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公開日 2023/04/06 11:53
大画面テレビのススメ
4Kテレビの視聴距離に新提案!2つの視聴位置から大画面と高画質を両立できるインチを見極める
編集部:長濱行太朗
TVS REGZAが本日4月6日、4K有機ELテレビの新フラグシップモデル「X9900M」シリーズなどを発表したが、その製品説明会の会場で、4Kテレビにおける新たな視聴距離の提案を聞くことができた。それが「いつも見ている位置」と「ダイニングテーブルからの位置」、この2つの視聴位置からテレビの距離を考慮し、4Kテレビのオススメ画面サイズを導き出すというものだ。
昨今、55/65インチに止まらず、75/77インチ、さらには83/85インチといった大画面の4Kテレビが各テレビメーカーから登場している。また、液晶テレビはもちろん、有機ELテレビもますます高画質化が進んでおり、大画面&高画質な4Kテレビが手に入れやすくなってきた。
しかし、量販店で並ぶ大画面の4Kテレビを目の当たりにすると、“実際に家に置けるのか” と心配になることもある。また、従来まで4Kテレビの最適な視聴距離と言われていた「1.5Hの視聴距離」で大型モデルを観ると、その大きさに躊躇してしまうケースも多いだろう。
1.5Hというのは、「テレビの画面の高さの1.5倍/画角60度」というもので、画面サイズを決める際の定説のひとつとされている。これは、画面を視聴する際の画角とピクセル数の計算に基づいており、視力1.0の方がこれ以上近付いて視聴するとピクセル構造が見えてしまうため、画素が見えない限界の距離となる。
例えば65インチ(16:9)の場合、画面寸法の高さは80.4cmとなるため、その1.5倍の120.6cm、つまり約1.2mが65インチの4Kテレビを視聴する上で最適な位置となる。だが、この距離で観ると、想像以上に大きく感じてしまう方もいるのではないだろうか。
そこでTVS REGZAは、より生活環境に基づきながらも、映像の実存感と臨場感や、ノイズの感じやすさといったアルゴリズムも考慮した視聴位置・視聴距離から、オススメの画面サイズを特定する提案をしている。それには2つの距離を確認してほしいという。
ひとつは「いつも見ている位置」からの距離で、テレビと向かい合わせで集中して観ているときの位置と捉えていいだろう。ここで同社が提唱するのが、「画面の高さ2.5〜3倍」(視力1.0を想定)を目安にしてほしいということ。この場合、65インチ(高さ80.4cm)であれば、2.5倍は201.25cm、3倍は241.2cmとなることから、約2.0〜2.4mの距離がオススメの視聴位置となる。
画面の高さの2.5〜3倍がオススメの視聴ポジションと見定める背景には、「2023年度版『レグザエンジンZRα』の開発の際に、ミリ波レーダーを導入する上で、改めて画質と視聴距離の関係性を調べ直したことが関係した」と、R&Dセンター 半導体開発ラボ グループ長の山内日美生氏は語る。
オススメの視聴ポジションを打ち出すには、実存感や臨場感の感じやすさ、ノイズの見やすさやコントラスト感度といったものが関わってくるとのこと。臨場感を得るには30度以上の水平画角が推奨されているとされ、約30度が3倍、約40度が2.5倍の距離となるようだ。
また実物感やコントラスト感に影響する指標として、角度あたりの解像度を示す角解像度が関わっており、角度あたりの絵柄のサイクル数はcpd(cycle per degree)という数値で表される。実存感は角解像度が高くなると上昇し、60cpdあたりから高い実存感が得られるとされており、4K映像を視力1.0の人が見た場合、2.5倍で約50cpd、3倍の距離で約60cpdの数値になるという。
また、人は5〜10cpdの絵柄に対してコントラスト感度が高くなるため、ノイズを知覚しやすい状態だといわれており、例えば地デジの放送番組に含まれている目立ちやすいノイズなどは、2.5倍でも約9.5cpd、3倍の距離で約11.5cpdになると、TVS REGZAの検証で統計が取れたそうだ。
これらを総合的に考慮すると、画面の高さの2.5〜3倍の視聴距離は、実存感や臨場感を高く感じやすく、ノイズも目立ちにくい、相互のバランスが優れている視聴位置になるのだ。
もうひとつの距離が「ダイニングテーブルからの位置」であり、いつも食事をしながら見るような位置だという。この位置について同社が着目したのが、EPG(電子番組表)が読める距離、また放送番組などの文字テロップの読み取りやすさ。こちらも視力1.0の人を考慮して統計を見出したようだ。
実際に検証してみると、65インチでは4.8m以内、75インチで5.6m以内となり、「ダイニングテーブルからの位置」は画面の高さの6倍の距離が当てはまった。この「いつも見ている位置」と「ダイニングテーブルからの位置」から、オススメのインチサイズを選んでみることが、大画面&高画質のバランスがベストな4Kテレビのサイズに繋がるという。
TVS REGZAの開発陣も、地デジなどの放送番組やネット動画を観ながら画質のチューニングを行う際、2.5〜3倍の距離で実施することが多く、またミリ波レーダーで最適化するときも、1.5倍は近距離、2.5〜3倍はオススメ距離、6倍までが遠距離としてチューニングを行っているとのこと。
同社のYouTubeチャンネル「レグザチャンネル」では、レグザブランド統括マネージャーの本村裕史氏と山内氏が詳解しているので、ぜひ見てみてほしい。
また本稿の内容が、今後の4Kテレビ選びの参考になれば幸いだ。 “大型の4Kテレビを置きたい”、“ワンサイズ上げてみたい”、そんな勇気を持てるかもしれない。
※参考文献:NHK放送技研研究所「実物との比較による高解像度画像の実存感」映像情報メディア学会報告書 March 2011
昨今、55/65インチに止まらず、75/77インチ、さらには83/85インチといった大画面の4Kテレビが各テレビメーカーから登場している。また、液晶テレビはもちろん、有機ELテレビもますます高画質化が進んでおり、大画面&高画質な4Kテレビが手に入れやすくなってきた。
しかし、量販店で並ぶ大画面の4Kテレビを目の当たりにすると、“実際に家に置けるのか” と心配になることもある。また、従来まで4Kテレビの最適な視聴距離と言われていた「1.5Hの視聴距離」で大型モデルを観ると、その大きさに躊躇してしまうケースも多いだろう。
1.5Hというのは、「テレビの画面の高さの1.5倍/画角60度」というもので、画面サイズを決める際の定説のひとつとされている。これは、画面を視聴する際の画角とピクセル数の計算に基づいており、視力1.0の方がこれ以上近付いて視聴するとピクセル構造が見えてしまうため、画素が見えない限界の距離となる。
例えば65インチ(16:9)の場合、画面寸法の高さは80.4cmとなるため、その1.5倍の120.6cm、つまり約1.2mが65インチの4Kテレビを視聴する上で最適な位置となる。だが、この距離で観ると、想像以上に大きく感じてしまう方もいるのではないだろうか。
そこでTVS REGZAは、より生活環境に基づきながらも、映像の実存感と臨場感や、ノイズの感じやすさといったアルゴリズムも考慮した視聴位置・視聴距離から、オススメの画面サイズを特定する提案をしている。それには2つの距離を確認してほしいという。
ひとつは「いつも見ている位置」からの距離で、テレビと向かい合わせで集中して観ているときの位置と捉えていいだろう。ここで同社が提唱するのが、「画面の高さ2.5〜3倍」(視力1.0を想定)を目安にしてほしいということ。この場合、65インチ(高さ80.4cm)であれば、2.5倍は201.25cm、3倍は241.2cmとなることから、約2.0〜2.4mの距離がオススメの視聴位置となる。
画面の高さの2.5〜3倍がオススメの視聴ポジションと見定める背景には、「2023年度版『レグザエンジンZRα』の開発の際に、ミリ波レーダーを導入する上で、改めて画質と視聴距離の関係性を調べ直したことが関係した」と、R&Dセンター 半導体開発ラボ グループ長の山内日美生氏は語る。
オススメの視聴ポジションを打ち出すには、実存感や臨場感の感じやすさ、ノイズの見やすさやコントラスト感度といったものが関わってくるとのこと。臨場感を得るには30度以上の水平画角が推奨されているとされ、約30度が3倍、約40度が2.5倍の距離となるようだ。
また実物感やコントラスト感に影響する指標として、角度あたりの解像度を示す角解像度が関わっており、角度あたりの絵柄のサイクル数はcpd(cycle per degree)という数値で表される。実存感は角解像度が高くなると上昇し、60cpdあたりから高い実存感が得られるとされており、4K映像を視力1.0の人が見た場合、2.5倍で約50cpd、3倍の距離で約60cpdの数値になるという。
また、人は5〜10cpdの絵柄に対してコントラスト感度が高くなるため、ノイズを知覚しやすい状態だといわれており、例えば地デジの放送番組に含まれている目立ちやすいノイズなどは、2.5倍でも約9.5cpd、3倍の距離で約11.5cpdになると、TVS REGZAの検証で統計が取れたそうだ。
これらを総合的に考慮すると、画面の高さの2.5〜3倍の視聴距離は、実存感や臨場感を高く感じやすく、ノイズも目立ちにくい、相互のバランスが優れている視聴位置になるのだ。
もうひとつの距離が「ダイニングテーブルからの位置」であり、いつも食事をしながら見るような位置だという。この位置について同社が着目したのが、EPG(電子番組表)が読める距離、また放送番組などの文字テロップの読み取りやすさ。こちらも視力1.0の人を考慮して統計を見出したようだ。
実際に検証してみると、65インチでは4.8m以内、75インチで5.6m以内となり、「ダイニングテーブルからの位置」は画面の高さの6倍の距離が当てはまった。この「いつも見ている位置」と「ダイニングテーブルからの位置」から、オススメのインチサイズを選んでみることが、大画面&高画質のバランスがベストな4Kテレビのサイズに繋がるという。
TVS REGZAの開発陣も、地デジなどの放送番組やネット動画を観ながら画質のチューニングを行う際、2.5〜3倍の距離で実施することが多く、またミリ波レーダーで最適化するときも、1.5倍は近距離、2.5〜3倍はオススメ距離、6倍までが遠距離としてチューニングを行っているとのこと。
同社のYouTubeチャンネル「レグザチャンネル」では、レグザブランド統括マネージャーの本村裕史氏と山内氏が詳解しているので、ぜひ見てみてほしい。
また本稿の内容が、今後の4Kテレビ選びの参考になれば幸いだ。 “大型の4Kテレビを置きたい”、“ワンサイズ上げてみたい”、そんな勇気を持てるかもしれない。
※参考文献:NHK放送技研研究所「実物との比較による高解像度画像の実存感」映像情報メディア学会報告書 March 2011