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公開日 2024/08/16 20:20
iOS版の日本展開は2025年目標
「Epic Gamesモバイルストア」発表。Android版を世界で立ち上げ、iOS版はEU圏内から
山本 敦
人気ゲーム「フォートナイト」やゲームエンジン「Unreal Engine」のデベロッパでもあるEpic Gamesは、自社が運営するデジタルコンテンツマーケット「Epic Game Store」を、8月16日からモバイル向けアプリとしてリリースすることを発表した。
モバイル向けアプリは、EU圏内ではiPhoneとAndroidの両方が提供される。日本など、EU圏内を除く他の国と地域では、Androidアプリを先行導入する。
これまでEpic Gamesは、PCでゲームを楽しむプレイヤーに向け、同社最新タイトルなどを提供するPCゲームストアを運営してきた。モバイル向けストアが開設される背景には、欧州委員会などが成立させたデジタル市場法(DMA)が、欧州連合(EU)に加盟する27か国で2024年1月から施行されたことが関わっている。
同地域のiPhone/Androidユーザーは、ブラウザからEpic Game Storeアプリをインストールすることで、ストアが提供するゲームを購入して楽しむことが可能になる。
EU圏内のiOS向けEpic Gamesモバイルストアについては、アップルがiOS 17.4以降に外部のデベロッパに向けて開放した、代替アプリマーケット(Alternative app marketplaces)から提供される形になる。Epic Gamesの場合、アップルによる統合型決済システムを利用せずに、独自の決済ソリューションによりゲーム内のアプリ課金を処理する方法を選択している。
またEpic Gamesは、年間100万件を越える有料コンテンツを提供するアプリサービスを運営している。したがって、アップルがテクノロジー開発やツールを提供することに対する対価として一部の外部デベロッパに求める「コアテクノロジー手数料」の対象企業にもなる。
モバイル向けEpic Game Storeでは、フォートナイトのほか「ロケットリーグ サイドスワイプ」や「フォールガイズ」などのタイトルが配信される。「フォートナイト バトルロイヤル」の『チャプター5 シーズン4:アブソリュート・ドゥーム』の配信も始まる。
さらにモバイル向けストアのローンチに合わせて、ゲームアプリを開発する独立系デベロッパのタイトルを提供するAltStoreやAptoidなど、Epic Games Storeにとってはサードパーティにあたるストアでも、モバイル向け「フォートナイト」などEpic Gamesの人気タイトルが扱われることも発表された。
モバイル伴Epic Game Storeのローンチに際して、Epic Games CEO兼創設者であるティム・スウィーニー氏、同社バイスプレジデント兼 Epic Game Storeジェネラルマネージャのスティーブ・アリソン氏、Altstoreから共同創業者のラリー・テストウット氏とシェーン・ギル氏、AptoidからCEOのパウロ・トレゼントス氏が出席するオンライン説明会が開催され、日本から複数のメディアとジャーナリストが参加した。
Epic Game Storeジェネラルマネージャのアリソン氏は、2018年に独自ストアを立ち上げた理由について「すべてのゲーム開発者をより大きな成功に導くための新たなビジネスモデルをつくること」だったと語る。Epic Game Storeに参加するゲームスタジオに対して、魅力ある収益分配を実現することに腐心してきたという。
「PCゲームの界隈では、開発者が最大95%の収益分配が得られるサービスもあった。ゆえにデベロッパが7割、プラットフォーマーが3割の収益を手にするような他社のサービスモデルは理にかなわないと考えている。Epic Game Storeはデベロッパが88%の収益を得られるプラットフォームをつくった。加えてデベロッパがそれぞれに構築した決済システムにユーザーを誘導できる仕組みもある」(アリソン氏)。
ゲームを遊ぶプレーヤーにEpic Game Storeを選んでもらえるよう、ストアからゲームタイトルを購入した時に5%の還元を行うEpic Rewardsも実施した。毎週更新されるフリーゲーム、特別なコンテンツもファンを引き付けるストアならではの特徴になっている。
ストア立ち上げから6年が経ち、2024年現在でEpic Game Storeは約7000万ユーザーを獲得し、10億ドル近い収益を上げている。今後、Epicのアカウントでストアにログインしてゲームタイトルなどコンテンツを購入すると、ユーザーはモバイルとPC、いずれのデバイスからでもコンテンツを楽しめるようになるという。PCとモバイルなど異なる端末を用いるクロスプレイにも対応する。
「PCからAndroid/iOSにも広がるモバイルプラットフォームをベースに、Epic Game Storeをさらに拡大したい」とアリソン氏は意気込む。なおアリソン氏は、モバイル向けストアだけの特典を用意する考えはないとも伝えている。
Epic Gameはモバイルストアを成功に導き、今年末までにAndroid OSとiOSで1億の新規ユーザーを獲得することを目標に掲げている。「簡単に達成できない目標であることもわかっている」と語るアリソン氏は、その理由として、ユーザーがiOSやAndroidデバイスにEpic Game Storeをインストールする際、とても煩雑な手順を踏む必要があるからだと説明する。
「現在のところ、Epic Game StoreをAndroid OSと、EU圏内ではiOSも含めた端末にダウンロードするには、サイドローディング(OS標準のアプリストアを使わずにアプリをインストールする手段)を採らなければならない。いったんストアをインストールしてもらえれば、ストア上でゲームなどのコンテンツは “ワンクリック” で買える。それにもかかわらず、Epic Game Storeアプリのインストールまでに10前後のステップを経なければならない。そのステップの途中には、いまユーザーが導入しようとしているアプリが『ハードウェアを壊すかもしれない』『ユーザーのプライバシーを侵害するかもしれない』といった、私たちが『Scare Screen(怖がらせるような表示)』と呼ぶアラートも画面に表示される。私たちが年末までに目標を達成できないとすれば、この煩雑さがブレーキをかける要因になるだろう」(アリソン氏)。
現在モバイルプラットフォーム上にかけられている制約を指摘しつつも、アリソン氏はこれまでにEpic Game StoreがPCユーザーに向けて実施してきたフリーゲーム、特別なコンテンツ配信などの施策をモバイル向けストアでも積極的に行い、「ストア全体としてさらに盛り上げたい」と前を向いた。また、各モバイルOSにおけるアプリの複雑な導入ステップを、よりシンプルにするための働きかけも行っていくとした。
モバイル向けストアの開始当初はファーストパーティ、いわゆるEpic Gamesの人気ゲームでサービスの下地をつくり、年末の第4四半期からは。サードパーティのデベロッパによるゲームアプリの参加も促す。
Epic Games CEOのティム・スウィーニー氏は、いくつかの課題を抱えつつも、まずはAndroidからモバイル向けEpic Game Storeを始動できる喜びを語った。日本では今年6月に、モバイルOSやアプリストア、検索エンジンなどに関わる競争を促すことを目的に掲げるスマホソフトウェア競争促進法が参議院本会議で可決・成立した。スウィーニー氏はこの法律を歓迎しつつ、Epic Game StoreのiOS版について「日本には、順調にいけば来年にもリリースできると思う」とコメントした。
Epic Game Storeにとってライバルでもある、外部のストアと連携するメリットはどこにあるのだろうか。スウィーニー氏が決定の意図を語っている。
「Epic Gamesはゲームデベロッパでもある。ゲームデベロッパとしてはできるだけ多くのユーザーにコンテンツを楽しんでもらいたいと考えていることから、良い条件で提携しできるストアとは積極的にパートナーシップを組む意味があると考えている」。
Altstoreのテストウット氏も「iOS、Android OSのモバイル端末上では、標準アプリストア以外のストアをユーザーに選んでもらえるように促すことが難しい。今回のようなストアどうしの連携をアピールすることは、当社のような独立系のストアどうしが手を取り合って一緒に闘っていることを示すために重要だ」と話した。
モバイル向けアプリは、EU圏内ではiPhoneとAndroidの両方が提供される。日本など、EU圏内を除く他の国と地域では、Androidアプリを先行導入する。
■モバイル向けEpic Games Storeが解禁される背景
これまでEpic Gamesは、PCでゲームを楽しむプレイヤーに向け、同社最新タイトルなどを提供するPCゲームストアを運営してきた。モバイル向けストアが開設される背景には、欧州委員会などが成立させたデジタル市場法(DMA)が、欧州連合(EU)に加盟する27か国で2024年1月から施行されたことが関わっている。
同地域のiPhone/Androidユーザーは、ブラウザからEpic Game Storeアプリをインストールすることで、ストアが提供するゲームを購入して楽しむことが可能になる。
EU圏内のiOS向けEpic Gamesモバイルストアについては、アップルがiOS 17.4以降に外部のデベロッパに向けて開放した、代替アプリマーケット(Alternative app marketplaces)から提供される形になる。Epic Gamesの場合、アップルによる統合型決済システムを利用せずに、独自の決済ソリューションによりゲーム内のアプリ課金を処理する方法を選択している。
またEpic Gamesは、年間100万件を越える有料コンテンツを提供するアプリサービスを運営している。したがって、アップルがテクノロジー開発やツールを提供することに対する対価として一部の外部デベロッパに求める「コアテクノロジー手数料」の対象企業にもなる。
モバイル向けEpic Game Storeでは、フォートナイトのほか「ロケットリーグ サイドスワイプ」や「フォールガイズ」などのタイトルが配信される。「フォートナイト バトルロイヤル」の『チャプター5 シーズン4:アブソリュート・ドゥーム』の配信も始まる。
さらにモバイル向けストアのローンチに合わせて、ゲームアプリを開発する独立系デベロッパのタイトルを提供するAltStoreやAptoidなど、Epic Games Storeにとってはサードパーティにあたるストアでも、モバイル向け「フォートナイト」などEpic Gamesの人気タイトルが扱われることも発表された。
■ゲームデベロッパに利益を還元できるストアにしたい
モバイル伴Epic Game Storeのローンチに際して、Epic Games CEO兼創設者であるティム・スウィーニー氏、同社バイスプレジデント兼 Epic Game Storeジェネラルマネージャのスティーブ・アリソン氏、Altstoreから共同創業者のラリー・テストウット氏とシェーン・ギル氏、AptoidからCEOのパウロ・トレゼントス氏が出席するオンライン説明会が開催され、日本から複数のメディアとジャーナリストが参加した。
Epic Game Storeジェネラルマネージャのアリソン氏は、2018年に独自ストアを立ち上げた理由について「すべてのゲーム開発者をより大きな成功に導くための新たなビジネスモデルをつくること」だったと語る。Epic Game Storeに参加するゲームスタジオに対して、魅力ある収益分配を実現することに腐心してきたという。
「PCゲームの界隈では、開発者が最大95%の収益分配が得られるサービスもあった。ゆえにデベロッパが7割、プラットフォーマーが3割の収益を手にするような他社のサービスモデルは理にかなわないと考えている。Epic Game Storeはデベロッパが88%の収益を得られるプラットフォームをつくった。加えてデベロッパがそれぞれに構築した決済システムにユーザーを誘導できる仕組みもある」(アリソン氏)。
ゲームを遊ぶプレーヤーにEpic Game Storeを選んでもらえるよう、ストアからゲームタイトルを購入した時に5%の還元を行うEpic Rewardsも実施した。毎週更新されるフリーゲーム、特別なコンテンツもファンを引き付けるストアならではの特徴になっている。
ストア立ち上げから6年が経ち、2024年現在でEpic Game Storeは約7000万ユーザーを獲得し、10億ドル近い収益を上げている。今後、Epicのアカウントでストアにログインしてゲームタイトルなどコンテンツを購入すると、ユーザーはモバイルとPC、いずれのデバイスからでもコンテンツを楽しめるようになるという。PCとモバイルなど異なる端末を用いるクロスプレイにも対応する。
「PCからAndroid/iOSにも広がるモバイルプラットフォームをベースに、Epic Game Storeをさらに拡大したい」とアリソン氏は意気込む。なおアリソン氏は、モバイル向けストアだけの特典を用意する考えはないとも伝えている。
■新規1億ユーザー獲得が目標だが、障壁もある
Epic Gameはモバイルストアを成功に導き、今年末までにAndroid OSとiOSで1億の新規ユーザーを獲得することを目標に掲げている。「簡単に達成できない目標であることもわかっている」と語るアリソン氏は、その理由として、ユーザーがiOSやAndroidデバイスにEpic Game Storeをインストールする際、とても煩雑な手順を踏む必要があるからだと説明する。
「現在のところ、Epic Game StoreをAndroid OSと、EU圏内ではiOSも含めた端末にダウンロードするには、サイドローディング(OS標準のアプリストアを使わずにアプリをインストールする手段)を採らなければならない。いったんストアをインストールしてもらえれば、ストア上でゲームなどのコンテンツは “ワンクリック” で買える。それにもかかわらず、Epic Game Storeアプリのインストールまでに10前後のステップを経なければならない。そのステップの途中には、いまユーザーが導入しようとしているアプリが『ハードウェアを壊すかもしれない』『ユーザーのプライバシーを侵害するかもしれない』といった、私たちが『Scare Screen(怖がらせるような表示)』と呼ぶアラートも画面に表示される。私たちが年末までに目標を達成できないとすれば、この煩雑さがブレーキをかける要因になるだろう」(アリソン氏)。
現在モバイルプラットフォーム上にかけられている制約を指摘しつつも、アリソン氏はこれまでにEpic Game StoreがPCユーザーに向けて実施してきたフリーゲーム、特別なコンテンツ配信などの施策をモバイル向けストアでも積極的に行い、「ストア全体としてさらに盛り上げたい」と前を向いた。また、各モバイルOSにおけるアプリの複雑な導入ステップを、よりシンプルにするための働きかけも行っていくとした。
モバイル向けストアの開始当初はファーストパーティ、いわゆるEpic Gamesの人気ゲームでサービスの下地をつくり、年末の第4四半期からは。サードパーティのデベロッパによるゲームアプリの参加も促す。
Epic Games CEOのティム・スウィーニー氏は、いくつかの課題を抱えつつも、まずはAndroidからモバイル向けEpic Game Storeを始動できる喜びを語った。日本では今年6月に、モバイルOSやアプリストア、検索エンジンなどに関わる競争を促すことを目的に掲げるスマホソフトウェア競争促進法が参議院本会議で可決・成立した。スウィーニー氏はこの法律を歓迎しつつ、Epic Game StoreのiOS版について「日本には、順調にいけば来年にもリリースできると思う」とコメントした。
■Epic Gamesのタイトルを外部ストアが扱う意義
Epic Game Storeにとってライバルでもある、外部のストアと連携するメリットはどこにあるのだろうか。スウィーニー氏が決定の意図を語っている。
「Epic Gamesはゲームデベロッパでもある。ゲームデベロッパとしてはできるだけ多くのユーザーにコンテンツを楽しんでもらいたいと考えていることから、良い条件で提携しできるストアとは積極的にパートナーシップを組む意味があると考えている」。
Altstoreのテストウット氏も「iOS、Android OSのモバイル端末上では、標準アプリストア以外のストアをユーザーに選んでもらえるように促すことが難しい。今回のようなストアどうしの連携をアピールすることは、当社のような独立系のストアどうしが手を取り合って一緒に闘っていることを示すために重要だ」と話した。
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