公開日 2017/02/15 10:00
上位セパレートアンプの技術を惜しみなく投入
エソテリック「F-07」を聴く ー ハイエンドの世界へ誘うプリメインアンプ
石田善之
フラッグシップとなる「Grandioso」シリーズ、ハイエンドのセパレートアンプシリーズと、高い品位を有した新たなアンプ群を続々と登場させてきたエソテリック。これらセパレートアンプで投入された手法や技術、思想を継承した新世代のプリメインアンプ「Fシリーズ」における第3のモデルが「F-07」だ。シリーズのエントリーとなる本機の実力を検証した。
■本機のポジショニングと概要
材質や機能はほとんど同等のF-05直系のAB級プリメイン
エソテリックでは、夢のコンポ“Grandioso”シリーズで築いた技術やノウハウをいかに現実的なものにするか、という新たな挑戦がインテグレーテッドアンプでスタートした。この春に30W+30W(8Ω)純Aクラスの「F-03A」を、120W+120W(8Ω)のハイパワー機「F-05」を、一体型として凝縮。全段フルバランス・デュアルモノラル構成で、電源部や筐体などに十分な物量を投入して登場させている。
ここに新たに加わる「F-07」は100W+100W(8Ω)のABクラスで、F-05直系の弟機だ。パネルやシャーシのサイズは変わらない。LR独立のフルバランス構成など、回路基板を含むパーツ類も極力共通化され、操作フィーリングも共通で、入力セレクターにしてもボリュームコントロールにしても「Grandioso C1」で開発した芯ブレのないベアリング機構や、アルミの無垢材から削り出したノブなどもほぼ共通である。つまり、下位モデルほど実はC/Pが高いということになりそうである。
具体的にF-05とF-07を比較するとパネルやサイズは同じだが、質量はF-05が32kg、F-07は27.2kgとなっている。F-07の方が軽量だが、とはいえ十分に重量級だ。これはF-05のEI型パワートランスが940VAであるのに対して、F-07は633VAという差によるものであろう。
また、F-05ではミッドレンジを含む3種のトーンコントロールが装備されているが、F-07は通常の低音/高音になり、ミュートボタンが省略されているなどの違いもある。ツマミやノブ類が無垢アルミからの削り出しであることは共通するものの、上位機にはダイヤカットが施されている点も異なる。
上位機同様フルバランス構成でDACボードによる発展性も踏襲
F-07の背面を見るとライン入力のXLRは1系統のみで、プリアンプ出力もXLRが省略され、RCAのみとなっている。内部をのぞいてみると3Dオプティマイズド・シャーシ構造と呼ぶ肉厚のアルミ+スチールフレームのシャーシで、各内部をブロック毎にコンパートメント化し、立体配置とすることで相互干渉やシグナルパスを最短化するという、これもGrandiosoで投入された技術が投入されている。電源部はトランスが若干小型化されたが、整流用のブロックコンデンサーは10000μF×4、デュアルモノ構成でまったく共通である。
出力以外の最大の違いはというと、出力トランジスタがバイポーラ型で2パラレルになっていること。上位機は3パラレルだったが、F-07では連続動作15A(瞬間動作30A)のタイプに置き換えられ、ヒートシンクは共通である。またプリ部はMM、MCのLR独立電源、独立回路のデュアルモノラル・フォノ・イコライザーで対応し、XLR1、RCA4入力のフルバランス構成である。
フルバランスで重要になるのは、ボリューム規模が通常の4倍になることで、本機のボリュームもGrandioso C1の流れであるQVCS(クアッド・ボリューム・コントロール・システム)が搭載されている。これは4回路のラダー抵抗の切り替え型で、電子制御されて一括制御、つまりLRとそれぞれのホット/コールドの計4回路、純粋なアナログボリュームである。この4回路はトーンコントロールも同様である。
また、幅広いインピーダンスに対応する強力なヘッドホン出力も持つ。加えて本機にはオプションボードとして、DSDにも対応するDAコンバーターボード(8万円・税抜)を使って拡張することもできる。PCM、同軸と光は192kHz/24bitまで、USBのB端子はPCM 384kHz/32bitとDSD 11.2MHzまでのハイレゾに対応可能である。
■本機のポジショニングと概要
材質や機能はほとんど同等のF-05直系のAB級プリメイン
エソテリックでは、夢のコンポ“Grandioso”シリーズで築いた技術やノウハウをいかに現実的なものにするか、という新たな挑戦がインテグレーテッドアンプでスタートした。この春に30W+30W(8Ω)純Aクラスの「F-03A」を、120W+120W(8Ω)のハイパワー機「F-05」を、一体型として凝縮。全段フルバランス・デュアルモノラル構成で、電源部や筐体などに十分な物量を投入して登場させている。
ここに新たに加わる「F-07」は100W+100W(8Ω)のABクラスで、F-05直系の弟機だ。パネルやシャーシのサイズは変わらない。LR独立のフルバランス構成など、回路基板を含むパーツ類も極力共通化され、操作フィーリングも共通で、入力セレクターにしてもボリュームコントロールにしても「Grandioso C1」で開発した芯ブレのないベアリング機構や、アルミの無垢材から削り出したノブなどもほぼ共通である。つまり、下位モデルほど実はC/Pが高いということになりそうである。
具体的にF-05とF-07を比較するとパネルやサイズは同じだが、質量はF-05が32kg、F-07は27.2kgとなっている。F-07の方が軽量だが、とはいえ十分に重量級だ。これはF-05のEI型パワートランスが940VAであるのに対して、F-07は633VAという差によるものであろう。
また、F-05ではミッドレンジを含む3種のトーンコントロールが装備されているが、F-07は通常の低音/高音になり、ミュートボタンが省略されているなどの違いもある。ツマミやノブ類が無垢アルミからの削り出しであることは共通するものの、上位機にはダイヤカットが施されている点も異なる。
上位機同様フルバランス構成でDACボードによる発展性も踏襲
F-07の背面を見るとライン入力のXLRは1系統のみで、プリアンプ出力もXLRが省略され、RCAのみとなっている。内部をのぞいてみると3Dオプティマイズド・シャーシ構造と呼ぶ肉厚のアルミ+スチールフレームのシャーシで、各内部をブロック毎にコンパートメント化し、立体配置とすることで相互干渉やシグナルパスを最短化するという、これもGrandiosoで投入された技術が投入されている。電源部はトランスが若干小型化されたが、整流用のブロックコンデンサーは10000μF×4、デュアルモノ構成でまったく共通である。
出力以外の最大の違いはというと、出力トランジスタがバイポーラ型で2パラレルになっていること。上位機は3パラレルだったが、F-07では連続動作15A(瞬間動作30A)のタイプに置き換えられ、ヒートシンクは共通である。またプリ部はMM、MCのLR独立電源、独立回路のデュアルモノラル・フォノ・イコライザーで対応し、XLR1、RCA4入力のフルバランス構成である。
フルバランスで重要になるのは、ボリューム規模が通常の4倍になることで、本機のボリュームもGrandioso C1の流れであるQVCS(クアッド・ボリューム・コントロール・システム)が搭載されている。これは4回路のラダー抵抗の切り替え型で、電子制御されて一括制御、つまりLRとそれぞれのホット/コールドの計4回路、純粋なアナログボリュームである。この4回路はトーンコントロールも同様である。
また、幅広いインピーダンスに対応する強力なヘッドホン出力も持つ。加えて本機にはオプションボードとして、DSDにも対応するDAコンバーターボード(8万円・税抜)を使って拡張することもできる。PCM、同軸と光は192kHz/24bitまで、USBのB端子はPCM 384kHz/32bitとDSD 11.2MHzまでのハイレゾに対応可能である。