公開日 2018/03/25 18:15
Crystal Cable本社から担当者が来日
ステラとゼファン、Crystal Cableなど新ブランド・製品を披露。「AirForce V」など新アナログプレーヤーも
編集部:風間雄介
ステラとゼファンは、「ステラ&ゼファン 春の新製品試聴会・新ブランド発表会」を、東京・有楽町で3月25日に開催した。
イベントの名称の通り、ゼファンが新たな取り扱いブランドとしてCrystal Cableブランドを取り扱うことが改めて説明された。
ゼファンへの移管を機に、これまで日本には正規輸入が行われていなかったハイエンドライン「MONOCRYSTAL」シリーズも展開される。なお、Crystal Cableはこれまでハーマンインターナショナルが輸入代理を行っていた。
イベントは、前半がCrystal Cableの紹介、後半がTechDASを中心としたステラ製品群の紹介という構成になっていた。
■オランダに本社を構えるCrystal Cable
Crystal Cableは本社をオランダに構えているブランドで、今回、イベントに合わせて本社よりガビ・ラインベルトさんが来日。ブランドの成り立ち、ポリシーなどを紹介した。
ガビさんは冒頭、「オランダからやって参りました。私のルーツはハンガリーで、長年コンサートのピアニストとして活動してきました。私にとって音楽は呼吸と同様に不可欠なものです。日本にもコンサートで来日したことがあります」と挨拶。自身とブランドの根底に「音楽」があることを強調した。
Crystal AudioはInternational Audio Holding BVグループに属しており、Siltechと本社やオランダのエルストにある工場、製造チームを共有している。
本社はアーネムという町にある。また工場があるエルストという町は、アムステルダムから100kmほどの距離にあるという。
実はSiltechを創設したのはガビさんの夫で、1983年のことだ。今年でブランド創立35周年となる。一方のCrystal Cableは2019年に、ブランド創立から15年を迎える。SiltechとCrystal Cableは、文字通り兄弟ブランドなのだ。
「Siltechはより男性的なデザインのものが多いのですが、技術の進歩により、同じクオリティのケーブルを、より軽量で、柔軟性を持たせながら作れるようになりました。そこでセカンドブランドを作ろうと考え、最初はSiltechブランドを使うことも検討しましたが、ターゲット層が違うことから、新しいブランドを作ろうということになりました」とガビさんはブランドの成り立ちを説明する。
面白いのは、2つのブランドは、見た目と設計が異なるだけでなく「音も全く違う」とガビさんが主張していることだ。「ブランドとして最も重視しているのは音楽。コンサートホールやジャズバーでもなんでもいいのですがが、その生演奏の感動をリビングルームへ届けることを目指しています」という。
なお、生産はすべてオランダの工場で、ハンドメイドで製造。スウェーデン製の「コムソル」という物理シミュレーションシステムなど、最先端の設計・製造設備を導入している。
また同社では測定も製品開発の重要な過程と捉えており、まず使用する素材を決めたら、厳密な測定を行う。そこから構造を考え、何ヶ月も試聴をしながら完成させていく。
ガビさんはこの過程について「グランドピアノにたとえるとわかりやすいと思います。グランドピアノはバランスが重要で、すべての要素がフィットしなければ素晴らしい音が出ません。ハイファイも同じです。良い音を出すためにはすべてのバランスが整っていなければならないのです」と説明する。
ちなみにCrystal Cableでは、スピーカーやアンプなどケーブル以外の製品も開発・販売している。ガビさんによると、「これによりブランド認知が高まるなど、相乗効果が出ている」のだという。
ガビさんはプレゼンの中で、ケーブルの重要性についてこう説いた。
「多くの方は、ケーブルはさほど重要でないとみているのではないでしょうか。実際はケーブルは最も重要なコンポーネントです。ケーブルがなければそもそも音は出ません。良質なケーブルを使うことで、みなさまがお持ちのシステムの能力を最大限引き出すことができます。たとえばフェラーリを持っていても、タイヤが安物では、フェラーリの走りは実現できません。それと同じように、ケーブルによって初めてそのポテンシャルを引き出せるのです」。
さて、今回日本に導入されるCrystal Cableのケーブル群は、大きく2つのシリーズに分けられる。一つは「DIAMOND」シリーズ、もう一つは「MONOCRYSTAL」シリーズだ。
DIAMONDシリーズは、導体のメイン素材に純度の高い銀を使っている。複数の導体同士が接触するような構造になっているが、それでも円同士が接触するため隙間ができる。ガビさんは「これが音質劣化の原因になる」と説明。「よく銀製のケーブルはシャープな音がすると言われるが、それはこの隙間の影響によるもの」とした。
この問題を解決するために作ったのが、銀と金の合金だ。この合金で隙間を補うことで音が良くなるのだという。なお、DIAMONDシリーズはすべてコアキシャル設計となっていることも特徴だ。
DIAMONDシリーズは価格が安い方から「PICCOLO DIAMOND」「MICRO DIAMOND」「REFERENCE DIAMOND」「ULTRA DIAMOND」の4ラインで展開。インターコネクトの場合、1.0mで価格は62,000円〜520,000円(ペア)というレンジになっている。
そして、今回日本で初公開となったのが「MONOCRYSTAL」シリーズだ。特徴は、すべて単結晶の銀導体を採用していること。
MONOCRYSTALシリーズは価格が安い方から「DREAMLINE PLUS」「ABSOLUTE DREAM」「ULTIMATE DREAM」という3ラインで展開しているが、いずれも非常に高価だ。
最上位のULTIMATE DREAMは、この導体を中心軸に対して6本ツイストさせるという構造になっている。ABSOLUTE DREAMは4本、DREAMLINE PLUSは2本の導体が使われている。
価格レンジは、インターコネクトケーブルの場合DREAMLINE PLUSが105万円、ABSOLUTE DREAMが188万円、ULTIMATE DREAMが315万円(いずれも1.0m/ペア)。
そのほか同社は、ポータブルオーディオ向けの「portable duet」シリーズも展開している。ガビさんは「ポータブルオーディオにおいては、ハイエンドケーブルの重要性がさらに大きいかもしれない」と説明。若い世代に支持される製品群であり、ブランド認知の拡大にとても重要だと捉えているとのこと。
ケーブルの試聴システムには、アナログプレーヤーにSMEの「Model 30 MK2」を使用。フォノアンプ、プリアンプ、パワーアンプはいずれもCH Precisionで、フォノは「P1」、プリは「L1」、パワーは「M1 Mono」をそれぞれ使っていた。スピーカーはMARTENの「COLTRANE3」だ。電源環境にはSTROMTANKのクリーン電源が用いられていた。
■アナログプレーヤー「AirForce」シリーズの新製品3モデル
試聴会の後半は、ステラとTechDASの新製品試聴会が、ステラ会長の西川英章氏自らが解説して行われた。
西川氏は「ステラとして新しく始めるブランドもあるし、自然消滅していくものもある。世界的にハイエンドオーディオは良くないが、売れているものもある。手前味噌になるが、6年前に開始したTechDAS、特にAirForceは人気があり、世界数十カ国に輸出している」と語り、好調ぶりをアピールした。
そのTechDASブランドのアナログプレーヤー「AirForce」シリーズ。今回の試聴会では、シリーズで最も廉価でコンパクトな、AirForceのエントリーモデル「AirForce V」が本格デビューした。4月末出荷予定で、価格は115万円(税抜)。
AirForce Vはドライブモーターの低振動制御化と、高性能懸架方式の開発によって、モーターをターンテーブル本体に内蔵したコンパクトなモデル。だがAirForce IIIと同様、最大4本のトーンアーム取付けが行える。
またAirForceの名前を冠していることもあり、エアーフロート(プラッターのフロート)、エアーバキューム(レコードの吸着)、インシュレーターのエアー制御から構成される、TechDASのAirForceテクノロジーを、すべて搭載している。
なお、シャーシは超々ジュラルミンに、アルミニウムとステンレスを効果的に配したという構造を採用。プラッターはアルミ合金製で、重量は7kgとなる。
また以前から展示会等で公開していた「AirForce Two Premium」と「AirForce III Premium」も最終製品になった。4月末の出荷を予定し、現在予約受け付け中となる。価格はAirForce Two Premiumが420万円(税抜)、AirForce III Premiumが260万円(税抜)。
AirForce Two PremiumとAirForce III Premiumは、いずれもプラッターに砲金製を採用。プラッターの重量はIIIが29kg、Twoが34kgとなる。また、重量級プラッターを搭載したことで、AirForce One Premiumと同等のAirベアリングとバキュームを、それぞれ独立したエアポンプを1台ずつ搭載した。
西川氏は、「一番こだわったのはAirForce III Premiumの最終の仕上げ」と説明。単なる黒ではなく、アノダイズしたあと研磨しているというこだわりようで、これはiPhoneでアルマイトを研磨しているのと同じ手法だという。これにより、ペイントでは出ない独特の質感が表現できるとしている。
また西川氏は「AirForceがエアカッティングとエアバキュームにこだわる理由をお見せしたい」と語り、日本コロムビアでレコードカッティングを行っている模様を取材した動画を上映。それぞれの工程を解説しながら、「最初のラッカー盤を作る段階で、プラッターと固着させているのがお分かりかと思う。その状態を、再生する段階でも再現したいというのが私の考え方」と説明した。
さらに西川氏は「何名かの評論家でも、またお客様でも、バキュームすると音が悪くなると仰る方がいるが、あり得ないことだ。音が悪くなるというなら、その理由を説明して頂きたい」と述べ、吸着の効果に絶対的な自信を示した。
AirForceの試聴には、フォノ/プリ/パワーはいずれもCHだが、プリは「PICTOR」、パワーは「TAURUS mono」といった、少し小ぶりなモデルでシステムを組んでいた。スピーカーはVIVIDのGIYA G1 Spiritだった。
なお、これも新規取り扱いブランドとして、イギリスのCAD製品も紹介された。
CADは2011年に設立されたブランドで、2016年に、オーディオ機器内で発生する高周波ノイズを除去するアクセサリー「Ground Control」を開発。電源を必要としないパッシブな設計で、低インピーダンスのため信号経路への影響は全くない。また、複数台のGround Controlをデイジーチェーンで連結させ、ノイズ除去性能を高めることもできるという。今回のデモシステムにも、このCADの製品が使われていた。
さらに会の最後には、7月15日にVIVID AUDIOの新製品発表会が同じ会場で行われることも予告された。5月に開催される独HIGHENDで披露する、完全新規設計のスピーカーが聴けるという。当日はローレンス・ディッキー氏が来日し、製品を紹介するとのこと。こちらも楽しみだ。
イベントの名称の通り、ゼファンが新たな取り扱いブランドとしてCrystal Cableブランドを取り扱うことが改めて説明された。
ゼファンへの移管を機に、これまで日本には正規輸入が行われていなかったハイエンドライン「MONOCRYSTAL」シリーズも展開される。なお、Crystal Cableはこれまでハーマンインターナショナルが輸入代理を行っていた。
イベントは、前半がCrystal Cableの紹介、後半がTechDASを中心としたステラ製品群の紹介という構成になっていた。
■オランダに本社を構えるCrystal Cable
Crystal Cableは本社をオランダに構えているブランドで、今回、イベントに合わせて本社よりガビ・ラインベルトさんが来日。ブランドの成り立ち、ポリシーなどを紹介した。
ガビさんは冒頭、「オランダからやって参りました。私のルーツはハンガリーで、長年コンサートのピアニストとして活動してきました。私にとって音楽は呼吸と同様に不可欠なものです。日本にもコンサートで来日したことがあります」と挨拶。自身とブランドの根底に「音楽」があることを強調した。
Crystal AudioはInternational Audio Holding BVグループに属しており、Siltechと本社やオランダのエルストにある工場、製造チームを共有している。
本社はアーネムという町にある。また工場があるエルストという町は、アムステルダムから100kmほどの距離にあるという。
実はSiltechを創設したのはガビさんの夫で、1983年のことだ。今年でブランド創立35周年となる。一方のCrystal Cableは2019年に、ブランド創立から15年を迎える。SiltechとCrystal Cableは、文字通り兄弟ブランドなのだ。
「Siltechはより男性的なデザインのものが多いのですが、技術の進歩により、同じクオリティのケーブルを、より軽量で、柔軟性を持たせながら作れるようになりました。そこでセカンドブランドを作ろうと考え、最初はSiltechブランドを使うことも検討しましたが、ターゲット層が違うことから、新しいブランドを作ろうということになりました」とガビさんはブランドの成り立ちを説明する。
面白いのは、2つのブランドは、見た目と設計が異なるだけでなく「音も全く違う」とガビさんが主張していることだ。「ブランドとして最も重視しているのは音楽。コンサートホールやジャズバーでもなんでもいいのですがが、その生演奏の感動をリビングルームへ届けることを目指しています」という。
なお、生産はすべてオランダの工場で、ハンドメイドで製造。スウェーデン製の「コムソル」という物理シミュレーションシステムなど、最先端の設計・製造設備を導入している。
また同社では測定も製品開発の重要な過程と捉えており、まず使用する素材を決めたら、厳密な測定を行う。そこから構造を考え、何ヶ月も試聴をしながら完成させていく。
ガビさんはこの過程について「グランドピアノにたとえるとわかりやすいと思います。グランドピアノはバランスが重要で、すべての要素がフィットしなければ素晴らしい音が出ません。ハイファイも同じです。良い音を出すためにはすべてのバランスが整っていなければならないのです」と説明する。
ちなみにCrystal Cableでは、スピーカーやアンプなどケーブル以外の製品も開発・販売している。ガビさんによると、「これによりブランド認知が高まるなど、相乗効果が出ている」のだという。
ガビさんはプレゼンの中で、ケーブルの重要性についてこう説いた。
「多くの方は、ケーブルはさほど重要でないとみているのではないでしょうか。実際はケーブルは最も重要なコンポーネントです。ケーブルがなければそもそも音は出ません。良質なケーブルを使うことで、みなさまがお持ちのシステムの能力を最大限引き出すことができます。たとえばフェラーリを持っていても、タイヤが安物では、フェラーリの走りは実現できません。それと同じように、ケーブルによって初めてそのポテンシャルを引き出せるのです」。
さて、今回日本に導入されるCrystal Cableのケーブル群は、大きく2つのシリーズに分けられる。一つは「DIAMOND」シリーズ、もう一つは「MONOCRYSTAL」シリーズだ。
DIAMONDシリーズは、導体のメイン素材に純度の高い銀を使っている。複数の導体同士が接触するような構造になっているが、それでも円同士が接触するため隙間ができる。ガビさんは「これが音質劣化の原因になる」と説明。「よく銀製のケーブルはシャープな音がすると言われるが、それはこの隙間の影響によるもの」とした。
この問題を解決するために作ったのが、銀と金の合金だ。この合金で隙間を補うことで音が良くなるのだという。なお、DIAMONDシリーズはすべてコアキシャル設計となっていることも特徴だ。
DIAMONDシリーズは価格が安い方から「PICCOLO DIAMOND」「MICRO DIAMOND」「REFERENCE DIAMOND」「ULTRA DIAMOND」の4ラインで展開。インターコネクトの場合、1.0mで価格は62,000円〜520,000円(ペア)というレンジになっている。
そして、今回日本で初公開となったのが「MONOCRYSTAL」シリーズだ。特徴は、すべて単結晶の銀導体を採用していること。
MONOCRYSTALシリーズは価格が安い方から「DREAMLINE PLUS」「ABSOLUTE DREAM」「ULTIMATE DREAM」という3ラインで展開しているが、いずれも非常に高価だ。
最上位のULTIMATE DREAMは、この導体を中心軸に対して6本ツイストさせるという構造になっている。ABSOLUTE DREAMは4本、DREAMLINE PLUSは2本の導体が使われている。
価格レンジは、インターコネクトケーブルの場合DREAMLINE PLUSが105万円、ABSOLUTE DREAMが188万円、ULTIMATE DREAMが315万円(いずれも1.0m/ペア)。
そのほか同社は、ポータブルオーディオ向けの「portable duet」シリーズも展開している。ガビさんは「ポータブルオーディオにおいては、ハイエンドケーブルの重要性がさらに大きいかもしれない」と説明。若い世代に支持される製品群であり、ブランド認知の拡大にとても重要だと捉えているとのこと。
ケーブルの試聴システムには、アナログプレーヤーにSMEの「Model 30 MK2」を使用。フォノアンプ、プリアンプ、パワーアンプはいずれもCH Precisionで、フォノは「P1」、プリは「L1」、パワーは「M1 Mono」をそれぞれ使っていた。スピーカーはMARTENの「COLTRANE3」だ。電源環境にはSTROMTANKのクリーン電源が用いられていた。
■アナログプレーヤー「AirForce」シリーズの新製品3モデル
試聴会の後半は、ステラとTechDASの新製品試聴会が、ステラ会長の西川英章氏自らが解説して行われた。
西川氏は「ステラとして新しく始めるブランドもあるし、自然消滅していくものもある。世界的にハイエンドオーディオは良くないが、売れているものもある。手前味噌になるが、6年前に開始したTechDAS、特にAirForceは人気があり、世界数十カ国に輸出している」と語り、好調ぶりをアピールした。
そのTechDASブランドのアナログプレーヤー「AirForce」シリーズ。今回の試聴会では、シリーズで最も廉価でコンパクトな、AirForceのエントリーモデル「AirForce V」が本格デビューした。4月末出荷予定で、価格は115万円(税抜)。
AirForce Vはドライブモーターの低振動制御化と、高性能懸架方式の開発によって、モーターをターンテーブル本体に内蔵したコンパクトなモデル。だがAirForce IIIと同様、最大4本のトーンアーム取付けが行える。
またAirForceの名前を冠していることもあり、エアーフロート(プラッターのフロート)、エアーバキューム(レコードの吸着)、インシュレーターのエアー制御から構成される、TechDASのAirForceテクノロジーを、すべて搭載している。
なお、シャーシは超々ジュラルミンに、アルミニウムとステンレスを効果的に配したという構造を採用。プラッターはアルミ合金製で、重量は7kgとなる。
また以前から展示会等で公開していた「AirForce Two Premium」と「AirForce III Premium」も最終製品になった。4月末の出荷を予定し、現在予約受け付け中となる。価格はAirForce Two Premiumが420万円(税抜)、AirForce III Premiumが260万円(税抜)。
AirForce Two PremiumとAirForce III Premiumは、いずれもプラッターに砲金製を採用。プラッターの重量はIIIが29kg、Twoが34kgとなる。また、重量級プラッターを搭載したことで、AirForce One Premiumと同等のAirベアリングとバキュームを、それぞれ独立したエアポンプを1台ずつ搭載した。
西川氏は、「一番こだわったのはAirForce III Premiumの最終の仕上げ」と説明。単なる黒ではなく、アノダイズしたあと研磨しているというこだわりようで、これはiPhoneでアルマイトを研磨しているのと同じ手法だという。これにより、ペイントでは出ない独特の質感が表現できるとしている。
また西川氏は「AirForceがエアカッティングとエアバキュームにこだわる理由をお見せしたい」と語り、日本コロムビアでレコードカッティングを行っている模様を取材した動画を上映。それぞれの工程を解説しながら、「最初のラッカー盤を作る段階で、プラッターと固着させているのがお分かりかと思う。その状態を、再生する段階でも再現したいというのが私の考え方」と説明した。
さらに西川氏は「何名かの評論家でも、またお客様でも、バキュームすると音が悪くなると仰る方がいるが、あり得ないことだ。音が悪くなるというなら、その理由を説明して頂きたい」と述べ、吸着の効果に絶対的な自信を示した。
AirForceの試聴には、フォノ/プリ/パワーはいずれもCHだが、プリは「PICTOR」、パワーは「TAURUS mono」といった、少し小ぶりなモデルでシステムを組んでいた。スピーカーはVIVIDのGIYA G1 Spiritだった。
なお、これも新規取り扱いブランドとして、イギリスのCAD製品も紹介された。
CADは2011年に設立されたブランドで、2016年に、オーディオ機器内で発生する高周波ノイズを除去するアクセサリー「Ground Control」を開発。電源を必要としないパッシブな設計で、低インピーダンスのため信号経路への影響は全くない。また、複数台のGround Controlをデイジーチェーンで連結させ、ノイズ除去性能を高めることもできるという。今回のデモシステムにも、このCADの製品が使われていた。
さらに会の最後には、7月15日にVIVID AUDIOの新製品発表会が同じ会場で行われることも予告された。5月に開催される独HIGHENDで披露する、完全新規設計のスピーカーが聴けるという。当日はローレンス・ディッキー氏が来日し、製品を紹介するとのこと。こちらも楽しみだ。