ニュース
HOME > ニュース > Gadgetニュース
公開日 2023/07/14 10:23
【連載】佐野正弘のITインサイト 第65回
光る背面をもっと有効活用、「Nothing Phone (2)」はどう進化したのか
佐野正弘
英国を拠点とする新興スマートフォンメーカーであるNothing Technology。同社は2022年に、背面が光る独自のデザインを備えた特徴的なスマートフォン「Nothing Phone (1)」を発売、日本でも2022年8月より販売開始して話題となったが、そのおよそ1年後となる7月12日に、新たなスマートフォン「Nothing Phone (2)」を発表した。
今回、そのNothing Phone (2)を発売前にお借りできたので、本稿ではその詳細についてレビューしていきたいと思う。
まず外観についてだが、ディスプレイサイズは6.7インチと、Nothing Phone (1)(6.55インチ)と比べ大きくなっているが、サイズはあまり大きく変わらない。ただ厚みは増していて、背面のガラスにやや丸みが付けられているのは、その厚さをカバーする狙いがあるようだ。
その背面のデザインも、透明でスマートフォンの中が一部見えるという点や、独自パーツを用いたデザイン性の強い内容となっている点、背面が光る「Glyph Interface」などは、やはりNothing Phone (1)と大きく変わっているわけではない。ただ、パーツの構成は大幅に見直しがなされているようで、Nothing Phone (1)ではつながった円状に構成されていた中央のLEDライトも、複数のパーツに分割されるなどいくつかの変化が見られる。
それゆえ、ぱっと見ではNothing Phone (1)と大きく変わらないように見えるのだが、よく見ると細かな部分が変わっていることが分かる。Nothing Phone (1)にあった象のようなパーツがなくなるなど、デザインのユニークさはやや減少してしまったが、Nothing Phoneらしさは損なわれていないといえよう。
一方で、今回は本体だけでなく各種パーツにもNothing Technologyらしい透明なデザインを採用。SIMピンに加え、Nothing Phone(2)では新たにコネクタ部分が透明のUSBケーブルも用意され、本体との統一感を演出している。
続いて、Nothing Phone最大の特徴となるGlyph Interfaceを確認してみよう。Nothing Phone (1)のGlyph Interfaceでも着信時の通知や充電時、あるいはカメラのライトなどとして光る仕組みを備えていたが、Nothing TechnologyとしてGlyph Interfaceは、あくまでスマートフォンの操作を最小限に抑えることを目的としている。それゆえ、インパクトが大きい割には利用シーンが限定されており、カスタマイズ性も弱いことが不満点だった。
そこでNothing Phone(2)では、Glyph Interfaceのコンセプトはそのままに、より活用シーンを広げるよう強化がなされている。その具体的な機能の1つとなるのが「Glyph Composer」である。
これは、Glyph Interfaceを活用した着信音を作曲できるもの。作曲と言っても、専用のアプリで録音ボタンを押した後、5つのパッドをタイミングよく押していくだけなので、誰でも簡単に光る着信音を作成することが可能だ。
ほかにも、「Uber」などサードパーティー製アプリとGlyph Interfaceを連動させる機能が追加されたり、音量のインジケーターなどとして活用できるようになったりするなど、Glyph Interfaceを活用できるシーンがより増えている。Glyph Interfaceの存在感がより高まったことは確かだろう。
だが、Glyph Interfaceより一層大きく変化したと感じるのが「Nothing OS」である。これはAndroid 13をベースに、Nothing Phone独自のインターフェースを搭載したものだが、こちらもNothing Phone (1)ではGlyph Interfaceへの対応と特徴的なドット調フォントの採用、そして独自開発のボイスレコーダーアプリくらいで、特徴的な要素は少なかった。
だが、Nothing OSが2.0に進化したことで、新たにNothing Phoneらしいデザインを取り入れたウィジェットが多数用意。よりNothing Phoneらしいホーム画面を演出できるようになったほか、アイコンのほとんどをモノクロにしてしまう仕組みも用意され、ホーム画面全体でNothing Phoneらしい落ち着いたトーンのデザインに統一できる。もっとも、全てのアプリのアイコンがモノクロになるわけではなく、ゲームアプリのアイコンなどはモノクロ化されないようだ。
では、スマートフォンとしての性能はどうか。Nothing Phone (2)は、チップセットにクアルコム製の「Snapdragon 8+ Gen1」を採用するほか、4700mAhのバッテリーを搭載。RAMとストレージはモデルによって異なり、それぞれ8GBと128GB、12GBと256GB、12GBと512GBの3種類が用意されている。
Nothing Phone (1)は、搭載するチップセット的にミドルクラスよりやや上という位置付けだったが、Nothing Phone (2)は性能をさらに向上させ、ハイエンドの性能を備えたのは嬉しい。無論、搭載されているチップセットは、昨年後半に発売されたハイエンドモデルに多く搭載されていたもので、最新の「Snapdragon 8 Gen2」と比べれば性能は落ちるのだが、それでもハイエンドモデルとしては十分高い性能を持つことに間違いない。
実際、「原神」などの重いゲームアプリで、グラフィックやフレームレートを最高水準に上げてプレイしてみたのだが、ディスプレイのリフレッシュレートも120Hzということもあって、フレーム落ちすることなく快適なプレイが可能だった。一方で気になるのは発熱だが、1時間ほどゲームをプレイして温度を測定してみたところ、最も熱い場所でも41度前後という結果に。それなりに熱くはなるが手に持てない程熱いとは感じず、パフォーマンスの低下も見られなかった。
そしてもう1つ気になるのはカメラだが、Nothing Phone (2)のメインカメラは、Nothing Phone (1)と同様、広角カメラにソニー、超広角カメラにサムスン電子製のイメージセンサーを採用。広角カメラのイメージセンサーが「IMX766」から「IMX890」に変更されているが、光学式手ブレ補正位は引き続き搭載されるなど、性能的に大きく変わっているわけではない。
カメラアプリも、ポートレート撮影など基本を押さえた内容で特別な要素はないのだが、Glyph Interfaceを撮影用のライトとして使えるのはNothing Phoneならではのポイントである。Nothing Phone (2)にはフラッシュライトも搭載されているが、Glyph Interfaceを使うと被写体だけでなく全体を明るく映し出すことが可能だ。
さらに言えばNothing Phone (2)では、Nothing Phone (1)では必ず4秒かかっていた夜景モードでの撮影がより短くなり、周囲の明るさによって変化するようになった。それぞれに効果は異なるので、暗い場所を撮影する際はうまく使い分けるのがいいだろう。
一方でフロントカメラは、ソニー製の「IMX615」を採用、画素数は3,200万画素となるなど性能は大幅にアップしている。また、フロントカメラの位置が左上から中央上部に移動したというのも、大きな変化といえるかもしれない。
そしてもう1つ、カメラで気になるのはシャッター音だ。Nothing Phone (1)は、カメラのシャッター音がかなり大きいのが気になったのだが、Nothing Phone (2)はシャッター音自体短いものに変更されたものの、音量はやはり大きく目立つ印象だ。ただ、お借りした端末を確認する限り、日本で販売されるスマートフォンとしては珍しくシャッター音をオフにできるようなので、気になる人は有効活用したい。
改めて振り返ると、Nothing Phone (2)はNothing Phone (1)の特徴はそのままにしながらも、インターフェースや性能の強化でブラッシュアップを図ることによって、よりNothin Phoneらしさを追求した1台に仕上がったといえる。中でも、活用の幅が狭かったGlyph Interfaceも、Glyph Composerなどによってより有効活用しやすくなったのは大きい。
また価格的にも、最も安価なRAM8GBのモデルで7万9,800円、最上位モデルで10万9,800円と、ハイエンドモデルとしては比較的購入しやすい点も、円安などでスマートフォンの値上がりが顕著な日本市場においてはメリットといえる。最近はハイエンドモデルの値上がりが著しいだけに、10万円前後で高性能のチップセットを搭載していることを考えれば、ゲーミングなどを目的に購入するのも悪くないだろう。
ただ一方で、日本での利用を考えると、依然中途半端な部分が残っているというのも正直なところだ。FeliCaに非対応というのもその1つだが、より気になるのは日本語フォントが、Nothing Phone独自のドット調のフォントに依然対応していないこと。それゆえNothing Phone (2)では、日本語表示にすると英字もドット調ではなく通常のフォントになってしまうようで、Nothing Phoneの世界観を多言語で実現することは依然課題だ。
同社では日本を重要な市場の1つと見ており、今後ローカル市場に向けた対応も強化していくとの方針を示しているが、デザインやインターフェースにこだわるNothing Phoneシリーズだけに、英語圏以外の市場に向けても、統一されたデザインの魅力を存分に届ける取り組みを強化して欲しいところだ。
今回、そのNothing Phone (2)を発売前にお借りできたので、本稿ではその詳細についてレビューしていきたいと思う。
■随所に進化がみられる外観デザイン。Glyph Interfaceは活用シーンがより拡大
まず外観についてだが、ディスプレイサイズは6.7インチと、Nothing Phone (1)(6.55インチ)と比べ大きくなっているが、サイズはあまり大きく変わらない。ただ厚みは増していて、背面のガラスにやや丸みが付けられているのは、その厚さをカバーする狙いがあるようだ。
その背面のデザインも、透明でスマートフォンの中が一部見えるという点や、独自パーツを用いたデザイン性の強い内容となっている点、背面が光る「Glyph Interface」などは、やはりNothing Phone (1)と大きく変わっているわけではない。ただ、パーツの構成は大幅に見直しがなされているようで、Nothing Phone (1)ではつながった円状に構成されていた中央のLEDライトも、複数のパーツに分割されるなどいくつかの変化が見られる。
それゆえ、ぱっと見ではNothing Phone (1)と大きく変わらないように見えるのだが、よく見ると細かな部分が変わっていることが分かる。Nothing Phone (1)にあった象のようなパーツがなくなるなど、デザインのユニークさはやや減少してしまったが、Nothing Phoneらしさは損なわれていないといえよう。
一方で、今回は本体だけでなく各種パーツにもNothing Technologyらしい透明なデザインを採用。SIMピンに加え、Nothing Phone(2)では新たにコネクタ部分が透明のUSBケーブルも用意され、本体との統一感を演出している。
続いて、Nothing Phone最大の特徴となるGlyph Interfaceを確認してみよう。Nothing Phone (1)のGlyph Interfaceでも着信時の通知や充電時、あるいはカメラのライトなどとして光る仕組みを備えていたが、Nothing TechnologyとしてGlyph Interfaceは、あくまでスマートフォンの操作を最小限に抑えることを目的としている。それゆえ、インパクトが大きい割には利用シーンが限定されており、カスタマイズ性も弱いことが不満点だった。
そこでNothing Phone(2)では、Glyph Interfaceのコンセプトはそのままに、より活用シーンを広げるよう強化がなされている。その具体的な機能の1つとなるのが「Glyph Composer」である。
これは、Glyph Interfaceを活用した着信音を作曲できるもの。作曲と言っても、専用のアプリで録音ボタンを押した後、5つのパッドをタイミングよく押していくだけなので、誰でも簡単に光る着信音を作成することが可能だ。
ほかにも、「Uber」などサードパーティー製アプリとGlyph Interfaceを連動させる機能が追加されたり、音量のインジケーターなどとして活用できるようになったりするなど、Glyph Interfaceを活用できるシーンがより増えている。Glyph Interfaceの存在感がより高まったことは確かだろう。
■大きく変化した「Nothing OS」。各種性能がハイエンド級に
だが、Glyph Interfaceより一層大きく変化したと感じるのが「Nothing OS」である。これはAndroid 13をベースに、Nothing Phone独自のインターフェースを搭載したものだが、こちらもNothing Phone (1)ではGlyph Interfaceへの対応と特徴的なドット調フォントの採用、そして独自開発のボイスレコーダーアプリくらいで、特徴的な要素は少なかった。
だが、Nothing OSが2.0に進化したことで、新たにNothing Phoneらしいデザインを取り入れたウィジェットが多数用意。よりNothing Phoneらしいホーム画面を演出できるようになったほか、アイコンのほとんどをモノクロにしてしまう仕組みも用意され、ホーム画面全体でNothing Phoneらしい落ち着いたトーンのデザインに統一できる。もっとも、全てのアプリのアイコンがモノクロになるわけではなく、ゲームアプリのアイコンなどはモノクロ化されないようだ。
では、スマートフォンとしての性能はどうか。Nothing Phone (2)は、チップセットにクアルコム製の「Snapdragon 8+ Gen1」を採用するほか、4700mAhのバッテリーを搭載。RAMとストレージはモデルによって異なり、それぞれ8GBと128GB、12GBと256GB、12GBと512GBの3種類が用意されている。
Nothing Phone (1)は、搭載するチップセット的にミドルクラスよりやや上という位置付けだったが、Nothing Phone (2)は性能をさらに向上させ、ハイエンドの性能を備えたのは嬉しい。無論、搭載されているチップセットは、昨年後半に発売されたハイエンドモデルに多く搭載されていたもので、最新の「Snapdragon 8 Gen2」と比べれば性能は落ちるのだが、それでもハイエンドモデルとしては十分高い性能を持つことに間違いない。
実際、「原神」などの重いゲームアプリで、グラフィックやフレームレートを最高水準に上げてプレイしてみたのだが、ディスプレイのリフレッシュレートも120Hzということもあって、フレーム落ちすることなく快適なプレイが可能だった。一方で気になるのは発熱だが、1時間ほどゲームをプレイして温度を測定してみたところ、最も熱い場所でも41度前後という結果に。それなりに熱くはなるが手に持てない程熱いとは感じず、パフォーマンスの低下も見られなかった。
そしてもう1つ気になるのはカメラだが、Nothing Phone (2)のメインカメラは、Nothing Phone (1)と同様、広角カメラにソニー、超広角カメラにサムスン電子製のイメージセンサーを採用。広角カメラのイメージセンサーが「IMX766」から「IMX890」に変更されているが、光学式手ブレ補正位は引き続き搭載されるなど、性能的に大きく変わっているわけではない。
カメラアプリも、ポートレート撮影など基本を押さえた内容で特別な要素はないのだが、Glyph Interfaceを撮影用のライトとして使えるのはNothing Phoneならではのポイントである。Nothing Phone (2)にはフラッシュライトも搭載されているが、Glyph Interfaceを使うと被写体だけでなく全体を明るく映し出すことが可能だ。
さらに言えばNothing Phone (2)では、Nothing Phone (1)では必ず4秒かかっていた夜景モードでの撮影がより短くなり、周囲の明るさによって変化するようになった。それぞれに効果は異なるので、暗い場所を撮影する際はうまく使い分けるのがいいだろう。
一方でフロントカメラは、ソニー製の「IMX615」を採用、画素数は3,200万画素となるなど性能は大幅にアップしている。また、フロントカメラの位置が左上から中央上部に移動したというのも、大きな変化といえるかもしれない。
そしてもう1つ、カメラで気になるのはシャッター音だ。Nothing Phone (1)は、カメラのシャッター音がかなり大きいのが気になったのだが、Nothing Phone (2)はシャッター音自体短いものに変更されたものの、音量はやはり大きく目立つ印象だ。ただ、お借りした端末を確認する限り、日本で販売されるスマートフォンとしては珍しくシャッター音をオフにできるようなので、気になる人は有効活用したい。
改めて振り返ると、Nothing Phone (2)はNothing Phone (1)の特徴はそのままにしながらも、インターフェースや性能の強化でブラッシュアップを図ることによって、よりNothin Phoneらしさを追求した1台に仕上がったといえる。中でも、活用の幅が狭かったGlyph Interfaceも、Glyph Composerなどによってより有効活用しやすくなったのは大きい。
また価格的にも、最も安価なRAM8GBのモデルで7万9,800円、最上位モデルで10万9,800円と、ハイエンドモデルとしては比較的購入しやすい点も、円安などでスマートフォンの値上がりが顕著な日本市場においてはメリットといえる。最近はハイエンドモデルの値上がりが著しいだけに、10万円前後で高性能のチップセットを搭載していることを考えれば、ゲーミングなどを目的に購入するのも悪くないだろう。
ただ一方で、日本での利用を考えると、依然中途半端な部分が残っているというのも正直なところだ。FeliCaに非対応というのもその1つだが、より気になるのは日本語フォントが、Nothing Phone独自のドット調のフォントに依然対応していないこと。それゆえNothing Phone (2)では、日本語表示にすると英字もドット調ではなく通常のフォントになってしまうようで、Nothing Phoneの世界観を多言語で実現することは依然課題だ。
同社では日本を重要な市場の1つと見ており、今後ローカル市場に向けた対応も強化していくとの方針を示しているが、デザインやインターフェースにこだわるNothing Phoneシリーズだけに、英語圏以外の市場に向けても、統一されたデザインの魅力を存分に届ける取り組みを強化して欲しいところだ。