公開日 2024/05/28 17:07
海外新作ハイエンドスピーカー紹介・その2
<HIGH END>タンノイ、マーテン、ビビッド・オーディオの新作を最速試聴/ディナウディオはアクティブ&パッシブ両展開
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
5月9日より開催されていた「ミュンヘン・ハイエンド2024」では、今年も数多くの新作スピーカーがお目見えした。本稿では海外ハイエンドスピーカーレポート第2弾として、TANNOY(タンノイ)、MARTEN(マーテン)、EPOS(エポス)、VIVID AUDIO(ビビッド・オーディオ)、DYNAUDIO(ディナウディオ)などからお披露目された新製品を紹介していこう。(レポート第1弾はこちら)
タンノイからはオートグラフ70周年を記念した「Autograph 12」が初登場。オートグラフと言えば、まさにタンノイを代表する銘スピーカーとして世界的に知られるが、1954年にその初号機が発売されたことを記念して満を持しての登場となる。「Stirling IIILZ」に続き、タンノイの歴史的銘機の名を継ぐモデルを積極的に展開していくようだ。
タンノイの伝統芸であるデュアル・コンセントリック(同軸2ウェイ)ドライバーを搭載、ウッドキャビネットのクラシカルなデザインを採用した“レガシーシリーズ”に加わるモデルとなる。KensingtonとCanterburyの間の価格が想定されているという。
鐘の音の広がり感やリアリティは見事で、サウンドステージの全域を見通せる細やかさを聴かせながら、解像度重視のような厳しさもなく、音楽が余裕を持って流れ出す。特にアコースティックな質感表現を持つ楽曲と相性が良さそうだ。
さらには“SGM(SUPER GOLD MONITOR)シリーズ”から3機種も展開。1980年代にスタジオモニターとして名を馳せたシリーズで、ウーファーユニット径違いの「SGM10」「SGM12」「SGM15」をラインナップ。こちらもデュアル・コンセントリックドライバーを搭載、ゴールドのエッジも印象的。高域のエネルギーとロールオフをフロント側からセットアップできるようになっている。
スウェーデンのスピーカーブランド・マーテンからは、「Coltrane Quintet」が登場。マーテンは著名ジャズミュージシャンの名前を冠したシリーズを展開しており、本機も「Coltrane 3」に続きジョン・コルトレーンに由来するものとなる。上向きにすぼまった独特のキャビネット形状が特徴で、ブースにはキャビネットの分解モデルも展示されていた。
トゥイーターにダイヤモンド、ミッドレンジにはベリリウム、ウーファーにはアルミニウム振動板を採用した4ウェイモデルで、トータルの音質コーディネートを実現。内部配線材にはすべてJORMA DESIGN(ヨルマ・デザイン)のものが搭載されている。
とにかく肩肘張らない柔らかなサウンドに心奪われる。アンプはHALCRO(ハルクロ)の「eclipse」という大型モデルで、テクダスのアナログプレーヤーとDS AUDIOのカートリッジから引き出される艶やかなチェロの音色はまさに格別。部屋全体が音楽で満たされ、身体全体に浸透してくるような透明度の高さを聴かせてくれた。
カールハインツ・フィンク氏が主宰するエポスからは、フロア型スピーカー「ES-28N」が登場。エポスはフィンク氏が“再始動”させてから、ブックシェルフスピーカーを中心にラインナップを広げてきたが、今回初のフロア型モデルの登場である。スピーカーの仕上げとしてはあまり見かけない緑のキャビネットも印象的。
女性ヴォーカルの生々しさはこれまでに聴いたことがないほどで、まさに目の前で歌ってくれているようなリアリティを魅せてくれる。アンプにはスロベニアのCANOR Audio(カノア・オーディオ)を組み合わせ、スピーカーが消えて音楽と共にあるような豊かな感覚に誘われる。
ビビッド・オーディオのブースでは、先般発表された「MOYA M1」が展示されていた。写真で見てもいまひとつよく構造が理解できなかったスピーカーだが、幅が広目なフロント(正面)にトゥイーター+アッパーミッド+ミッド+ローミッド(2基)の5基のユニットを縦に装備。さらに、左右に4基ずつ合計8基のウーファーがこちらも縦に搭載、奥に向かってすぼまる形状はノーチラスを思わせるところもある。
“威風堂々”たる佇まい、からはちょっと意外なほどにしなやかで繊細なサウンドに驚かされた。設計はもちろんローレンス・ディッキー氏、土台のしっかりした低域表現で下支えしながらも、高域の伸びやかさや中低域のギュッと詰まった密度感は見事。大編成のオーケストラなど浴びるように聴きたいサウンドだ。
ディナウディオは昨年出展をお休みし、2年ぶりの再登場。アクティブスピーカー「Confidence 20A」と、パッシブタイプの「Contour Legacy」をお披露目。
「Confidence 20A」は既存のフラグシップライン「Confidence 20」のアクティブバージョンで、スタンド内にアンプを搭載したモデルとなる。XLRのアナログ入力(RCAはなし)と、XLRデジタル入力、それにネットワーク再生も可能で、端子類はすべてスタンドの裏側に配置されている。ブックシェルフスピーカーは既存のキャビネットを活用し、スタンド側にアンプやDSP等を入れ込む、というスタイルも海外ハイエンドブランドを中心に増えてきた印象だ。
「Contour Legacy」は、「Heritage Special」の好評を受けてのウッドキャビネット採用フロア型モデル。デザインは木目の突板によるクラシカルなスタイルだが、トゥイーターはEsotar 3、180mmのダブルウーファーなどユニットには最新技術を搭載。全世界1000ペア限定モデルとなる。なお、2024年5月時点でディナウディオの国内輸入代理店は未定となっている。
2023年に訪問して非常に印象に残ったブースの一つであるフランス・AUDIO NEC(オーディオネック)は、真っ赤なキューブキャビネットの「EVO 4」を披露。「キャビネットカラーはどんな色でも制作できますよ」とCEOのフランシス氏。蕩けるような美音は健在で、部屋のカラーに合わせて選ぶ楽しみも広がりそうだ。
そのほか注目ブランドを写真にてお届けしよう。
オートグラフ誕生70周年記念モデルが登場
タンノイからはオートグラフ70周年を記念した「Autograph 12」が初登場。オートグラフと言えば、まさにタンノイを代表する銘スピーカーとして世界的に知られるが、1954年にその初号機が発売されたことを記念して満を持しての登場となる。「Stirling IIILZ」に続き、タンノイの歴史的銘機の名を継ぐモデルを積極的に展開していくようだ。
タンノイの伝統芸であるデュアル・コンセントリック(同軸2ウェイ)ドライバーを搭載、ウッドキャビネットのクラシカルなデザインを採用した“レガシーシリーズ”に加わるモデルとなる。KensingtonとCanterburyの間の価格が想定されているという。
鐘の音の広がり感やリアリティは見事で、サウンドステージの全域を見通せる細やかさを聴かせながら、解像度重視のような厳しさもなく、音楽が余裕を持って流れ出す。特にアコースティックな質感表現を持つ楽曲と相性が良さそうだ。
さらには“SGM(SUPER GOLD MONITOR)シリーズ”から3機種も展開。1980年代にスタジオモニターとして名を馳せたシリーズで、ウーファーユニット径違いの「SGM10」「SGM12」「SGM15」をラインナップ。こちらもデュアル・コンセントリックドライバーを搭載、ゴールドのエッジも印象的。高域のエネルギーとロールオフをフロント側からセットアップできるようになっている。
コルトレーンの名を冠した透明度の高いサウンド
スウェーデンのスピーカーブランド・マーテンからは、「Coltrane Quintet」が登場。マーテンは著名ジャズミュージシャンの名前を冠したシリーズを展開しており、本機も「Coltrane 3」に続きジョン・コルトレーンに由来するものとなる。上向きにすぼまった独特のキャビネット形状が特徴で、ブースにはキャビネットの分解モデルも展示されていた。
トゥイーターにダイヤモンド、ミッドレンジにはベリリウム、ウーファーにはアルミニウム振動板を採用した4ウェイモデルで、トータルの音質コーディネートを実現。内部配線材にはすべてJORMA DESIGN(ヨルマ・デザイン)のものが搭載されている。
とにかく肩肘張らない柔らかなサウンドに心奪われる。アンプはHALCRO(ハルクロ)の「eclipse」という大型モデルで、テクダスのアナログプレーヤーとDS AUDIOのカートリッジから引き出される艶やかなチェロの音色はまさに格別。部屋全体が音楽で満たされ、身体全体に浸透してくるような透明度の高さを聴かせてくれた。
エポス初のフロア型スピーカー「ES-28N」
カールハインツ・フィンク氏が主宰するエポスからは、フロア型スピーカー「ES-28N」が登場。エポスはフィンク氏が“再始動”させてから、ブックシェルフスピーカーを中心にラインナップを広げてきたが、今回初のフロア型モデルの登場である。スピーカーの仕上げとしてはあまり見かけない緑のキャビネットも印象的。
女性ヴォーカルの生々しさはこれまでに聴いたことがないほどで、まさに目の前で歌ってくれているようなリアリティを魅せてくれる。アンプにはスロベニアのCANOR Audio(カノア・オーディオ)を組み合わせ、スピーカーが消えて音楽と共にあるような豊かな感覚に誘われる。
意外に繊細なサウンドの「MOYA M1」
ビビッド・オーディオのブースでは、先般発表された「MOYA M1」が展示されていた。写真で見てもいまひとつよく構造が理解できなかったスピーカーだが、幅が広目なフロント(正面)にトゥイーター+アッパーミッド+ミッド+ローミッド(2基)の5基のユニットを縦に装備。さらに、左右に4基ずつ合計8基のウーファーがこちらも縦に搭載、奥に向かってすぼまる形状はノーチラスを思わせるところもある。
“威風堂々”たる佇まい、からはちょっと意外なほどにしなやかで繊細なサウンドに驚かされた。設計はもちろんローレンス・ディッキー氏、土台のしっかりした低域表現で下支えしながらも、高域の伸びやかさや中低域のギュッと詰まった密度感は見事。大編成のオーケストラなど浴びるように聴きたいサウンドだ。
ディナウディオはアクティブ&パッシブの両面展開
ディナウディオは昨年出展をお休みし、2年ぶりの再登場。アクティブスピーカー「Confidence 20A」と、パッシブタイプの「Contour Legacy」をお披露目。
「Confidence 20A」は既存のフラグシップライン「Confidence 20」のアクティブバージョンで、スタンド内にアンプを搭載したモデルとなる。XLRのアナログ入力(RCAはなし)と、XLRデジタル入力、それにネットワーク再生も可能で、端子類はすべてスタンドの裏側に配置されている。ブックシェルフスピーカーは既存のキャビネットを活用し、スタンド側にアンプやDSP等を入れ込む、というスタイルも海外ハイエンドブランドを中心に増えてきた印象だ。
「Contour Legacy」は、「Heritage Special」の好評を受けてのウッドキャビネット採用フロア型モデル。デザインは木目の突板によるクラシカルなスタイルだが、トゥイーターはEsotar 3、180mmのダブルウーファーなどユニットには最新技術を搭載。全世界1000ペア限定モデルとなる。なお、2024年5月時点でディナウディオの国内輸入代理店は未定となっている。
ウィルソン・オーディオ、マジコなど人気スピーカーのブースレポート
2023年に訪問して非常に印象に残ったブースの一つであるフランス・AUDIO NEC(オーディオネック)は、真っ赤なキューブキャビネットの「EVO 4」を披露。「キャビネットカラーはどんな色でも制作できますよ」とCEOのフランシス氏。蕩けるような美音は健在で、部屋のカラーに合わせて選ぶ楽しみも広がりそうだ。
そのほか注目ブランドを写真にてお届けしよう。
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