンメッセージでやってきました。販売店様に対応して什器を入れていくなど様々な体験をして、オーディオの仕事に従事する手応えを感じてきたのです。
AfterShokzの商品には、数多くの骨伝導技術の特許が盛り込まれています。それはつまり、他のブランドでは真似できない技術の結晶であるということ。我々も日本国内の展開において大変注力していますし、今後も長い間、骨伝導のニーズは伸長していくと期待しています。
■2000拠点に試聴機を配置しての接点活動、万全のアフターケアで高い信頼を得る
ーー AfterShokzのプロモーション展開はどのように行われているのですか。
恩田 現在、販売店様の店頭に試聴機展示を展開を進めており、2021年内には全国2000拠点以上の店舗で試聴が可能になります。最新技術を搭載した骨伝導ヘッドホンのオーディオ性能や、その魅力を知っていただくまでには苦労もありましたが、実際に触れていただくことが何よりの効果です。試聴機でお聞きいただき、音楽再生上のすばらしさも、外音を取り込むことの信頼度もご理解いただけていると思います。
またここ2年ほどでオピニオンリーダー、インフルエンサーの方々がSNSを通じて推奨してくださるようになってきました。それを目にしたお客様がお店に行かれて、実機を試聴でき、安心してご購入できる流れになっています。
我々はこれまでに相当な数を販売して参りましたが、修理の対応を含めたサポートもすべて行っています。商品の売れ行きが好調になると、欠品したり、修理対応が遅くなったりしがちですが、我々は決してそのようなことのないよう徹底して体制を整えています。常に在庫を確保し、修理は可能な限り1日〜2日で終了して商品をお返しする。商品に2年保証もついています。そういう意味でも安心してご購入いただける環境を整えているのです。
当社にとって、AfterShokzの存在は非常に大きいのです。マーケットが特定できるものにフォーカスして特化する活動に全社あげてコミットしていますが、まさにAfterShokzに関しては全社あげて徹底的に進めております。
ーー 在庫を完備するだけでなく、アフターケアもされるのは大変なことですね。
恩田 ご購入されたお客様へのアフターサポートこそ、まさに日本の商社の存在価値だと思っています。また、ワールドワイド・ワンプライスでの展開を徹底して、日本では価格が高いといったようなことは我々にはありません。どこの国でも同じ値段で、日本国内でも販売店様の利益もしっかり出せるという構造ですし、メーカーさんにとってもメリットが大きい。ブランドを成功させるにはその方法しかありません。
ーー 今後御社は、どのような方向を目指していかれますか。
恩田 今はAfterShokzに集中して頑張るのが信条です。先方の代表とも頻繁にコミュニケーションを取っていますし、先方が苦労するときはこちらも苦労しなくてはいけないと思っています。我々にできることをしっかりとやっていくということです。
ーー 興味深いお話を伺うことができました。有難うございました。AfterShokzおよび御社のご活躍をますます楽しみにしております。
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