ニュース
HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2019/11/28 15:02
A-PAB理事長らが会見
新4K8K放送が開始1周年、視聴可能台数は200万台超で「普及は順調」。深田恭子さんも登場
編集部:川田菜月
一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、新4K8K衛星放送スタートからまもなく1年を迎えるにあたってセレモニーを開催。10月末で視聴可能台数200万台超と「順調に普及が進んでいる」と現況を説明し、2020年の東京五輪に向けたさらなる意気込みを語った。会場には寺田稔総務副大臣も登壇、また推進キャラクターを務める深田恭子さんも登場した。
新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数は、4Kチューナー内蔵テレビ/外付けチューナー/4Kチューナー内蔵STBの3カテゴリー合計で、10月末時点で累計218万6千台。2019年1月から月ごとに振り返ると、テレビに関しては5月頃までは約6万7千台と足踏み状態だったが、6月からの5ヶ月間は約17万3千台とおよそ2.6倍に増加した。
A-PAB理事の木村政孝氏は「ようやく立ち上がってきたという印象」と語る一方で、「チューナー非搭載の4K対応テレビの出荷台数は約630万台ほどで、かなり普及している。ただ外付けチューナーの台数を考えると接続率はまだ低い状況。もっと増やしていきたい」とし、東京五輪に向けた一時的な需要増加も見込まれると語った。チューナー内蔵録画機器については「ようやく4社に増え、11月以降にデータが集計される。15万台ほどの出荷台数を目指したい」とのこと。
家電量販店での販売状況でいうと、8月と9月の売れ行きが好調で、昨年同月比では8月は1.8倍、9月は2.3倍に伸長。ラグビーワールドカップ2019など注目度の高いスポーツイベントの開催もあって需要がのびた格好だ。続く10月も前年比ほぼ横ばいの状況、11月も現時点では同様の予想だという。販売現場からは「年末に向けて手応えを感じている」と、力強い話も聞こえているとした。
年明け1月から3月にかけては、新生活スタート商戦の時期でもあり2Kの小型テレビの売りが目立つ傾向にある一方で、「市場調査では、東京五輪を新4K8K放送の美しい映像で見たいという声も多く出てきている」とのこと。A-PABとしても、2020年の東京五輪を一つのターゲットとして、さらなる普及に努めていくと語った。
また実際の視聴者状況として、A-PAB 4K8K推進センター長の宇佐美雄司氏からコールセンターの相談状況が報告された。9月時点ではテレビ買い替えに関する相談が増加していたが、10月には305件と減少。今後は冬のボーナス商戦に向けて増加が見込まれるとした。相談者のおよそ8割は男性とのこと、また年齢は60代が最も多く、50代、70代が続くかたちだ。
放送受信に対する意欲調査では、4K放送については昨年12月の約59%から徐々に低下傾向。5月頃に底打ちしたかたちで、「年末に向けては再び向上してきている」と分析した。8K放送も年間通して上下するものの、全体としては上昇傾向と判断。この点についても、やはり来年の東京五輪に向けて高まっていくものと期待していると語られた。
推進キャラクターの深田恭子さんも日頃から4K放送を楽しんでいるとのことで、「グルメ番組や旅番組などよく見ます。それからスポーツはやっぱり臨場感や迫力が感じられて、ラグビーワールドカップの試合も大画面で楽しみました。テレビを買っておいて良かった!と思いました」とコメント。
年末年始に向けた番組編成も発表。NHK BS4K/BS8Kでは合計7時間におよぶ生中継「アフリカ サファリツアー大中継 体感!野生動物の楽園」や、松田龍平主演のスペシャルドラマ「ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜」などを予定。また第70回紅白歌合戦も4K8K放送が予定されている。民放各局も様々なドラマ・映画の特別放送を予定している。なお、ピュア4K(2K撮影からのアップコンバートではなく制作段階から4Kのもの)の番組の比率は4月の発表時と大きく変わっておらず、民放は平均して10〜20%、放送が集中する日などは50%を超える時もあるとのこと。NHKも変わらず4Kはほぼ100%、8Kは70〜80%だという。
会場ではこれまで展開されてきた深田恭子さん出演のCM3パターンも放送された。なお、深田恭子さんは2017年に推進キャラクターに就任し、様々なイベント出演や広報活動をおこなってきたが、イベント出演は本日が最後になるとのことで、福田俊男会長から感謝状が贈られた。
セレモニーにはまず、A-PABの福田俊男理事長が登壇。「新4K8K衛星放送は2018年12月1日にスタートし、直後は足踏みの状況であったが、対応機器も揃ってきており、また2020年の東京五輪に向けて需要も伸びている。10月末までの視聴可能台数が200万台をようやく超え、順調に増えてきた」とコメント。機器の充実に加えて、ピュア4K放送も増えてきたとし、今後もさらなる普及に尽力すると語った。
続いて寺田稔総務副大臣があいさつに登場し、「新4K8K衛星放送は今後世界標準になっていくだろう。さらなる普及に向けて環境整備、コンテンツの拡充に期待している」とコメントした。
現在総務省では、右左旋対応アンテナを設置した際の電波漏洩対策に対する助成金制度を実施している。新4K8K衛星放送受信のためにアンテナに交換・設置した際、左旋の中間周波数電波が漏洩してしまうと、2018年4月の法改正により定められた漏洩基準を満たしていないと判断され違法となる。そのための対策を補助するもので、対象となるには2020年2月10日までに申請が必須。予算はおよそ6億円。まだ申請には余裕があるとのことで、早めの申請が推奨されている。
日本放送協会(NHK)会長の上田良一氏は、「8Kは海外でも価値が認められつつある」とし、先日行われたカンヌのコンテンツ見本市では、ノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロ氏原作の「浮世の画家」を大型画面で上映し、大きな反響があったという。東京五輪に向けては「世界の注目が集まるこの機会に、最高水準の映像を史上最大規模で提供していきたい」と力を込めた。
視聴環境については、「受信機器の増加もさることながら、それ以上に4K対応テレビがすでに市場に普及している。チューナー機器を付加して、別次元のテレビ放送を多くの方に体験してほしい」と期待をよせ、今後も普及推進のため先導的役割を果たしていくと語った。
一般社団法人 日本民間放送連盟会長の大久保好男氏は、「民放事業としても、4K8Kコンテンツの充実によって成長を促進できるよう努力していく。一方で昨年に引き続き、民放各局の経営状況は一段と厳しくなっている。いち早く新4K8K衛星放送が自立できるよう、関係各所と力を合わせて頑張っていきたい」とコメント。
JEITA AVC部会からは、東芝映像ソリューション(株)取締役上席副社長の安木成次郎氏が登壇。4K8K放送は「美しい映像と臨場感によって、人々の生活を快適で質の高いものに引き上げる、新しい価値を生み出している」とし、「今後は5G環境とも連携して様々な分野に応用されていくだろう。我々も新しい価値創造に取り組んでいきたい」と語った。
最後に、「東京五輪を目前とした今、スポーツには世界と未来を変える力があると言われている。最高画質と高音質で多くの視聴者にスポーツの素晴らしさや力強さを体験してもらいたい。さらなる普及促進に向けて努力していく」とした。
新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数は、4Kチューナー内蔵テレビ/外付けチューナー/4Kチューナー内蔵STBの3カテゴリー合計で、10月末時点で累計218万6千台。2019年1月から月ごとに振り返ると、テレビに関しては5月頃までは約6万7千台と足踏み状態だったが、6月からの5ヶ月間は約17万3千台とおよそ2.6倍に増加した。
A-PAB理事の木村政孝氏は「ようやく立ち上がってきたという印象」と語る一方で、「チューナー非搭載の4K対応テレビの出荷台数は約630万台ほどで、かなり普及している。ただ外付けチューナーの台数を考えると接続率はまだ低い状況。もっと増やしていきたい」とし、東京五輪に向けた一時的な需要増加も見込まれると語った。チューナー内蔵録画機器については「ようやく4社に増え、11月以降にデータが集計される。15万台ほどの出荷台数を目指したい」とのこと。
家電量販店での販売状況でいうと、8月と9月の売れ行きが好調で、昨年同月比では8月は1.8倍、9月は2.3倍に伸長。ラグビーワールドカップ2019など注目度の高いスポーツイベントの開催もあって需要がのびた格好だ。続く10月も前年比ほぼ横ばいの状況、11月も現時点では同様の予想だという。販売現場からは「年末に向けて手応えを感じている」と、力強い話も聞こえているとした。
年明け1月から3月にかけては、新生活スタート商戦の時期でもあり2Kの小型テレビの売りが目立つ傾向にある一方で、「市場調査では、東京五輪を新4K8K放送の美しい映像で見たいという声も多く出てきている」とのこと。A-PABとしても、2020年の東京五輪を一つのターゲットとして、さらなる普及に努めていくと語った。
また実際の視聴者状況として、A-PAB 4K8K推進センター長の宇佐美雄司氏からコールセンターの相談状況が報告された。9月時点ではテレビ買い替えに関する相談が増加していたが、10月には305件と減少。今後は冬のボーナス商戦に向けて増加が見込まれるとした。相談者のおよそ8割は男性とのこと、また年齢は60代が最も多く、50代、70代が続くかたちだ。
放送受信に対する意欲調査では、4K放送については昨年12月の約59%から徐々に低下傾向。5月頃に底打ちしたかたちで、「年末に向けては再び向上してきている」と分析した。8K放送も年間通して上下するものの、全体としては上昇傾向と判断。この点についても、やはり来年の東京五輪に向けて高まっていくものと期待していると語られた。
推進キャラクターの深田恭子さんも日頃から4K放送を楽しんでいるとのことで、「グルメ番組や旅番組などよく見ます。それからスポーツはやっぱり臨場感や迫力が感じられて、ラグビーワールドカップの試合も大画面で楽しみました。テレビを買っておいて良かった!と思いました」とコメント。
年末年始に向けた番組編成も発表。NHK BS4K/BS8Kでは合計7時間におよぶ生中継「アフリカ サファリツアー大中継 体感!野生動物の楽園」や、松田龍平主演のスペシャルドラマ「ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜」などを予定。また第70回紅白歌合戦も4K8K放送が予定されている。民放各局も様々なドラマ・映画の特別放送を予定している。なお、ピュア4K(2K撮影からのアップコンバートではなく制作段階から4Kのもの)の番組の比率は4月の発表時と大きく変わっておらず、民放は平均して10〜20%、放送が集中する日などは50%を超える時もあるとのこと。NHKも変わらず4Kはほぼ100%、8Kは70〜80%だという。
会場ではこれまで展開されてきた深田恭子さん出演のCM3パターンも放送された。なお、深田恭子さんは2017年に推進キャラクターに就任し、様々なイベント出演や広報活動をおこなってきたが、イベント出演は本日が最後になるとのことで、福田俊男会長から感謝状が贈られた。
セレモニーにはまず、A-PABの福田俊男理事長が登壇。「新4K8K衛星放送は2018年12月1日にスタートし、直後は足踏みの状況であったが、対応機器も揃ってきており、また2020年の東京五輪に向けて需要も伸びている。10月末までの視聴可能台数が200万台をようやく超え、順調に増えてきた」とコメント。機器の充実に加えて、ピュア4K放送も増えてきたとし、今後もさらなる普及に尽力すると語った。
続いて寺田稔総務副大臣があいさつに登場し、「新4K8K衛星放送は今後世界標準になっていくだろう。さらなる普及に向けて環境整備、コンテンツの拡充に期待している」とコメントした。
現在総務省では、右左旋対応アンテナを設置した際の電波漏洩対策に対する助成金制度を実施している。新4K8K衛星放送受信のためにアンテナに交換・設置した際、左旋の中間周波数電波が漏洩してしまうと、2018年4月の法改正により定められた漏洩基準を満たしていないと判断され違法となる。そのための対策を補助するもので、対象となるには2020年2月10日までに申請が必須。予算はおよそ6億円。まだ申請には余裕があるとのことで、早めの申請が推奨されている。
日本放送協会(NHK)会長の上田良一氏は、「8Kは海外でも価値が認められつつある」とし、先日行われたカンヌのコンテンツ見本市では、ノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロ氏原作の「浮世の画家」を大型画面で上映し、大きな反響があったという。東京五輪に向けては「世界の注目が集まるこの機会に、最高水準の映像を史上最大規模で提供していきたい」と力を込めた。
視聴環境については、「受信機器の増加もさることながら、それ以上に4K対応テレビがすでに市場に普及している。チューナー機器を付加して、別次元のテレビ放送を多くの方に体験してほしい」と期待をよせ、今後も普及推進のため先導的役割を果たしていくと語った。
一般社団法人 日本民間放送連盟会長の大久保好男氏は、「民放事業としても、4K8Kコンテンツの充実によって成長を促進できるよう努力していく。一方で昨年に引き続き、民放各局の経営状況は一段と厳しくなっている。いち早く新4K8K衛星放送が自立できるよう、関係各所と力を合わせて頑張っていきたい」とコメント。
JEITA AVC部会からは、東芝映像ソリューション(株)取締役上席副社長の安木成次郎氏が登壇。4K8K放送は「美しい映像と臨場感によって、人々の生活を快適で質の高いものに引き上げる、新しい価値を生み出している」とし、「今後は5G環境とも連携して様々な分野に応用されていくだろう。我々も新しい価値創造に取り組んでいきたい」と語った。
最後に、「東京五輪を目前とした今、スポーツには世界と未来を変える力があると言われている。最高画質と高音質で多くの視聴者にスポーツの素晴らしさや力強さを体験してもらいたい。さらなる普及促進に向けて努力していく」とした。