公開日 2017/08/29 11:00
PMA-60は11.2MHz DSD再生に対応
デノン、新世代DDFA採用のUSB-DAC内蔵プリメイン「PMA-60」 ー 弟機「PMA-30」も
編集部:小澤貴信
デノンは、コンパクトなHi-Fiコンポーネント「デザインシリーズ」より、プリメインアンプ2機種を発売。最新世代DDFAを搭載したプリメインアンプ「PMA-60」と、その弟モデルとなる「PMA-30」を9月下旬から順次発売する。
・「PMA-60」¥70,000(税抜) 10月下旬発売
・「PMA-30」¥50,000(税抜) 9月下旬発売
PMA-60は、2015年1月に登場したDDFA搭載クラスDアンプ「PMA-50」の後継モデルで、新たに最新世代のDDFAを搭載した。DDFAとはクアルコム社が手がけるクラスDアンプ・デバイスで、独自のデジタル処理によるフィードバック・ループによる優れた特性の実現を特徴とする。DDFAはデジタル入力対応しており、PMA-60においては、入力から増幅までをフルデジタル処理する。
USB-DAC機能を備え、USB-B(PC)入力は11.2MHz DSDおよび384kHz/32bit PCMに対応。192kHz/24bitまで対応の同軸/光デジタル入力、アナログ入力も備える。独自の波形補間技術「Advanced AL32 Processing Plus」も搭載。出力は50W+50W(4Ω)、25W+25W(8Ω)。
PMA-30は、PMA-60の弟機という位置付けで、今回から新たに追加されたラインナップ。こちらはDDFAではなく、BTL構成のクラスDアンプ(TI製)を採用した。本機はUSB入力、および「Advanced AL32 Processing Plus」が非搭載となる。入力は同軸/光デジタル、アナログを搭載。出力は40W+40W(4Ω)、20W+20W(8Ω)。
PMA-60とPMA-30共にBluetoothを内蔵し、コーデックはaptX Low LatencyやAACにも対応。PMA-60のみがNFCにも対応する。両モデルともにスピーカー用アンプとは独立した高品位なヘッドホンアンプを搭載する。
デノンは発表に先立って、プレス向けの製品発表会を開催。発表会ではディーアンドエムの志田鷹平氏がPMA-60/30の詳細について解説。また、DDFAの開発に携わったクアルコム社 プロダクトマーケティングマネージャーのDamien Vandenbeyvanghe氏が登場。DDFAについて説明を行った。以下に、PMA-60/PMA-30の詳細について紹介する。
■デノン「デザインシリーズ」の新しいプリメインアンプ
デノンのDesign Series(デザインシリーズ)は、コンパクトかつデザイン性の高いボディと、同社のHi-Fiコンポーネントで培ったサウンドを両立させ、なおかつ現代のユーザーニーズに応える機能を揃えることを目指したオーディオラインナップだ。
2014年2月登場のUSB-DAC「DA-300USB」を皮切りに、PMA-60の前身となる「PMA-50」、DDFAを搭載したネットワークレシーバー「DRA-100」、DDFA搭載ヘッドホンアンプ「DA-310USB」などをラインナップしてきた。ここに、新たにプリメインアンプ「PMA-60」「PMA-30」が加わることになる。
■「PMA-60」ー 新世代DDFAを搭載したUSB入力対応モデル
PMA-60は、新世代DDFAによるクラスDアンプを搭載する。この新世代DDFAの特徴は、従来2チップ構成だったPWMモジュレーターとフィードバックプロセッサーを1チップ化したことだ。これにより周辺回路がシンプルになり、より音質を優先した回路設計や部品選定が可能になったという。この新世代DDFAは、DA-310USBのヘッドホンアンプ部にも先行して採用されている。
DDFAは、高速かつ精度の高いデジタル・フィードバック・ループを用いることによって、従来のクラスDアンプで課題とされてきた歪の多さや電源変動による音質劣化を克服。クラスDアンプとして突出した特性を実現したとしている。
PMA-60では、DDFAを核として、電力を増幅する出力段やローパスフィルターにはデノン独自のディスクリート回路を搭載。サウンドマネージャーによる徹底したサウンドチューニングを施している。
また、DDFAはデジタル入力型のクラスDアンプであるため、デジタルソースを再生する場合には、入力からAL32による補間処理、ボリューム調整、フィードバック処理、増幅にいたる処理をデジタル領域で行う。これにより、アナログアンプで問題となる外来ノイズの影響や、変換を繰り返すことによる音質劣化を避けられるとする。ボリューム調整もデジタル領域で行い、ギャングエラーやクロストークを排除。1dB刻みでの調整が可能となっている。
発表会では、Damien Vandenbeyvanghe氏がDDFAの特徴について説明。DDFAの肝として独自のフィードバック技術を挙げた同氏は、「完全なデジタル領域におけるフィードバック・ループにより、出力段のアナログ波形と入力段のリファレンスのD/Aの差分から計算した誤差のみを返すことで、正確な増幅が実現できる」と説明。また、電源段の電圧の揺れを常にモニターして補間することも、優れた特性を実現する秘訣だとした。
新世代DDFAのポイントとして、従来の2チップ構成を1チップ化したことの意義もアピール。性能はそのままにより設計の自由度が向上し、周辺回路の設計によってさらなる高音質を狙うことができると共に、さらに幅広い製品にチップを搭載できると述べた。
なお、今回に合わせて、AV評論家の鴻池賢三氏がDamien Vandenbeyvanghe氏にインタビューを実施。DDFAの詳細について話を伺った。こちらの記事も近日中に掲載する。
PMA-60は、USB-Bおよび同軸デジタル入力に接続されたソース機器から流入する高周波ノイズを遮断するためのデジタル・アイソレーターも搭載。ICチップ上に組み込まれたトランスコイルを介して磁気により音楽データのみを伝送することで、ノイズの流入を防いでいる。
デノンが上位モデルをはじめとする近年のHi-Fiコンポーネントで実践しているマスタークロックデザインを本機も採用。オーディオインターフェースの近傍に配置した超低ジッタークロックから供給されるマスタークロックで関連回路を動作させることで、質の高いマスタークロックを各デジタル回路に供給。正確な同期を実現し、ジッターを抑えることができるという。また、クロックは44.1kHz系と48kHz系の2系統して、各信号の処理を最適化している。
デノン独自のデータ補間アルゴリズムによるアナログ波形再現技術「αプロセッシング」については、最新バージョン「Advanced AL32 Processing Plus」を搭載。最大でPCM 384kHz/32bitの信号に対して補間処理を行い、より原信号に近い音楽データを復元することができる。
USB入力については、PMA-50が最大192kHz/24bitのPCM、最大5.6MHzのDSDに対応していたのに対して、PMA-60は最大384kHz/32bitのPCM、最大11.2MHzのDSDに対応(新世代DDFAは新たに5.6MHz DSDの入力に対応するが、11.2MHzへの対応およびAL32の処理を行うために、本機ではPCM変換してDDFAに信号が入力される)。DSDの伝送方式はASIOとDoPの両方をサポートする。本機のマスタークロックで制御を行うアシンクロナスモードにも対応する。
そのほかデジタル入力は、同軸デジタルを1系統、光デジタルを2系統搭載。いずれも192kHz/24bitまでの入力に対応する。アナログ入力も1系統備えている。
なお、本機はケーブルが着脱式となる。
デノンのサウンドマネージャーであり本機の音質チューニングも手がけた山内氏は、大ヒットとなったPMA-50の後継モデルだけに、PMA-60の開発には前回以上に力が入ったとコメント。進化のポイントについて以下のように述べた。
「PMA-50はDDFAを初搭載したという意味でも思い入れ深いモデルでしたが、個人的には改善の余地やさらなる可能性もまだあると感じていました。PMA-60では、そういった点を実際に反映させることを目指したのです。さらに、PMA-50以降もDRA-100やDA-310USBなどでもDDFAを用いましたが、そこで蓄積されたノウハウをPMA-60に投入したことも進化に繋がっています」(山内氏)。
また、PMA-50以降に手がけたフルサイズのHi-Fiコンポーネント、2500NEシリーズや1600シリーズにおいてカスタムで起こしたコンデンサーなどの音質パーツをPMA-60に投入したことも、音質面の進化に寄与したとのこと。
具体的なサウンドの印象については「PMA-50に比べて分解能が大きく向上しました。ディティールが明確になり、よりクリアな音になったことで、繊細な表現や切れもさらに良くなりました。またデノンのHi-Fiコンポーネントにおいて一貫してテーマとして掲げている“スペーシャス”なサウンド、言い換えれば音の広がりやサウンドステージについても、より洗練されたものになったと思います」と述べていた。
■PMA-30 ー BTL構成のクラスDアンプを搭載した弟機
PMA-60が新世代DDFAによるクラスDアンプを搭載したのに対して、PMA-30はTI製の最新クラスDアンプを搭載。1chあたり2基のパワーアンプを使用してスピーカーを駆動するBTL構成(合計4ch分のアンプを搭載)を採用している。定格出力は40W+40W(4Ω)。
クラスD方式の要となるPWMプロセッサーには、広帯域にわたってローノイズの高音質タイプを搭載。さらにPWMプロセッサー、および出力段の電源回路には、パーツサプライヤーと共同開発した専用の高音質カスタムコンデンサーを用いている。
ローパスフィルター回路には、デノンカスタムの無酸素銅(OFC)線とマンガン亜鉛コアによるインダクター、Hi-Fiオーディオグレードの高音質フィルムコンデンサーを採用。温度特性にも優れ、常に安定したパフォーマンスを発揮するという。
PMA-30が搭載するクラスDアンプもデジタル入力方式で、デジタルソースを再生する際には入力から出力までのすべての処理をデジタルドメインで行っている。ボリューム調整もデジタル領域で処理を行い、ギャングエラーやクロストークを排除。1dBステップで調整可能となっている。
本機もPMA-60と同じくマスタークロックデザインを採用するが、クロックは1系統のみの搭載となる。
デジタル入力は同軸デジタルを1系統、光デジタルを1系統搭載。いずれも192kHz/24bitまでの入力に対応する。アナログ入力も1系統搭載している。
本機については、ケーブル着脱は非対応となっている。
PMA-30について山内氏は、「より扱いやすい、オーソドックスなサウンドを持つモデルです。上位モデル譲りの高音質を気軽に楽しみたい方にお薦めしたい」と紹介。この価格ながら高い駆動力を持つ点についてもアピールしていた。
■サウンドマネージャー山内氏によるデモも実施
発表会では、デノンのサウンドマネージャーである山内氏による試聴デモも実施。PMA-60とPMA-30をそれぞれB&Wの3ウェイスピーカー「804 D3」と組み合わせて鳴らし、クラスを超えた駆動力とサウンドをアピールした。
■PMA-60/30の共通の特徴
各モデルがデノンの新世代Hi-Fiコンポーネントである「NEシリーズ」にも採用されたオーディオ用電解コンデンサーや抵抗器、フィルムコンデンサーなどを多数採用。サウンドマネージャーによる試聴を重ね、各モデルに最適なパーツを選定したという。また、電解コンデンサーにはパーツメーカーと共同開発したカスタムパーツを投入している。
ヘッドホンアンプにも注力。両モデルにおいて、ボリューム回路全段にアナログオーディオ出力との相互干渉を排除するバッファーアンプを搭載。電圧増幅段にはハイスピード、ローノイズの高音質オペアンプを採用。出力バッファーにはフルディスクリート回路を採用することで正確かつパワフルにドライブ。三段階のゲイン切り替え機能を搭載する。
いずれもBluetoothを内蔵し、コーデックはaptX Low LatencyやAACにも対応する。また、PMA-60のみがNFCにも対応している。
筐体については、それぞれが3mm厚のアルミニウムを本体上下に配置。表面はサンドブラスト加工で仕上げている。なお、PMA-60については、ボリュームの先端はダイアモンドカットとして、サイドにはヘアライン仕上げを用いている。
縦置き・横置きに両対応。縦置き時にはねじ込み式のフットを付け替えることができる。本体前面には有機ELディスプレイを備え、入力ソースや音量などを表示。縦置き・横置きに合わせて、表示が自動的に回転する。フットはPMA-60がアルミ製、PMA-30がモールド製となる。
いずれのモデルも、サブウーファープリアウトを搭載している。
主なスペックは以下の通り。PMA-60の消費電力は35W(待機時0.2W)、外形寸法は200W×86H×258Dmm(横置き時)、質量は2.7kg。PMA-30の消費電力は35W(待機時0.2W)、外形寸法は200W×86H×258Dmm(横置き時)、質量は2.7kg。
・「PMA-60」¥70,000(税抜) 10月下旬発売
・「PMA-30」¥50,000(税抜) 9月下旬発売
PMA-60は、2015年1月に登場したDDFA搭載クラスDアンプ「PMA-50」の後継モデルで、新たに最新世代のDDFAを搭載した。DDFAとはクアルコム社が手がけるクラスDアンプ・デバイスで、独自のデジタル処理によるフィードバック・ループによる優れた特性の実現を特徴とする。DDFAはデジタル入力対応しており、PMA-60においては、入力から増幅までをフルデジタル処理する。
USB-DAC機能を備え、USB-B(PC)入力は11.2MHz DSDおよび384kHz/32bit PCMに対応。192kHz/24bitまで対応の同軸/光デジタル入力、アナログ入力も備える。独自の波形補間技術「Advanced AL32 Processing Plus」も搭載。出力は50W+50W(4Ω)、25W+25W(8Ω)。
PMA-30は、PMA-60の弟機という位置付けで、今回から新たに追加されたラインナップ。こちらはDDFAではなく、BTL構成のクラスDアンプ(TI製)を採用した。本機はUSB入力、および「Advanced AL32 Processing Plus」が非搭載となる。入力は同軸/光デジタル、アナログを搭載。出力は40W+40W(4Ω)、20W+20W(8Ω)。
PMA-60とPMA-30共にBluetoothを内蔵し、コーデックはaptX Low LatencyやAACにも対応。PMA-60のみがNFCにも対応する。両モデルともにスピーカー用アンプとは独立した高品位なヘッドホンアンプを搭載する。
デノンは発表に先立って、プレス向けの製品発表会を開催。発表会ではディーアンドエムの志田鷹平氏がPMA-60/30の詳細について解説。また、DDFAの開発に携わったクアルコム社 プロダクトマーケティングマネージャーのDamien Vandenbeyvanghe氏が登場。DDFAについて説明を行った。以下に、PMA-60/PMA-30の詳細について紹介する。
■デノン「デザインシリーズ」の新しいプリメインアンプ
デノンのDesign Series(デザインシリーズ)は、コンパクトかつデザイン性の高いボディと、同社のHi-Fiコンポーネントで培ったサウンドを両立させ、なおかつ現代のユーザーニーズに応える機能を揃えることを目指したオーディオラインナップだ。
2014年2月登場のUSB-DAC「DA-300USB」を皮切りに、PMA-60の前身となる「PMA-50」、DDFAを搭載したネットワークレシーバー「DRA-100」、DDFA搭載ヘッドホンアンプ「DA-310USB」などをラインナップしてきた。ここに、新たにプリメインアンプ「PMA-60」「PMA-30」が加わることになる。
■「PMA-60」ー 新世代DDFAを搭載したUSB入力対応モデル
PMA-60は、新世代DDFAによるクラスDアンプを搭載する。この新世代DDFAの特徴は、従来2チップ構成だったPWMモジュレーターとフィードバックプロセッサーを1チップ化したことだ。これにより周辺回路がシンプルになり、より音質を優先した回路設計や部品選定が可能になったという。この新世代DDFAは、DA-310USBのヘッドホンアンプ部にも先行して採用されている。
DDFAは、高速かつ精度の高いデジタル・フィードバック・ループを用いることによって、従来のクラスDアンプで課題とされてきた歪の多さや電源変動による音質劣化を克服。クラスDアンプとして突出した特性を実現したとしている。
PMA-60では、DDFAを核として、電力を増幅する出力段やローパスフィルターにはデノン独自のディスクリート回路を搭載。サウンドマネージャーによる徹底したサウンドチューニングを施している。
また、DDFAはデジタル入力型のクラスDアンプであるため、デジタルソースを再生する場合には、入力からAL32による補間処理、ボリューム調整、フィードバック処理、増幅にいたる処理をデジタル領域で行う。これにより、アナログアンプで問題となる外来ノイズの影響や、変換を繰り返すことによる音質劣化を避けられるとする。ボリューム調整もデジタル領域で行い、ギャングエラーやクロストークを排除。1dB刻みでの調整が可能となっている。
発表会では、Damien Vandenbeyvanghe氏がDDFAの特徴について説明。DDFAの肝として独自のフィードバック技術を挙げた同氏は、「完全なデジタル領域におけるフィードバック・ループにより、出力段のアナログ波形と入力段のリファレンスのD/Aの差分から計算した誤差のみを返すことで、正確な増幅が実現できる」と説明。また、電源段の電圧の揺れを常にモニターして補間することも、優れた特性を実現する秘訣だとした。
新世代DDFAのポイントとして、従来の2チップ構成を1チップ化したことの意義もアピール。性能はそのままにより設計の自由度が向上し、周辺回路の設計によってさらなる高音質を狙うことができると共に、さらに幅広い製品にチップを搭載できると述べた。
なお、今回に合わせて、AV評論家の鴻池賢三氏がDamien Vandenbeyvanghe氏にインタビューを実施。DDFAの詳細について話を伺った。こちらの記事も近日中に掲載する。
PMA-60は、USB-Bおよび同軸デジタル入力に接続されたソース機器から流入する高周波ノイズを遮断するためのデジタル・アイソレーターも搭載。ICチップ上に組み込まれたトランスコイルを介して磁気により音楽データのみを伝送することで、ノイズの流入を防いでいる。
デノンが上位モデルをはじめとする近年のHi-Fiコンポーネントで実践しているマスタークロックデザインを本機も採用。オーディオインターフェースの近傍に配置した超低ジッタークロックから供給されるマスタークロックで関連回路を動作させることで、質の高いマスタークロックを各デジタル回路に供給。正確な同期を実現し、ジッターを抑えることができるという。また、クロックは44.1kHz系と48kHz系の2系統して、各信号の処理を最適化している。
デノン独自のデータ補間アルゴリズムによるアナログ波形再現技術「αプロセッシング」については、最新バージョン「Advanced AL32 Processing Plus」を搭載。最大でPCM 384kHz/32bitの信号に対して補間処理を行い、より原信号に近い音楽データを復元することができる。
USB入力については、PMA-50が最大192kHz/24bitのPCM、最大5.6MHzのDSDに対応していたのに対して、PMA-60は最大384kHz/32bitのPCM、最大11.2MHzのDSDに対応(新世代DDFAは新たに5.6MHz DSDの入力に対応するが、11.2MHzへの対応およびAL32の処理を行うために、本機ではPCM変換してDDFAに信号が入力される)。DSDの伝送方式はASIOとDoPの両方をサポートする。本機のマスタークロックで制御を行うアシンクロナスモードにも対応する。
そのほかデジタル入力は、同軸デジタルを1系統、光デジタルを2系統搭載。いずれも192kHz/24bitまでの入力に対応する。アナログ入力も1系統備えている。
なお、本機はケーブルが着脱式となる。
デノンのサウンドマネージャーであり本機の音質チューニングも手がけた山内氏は、大ヒットとなったPMA-50の後継モデルだけに、PMA-60の開発には前回以上に力が入ったとコメント。進化のポイントについて以下のように述べた。
「PMA-50はDDFAを初搭載したという意味でも思い入れ深いモデルでしたが、個人的には改善の余地やさらなる可能性もまだあると感じていました。PMA-60では、そういった点を実際に反映させることを目指したのです。さらに、PMA-50以降もDRA-100やDA-310USBなどでもDDFAを用いましたが、そこで蓄積されたノウハウをPMA-60に投入したことも進化に繋がっています」(山内氏)。
また、PMA-50以降に手がけたフルサイズのHi-Fiコンポーネント、2500NEシリーズや1600シリーズにおいてカスタムで起こしたコンデンサーなどの音質パーツをPMA-60に投入したことも、音質面の進化に寄与したとのこと。
具体的なサウンドの印象については「PMA-50に比べて分解能が大きく向上しました。ディティールが明確になり、よりクリアな音になったことで、繊細な表現や切れもさらに良くなりました。またデノンのHi-Fiコンポーネントにおいて一貫してテーマとして掲げている“スペーシャス”なサウンド、言い換えれば音の広がりやサウンドステージについても、より洗練されたものになったと思います」と述べていた。
■PMA-30 ー BTL構成のクラスDアンプを搭載した弟機
PMA-60が新世代DDFAによるクラスDアンプを搭載したのに対して、PMA-30はTI製の最新クラスDアンプを搭載。1chあたり2基のパワーアンプを使用してスピーカーを駆動するBTL構成(合計4ch分のアンプを搭載)を採用している。定格出力は40W+40W(4Ω)。
クラスD方式の要となるPWMプロセッサーには、広帯域にわたってローノイズの高音質タイプを搭載。さらにPWMプロセッサー、および出力段の電源回路には、パーツサプライヤーと共同開発した専用の高音質カスタムコンデンサーを用いている。
ローパスフィルター回路には、デノンカスタムの無酸素銅(OFC)線とマンガン亜鉛コアによるインダクター、Hi-Fiオーディオグレードの高音質フィルムコンデンサーを採用。温度特性にも優れ、常に安定したパフォーマンスを発揮するという。
PMA-30が搭載するクラスDアンプもデジタル入力方式で、デジタルソースを再生する際には入力から出力までのすべての処理をデジタルドメインで行っている。ボリューム調整もデジタル領域で処理を行い、ギャングエラーやクロストークを排除。1dBステップで調整可能となっている。
本機もPMA-60と同じくマスタークロックデザインを採用するが、クロックは1系統のみの搭載となる。
デジタル入力は同軸デジタルを1系統、光デジタルを1系統搭載。いずれも192kHz/24bitまでの入力に対応する。アナログ入力も1系統搭載している。
本機については、ケーブル着脱は非対応となっている。
PMA-30について山内氏は、「より扱いやすい、オーソドックスなサウンドを持つモデルです。上位モデル譲りの高音質を気軽に楽しみたい方にお薦めしたい」と紹介。この価格ながら高い駆動力を持つ点についてもアピールしていた。
■サウンドマネージャー山内氏によるデモも実施
発表会では、デノンのサウンドマネージャーである山内氏による試聴デモも実施。PMA-60とPMA-30をそれぞれB&Wの3ウェイスピーカー「804 D3」と組み合わせて鳴らし、クラスを超えた駆動力とサウンドをアピールした。
■PMA-60/30の共通の特徴
各モデルがデノンの新世代Hi-Fiコンポーネントである「NEシリーズ」にも採用されたオーディオ用電解コンデンサーや抵抗器、フィルムコンデンサーなどを多数採用。サウンドマネージャーによる試聴を重ね、各モデルに最適なパーツを選定したという。また、電解コンデンサーにはパーツメーカーと共同開発したカスタムパーツを投入している。
ヘッドホンアンプにも注力。両モデルにおいて、ボリューム回路全段にアナログオーディオ出力との相互干渉を排除するバッファーアンプを搭載。電圧増幅段にはハイスピード、ローノイズの高音質オペアンプを採用。出力バッファーにはフルディスクリート回路を採用することで正確かつパワフルにドライブ。三段階のゲイン切り替え機能を搭載する。
いずれもBluetoothを内蔵し、コーデックはaptX Low LatencyやAACにも対応する。また、PMA-60のみがNFCにも対応している。
筐体については、それぞれが3mm厚のアルミニウムを本体上下に配置。表面はサンドブラスト加工で仕上げている。なお、PMA-60については、ボリュームの先端はダイアモンドカットとして、サイドにはヘアライン仕上げを用いている。
縦置き・横置きに両対応。縦置き時にはねじ込み式のフットを付け替えることができる。本体前面には有機ELディスプレイを備え、入力ソースや音量などを表示。縦置き・横置きに合わせて、表示が自動的に回転する。フットはPMA-60がアルミ製、PMA-30がモールド製となる。
いずれのモデルも、サブウーファープリアウトを搭載している。
主なスペックは以下の通り。PMA-60の消費電力は35W(待機時0.2W)、外形寸法は200W×86H×258Dmm(横置き時)、質量は2.7kg。PMA-30の消費電力は35W(待機時0.2W)、外形寸法は200W×86H×258Dmm(横置き時)、質量は2.7kg。
関連リンク
- ジャンルプリメインアンプ
- ブランドDENON
- 型番PMA-60
- 発売日2017年10月下旬
- 価格¥70,000(税抜)
【SPEC】●定格出力:25 W + 25 W (8Ω、1 kHz、THD 0.1 %、両チャンネル駆動)、50 W + 50 W (4Ω、1 kHz、THD 1.0 %、両チャンネル駆動) ●出力端子:スピーカー:負荷 4〜16Ω、ヘッドホン:Φ6.3mmジャック ●全高調波歪率:0.004%(Digital In、定格出力、-3 dB、8Ω、1 kHz) ●S/N比:110dB ●入力感度:AUX 0.13 V ●入力インピーダンス:22 kΩ ●アナログ音声入力端子:アンバランス入力×1 ●デジタル音声入力端子:USB-B入力×1、同軸デジタル入力×1、光デジタル入力×2 ●Bluetooth:ver.3.0 ●対応プロファイル:A2DP 1.3、AVRCP 1.5 ●対応コーデック:aptX Low Latency、AAC、SBC ●消費電力:35W(待機電力:0.2W) ●外形寸法:200W×86H×258Dmm ●質量:2.7 kg
- ジャンルプリメインアンプ
- ブランドDENON
- 型番PMA-30
- 発売日2017年9月下旬
- 価格¥50,000(税抜)
【SPEC】●定格出力:20 W + 20 W (8Ω、1 kHz、THD 0.1 %、両チャンネル駆動)、40W + 40 W (4Ω、1 kHz、THD 1.0 %、両チャンネル駆動) ●出力端子:スピーカー:負荷 4〜16Ω、ヘッドホン:Φ6.3mmジャック ●全高調波歪率:0.004%(Digital In、定格出力、-3 dB、8Ω、1 kHz) ●S/N比:100dB ●入力感度:AUX 0.13 V ●入力インピーダンス:22 kΩ ●アナログ音声入力端子:アンバランス入力×1 ●デジタル音声入力端子:同軸デジタル入力×1、光デジタル入力×2 ●Bluetooth:ver.3.0 ●対応プロファイル:A2DP 1.3、AVRCP 1.5 ●対応コーデック:aptX Low Latency、AAC、SBC ●消費電力:35W(待機電力:0.2W) ●外形寸法:200W×86H×258Dmm ●質量:2.7 kg