公開日 2023/05/06 10:00
Paravi統合やSPOTV NOWパートナーシップなど注目の動画配信サービス
U-NEXTなら「1人しか観ない作品」も配信。拡大続く国内最大サービスが目指す先とは
編集部:杉山康介
U-NEXTは今年2月、動画配信サービスのParaviを運営する(株)プレミアム・プラットフォーム・ジャパンと2023年3月31日付で経営統合することを発表。7月を目処に、U-NEXTとParaviは一つのサービスとして新たに展開する。
ネット系/放送系の動画配信サービスの統合は今回が初めて。これによって、売上高800億円以上、有料会員数370万人以上、配信コンテンツ35万本以上と、国内勢で最大の動画配信プラットフォームが誕生することになる。
また、3月にはスポーツライブ配信サービス「SPOTV NOW」との提携や、世界的な総合格闘技団体「UFC」の全イベントライブ配信を発表するなど、スポーツコンテンツにも力を入れるなど、サービス拡充を推進。いま、U-NEXTがその存在感を大きくしてきている。
映像コンテンツの視聴方法として動画配信サービスが台頭する中、特に人気が高いサービスといえばPrime VideoやNetflixが挙げられるだろう。だが、実はU-NEXT、見放題作品数No.1を謳い大作からマニアックな作品まで揃えていたりと、映画やアニメ、海外ドラマファンの間では注目を集めている。
そこで今回、U-NEXT経営戦略室 ブランド戦略グループの佐野 裕美さんに、Paravi統合やスポーツコンテンツ注力の狙い、そして改めてU-NEXTとはどのようなサービスなのか、その魅力をじっくり伺った。
■Paraviの統合で「国内ドラマ」強化を狙う
ーー 今年2月、U-NEXTがParaviと統合することが発表されました。その理由について「国内No.1プラットフォームを目指すうえで、戦略的なシナジーを生み出せるパートナーだと双方判断」したからだと説明されていますが、「戦略的なシナジー」とは具体的にどういうことか教えていただけますか?
U-NEXT 佐野 裕美さん(以下:佐野):Paraviさんとはお互いに強みや弱みが合致して、相互に成長できるパートナーになるのではないか、というところで今回の発表をさせていただきました。
まずU-NEXTにとっての課題として「国内ドラマ」が挙げられます。というのも、日本ではテレビ局さんが自前の配信サービスを展開しているため、我々をはじめとした動画配信サービスでは取り扱えない作品が多くありました。それこそParaviさんはテレビ局の立ち上げた国内ドラマ・バラエティに特化したサービスなので、統合によって国内ドラマの配信を強化することが可能です。
一方、Paraviさんにとっては映画やアニメ、欧米・韓流ドラマや音楽ライブなどのコンテンツのほかに、開発リソースも魅力に感じてくださったようでした。我々U-NEXTは全て内製でサービスを構築していることが強みのひとつなので、コンテンツ面でもシステム面でも、お互いが一緒になることで強み・弱みを相互補完できる関係にあり、今回の統合に至りました。
ーー 確かにU-NEXTに限らず、どこの主要サービスも国内ドラマは手薄な印象があります。サービス自体は7月より統合されるとのことですが、つまりParaviがなくなってU-NEXTに一本化される、ということで間違いないですか?
佐野:6月末までは両サービスを並行運用していきますが、7月からはParaviをU-NEXTに統合する予定です。もっとも、まさに今詳細を固めているところなので、詳細は今後随時アナウンスしていく予定です。
ーー ちなみに、今回の統合でお互いの弱みを補完し合えるとおっしゃってましたが、国内ドラマやバラエティのラインナップがさらに豪華になるなど、“強み” へのシナジーも期待できますでしょうか?
佐野:はい、今回Paraviさんとの統合と同時にテレビ東京さん・TBSさんとの業務提携もいたしましたので、今後は共同でのコンテンツ開発、オリジナル作品制作なども視野に入れつつ進めていくつもりです。
■「スポーツジャンルのDX」で、動画配信サービスで見ることが当たり前に
ーー 近年、各動画配信サービスがスポーツコンテンツの配信を強化している印象があります。U-NEXTでも3月にはスポーツのライブ配信サービス「SPOTV NOW」や世界的な総合格闘技団体「UFC」とのパートナーシップ締結を発表したりと、新たな取り組みを続々と始められていますが、スポーツ関連の取り組みについてもお聞かせください。
佐野:そうですね、まず各社がスポーツに力を入れている背景に、業界全体で「スポーツジャンルのデジタルシフト」が進んでいることが挙げられます。これまでスポーツ中継といえば地上波放送やペイチャンネルで見るもの、という認識が強かったのですが、近年は各局が放送権の獲得にそこまで積極的ではなくなってきたようです。
また、配信サービス側も、システム面がパワーアップしてきて、リアルタイム配信の環境が整ってきたという側面もあります。そういった背景から、ここ1、2年、弊社を含む各サービスでスポーツコンテンツに力を入れるようになってきました。
U-NEXTとしては2021年の2月に『LEGEND』というチャリティーボクシングイベントをライブ配信させていただき、そこから、スポーツ・エンターテインメントにも注力しています。
ーー 直近だとサッカーワールドカップやWBCのフィーバーが日本中で巻き起こり、「動画配信サービスで観戦する」という選択肢がもはや当たり前になっていたように思います。熱心な方だと「誰が実況メンバーか」で、テレビと動画配信サービスを使い分けたりもしていたようですね。
佐野:スポーツというジャンルはリアルタイムで観ることに大きな価値がありますし、またファンの方々の熱量も非常に高いので、動画配信サービスとして、力を入れる意味が非常にあると思っています。
U-NEXTでは特に、瞬間的に盛り上がるような大イベントというよりも、年間を通して試合が行われるようなコンテンツに力を入れています。ジャンルでいえば欧州サッカーやメジャーリーグをメインにした野球、ゴルフ、UFCやボクシングなど格闘技の4つですね。
中でもゴルフはCMで中断されない、スマホやタブレットで移動中も見られるということで、地上波と比べても便利という声もいただいています。ちなみに「マスターズ」の場合は地上波と同じメインの放送だけでなく、練習場の風景や、高難易度な「アーメンコーナー」専用など全部で5チャンネルを用意しているので、ゴルフ好きな方が好みのチャンネルを選んで視聴できることも、人気のポイントかと思います。
ネット系/放送系の動画配信サービスの統合は今回が初めて。これによって、売上高800億円以上、有料会員数370万人以上、配信コンテンツ35万本以上と、国内勢で最大の動画配信プラットフォームが誕生することになる。
また、3月にはスポーツライブ配信サービス「SPOTV NOW」との提携や、世界的な総合格闘技団体「UFC」の全イベントライブ配信を発表するなど、スポーツコンテンツにも力を入れるなど、サービス拡充を推進。いま、U-NEXTがその存在感を大きくしてきている。
映像コンテンツの視聴方法として動画配信サービスが台頭する中、特に人気が高いサービスといえばPrime VideoやNetflixが挙げられるだろう。だが、実はU-NEXT、見放題作品数No.1を謳い大作からマニアックな作品まで揃えていたりと、映画やアニメ、海外ドラマファンの間では注目を集めている。
そこで今回、U-NEXT経営戦略室 ブランド戦略グループの佐野 裕美さんに、Paravi統合やスポーツコンテンツ注力の狙い、そして改めてU-NEXTとはどのようなサービスなのか、その魅力をじっくり伺った。
■Paraviの統合で「国内ドラマ」強化を狙う
ーー 今年2月、U-NEXTがParaviと統合することが発表されました。その理由について「国内No.1プラットフォームを目指すうえで、戦略的なシナジーを生み出せるパートナーだと双方判断」したからだと説明されていますが、「戦略的なシナジー」とは具体的にどういうことか教えていただけますか?
U-NEXT 佐野 裕美さん(以下:佐野):Paraviさんとはお互いに強みや弱みが合致して、相互に成長できるパートナーになるのではないか、というところで今回の発表をさせていただきました。
まずU-NEXTにとっての課題として「国内ドラマ」が挙げられます。というのも、日本ではテレビ局さんが自前の配信サービスを展開しているため、我々をはじめとした動画配信サービスでは取り扱えない作品が多くありました。それこそParaviさんはテレビ局の立ち上げた国内ドラマ・バラエティに特化したサービスなので、統合によって国内ドラマの配信を強化することが可能です。
一方、Paraviさんにとっては映画やアニメ、欧米・韓流ドラマや音楽ライブなどのコンテンツのほかに、開発リソースも魅力に感じてくださったようでした。我々U-NEXTは全て内製でサービスを構築していることが強みのひとつなので、コンテンツ面でもシステム面でも、お互いが一緒になることで強み・弱みを相互補完できる関係にあり、今回の統合に至りました。
ーー 確かにU-NEXTに限らず、どこの主要サービスも国内ドラマは手薄な印象があります。サービス自体は7月より統合されるとのことですが、つまりParaviがなくなってU-NEXTに一本化される、ということで間違いないですか?
佐野:6月末までは両サービスを並行運用していきますが、7月からはParaviをU-NEXTに統合する予定です。もっとも、まさに今詳細を固めているところなので、詳細は今後随時アナウンスしていく予定です。
ーー ちなみに、今回の統合でお互いの弱みを補完し合えるとおっしゃってましたが、国内ドラマやバラエティのラインナップがさらに豪華になるなど、“強み” へのシナジーも期待できますでしょうか?
佐野:はい、今回Paraviさんとの統合と同時にテレビ東京さん・TBSさんとの業務提携もいたしましたので、今後は共同でのコンテンツ開発、オリジナル作品制作なども視野に入れつつ進めていくつもりです。
■「スポーツジャンルのDX」で、動画配信サービスで見ることが当たり前に
ーー 近年、各動画配信サービスがスポーツコンテンツの配信を強化している印象があります。U-NEXTでも3月にはスポーツのライブ配信サービス「SPOTV NOW」や世界的な総合格闘技団体「UFC」とのパートナーシップ締結を発表したりと、新たな取り組みを続々と始められていますが、スポーツ関連の取り組みについてもお聞かせください。
佐野:そうですね、まず各社がスポーツに力を入れている背景に、業界全体で「スポーツジャンルのデジタルシフト」が進んでいることが挙げられます。これまでスポーツ中継といえば地上波放送やペイチャンネルで見るもの、という認識が強かったのですが、近年は各局が放送権の獲得にそこまで積極的ではなくなってきたようです。
また、配信サービス側も、システム面がパワーアップしてきて、リアルタイム配信の環境が整ってきたという側面もあります。そういった背景から、ここ1、2年、弊社を含む各サービスでスポーツコンテンツに力を入れるようになってきました。
U-NEXTとしては2021年の2月に『LEGEND』というチャリティーボクシングイベントをライブ配信させていただき、そこから、スポーツ・エンターテインメントにも注力しています。
ーー 直近だとサッカーワールドカップやWBCのフィーバーが日本中で巻き起こり、「動画配信サービスで観戦する」という選択肢がもはや当たり前になっていたように思います。熱心な方だと「誰が実況メンバーか」で、テレビと動画配信サービスを使い分けたりもしていたようですね。
佐野:スポーツというジャンルはリアルタイムで観ることに大きな価値がありますし、またファンの方々の熱量も非常に高いので、動画配信サービスとして、力を入れる意味が非常にあると思っています。
U-NEXTでは特に、瞬間的に盛り上がるような大イベントというよりも、年間を通して試合が行われるようなコンテンツに力を入れています。ジャンルでいえば欧州サッカーやメジャーリーグをメインにした野球、ゴルフ、UFCやボクシングなど格闘技の4つですね。
中でもゴルフはCMで中断されない、スマホやタブレットで移動中も見られるということで、地上波と比べても便利という声もいただいています。ちなみに「マスターズ」の場合は地上波と同じメインの放送だけでなく、練習場の風景や、高難易度な「アーメンコーナー」専用など全部で5チャンネルを用意しているので、ゴルフ好きな方が好みのチャンネルを選んで視聴できることも、人気のポイントかと思います。
- トピック
- 映像配信