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公開日 2022/05/18 14:46
進化を支えるセンシングとAI技術

ソニー、2022年度経営方針を発表。重要な成長領域メタバースとモビリティで新たな感動空間を創出

PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純

■人を軸に長期的な視点で取り組む



ソニーグループは「2022年度経営方針説明会」を開催し、同社代表執行役 会長 兼 社長 CEO・の吉田憲一郎氏が説明を行った。

ソニーグループ(株)代表執行役 会長 兼 社長 CEO・の吉田憲一郎氏

経営においては、「クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす」というPurpose(存在意義)と「人に近づく」という方向性のもと、クリエイター、ユーザー、そして社員を含めた人を軸として、長期的な視点で取り組んでいると語る吉田氏。社会や地球環境に対しても事業を通して貢献し、グループ全体でのカーボンニュートラルと100%再エネ電力化の目標達成を、それぞれ10年前倒しすると明言した。

6つの事業セグメントを展開するが、これとは別に示されたのが、人を軸とした3つの事業領域。1つ目は、ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画の各事業による「人を動かす」事業。コンテンツIP、DTCサービスの強化を目的に、過去4年で1兆円を超える戦略投資を実施しており、エンターテインメントを動機としてソニーグループと直接つながる人を10億人にする長期ビジョンを掲げる。

2つ目は、エンタテインメント・テクノロジー&サービス、イメージング&センシング・ソリューションの各事業による「人と人を繋ぐ」事業。クリエイターが感動コンテンツを創り、それをユーザーが体験するためのテクノロジー、製品・サービスを提供する。「その中心になる」と指摘するのがエレクトロニクス製品とCMOSイメージセンサー。イメージセンサーでは過去4年で約1兆円を投資してトップシェアの座を誇示、成長が期待される車載やIoT向けのセンシングにも注力していく。

3つ目は、メディカルと金融事業による「人を支える」事業となる。「今後も感動と人を軸とした長期視点での経営のもと、IP、DTC、テクノロジー、そしてソニーへの投資を行い、企業価値を高めていく」と力を込めた。

■エンタメ3事業で連結売上高の過半を突破



続けて、「エンターテインメント3事業の取り組み」「感動空間」「テクノロジー」の3つの項目をクローズアップして説明を行った。

ゲーム、音楽、映画の3つのエンターテインメント事業は、2012年度以降継続的な成長を続けており、2021年度には3つの事業の売上高の合計が初めて、連結売上高で50%を超え、営業利益で3分の2を超えるまでに拡大する。

ゲーム、音楽、映画の3つのエンターテインメント事業の2021年度の売上高の合計が初めて連結売上高で50%超え

ゲーム事業で軸となるのがPlayStation。PlayStation 5は今年度1,800万台の販売を予定する。もうひとつのプラットフォームの柱となるのがPlayStation Networkで、ネットワーク経由の売上高は累計で1兆8000億円を突破。1億以上のアカウントが同サービスを利用している。

プラットフォーム提供者としてサードバーティとの関係も重視し、これまでにも数多くの買収や提携を行っている。米国のゲーム会社バンジーの買収では、「本格的なマルチプラットフォーム展開につながる大きな一歩になる」と大きな期待を寄せる。

音楽事業では、「アーティストとソングライターにもっとも近い企業でありたい」とクリエイティブ側から強力なサポートを継続。映画事業でも同様に、クリエイターを支え、コンテンツIPを創出する取り組みを強化していく構えだ。

次に、新たなエンターテイメント体験を創出する「感動空間」を取り上げ、2つの成長領域であるメタバースとモビリティについて説明した。

メタバースについて吉田氏は「ソニーの経営のキーワードは感動。それをつくり、届けることに創業時から取り組んできた。テクノロジーの進化により、放送、パッケージ、ネットワークと手段が広がり、さらに時間と空間を共有するソーシャルでインタラクティブな体験へと広がっている。エンターテインメントの本質は時間と空間を共有するライブだが、テクノロジーによってネットワーク空間がよりライブ的に進化。そして、その空間で人と人とをつなぐのがゲーム技術だ」と『フォートナイト』などを例に挙げた。

「ソーシャルな場であると同時に、ゲームや映画や音楽がネットワーク上で交わり、楽しみ方が拡がるライブネットワーク空間となり、アーティストにとっての新しい表現の場にもなっている。クリエイターのクリエイティビティをいかにインスパイアするか、そこへ参加する人にどれだけの感動、インスピレーションを与えられるかがわれわれのミッションになる」と訴え、スポーツにおいてもまた「ライブエンターテインメント技術を活かした新しい感動の機会がある」との考えを示した。

もうひとつのモビリティでは、「1979年にウォークマンで音を自由に持ち運べるライフスタイルを創造した。モビリティという移動空間を新しいエンタ空間にしていきたい。21世紀に入り、人の生活を大きく変えたのがモバイル、つぎはモビリティだ」と意気込む。

サービスを通じてソフトウェアがアップデートされ、購入した後も進化するこれからの車において、同社が貢献できる領域として、セイフティ、エンターテインメント、それらを支えるアダプタビリティの3つを挙げる。本田技研工業との戦略的提携が発表されており、2025年のEV販売開始を目指す。

最後の「テクノロジー」では、モビリティの安全性も支えるセンシングとAI技術を取り上げ、「ソニーが長年取り組んできた音と映像の領域では撮影における画像認識、ゲームや映画製作、3D モデルの製作などに活用されている。さらに、バーチャルプロダクション、スポーツ、VR などの領域でも、現実世界を捉えるセンシング技術と、捉えた世界から学ぶ AI の技術がエンターテインメントの進化を支える」と説明した。

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