公開日 2018/02/01 11:00
「パサートCC」以来の日本導入
VW「ゴルフ」「ティグアン」にDYNAUDIO Edition登場。オーディオブランドの“プレミアムサウンド”をレポート
編集部:押野 由宇
フォルクスワーゲングループジャパンは、Golf、Golf Bariant、Tiguanに、オーディオメーカーDYNAUDIOと共同開発したプレミアムサウンドシステム搭載の限定車「DYNAUDIO Edition」を追加。本日2月1日より発売開始する。
・「Golf DYNAUDIO Edition」¥3,629,000(税込)
・「Golf Variant DYNAUDIO Edition」¥3,769,000(税込)
・「Tiguan DYNAUDIO Edition」¥4,719,000(税込)
販売台数は各モデルともに300台ずつ。カラーはインジウムグレーメタリックのほか、GolfとTiguanにおいてはオプション(64,800円)としてオリックスホワイト マザーオブパールエフェクトが用意されており、各カラー150台ずつの販売となる。
この新モデルについて、事前に音を確かめる機会を得たので、本稿でレポートしたい。
■妥協なきものづくりへの姿勢が共鳴して誕生したモデル
DYNAUDIO Editionは、オーディオブランドDYANUDIOと共同開発したプレミアムサウンドシステムと、フォルクスワーゲンの堅牢なボディ構造と優れた遮音性の相乗効果により、臨場感あふれる高品位サウンドを目指した限定モデル。
フォルクスワーゲンとDYNAUDIOは、2001年にスピーカー開発の共同プロダクトがスタートしており、本国ではその関係が続いてきた。日本においては今回のEditionが2008年の「パサートCC」に採用されて以来の導入となる。
その理由についてフォルクスワーゲン グループ ジャパンの担当者は、「お客様の好みや環境の変化をふまえ、高級オーディオという取り組みを検討していました。DYNAUDIOという高品質なオーディオを手がける会社とともに、お互いに良い品質のものを手がけるという、ものづくりへの考え方が共鳴した結果として、今回のEditionが誕生しました」と説明する。
またDYNAUDIO JAPANの前田正人代表取締役は「DYNAUDIOの工場の一角に、フォルクスワーゲンの車が持ち込まれて開発が行われています。設計段階から、どこにスピーカーを設置すれば良い音になるのか、といったことが考えられている。フォルクスワーゲンが、車としての走りの性能に加え、音にもそれだけこだわっていることを、オーディオメーカーとして嬉しく思います」と、両社が密な連携のもと熱意を持って開発に取り組んでいると説明した。
GolfおよびGolf VariantのDYNAUDIO Editionでは、8つのラウドスピーカーとスペアホイールリセスに設置された10.5Lデュアル・コイル・サブウーファーの10チャンネル9スピーカー構成を採用。総出力400Wのデジタルアンプから送り出される信号を、最適なバランスに調整された各スピーカーが鳴らすとしている。
一方のTiguan DYNAUDIO Editionは、8つのラウドスピーカーとサブウーファーに加え、センタースピーカーを備えた総出力400Wの16チャンネル10スピーカー構成。さらにドルビープロロジックIIに対応しており、ステレオオーディオをサラウンドサウンドに変換できる。
本Editionはインテリアもオリジナル仕様。フォルクスワーゲンでは主にブラックを基調とした内装に揃えられているが、DYNAUDIO本社が位置するデンマークにちなみ、北欧風の明るさをイメージした装備を揃えたという。Golf/Variantはヴォルケーノブランカラー、Tiguanはサフラノオレンジのレザーシートで、ビジュアルからも特別感が演出されていることが分かる。
■スピーカーだけでなくサウンド調整機能も追加
試聴は、Tiguanの通常モデルとDYNAUDIO Editionを聴き比べるかたちで行った。なおTiguan DYNAUDIO Editionは、Tiguanの「TSI Highline」をベースとしている。
全モデル共通仕様として、ナビゲーション/ヘッドユニットには純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」を搭載。CDやDVD、SDカード/USBメモリのファイル再生のほか、iPodやBluetooth接続でのオーディオ再生など、標準的な音楽再生能力を備える。
標準でもリスニングポジションを調整する機能を持つが、DYNAUDIO Editionではさらに「フロント+リヤ」「リヤ」「左フロント」「右フロント」を指定できる「プロファイル」モードを追加。また「サウンドキャラクター」設定機能も備わっている。これは「ソフト」「ダイナミック」「スピーチ」といった、いわゆるサウンドエフェクトのプリセットを選べるほか、サブウーファー/バス/ミドル/トレブルの効きを個別に調整できる。
なおハイレゾ対応については明らかにされていないが、視聴時にはFLAC/WAVのハイレゾファイルを再生することができた。
まず通常のTiguanに乗り込んで試聴。率直に、この段階で十分なサウンドクオリティを実感できた。クラシックの演奏では、ストレングスの艶やかさが感じられ、コントラバスが空気を震わす様が感じられる。
ジャズの跳ねるようなリズムにもスピード感があり、ダイアナ・クラールのボーカルも車内を迂回せず、ストレートに耳に入ってくる。大きな色付けをしたり余分に響きを足すというより、ソースをあるがまま出すという方向に重きが置かれているイメージだ。
「素でこれだけ良いと、わずかな変化しか感じられないのでは?」と少し心配しながらDYNAUDIO Editionに乗り込んだが、それは取り越し苦労というものだった。明確に違いが感じられる。
まず音がクリアで、分離が良い。先程も楽器を聴き分けられていたと感じていたが、それでもまだ渾然一体としていたようだ。それぞれの楽器のラインを明瞭に描きつつ、音楽としてバランス良く全体をまとめあげている。
中低域はより安定し、余裕すら感じさせる。低音は量感たっぷりで、身体に振動が伝わるほど鳴らしているにもかかわらず、ハイエンドオーディオらしい品がある。ボーカルも同じ音量でありながら、より声がハッキリと聴こえるのはS/Nが良いということだろう。センタースピーカーの効果も大きく、音の定位が良くなっていることが分かる。
通常モデルでは車内が音で満たされるイメージだったが、DYNAUDIO Editionでは外にまで音が広がっていく印象を受けた。残念ながら試聴は停車した状態で行ったが、この音は走りながら流れる風景と合わせて聴くと、さらに楽しくなると思う。
フォルクスワーゲンは、Fenderのサウンドシステムを搭載した「The Beetle SOUND」の発表(関連ニュース)など、“音にこだわった”ラインナップが続く。
今回のDYNAUDIO Editionは「フォルクスワーゲンとしても音楽再生に興味を持って、楽しんで企画した」としており、「反響次第では限定車だけではなくオプションの継続販売、他車種での採用も検討したい」という。今後もフォルクスワーゲンの「音」に期待したい。
・「Golf DYNAUDIO Edition」¥3,629,000(税込)
・「Golf Variant DYNAUDIO Edition」¥3,769,000(税込)
・「Tiguan DYNAUDIO Edition」¥4,719,000(税込)
販売台数は各モデルともに300台ずつ。カラーはインジウムグレーメタリックのほか、GolfとTiguanにおいてはオプション(64,800円)としてオリックスホワイト マザーオブパールエフェクトが用意されており、各カラー150台ずつの販売となる。
この新モデルについて、事前に音を確かめる機会を得たので、本稿でレポートしたい。
■妥協なきものづくりへの姿勢が共鳴して誕生したモデル
DYNAUDIO Editionは、オーディオブランドDYANUDIOと共同開発したプレミアムサウンドシステムと、フォルクスワーゲンの堅牢なボディ構造と優れた遮音性の相乗効果により、臨場感あふれる高品位サウンドを目指した限定モデル。
フォルクスワーゲンとDYNAUDIOは、2001年にスピーカー開発の共同プロダクトがスタートしており、本国ではその関係が続いてきた。日本においては今回のEditionが2008年の「パサートCC」に採用されて以来の導入となる。
その理由についてフォルクスワーゲン グループ ジャパンの担当者は、「お客様の好みや環境の変化をふまえ、高級オーディオという取り組みを検討していました。DYNAUDIOという高品質なオーディオを手がける会社とともに、お互いに良い品質のものを手がけるという、ものづくりへの考え方が共鳴した結果として、今回のEditionが誕生しました」と説明する。
またDYNAUDIO JAPANの前田正人代表取締役は「DYNAUDIOの工場の一角に、フォルクスワーゲンの車が持ち込まれて開発が行われています。設計段階から、どこにスピーカーを設置すれば良い音になるのか、といったことが考えられている。フォルクスワーゲンが、車としての走りの性能に加え、音にもそれだけこだわっていることを、オーディオメーカーとして嬉しく思います」と、両社が密な連携のもと熱意を持って開発に取り組んでいると説明した。
GolfおよびGolf VariantのDYNAUDIO Editionでは、8つのラウドスピーカーとスペアホイールリセスに設置された10.5Lデュアル・コイル・サブウーファーの10チャンネル9スピーカー構成を採用。総出力400Wのデジタルアンプから送り出される信号を、最適なバランスに調整された各スピーカーが鳴らすとしている。
一方のTiguan DYNAUDIO Editionは、8つのラウドスピーカーとサブウーファーに加え、センタースピーカーを備えた総出力400Wの16チャンネル10スピーカー構成。さらにドルビープロロジックIIに対応しており、ステレオオーディオをサラウンドサウンドに変換できる。
本Editionはインテリアもオリジナル仕様。フォルクスワーゲンでは主にブラックを基調とした内装に揃えられているが、DYNAUDIO本社が位置するデンマークにちなみ、北欧風の明るさをイメージした装備を揃えたという。Golf/Variantはヴォルケーノブランカラー、Tiguanはサフラノオレンジのレザーシートで、ビジュアルからも特別感が演出されていることが分かる。
■スピーカーだけでなくサウンド調整機能も追加
試聴は、Tiguanの通常モデルとDYNAUDIO Editionを聴き比べるかたちで行った。なおTiguan DYNAUDIO Editionは、Tiguanの「TSI Highline」をベースとしている。
全モデル共通仕様として、ナビゲーション/ヘッドユニットには純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」を搭載。CDやDVD、SDカード/USBメモリのファイル再生のほか、iPodやBluetooth接続でのオーディオ再生など、標準的な音楽再生能力を備える。
標準でもリスニングポジションを調整する機能を持つが、DYNAUDIO Editionではさらに「フロント+リヤ」「リヤ」「左フロント」「右フロント」を指定できる「プロファイル」モードを追加。また「サウンドキャラクター」設定機能も備わっている。これは「ソフト」「ダイナミック」「スピーチ」といった、いわゆるサウンドエフェクトのプリセットを選べるほか、サブウーファー/バス/ミドル/トレブルの効きを個別に調整できる。
なおハイレゾ対応については明らかにされていないが、視聴時にはFLAC/WAVのハイレゾファイルを再生することができた。
まず通常のTiguanに乗り込んで試聴。率直に、この段階で十分なサウンドクオリティを実感できた。クラシックの演奏では、ストレングスの艶やかさが感じられ、コントラバスが空気を震わす様が感じられる。
ジャズの跳ねるようなリズムにもスピード感があり、ダイアナ・クラールのボーカルも車内を迂回せず、ストレートに耳に入ってくる。大きな色付けをしたり余分に響きを足すというより、ソースをあるがまま出すという方向に重きが置かれているイメージだ。
「素でこれだけ良いと、わずかな変化しか感じられないのでは?」と少し心配しながらDYNAUDIO Editionに乗り込んだが、それは取り越し苦労というものだった。明確に違いが感じられる。
まず音がクリアで、分離が良い。先程も楽器を聴き分けられていたと感じていたが、それでもまだ渾然一体としていたようだ。それぞれの楽器のラインを明瞭に描きつつ、音楽としてバランス良く全体をまとめあげている。
中低域はより安定し、余裕すら感じさせる。低音は量感たっぷりで、身体に振動が伝わるほど鳴らしているにもかかわらず、ハイエンドオーディオらしい品がある。ボーカルも同じ音量でありながら、より声がハッキリと聴こえるのはS/Nが良いということだろう。センタースピーカーの効果も大きく、音の定位が良くなっていることが分かる。
通常モデルでは車内が音で満たされるイメージだったが、DYNAUDIO Editionでは外にまで音が広がっていく印象を受けた。残念ながら試聴は停車した状態で行ったが、この音は走りながら流れる風景と合わせて聴くと、さらに楽しくなると思う。
フォルクスワーゲンは、Fenderのサウンドシステムを搭載した「The Beetle SOUND」の発表(関連ニュース)など、“音にこだわった”ラインナップが続く。
今回のDYNAUDIO Editionは「フォルクスワーゲンとしても音楽再生に興味を持って、楽しんで企画した」としており、「反響次第では限定車だけではなくオプションの継続販売、他車種での採用も検討したい」という。今後もフォルクスワーゲンの「音」に期待したい。