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公開日 2019/02/18 16:40
人材輩出で新市場を創造する
タワレコの新規事業「TOWER ACADEMY」発表会詳細。5G化の加速で生み出すエンターテインメントとは
Senka21編集部 徳田ゆかり
先のニュースにて発信したタワーレコード(株)の新規事業、5G時代の音楽エンタメ人材を育成する「TOWER ACADEMY(タワーアカデミー)」開校に関して開催された発表会の詳細をお伝えする。
タワーレコード(株)代表取締役副社長および「TOWER ACADEMY」の校長を務める伊能(いよく)美和子氏が粋な和服で登場し、自ら行なったプレゼンテーション。その冒頭では、自身の経歴が紹介された。
伊能氏はNTTグループの出身。その中でイントレプレナー(企業内起業家)として20年間活躍したという。その内容は、「音楽×映像×教育」。音楽業界で著作権処理の業界横断型プラットフォーム「全曲報告システム」を、オーディオフィンガープリント技術を用いて導入した。映像業界ではデジタルサイネージの可能性に着目し、一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムを発足して専務理事に就任、アウトオブホームメディア市場の創生に寄与した。教育業界では、大人の学び直し「リカレント教育」の推進を牽引し、日本初の大規模公開オンライン講義配信サービスである「gacco」を立ち上げた。
今年日本上陸40周年を迎えるタワーレコード。全国79の店舗を構えるリテール(小売)、5店舗を構えるカフェ、グッズ製作、レーベル(原盤制作)、ディストリビューション(卸)、ライブ事業などを展開し、“LIFE MUSIC COMPANY”を目指す。若者を中心に新しい音楽との出会いの場を提供し、欧米カルチャーのエバンジェリスト的存在となった1980年代に対して、現在はライブやカフェなどCD購入以外の楽しみ方を提案し、アーティストとファンの直接的な交流の機会を提供している。「リアルの場を活用したライブステージも展開し、音楽に関わるコト発信をしている。Jポップやアイドル、Kポップなどいろいろな流行をつくってきた自負もあり、それをコトとしてご提供してきた」。
さらにこれからは、「世の中がデジタルトランスフォーメーションしていく中、我々自身もデジタル化していきたい。デジタルを活用した新しい音楽体験をご提供し、ワクワク感、新体感を引き続きお届けする。ファンの方々とともに作り上げてきた会社として、これからも頑張っていく」と伊能氏。その活動に自らの経歴をおおいに活かしていくこととなる。
タワーレコードのこうした新規事業開発の基本方針は、リアルとデジタルの融合。「最近の言葉では、“サイバーフィジカル”と言う。タワーレコードがそもそも強みとしているフィジカルなリアルの音楽発信とともに、環境やユーザー嗜好の変化に合わせ先取りした積極的な提案を目指す」。そこで「“EnterTech”、エンターテイメント領域での人材をつくっていきたい」と意欲を燃やす。
「新体感」は、「NTTドコモでかなり使っている言葉」と明かす。「ご存知ない方も多いですが、タワーレコードはNTTドコモの子会社。二人三脚で新しいエンターテインメントの実現を推進している。NTTドコモの言う“新体感ライブエンターテインメント”の世界は、ライブ会場、サテライト会場、自宅の3点。こうしたところを結びながらどこでもいろいろな形でインタラクティブに楽しんでいただく世界観。ここでもEnterTech人材が非常に重要と考える」。
新体感ライブエンターテインメントとしては、2017年からトライアルを進めている。同年9月にタワーレコード、NTTドコモ、NTTぷららによって、NTT研究所の開発した3Dホログラム技術「Kirari! for Mobile」を用いて、アイドルのイベントの一部をリアルタイムにタワーレコード渋谷店地下のステージに浮かび上がらせた。11月にはステージでのライブ演奏を幕張メッセの「Inter BEE」に伝送、ライブビューイングを行った。この際は「Inter BEE」会場に透過性のスクリーンを設置、等身大でアーティストが動き回る様子が実現。アプリを用いてスマホでその様子を見たり、スマホで送った応援メッセージがスクリーンに雪の結晶の形で現れるといった参加型のインタラクティブ要素も加えられた。新体感ライブはトライアルを経て2019年1月18日より実際にサービス提供が開始されており、ライブ配信などが実施されている。
ここで伊能氏はライブの市場動向に触れ、「順調に伸長しているライブ、コンサート市場は面白いと見ている。モノからコトへの現象がより加速していると思われる」と説明。「これをさらに加速させるのが携帯電話の5G化。特長を生かしてどんなエンターテインメントが作れるかを、作る側もそれを楽しむお客様にも考えていただきたいと思う。そんな場づくりをしていきたい」。
それを推進していく「TOWER ACADEMY」。そのロゴは「タワーレコードのロゴと似ているが、日の出、5Gの地平を超えていく、といったイメージを想起するもの」と説明された。「5G時代の音楽を基軸としたエンターテインメントコンテンツを生み出す人材を輩出し、それによって新しい仕事が生まれるようなことを目的に、3つのミッションと3つの機能(写真)をもっていく。そこで学ぶ者同士が触れ合い刺激し合って共創し、新しい仕事や業界を生み出す人材を輩出する。業界全体のトランスデジタルフォーメーションが進むと思っている」。
「映像×音楽」「ライブ×音楽」「カルチャー×音楽」「ICT×音楽」「ビジネス×音楽」といった、5G時代の音楽を基軸としたライブエンターテインメント、ICT、映像などがさまざまに交差するすべてがその学びの領域。学びのスタイルは、教室や店舗でのリアルの授業、オンライン、スマホなどを組み合わせ、効率的でサイバーフィジカルな学びの場を提供する。さらに、新領域で活躍できるプロデューサーやクリエイター、アーティストを生み出し、リスナーやファン、ユーザーをも巻き込むコミュニティを形成する。「趣味の多様化と言われるが、いろいろな方々をTOWER ACADEMYの軸でつないでいく。タワーレコードのお客様、NTTドコモのお客様、皆様が仲間となって進んでいければと思う」。
人材輩出先として、「エンターテインメント業界を始め、一般企業のニーズもあるかと思う。地方自治体にも人材輩出ができれば。副業として独立していく方も生まれる、そんな時代であると思う」と期待する。講座のスケジュールは別表のとおりだが「皆様の動向を見ながら、マーケットニーズに応じて旬なものをタイムリーにご紹介する。それが学校法人でない学校のよさ。皆様のご意見でどんどん変わっていくと思っている」。
以下は質疑応答の模様。(回答者:伊能氏)
Q.他の音楽学校との違いは。
A.これから変わっていこうとするエンターテインメントの世界を支える人材をつくりたい。楽器の演奏を教えるのではなくて、マーケットの関係者の方々にも積極的に経験や技術を後進に指導していただくことも。カリキュラムをかっちり決めるよりは、もう少し旬なものをスピーディに取り入れて行くイメージ。テクノロジーを意識した内容になっていく。
Q.会場などはどこか。受講者の想定人数は。
A.会場は渋谷店の地下スタジオを使うこともあり、音楽ホールを使うことも。色々な方とコラボしながら会場を使っていく。場所を固定すると、その場所でしかできないことに限定される。将来的に固定の場所を作る可能性もあるが、当面はそうではなく内容に合わせて場所を変える。スマホなどオンラインについては、夏をめどにつくりたい。今は反転学習といって、オンラインで知識を学び、リアルで発展的議論をするような、新しい方法が普及している。そういう新しい学び方を採用しようと考えている。人数は、3年をめどに1万人くらいを輩出できるように考えている。
Q.タワーレコードを連想させる名前。CDという旧文化をひきずったもの。そのギャップをどう埋めるのか。
A.CDはできた当時すごい技術だった。どんな技術もやがて陳腐化するもの。タワーレコードが旧文化のイメージで見られているとしたら、そうではなく次の世界、常にワクワク感を提供したいと思っている。古い新しいというより、今の方々がワクワクすることを届けるのにテクノロジーは不可欠。それはすでに市場で使われているもの。ならば積極的にそれをやっていく。また一般的に楽しんでいただけるような講座も用意する。裏にテクノロジーは隠れているが親しみやすいものもある。「どうだすごいだろう!」というものは、まだ普及していないもの。そうではなく、実はすごいのだけれども楽しい、面白いと思っていただけるものを準備したい。
Q.どうやってビジネスを成立させるのか。3年間で1万人、1講座もし1万円とすると規模が小さいのでは。たとえばアップセルの高額講座、育った人を組織化して事業化する、といったことか。
A.まさにそういったことを考えている。もう少し長く学んでいただけるような、ビジネスとしてやっていけるレベルのものも用意する。輩出された人材について、弊社で仕事をしていただくこともあるだろう。音楽業界や他の業界に技術や素養を身につけた方々を紹介するなどといったことも視野に入れている。将来的には人材紹介にもなるといい。目指しているわけではなく、結果としてということである。
タワーレコード(株)代表取締役副社長および「TOWER ACADEMY」の校長を務める伊能(いよく)美和子氏が粋な和服で登場し、自ら行なったプレゼンテーション。その冒頭では、自身の経歴が紹介された。
伊能氏はNTTグループの出身。その中でイントレプレナー(企業内起業家)として20年間活躍したという。その内容は、「音楽×映像×教育」。音楽業界で著作権処理の業界横断型プラットフォーム「全曲報告システム」を、オーディオフィンガープリント技術を用いて導入した。映像業界ではデジタルサイネージの可能性に着目し、一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムを発足して専務理事に就任、アウトオブホームメディア市場の創生に寄与した。教育業界では、大人の学び直し「リカレント教育」の推進を牽引し、日本初の大規模公開オンライン講義配信サービスである「gacco」を立ち上げた。
今年日本上陸40周年を迎えるタワーレコード。全国79の店舗を構えるリテール(小売)、5店舗を構えるカフェ、グッズ製作、レーベル(原盤制作)、ディストリビューション(卸)、ライブ事業などを展開し、“LIFE MUSIC COMPANY”を目指す。若者を中心に新しい音楽との出会いの場を提供し、欧米カルチャーのエバンジェリスト的存在となった1980年代に対して、現在はライブやカフェなどCD購入以外の楽しみ方を提案し、アーティストとファンの直接的な交流の機会を提供している。「リアルの場を活用したライブステージも展開し、音楽に関わるコト発信をしている。Jポップやアイドル、Kポップなどいろいろな流行をつくってきた自負もあり、それをコトとしてご提供してきた」。
さらにこれからは、「世の中がデジタルトランスフォーメーションしていく中、我々自身もデジタル化していきたい。デジタルを活用した新しい音楽体験をご提供し、ワクワク感、新体感を引き続きお届けする。ファンの方々とともに作り上げてきた会社として、これからも頑張っていく」と伊能氏。その活動に自らの経歴をおおいに活かしていくこととなる。
タワーレコードのこうした新規事業開発の基本方針は、リアルとデジタルの融合。「最近の言葉では、“サイバーフィジカル”と言う。タワーレコードがそもそも強みとしているフィジカルなリアルの音楽発信とともに、環境やユーザー嗜好の変化に合わせ先取りした積極的な提案を目指す」。そこで「“EnterTech”、エンターテイメント領域での人材をつくっていきたい」と意欲を燃やす。
「新体感」は、「NTTドコモでかなり使っている言葉」と明かす。「ご存知ない方も多いですが、タワーレコードはNTTドコモの子会社。二人三脚で新しいエンターテインメントの実現を推進している。NTTドコモの言う“新体感ライブエンターテインメント”の世界は、ライブ会場、サテライト会場、自宅の3点。こうしたところを結びながらどこでもいろいろな形でインタラクティブに楽しんでいただく世界観。ここでもEnterTech人材が非常に重要と考える」。
新体感ライブエンターテインメントとしては、2017年からトライアルを進めている。同年9月にタワーレコード、NTTドコモ、NTTぷららによって、NTT研究所の開発した3Dホログラム技術「Kirari! for Mobile」を用いて、アイドルのイベントの一部をリアルタイムにタワーレコード渋谷店地下のステージに浮かび上がらせた。11月にはステージでのライブ演奏を幕張メッセの「Inter BEE」に伝送、ライブビューイングを行った。この際は「Inter BEE」会場に透過性のスクリーンを設置、等身大でアーティストが動き回る様子が実現。アプリを用いてスマホでその様子を見たり、スマホで送った応援メッセージがスクリーンに雪の結晶の形で現れるといった参加型のインタラクティブ要素も加えられた。新体感ライブはトライアルを経て2019年1月18日より実際にサービス提供が開始されており、ライブ配信などが実施されている。
ここで伊能氏はライブの市場動向に触れ、「順調に伸長しているライブ、コンサート市場は面白いと見ている。モノからコトへの現象がより加速していると思われる」と説明。「これをさらに加速させるのが携帯電話の5G化。特長を生かしてどんなエンターテインメントが作れるかを、作る側もそれを楽しむお客様にも考えていただきたいと思う。そんな場づくりをしていきたい」。
それを推進していく「TOWER ACADEMY」。そのロゴは「タワーレコードのロゴと似ているが、日の出、5Gの地平を超えていく、といったイメージを想起するもの」と説明された。「5G時代の音楽を基軸としたエンターテインメントコンテンツを生み出す人材を輩出し、それによって新しい仕事が生まれるようなことを目的に、3つのミッションと3つの機能(写真)をもっていく。そこで学ぶ者同士が触れ合い刺激し合って共創し、新しい仕事や業界を生み出す人材を輩出する。業界全体のトランスデジタルフォーメーションが進むと思っている」。
「映像×音楽」「ライブ×音楽」「カルチャー×音楽」「ICT×音楽」「ビジネス×音楽」といった、5G時代の音楽を基軸としたライブエンターテインメント、ICT、映像などがさまざまに交差するすべてがその学びの領域。学びのスタイルは、教室や店舗でのリアルの授業、オンライン、スマホなどを組み合わせ、効率的でサイバーフィジカルな学びの場を提供する。さらに、新領域で活躍できるプロデューサーやクリエイター、アーティストを生み出し、リスナーやファン、ユーザーをも巻き込むコミュニティを形成する。「趣味の多様化と言われるが、いろいろな方々をTOWER ACADEMYの軸でつないでいく。タワーレコードのお客様、NTTドコモのお客様、皆様が仲間となって進んでいければと思う」。
人材輩出先として、「エンターテインメント業界を始め、一般企業のニーズもあるかと思う。地方自治体にも人材輩出ができれば。副業として独立していく方も生まれる、そんな時代であると思う」と期待する。講座のスケジュールは別表のとおりだが「皆様の動向を見ながら、マーケットニーズに応じて旬なものをタイムリーにご紹介する。それが学校法人でない学校のよさ。皆様のご意見でどんどん変わっていくと思っている」。
以下は質疑応答の模様。(回答者:伊能氏)
Q.他の音楽学校との違いは。
A.これから変わっていこうとするエンターテインメントの世界を支える人材をつくりたい。楽器の演奏を教えるのではなくて、マーケットの関係者の方々にも積極的に経験や技術を後進に指導していただくことも。カリキュラムをかっちり決めるよりは、もう少し旬なものをスピーディに取り入れて行くイメージ。テクノロジーを意識した内容になっていく。
Q.会場などはどこか。受講者の想定人数は。
A.会場は渋谷店の地下スタジオを使うこともあり、音楽ホールを使うことも。色々な方とコラボしながら会場を使っていく。場所を固定すると、その場所でしかできないことに限定される。将来的に固定の場所を作る可能性もあるが、当面はそうではなく内容に合わせて場所を変える。スマホなどオンラインについては、夏をめどにつくりたい。今は反転学習といって、オンラインで知識を学び、リアルで発展的議論をするような、新しい方法が普及している。そういう新しい学び方を採用しようと考えている。人数は、3年をめどに1万人くらいを輩出できるように考えている。
Q.タワーレコードを連想させる名前。CDという旧文化をひきずったもの。そのギャップをどう埋めるのか。
A.CDはできた当時すごい技術だった。どんな技術もやがて陳腐化するもの。タワーレコードが旧文化のイメージで見られているとしたら、そうではなく次の世界、常にワクワク感を提供したいと思っている。古い新しいというより、今の方々がワクワクすることを届けるのにテクノロジーは不可欠。それはすでに市場で使われているもの。ならば積極的にそれをやっていく。また一般的に楽しんでいただけるような講座も用意する。裏にテクノロジーは隠れているが親しみやすいものもある。「どうだすごいだろう!」というものは、まだ普及していないもの。そうではなく、実はすごいのだけれども楽しい、面白いと思っていただけるものを準備したい。
Q.どうやってビジネスを成立させるのか。3年間で1万人、1講座もし1万円とすると規模が小さいのでは。たとえばアップセルの高額講座、育った人を組織化して事業化する、といったことか。
A.まさにそういったことを考えている。もう少し長く学んでいただけるような、ビジネスとしてやっていけるレベルのものも用意する。輩出された人材について、弊社で仕事をしていただくこともあるだろう。音楽業界や他の業界に技術や素養を身につけた方々を紹介するなどといったことも視野に入れている。将来的には人材紹介にもなるといい。目指しているわけではなく、結果としてということである。
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