公開日 2017/05/29 11:30
【特別企画】オーディオファン向け物件を多数手掛けるアコースティックラボが主催
「防音工事をすると音がよくなる」理由をプロが徹底解説!試聴会「Acoustic Audio Forum」レポート
プロの音楽エンジニアが使用するスタジオやオーディオファン向けの物件を数多く手掛ける防音工事会社、アコースティックラボ。同社が定期的に実施している試聴会「Acoustic Audio Forum」が過日開催された。熱心な参加者の熱気に包まれた同イベントの模様を、同社による公式レポートでお届けする。
■防音工事をすると音がよくなる!(その2)〜戸建住宅にオーディオルームを作るには〜
『防音工事をすると音が良くなる』の2回目、戸建て住宅偏というテーマで進行させていただきました。
「防音工事をすると音が良くなる」という一挙両得の眉唾物的お話は、実はとてもまじめで本質的な音響の話であることをわかってほしいという企画です。
(株)アコースティックエンジニアリング、(株)アコースティックデザインシステムの時代から今日のオーディオルーム専門の(株)アコースティックラボまで多くのオーディオルームを作ってきましたが、クライアントの動機は、他人に迷惑をかけたくない、じっくりと好きな音量で音楽を楽しみたい…ともかく防音工事をしてほしい…というものなのです。(※編集部注:アコースティックエンジニアリングとアコースティックデザインシステムはアコースティックラボのグループ会社。アコースティックラボはグループのなかで最も若い存在)
コンポーネント・アクセサリー類に投資をしても、なかなか満足な再生が得られないのだから、問題は部屋にあるのではないか?だから音が良い部屋を作りたい……という人はきわめて少数派なのです。
それで防音工事の話になるのですが、防音工事をすると再生音のバランスは大きく変化しますので、防音工事後は以前とは同じ再生音にならないですよ……いいですか? というお話をします。ともかく音を伝搬させないということが目的ですから…理解してもらうわけです。薬の処方に例えれば、副作用が必ずありますよということになります。
オーディオマニアの人は「自分のいい音」という基準をもっている人が多いと思われますので、再生音が変わるということは必ず言っておかねばならないことなのです。
その次に、なにか再生音に満足してない点がありますか?との問いには、なかなか言葉では表現しにくいようなのですが、もっと自分のシステムでは良い音で鳴るはずではないのか?(これだけオーディオ機器やアクセサリーにこだわっているのに…)ということを潜在的に思ってらっしゃるのです。
……もっともこの現象は少なからずの割合で存在するオーディオマニアの一種のビョーキでもあるわけですが……。
防音工事をすると防音性能に満足する(性能保証)のはもちろんのことですが、こんな感じの響きに変わります。再生音の響きの質と響きの周波数バランスが根本的に変わります。響きは長く感じられますからあとは家具什器、カーテンなどで吸音を調節してください、部屋に入るものが多ければそれらが吸音の役目を大なり小なりするので敢えて吸音工事の必要はないかもしれません……、とお話しします。
工事後の第一声の多くは、音量を上げられる喜びだけでなく、次元の違う再生音の鳴り方になった………と大変満足される方が多いのです。
どのような音になったかは、活字では再現できないのが残念ですが、今までスピーカから音楽が鳴っていた感じだけれど、今度はスピーカから音楽が聞こえるのではなくて、部屋で音楽が鳴っている感じになった。スピーカの音が楽に鳴る、音楽が自然に鳴るというものです。
音がとても緻密に高音域の倍音まで綺麗にひびくようになった。音を大きくしても嫌な音にならず、音による部屋の飽和感みたいなものがないので、気付いたらいつの間にか大音量になっていたという方もいます。
さらには、スピーカのセッティングがシビアでなくなったのと、リスニングエリアが広くなった。今までのピンポイントでのリスニングはなんだったのだろう…との意見もありました。
閑話休題、前置きが長くなりました。
基本的にはマンションの場合と同様に、戸建て住宅でもほとんどの下地構造が背後に空気層を持つ中空二重構造になっている、それ故下地材が共振しやすくそれが反射音をニゴらせる元凶になっている、という解説をしました。
2番目にその内装下地構造そのものが実は低音を吸音していて、中高域の響きにくらべて響きが短くななっていることが響きのバランスの悪さ(再生音の豊かさが無い、客観的に再生音に向き合う感じになってしまう)につながっている……というお話をしました。
上の図は防音工事をすると反射音の濁りが少なくなり、同時に低音の響きが改善、響きのバランスが良くなるということを示しています。
次回は『防音工事をするとトンデモなく音が悪くなる場合がある』というお話です。防音工事をすると自動的に音が良くなるわけではありません。ただ一つの条件があります。定在波の分布=部屋の形の話になります。部屋の形によっては音が良くなるどころか真逆な場合があります……というお話をします。
この話は壁などの部位の音響特性の話ではなく(防音性能の話とは無関係)部屋の形で発生する振動モードの話、一般的な言い方であれば、部屋の定在波の話です。
今回は機材の配線トラブル(実は準備不足・事前チェックなしの怠慢)で前半は歪音の多い再生音だったこと、おわびします。当日はなじみの参加者の自作パワーアンプ(回路特許取得済)の試聴をしました。
わずか6〜7wの半導体アンプなのですが、B&W802D3を立派にドライブしていました。しかもNFBなしの低歪率ということなのか、音離れの良い開放的な音で常設パワーアンプ・アキュフェーズの音とは違った魅力的な音で、同じ参加者から好意的な感想が多かったです。
15時から始まったフォーラムですが、時間オーバーの17時半過ぎに終わり、居残り組がお帰りになられたのが19時過ぎ!
いつになく熱心な参加者が多く、充実した会になりました。
(特別企画 協力:アコースティックラボ)
■防音工事をすると音がよくなる!(その2)〜戸建住宅にオーディオルームを作るには〜
『防音工事をすると音が良くなる』の2回目、戸建て住宅偏というテーマで進行させていただきました。
「防音工事をすると音が良くなる」という一挙両得の眉唾物的お話は、実はとてもまじめで本質的な音響の話であることをわかってほしいという企画です。
(株)アコースティックエンジニアリング、(株)アコースティックデザインシステムの時代から今日のオーディオルーム専門の(株)アコースティックラボまで多くのオーディオルームを作ってきましたが、クライアントの動機は、他人に迷惑をかけたくない、じっくりと好きな音量で音楽を楽しみたい…ともかく防音工事をしてほしい…というものなのです。(※編集部注:アコースティックエンジニアリングとアコースティックデザインシステムはアコースティックラボのグループ会社。アコースティックラボはグループのなかで最も若い存在)
コンポーネント・アクセサリー類に投資をしても、なかなか満足な再生が得られないのだから、問題は部屋にあるのではないか?だから音が良い部屋を作りたい……という人はきわめて少数派なのです。
それで防音工事の話になるのですが、防音工事をすると再生音のバランスは大きく変化しますので、防音工事後は以前とは同じ再生音にならないですよ……いいですか? というお話をします。ともかく音を伝搬させないということが目的ですから…理解してもらうわけです。薬の処方に例えれば、副作用が必ずありますよということになります。
オーディオマニアの人は「自分のいい音」という基準をもっている人が多いと思われますので、再生音が変わるということは必ず言っておかねばならないことなのです。
その次に、なにか再生音に満足してない点がありますか?との問いには、なかなか言葉では表現しにくいようなのですが、もっと自分のシステムでは良い音で鳴るはずではないのか?(これだけオーディオ機器やアクセサリーにこだわっているのに…)ということを潜在的に思ってらっしゃるのです。
……もっともこの現象は少なからずの割合で存在するオーディオマニアの一種のビョーキでもあるわけですが……。
防音工事をすると防音性能に満足する(性能保証)のはもちろんのことですが、こんな感じの響きに変わります。再生音の響きの質と響きの周波数バランスが根本的に変わります。響きは長く感じられますからあとは家具什器、カーテンなどで吸音を調節してください、部屋に入るものが多ければそれらが吸音の役目を大なり小なりするので敢えて吸音工事の必要はないかもしれません……、とお話しします。
工事後の第一声の多くは、音量を上げられる喜びだけでなく、次元の違う再生音の鳴り方になった………と大変満足される方が多いのです。
どのような音になったかは、活字では再現できないのが残念ですが、今までスピーカから音楽が鳴っていた感じだけれど、今度はスピーカから音楽が聞こえるのではなくて、部屋で音楽が鳴っている感じになった。スピーカの音が楽に鳴る、音楽が自然に鳴るというものです。
音がとても緻密に高音域の倍音まで綺麗にひびくようになった。音を大きくしても嫌な音にならず、音による部屋の飽和感みたいなものがないので、気付いたらいつの間にか大音量になっていたという方もいます。
さらには、スピーカのセッティングがシビアでなくなったのと、リスニングエリアが広くなった。今までのピンポイントでのリスニングはなんだったのだろう…との意見もありました。
閑話休題、前置きが長くなりました。
基本的にはマンションの場合と同様に、戸建て住宅でもほとんどの下地構造が背後に空気層を持つ中空二重構造になっている、それ故下地材が共振しやすくそれが反射音をニゴらせる元凶になっている、という解説をしました。
2番目にその内装下地構造そのものが実は低音を吸音していて、中高域の響きにくらべて響きが短くななっていることが響きのバランスの悪さ(再生音の豊かさが無い、客観的に再生音に向き合う感じになってしまう)につながっている……というお話をしました。
上の図は防音工事をすると反射音の濁りが少なくなり、同時に低音の響きが改善、響きのバランスが良くなるということを示しています。
次回は『防音工事をするとトンデモなく音が悪くなる場合がある』というお話です。防音工事をすると自動的に音が良くなるわけではありません。ただ一つの条件があります。定在波の分布=部屋の形の話になります。部屋の形によっては音が良くなるどころか真逆な場合があります……というお話をします。
この話は壁などの部位の音響特性の話ではなく(防音性能の話とは無関係)部屋の形で発生する振動モードの話、一般的な言い方であれば、部屋の定在波の話です。
今回は機材の配線トラブル(実は準備不足・事前チェックなしの怠慢)で前半は歪音の多い再生音だったこと、おわびします。当日はなじみの参加者の自作パワーアンプ(回路特許取得済)の試聴をしました。
わずか6〜7wの半導体アンプなのですが、B&W802D3を立派にドライブしていました。しかもNFBなしの低歪率ということなのか、音離れの良い開放的な音で常設パワーアンプ・アキュフェーズの音とは違った魅力的な音で、同じ参加者から好意的な感想が多かったです。
15時から始まったフォーラムですが、時間オーバーの17時半過ぎに終わり、居残り組がお帰りになられたのが19時過ぎ!
いつになく熱心な参加者が多く、充実した会になりました。
(特別企画 協力:アコースティックラボ)
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