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公開日 2019/04/23 16:56
5G・IoT時代を勝ち抜く

KDDIと東芝がグローバルIoT事業で協業。加速する企業のリカーリングビジネスへの転換を推進

Senka21編集部・竹内純
■世界規模で大きな価値を生み出せる

KDDI(株)、(株)東芝、東芝デジタルソリューションズ(株)は、5G・IoT時代を見据えたグローバルIoT事業での協業を発表。共同記者会見を開催した。

KDDIは、グローバルに事業を展開する製造業などの企業に対し、さまざまなIoT機器の通信接続からデータの収集・蓄積・見える化・分析などのデータ活用サービス、各国の法規制等に係る手続きまでをワンストップで提供する「IoT 世界基盤」を3月に発表(5月15日から商用トライアルの受付を開始)。一方、東芝は長年蓄積されたものづくりと音声・画像認識技術により、IoT/AIを活用したデジタルサービスをお客様と共創し、デジタルトランスフォーメーションを加速するIoT「SPINEX(スパインエックス)」を提供する。

補完関係にある両社のアセットを組み合わせたシナジーで、カーリングビジネスを世界規模で推進する

今回の協業では、この両者を連携することで、グローバルに事業を展開する製造業などの企業において、遠隔からの運転・メンテナンスサービスをリカーリングモデル(循環型ビジネス)に転換するなど、企業のビジネス変革およびグローバルIoT事業における競争力強化を推進していく。

KDDI(株)取締役執行役員常務・森敬一氏(写真右)と(株)東芝 執行役員専務 兼 東芝デジタルソリューションズ(株)取締役社長・錦織弘信氏

KDDI(株)取締役執行役員常務・森敬一氏は、ビジネスの2つの潮流を指摘する。1つは日系企業のグローバル進出の加速。2018年の輸出額は、1990年比で約1.9倍の81兆4,787億円、2016年の海外現地法人数は、2006年度比で約1.5倍の24,959事業所へ急拡大する。もう1つは、従来の“モノ売り”から“体験価値の提供”へ、ビジネスモデル転換の加速。各産業において、提供するサービスに対し、定期的・継続的に利益を得る「循環型ビジネス(リカーリングモデル)」に転換する動きが進んでいる。

企業のグローバル化はさらに加速

ビジネスモデルを転換、モノ売りからの脱却が図られる

2020年のIoT市場規模は日本で14兆円、世界では約18倍の247兆円に膨らむが、前記のリカーリングモデルをグローバル展開するにあたり、「海外のお客様に提供した商品がどこで、どうやって使われているのかが正確にわからない」「製品を使うお客様のペインポイントが予見できない」などの課題が表面化。さらに、実行・運営していくにおいても、「海外側のキャリア選択」「各国法規制やGDPR対応」「国際間の契約・交渉」「各国でのデバイス認証取得」「海外を含めた保守・運用体制」などの課題に突き当たる。

それら課題を解決するのがKDDI「IoT 世界基盤」。企業のIoTビジネスのグローバル展開における課題を、「データ蓄積・活用」「グローバル通信のアグリケーション」「法規制・認証取得」という3つのサービスで解決し、お客様のビジネス変革と事業拡大を強力にサポート。稼働状況や稼働場所の見える化、データ分析によるペインポイントの把握。120ヵ国以上での最適な通信の提供、統合的な管理・運用、法規制調査・申請代行、デバイス認証取得代行など、煩わしい課題をワンストップで解決する。

ビジネス課題をKDDI「世界 IoT基盤」が解決

実行面での課題もワンストップで解決できる

KDDIは、次世代の社会インフラとなる5Gを積極的に展開。通信のみならず、今回の協業の要となるプラットフォームの中核・KDDI「IoT 世界基盤」やオープンイノベーションを組み合わせることで、企業のリカーリングモデルへの転換をサポートし、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速する。今回の東芝グループとの協業では、リカーリングモデルを目指す両社の戦略が一致したこと、東芝が現場で使えるデータの知識を数多く有すること、最新のAI技術に常にチャレンジしていることなどから、「IoTにおける協業により世界規模で大きな価値を生み出すことができる」(森氏)と判断したもの。

パートナーのプラットフォームを組み込みシナジーを高めるKDDI「世界 IoT基盤」

■協業第1弾は東芝エレベーター

東芝は、モノづくり企業として長年にわたり培ってきた幅広い事業領域の知見や実績と、情報処理やデジタル・AI技術の強みを融合し、世界有数のサイバー・フィジカル・システム(CPS)テクノロジー企業への変革を目指している。CPS実現のための共通フレームワークである東芝IoTリファレンスアーキテクチャーに基づき、製造、社会インフラ、エネルギー、物流などの事業領域でエンタープライズIoTサービスを開発し、「SPINEX」ファミリーとして提供を進めている。

事業構造が大きく変わり、新たにCPSデジタル企業へ変革を掲げる東芝

IoTやAIなどデジタル技術の進展により、産業機器・設備などの維持・点検業務をサービスとして提供するリカーリングビジネスを企業の新たな競争力の源泉として見直す動きが高まる。今回の協業により、KDDI「IoT 世界基盤」および東芝のIoT「SPINEX」をベースに、デジタルトランスフォーメーション関連のソリューションを活用し、グローバル市場におけるIoT基盤の提供を推進。企業の高収益体質化とビジネス変革に貢献していく。

東芝のIoT「SPINEX」。サイバー空間とフィジカルを融合させてソリューションを創造する

2019年5月から協業の第1弾として、東芝エレベーター(株)の海外各拠点におけるエレベーター遠隔監視サービス化の実現へ、東芝のIoT「SPINEX」のIoTサービスとKDDI「IoT 世界基盤」を組み合わせた新たなサービス基盤の導入を検討する。東芝エレベーターは広く海外でも使用されており、今後は海外各拠点における遠隔監視サービスの迅速な立ち上げや高品質な遠隔モニタリングが期待される。

東芝エレベーターの海外での遠隔監視サービスが協業第1弾

今後、KDDIと東芝、東芝デジタルソリューションズは、KDDI「IoT 世界基盤」と東芝「SPINEX」を軸に、企業のデジタルトランスフォーメーションをともに推進。「お客様と一緒になって、どんなビジネスが必要かKDDIさんと考えていきたい」(錦織氏)、「5Gの特長を生かして効果の出るサービスを3社で行っていく」(森氏)と力を込めた。

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