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公開日 2017/01/05 16:09
One Sonyの考え方のもとにまとまる製品群
<CES>2017年のソニーは「HDR戦略」を加速させる ー 4Kや有機ELテレビの魅力を平井氏が熱く語った
山本 敦
2017年のCESに参加するソニーは、現地時間4日にラスベガス・コンベンションセンターに出展するブースでプレスカンファレンスを開催。今年発売を予定する製品や、現在開発に取り組む技術・サービスを一堂に集めて紹介した。
カンファレンスの壇上には例年通り平井一夫社長が登壇。今年の展示のハイライトになる製品と、それぞれの背後に通うコンセプトを順に説明するかたちでスピーチを進行した。平井氏は「今回、私も開発に深く関わってきた製品を揃えて皆様に紹介できる機会を持てたことがとても嬉しい」と熱っぽい言葉でスピーチを切り出した。
●ブラビアの新製品を大々的に発表、HDR対応への注力も強調
ソニーの出展で一番大きな目玉はやはり有機ELテレビ“ブラビア”「A1E」シリーズだろう(関連ニュース)。昨年のCESでは現行最上位機種の液晶テレビ「Z9D」シリーズに搭載された映像処理プロセッサー「X1 Extreme」と、基幹技術のひとつである「Backlight Master Drive」がお披露目されたが、まだ商品のかたちを成していなかった。今回は有機ELテレビとして最終形に近いデザインで姿を現したこともあり、スピーチの終了後にも展示コーナーに大勢の来場者が集まっていた。平井氏からはA1Eシリーズの発売時期や価格、日本での展開予定など具体的なアナウンスはなかったが、日本での発売は大いに期待ができそうだ。
これまでにもソニーは有機ELを採用するディスプレイ機器を商品化し、発売してきた。おそらく多くのPhile-web読者の方々がご存知であろう、業務用マスターモニター「BVM-X300」や、2007年にコンシューマー向けの有機ELテレビとして発売された「XEL-1」などが代表例だ。平井氏がA1Eシリーズを「ソニーだからこそ実現できた高画質な大画面有機ELテレビ」と紹介した背景には、ソニーの実績を踏まえた自信の裏付けがあったからだろう。
A1Eシリーズの特徴は高精細な4K/HDR画質に留まらず、オーディオにも及んでいるところがソニーらしい。本機には大画面有機ELテレビとして世界で初めて、ディスプレイ面が振動して音を発生させる「Acoustic Surface」(アコースティックサーフェス)と呼ばれる技術が搭載されている。今日のプレスカンファレンスの会場ではデモが用意されていなかったため、そのパフォーマンスを体験したり、技術の詳細を訊ねることができなかったが、一体どれぐらいパワーのある音が出せるのか、音の解像感も含めて興味深いところだ。
今回発表されたブラビアの新製品はA1Eシリーズだけではなかった。液晶テレビ「X940E/X930E」シリーズにも独自のサイドエッジ方式による最新のバックライト技術「Slim Backlight Drive+」を搭載するフレッシュなモデルが出そろった(関連ニュース)。恐らくこちらも日本での展開を先見しながら開発が進められている製品なのだろう。
平井氏はCESのカンファレンスで、ソニーがこれまで以上に「HDR」に注力していく考えを繰り返し説いていた。「いま全世界でHDRに対応する映像機器やコンテンツに注目が集まっている。ソニーはHDR映像を最高画質で記録できる業務用4Kカメラをいち早く商品化してきた。最近になってようやく映像編集、あるいは伝送機器や表示ディスプレイのテクノロジーがHDRのテクノロジーに追いついてきたため、HDRがもたらす感動を一般のユーザーに届けられる時代が訪れた」と平井氏は語った。
またゲームコンソールについても、昨年秋に発売した「PS4 Pro」がHDR対応を実現したことから、「これからゲーミングの世界にもHDRの魅力が徐々に浸透していくだろう。ソニーはテクノロジーからエンターテインメントまで、幅広くHDRの価値をアピールできるメーカーだ」と強調した。そして、これこそがソニーの強みとして平井氏が唱えてきた、ソニーが持てる資産を一つに束ねる「One Sony」という考え方の元にまとまってきた成果であると力強い口調で述べた。
いま同社の4K/HDRテレビはHDR10の方式にのみ対応しているが、A1Eシリーズ、X940E/X930Eシリーズは新たにドルビービジョンによるHDR方式にも対応することが明らかにされた。また今後は既発売の「Z9D」シリーズについてもソフトウェア更新によりドルビービジョン対応になる計画があることも平井氏が発表した。
テレビのほかにも短焦点プロジェクター「VPL-VZ1000ES」、UHD BDプレーヤー「UBP-X800」も今年にソニーが発売を予定するHDR対応の新製品だ。平井氏はグループ会社であるソニーピクチャーズ エンターテインメントでも多くのUHD Blu-rayタイトルが作品化されていることについても触れている。
●ユーザーに大きなインパクトと感動をもたらす革新的な製品を
オーディオについては、昨年のCESではデザインコンシャスなポータブルオーディオ「h.ear」シリーズのラインナップが一気に追加発表された。今年は4K/HDRの強化戦略に同調するかたちで、主にホームシアター系の魅力的な新製品が充実したことが印象深い。
本日の発表時点では北米向けのモデルとして断りが入れられていたが、ファントムサラウンド機能を搭載するAVアンプ「STR-DN1080」や、7.1.2チャンネル再生に対応するサウンドバー「HT-ST5000」など、ハイレゾ再生だけでなく、ソニーとして初めてドルビーの3Dサラウンドフォーマットである「Dolby Atmos」に対応するAVアンプとホームシアターサウンドシステムが発表された(関連ニュース)。
平井氏は壇上で「常にイノベーティブな製品やサービスを追求する姿勢はソニーのDNAに刻まれており、企業を動かす推進力にもなっている」と述べている。CESの会場には欧米でも注目度が上がっている完全ワイヤレスイヤホンや、ネックバンドタイプのワイヤレスイヤホンのコンセプトモデルが出展された(関連ニュース)。それぞれの製品について詳しい内容は明らかにされていないが、平井氏は壇上で、ソニーが培ってきたデジタルNC技術が搭載されることを予告している。
平井氏は、コンシューマー向けに、ヘッドホンやイヤホンで純粋に“いい音”を楽しむためのノイズキャンセリング技術を古くから開発してきたメーカーはソニーであると強調しながら、日本国内だけでなく欧米でも人気のノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスヘッドホン「MDR-1000X」の成功についても触れた。
生活空間を活かしながら、オーディオビジュアルによる新しい体験価値をつくることをコンセプトに開発された「Life Space UX」シリーズにも新しいコンセプトモデルが加わった。一見するとAVラック調の家具のようなデザインの製品に、短焦点の4K対応プロジェクターが組み込まれている。コンセプトネームは「新4Kプロジェクター〜It's all here〜」。本機が提案する「誰も予想もしなかった感動」が、CESに集まった来場者にどう響くのか楽しみだと平井氏は期待感を語った。
ゲームミングのビジネスは好調が続くPS4シリーズに、昨年秋から「PS VR」が加わったことで追い風が吹いた。平井氏はこれからもVRビジネスに注力していくことについても触れ、今後はグループ会社であるソニーピクチャーズ エンタテインメントやソニーミュージック エンタテインメントも積極的にVRコンテンツの製作に関わっていくことになるだろうとした。
平井氏は「私はこれからのコンシューマーエレクトロニクスが私たちの生活にもたらすであろう、大きなインパクトのことを想像するとワクワクせずにはいられない。ソニーはいつも『何を、どうすればできるのか』という姿勢だけでなく、『なぜ革新的な製品が必要なのか』という視点を大切にしながら、ユーザーの視点に立って技術を製品を開発している。核心にはいつも『感動をもたらしたい』という、ソニー社員の熱い想いがある。私個人としても、時にユーザーの方々のクリエイティビティを刺激し、また安らぎを与えられるような製品をつくるという使命感を忘れずにモノヅクリに携わっているつもりだ」とスピーチの壇上で誓いを立てた。
今年のCESに出展するソニーのブースに足を運ぶと、入口には業務用での展開を予定する高画質ディスプレイ「CLEDIS」が待ち構えている。驚くのはそのサイズ。横9.7m、縦2.7mという144枚のユニットを貼り合わせた巨大な画面が映し出す高精細な映像は圧巻だ。
平井氏は「CLEDISの画質をご覧いただければ、皆様が思わず“WOW”と言ってしまうだろうと確信している。私が繰り返し述べてきた、ソニーが皆様の間近にお届けしたいと考えている“感動”をぜひ体験して欲しい」と笑みを浮かべながら呼びかけた。例年よりもさらに熱っぽくソニーの未来を語る平井氏のスピーチがとても印象的だった。
カンファレンスの壇上には例年通り平井一夫社長が登壇。今年の展示のハイライトになる製品と、それぞれの背後に通うコンセプトを順に説明するかたちでスピーチを進行した。平井氏は「今回、私も開発に深く関わってきた製品を揃えて皆様に紹介できる機会を持てたことがとても嬉しい」と熱っぽい言葉でスピーチを切り出した。
●ブラビアの新製品を大々的に発表、HDR対応への注力も強調
ソニーの出展で一番大きな目玉はやはり有機ELテレビ“ブラビア”「A1E」シリーズだろう(関連ニュース)。昨年のCESでは現行最上位機種の液晶テレビ「Z9D」シリーズに搭載された映像処理プロセッサー「X1 Extreme」と、基幹技術のひとつである「Backlight Master Drive」がお披露目されたが、まだ商品のかたちを成していなかった。今回は有機ELテレビとして最終形に近いデザインで姿を現したこともあり、スピーチの終了後にも展示コーナーに大勢の来場者が集まっていた。平井氏からはA1Eシリーズの発売時期や価格、日本での展開予定など具体的なアナウンスはなかったが、日本での発売は大いに期待ができそうだ。
これまでにもソニーは有機ELを採用するディスプレイ機器を商品化し、発売してきた。おそらく多くのPhile-web読者の方々がご存知であろう、業務用マスターモニター「BVM-X300」や、2007年にコンシューマー向けの有機ELテレビとして発売された「XEL-1」などが代表例だ。平井氏がA1Eシリーズを「ソニーだからこそ実現できた高画質な大画面有機ELテレビ」と紹介した背景には、ソニーの実績を踏まえた自信の裏付けがあったからだろう。
A1Eシリーズの特徴は高精細な4K/HDR画質に留まらず、オーディオにも及んでいるところがソニーらしい。本機には大画面有機ELテレビとして世界で初めて、ディスプレイ面が振動して音を発生させる「Acoustic Surface」(アコースティックサーフェス)と呼ばれる技術が搭載されている。今日のプレスカンファレンスの会場ではデモが用意されていなかったため、そのパフォーマンスを体験したり、技術の詳細を訊ねることができなかったが、一体どれぐらいパワーのある音が出せるのか、音の解像感も含めて興味深いところだ。
今回発表されたブラビアの新製品はA1Eシリーズだけではなかった。液晶テレビ「X940E/X930E」シリーズにも独自のサイドエッジ方式による最新のバックライト技術「Slim Backlight Drive+」を搭載するフレッシュなモデルが出そろった(関連ニュース)。恐らくこちらも日本での展開を先見しながら開発が進められている製品なのだろう。
平井氏はCESのカンファレンスで、ソニーがこれまで以上に「HDR」に注力していく考えを繰り返し説いていた。「いま全世界でHDRに対応する映像機器やコンテンツに注目が集まっている。ソニーはHDR映像を最高画質で記録できる業務用4Kカメラをいち早く商品化してきた。最近になってようやく映像編集、あるいは伝送機器や表示ディスプレイのテクノロジーがHDRのテクノロジーに追いついてきたため、HDRがもたらす感動を一般のユーザーに届けられる時代が訪れた」と平井氏は語った。
またゲームコンソールについても、昨年秋に発売した「PS4 Pro」がHDR対応を実現したことから、「これからゲーミングの世界にもHDRの魅力が徐々に浸透していくだろう。ソニーはテクノロジーからエンターテインメントまで、幅広くHDRの価値をアピールできるメーカーだ」と強調した。そして、これこそがソニーの強みとして平井氏が唱えてきた、ソニーが持てる資産を一つに束ねる「One Sony」という考え方の元にまとまってきた成果であると力強い口調で述べた。
いま同社の4K/HDRテレビはHDR10の方式にのみ対応しているが、A1Eシリーズ、X940E/X930Eシリーズは新たにドルビービジョンによるHDR方式にも対応することが明らかにされた。また今後は既発売の「Z9D」シリーズについてもソフトウェア更新によりドルビービジョン対応になる計画があることも平井氏が発表した。
テレビのほかにも短焦点プロジェクター「VPL-VZ1000ES」、UHD BDプレーヤー「UBP-X800」も今年にソニーが発売を予定するHDR対応の新製品だ。平井氏はグループ会社であるソニーピクチャーズ エンターテインメントでも多くのUHD Blu-rayタイトルが作品化されていることについても触れている。
●ユーザーに大きなインパクトと感動をもたらす革新的な製品を
オーディオについては、昨年のCESではデザインコンシャスなポータブルオーディオ「h.ear」シリーズのラインナップが一気に追加発表された。今年は4K/HDRの強化戦略に同調するかたちで、主にホームシアター系の魅力的な新製品が充実したことが印象深い。
本日の発表時点では北米向けのモデルとして断りが入れられていたが、ファントムサラウンド機能を搭載するAVアンプ「STR-DN1080」や、7.1.2チャンネル再生に対応するサウンドバー「HT-ST5000」など、ハイレゾ再生だけでなく、ソニーとして初めてドルビーの3Dサラウンドフォーマットである「Dolby Atmos」に対応するAVアンプとホームシアターサウンドシステムが発表された(関連ニュース)。
平井氏は壇上で「常にイノベーティブな製品やサービスを追求する姿勢はソニーのDNAに刻まれており、企業を動かす推進力にもなっている」と述べている。CESの会場には欧米でも注目度が上がっている完全ワイヤレスイヤホンや、ネックバンドタイプのワイヤレスイヤホンのコンセプトモデルが出展された(関連ニュース)。それぞれの製品について詳しい内容は明らかにされていないが、平井氏は壇上で、ソニーが培ってきたデジタルNC技術が搭載されることを予告している。
平井氏は、コンシューマー向けに、ヘッドホンやイヤホンで純粋に“いい音”を楽しむためのノイズキャンセリング技術を古くから開発してきたメーカーはソニーであると強調しながら、日本国内だけでなく欧米でも人気のノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスヘッドホン「MDR-1000X」の成功についても触れた。
生活空間を活かしながら、オーディオビジュアルによる新しい体験価値をつくることをコンセプトに開発された「Life Space UX」シリーズにも新しいコンセプトモデルが加わった。一見するとAVラック調の家具のようなデザインの製品に、短焦点の4K対応プロジェクターが組み込まれている。コンセプトネームは「新4Kプロジェクター〜It's all here〜」。本機が提案する「誰も予想もしなかった感動」が、CESに集まった来場者にどう響くのか楽しみだと平井氏は期待感を語った。
ゲームミングのビジネスは好調が続くPS4シリーズに、昨年秋から「PS VR」が加わったことで追い風が吹いた。平井氏はこれからもVRビジネスに注力していくことについても触れ、今後はグループ会社であるソニーピクチャーズ エンタテインメントやソニーミュージック エンタテインメントも積極的にVRコンテンツの製作に関わっていくことになるだろうとした。
平井氏は「私はこれからのコンシューマーエレクトロニクスが私たちの生活にもたらすであろう、大きなインパクトのことを想像するとワクワクせずにはいられない。ソニーはいつも『何を、どうすればできるのか』という姿勢だけでなく、『なぜ革新的な製品が必要なのか』という視点を大切にしながら、ユーザーの視点に立って技術を製品を開発している。核心にはいつも『感動をもたらしたい』という、ソニー社員の熱い想いがある。私個人としても、時にユーザーの方々のクリエイティビティを刺激し、また安らぎを与えられるような製品をつくるという使命感を忘れずにモノヅクリに携わっているつもりだ」とスピーチの壇上で誓いを立てた。
今年のCESに出展するソニーのブースに足を運ぶと、入口には業務用での展開を予定する高画質ディスプレイ「CLEDIS」が待ち構えている。驚くのはそのサイズ。横9.7m、縦2.7mという144枚のユニットを貼り合わせた巨大な画面が映し出す高精細な映像は圧巻だ。
平井氏は「CLEDISの画質をご覧いただければ、皆様が思わず“WOW”と言ってしまうだろうと確信している。私が繰り返し述べてきた、ソニーが皆様の間近にお届けしたいと考えている“感動”をぜひ体験して欲しい」と笑みを浮かべながら呼びかけた。例年よりもさらに熱っぽくソニーの未来を語る平井氏のスピーチがとても印象的だった。