公開日 2017/12/26 16:14
WQHD記録に対応のケンウッド最上位ドラレコ
高画質ドライブレコーダーが運転にもたらすメリットとは? ケンウッド「DRV-830」を試す
会田 肇
■画質と機能で評価の高いケンウッドの最上位ドラレコを試す
ドライブ中のアクシデントや思い出の記録としてドライブレコーダーへの関心が高まっている。調査会社の「BCN」によれば、今年10月と11月に全国家電店で販売された台数は前年同月比で2倍以上にまで増えたという。そのきっかけは、今年6月に起きた“あおり運転”に起因する死亡事故だ。
以前はドライブの思い出を記録することを目的としている人が多かったが、この事故以来、交通事故トラブルから身を守ろうと装着する人が増えて来ているのだ。中でも対向車のナンバーまでも鮮明に映し出す機種に人気が集まっており、今回はそれに合わせ画質と機能で評価の高いケンウッドの最上位モデル「DRV-830」を取り上げる。
本機が最大のウリとしているのは、フルHDの約1.8倍の解像度となるWQHD(2,560×1,440)の「3.7メガ記録モード」を新たに搭載したことだ。ドラレコでは常に鮮明に記録することが求められるため、解像度を高めると共に、トンネルの出入り口などの明暗差が大きいシーンでも白とびや黒つぶれを抑制するHDR(ハイダイナミックレンジ)機能を装備。これによって、対向車のナンバープレートの文字までもハッキリ読み取れる高い解像度を実現している。
長時間記録に対応するために「ダブルスロット」を搭載。最大128GBのmicroSDXCカードを本体側面に2枚挿入できる。映像は通常は1分ごとに1ファイルとして記録されていくが、ダブルスロットの対応によって高画質なWQHDでも最長21時間20分、HD(1,280×720)解像度なら最長53時間20分の長時間録画を可能にする。ドラレコではメモリ容量が足りなくなると、自動的に古いデータから上書きされていくが、本機ならロングドライブのすべてを保存しておけるのだ。
一方、仮にアクシデントなどで突発的な衝撃を感知すると、その時点の手前10秒からイベント記録として計25/40/70秒間(任意設定可能)別フォルダに自動保存。これは任意にイベントボタンを押した時でも同じ対応となる。
もちろん、LED信号機や地デジのノイズ対策も図っており、記録に使うmicroSDカードの寿命を知らせる機能も装備(付属microSDカードまたは別売指定microSDカード使用時のみ)。記録に関する万全な対応はドラレコとしての安心感を高めてくれるのは確かだ。
■高画質が運転にもたらすメリットとは?
モニターは本体背面に大型サイズの3型ワイドモニターを備え、レンズは水平132度/垂直70度/対角144度の広視野角レンズを採用する。
映し出される映像はドラレコとしてはかなり鮮明で、周辺部に映る対向車も大きく歪むことがない。トンネルから出た時の輝度差に対してもかなり強く、白飛びするようなことはほとんどなかった。
夜間の記録でもノイズはかなり抑えられており、ライトで照射されていない部分も状況を把握できるだけの描写力はある。画像補正で定評のあるケンウッドの上位機らしい対応と言っていいだろう。
使い勝手もよく考えられている。本体にあるボタンの位置がGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェイス)によって分かりやすく表記されており、特によく使うイベント記録用ボタンが押しやすい本体下にあるのは便利だ。音声記録のON/OFFもワンタッチにでき、静止画撮影も同様で、録りたい映像がデジカメのように気軽に撮影できたりするのだ。
ケンウッドのドラレコは、こうした思い出を録り残す使い方も、しっかり作り込んでくるのがスゴイところ。よく考えられたインターフェイスに仕上がっているのは間違いない。
本機はGPS受信も行う。これによって撮影した位置の緯度経度情報を映像に常時記録していく。時刻もGPS情報に基づいて自動修正するため、セットした際の時刻合わせをする必要もない。この情報はPCで展開するビューワーソフトにも対応しており、走行した位置情報はもちろん、各区間ごとの走行状態までもPC上で把握できる。
さらに、このビューワーソフトでは走行動画をはじめ、速度やGセンサーチャート、GPSデータを読み込んだ地図表示などが可能。動画映像からは静止画を切り出せるので、お気に入りのシーンを静止画として残すのにも役立つ。
■「総合的に見てドラレコとして本機の能力は極めて高い」
ドラレコとしてかなり良くできた本機だが、気になる部分もあった。撮影映像を見て気付いたのだが、横方向から太陽光を受けると再生映像にオレンジ色の影が発生するのだ。
これは左右いずれの角度から光が当たっても発生し、正面から当たると発生しないため、当初は何らかの映り込みかとも思ったが、何度チェックしてもそれに該当するものは見当たらない。日陰ではこのような現象は見られないため、おそらくカメラ部の内面反射が悪さをしている可能性もある。いずれにしてもこのような現象は初めての経験だ。早急な対応が欲しいところだ。
そのほか、最近になってドラレコに多く搭載されるようになった運転支援機能は本機にも搭載されている。前方衝突警告や車線逸脱警告、発進遅れ警告の3点だが、いずれも画像処理で対応する機能となっている。
一応、中心線などを設定して精度挙げる工夫はされているが、精度という点ではあまり期待は持てないことは知っておいて欲しい。この機能はメニューでOFFとすることもできるので、好みに応じて設定しておくといいだろう。
取り付けは簡単で、電源をシガーライターソケットから取り、画像を確認しながら取り付け位置を決める。あとはエアバッグなどと干渉しないよう、ケーブルをクリップなどで留めるだけ。
最初はデフォルトの状態で使うことになるが、それで十分。使っているうちに好みに設定していけばいい。取り付けの所要時間は長く見ても15分程度だろう。ただ、駐車監視用電源を使うとなるとバッテリーからの電源を取る必要があるため、取り付けは少々ハードルが上がる。心配なら費用はかかってもカー用品店に任せるのが最良策となる。
総合的に見てドラレコとして本機の能力は極めて高い。撮影した映像のクオリティはもちろんのこと、使い勝手の良さは機能として安心感を生み出す。家電量販店では3万円弱で販売されている高級機として十分に納得がいくレベルにある。高級機を購入したという満足感をしっかり感じ取れるスペックに仕上がったモデルと言えるだろう。
ドライブ中のアクシデントや思い出の記録としてドライブレコーダーへの関心が高まっている。調査会社の「BCN」によれば、今年10月と11月に全国家電店で販売された台数は前年同月比で2倍以上にまで増えたという。そのきっかけは、今年6月に起きた“あおり運転”に起因する死亡事故だ。
以前はドライブの思い出を記録することを目的としている人が多かったが、この事故以来、交通事故トラブルから身を守ろうと装着する人が増えて来ているのだ。中でも対向車のナンバーまでも鮮明に映し出す機種に人気が集まっており、今回はそれに合わせ画質と機能で評価の高いケンウッドの最上位モデル「DRV-830」を取り上げる。
本機が最大のウリとしているのは、フルHDの約1.8倍の解像度となるWQHD(2,560×1,440)の「3.7メガ記録モード」を新たに搭載したことだ。ドラレコでは常に鮮明に記録することが求められるため、解像度を高めると共に、トンネルの出入り口などの明暗差が大きいシーンでも白とびや黒つぶれを抑制するHDR(ハイダイナミックレンジ)機能を装備。これによって、対向車のナンバープレートの文字までもハッキリ読み取れる高い解像度を実現している。
長時間記録に対応するために「ダブルスロット」を搭載。最大128GBのmicroSDXCカードを本体側面に2枚挿入できる。映像は通常は1分ごとに1ファイルとして記録されていくが、ダブルスロットの対応によって高画質なWQHDでも最長21時間20分、HD(1,280×720)解像度なら最長53時間20分の長時間録画を可能にする。ドラレコではメモリ容量が足りなくなると、自動的に古いデータから上書きされていくが、本機ならロングドライブのすべてを保存しておけるのだ。
一方、仮にアクシデントなどで突発的な衝撃を感知すると、その時点の手前10秒からイベント記録として計25/40/70秒間(任意設定可能)別フォルダに自動保存。これは任意にイベントボタンを押した時でも同じ対応となる。
もちろん、LED信号機や地デジのノイズ対策も図っており、記録に使うmicroSDカードの寿命を知らせる機能も装備(付属microSDカードまたは別売指定microSDカード使用時のみ)。記録に関する万全な対応はドラレコとしての安心感を高めてくれるのは確かだ。
■高画質が運転にもたらすメリットとは?
モニターは本体背面に大型サイズの3型ワイドモニターを備え、レンズは水平132度/垂直70度/対角144度の広視野角レンズを採用する。
映し出される映像はドラレコとしてはかなり鮮明で、周辺部に映る対向車も大きく歪むことがない。トンネルから出た時の輝度差に対してもかなり強く、白飛びするようなことはほとんどなかった。
夜間の記録でもノイズはかなり抑えられており、ライトで照射されていない部分も状況を把握できるだけの描写力はある。画像補正で定評のあるケンウッドの上位機らしい対応と言っていいだろう。
使い勝手もよく考えられている。本体にあるボタンの位置がGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェイス)によって分かりやすく表記されており、特によく使うイベント記録用ボタンが押しやすい本体下にあるのは便利だ。音声記録のON/OFFもワンタッチにでき、静止画撮影も同様で、録りたい映像がデジカメのように気軽に撮影できたりするのだ。
ケンウッドのドラレコは、こうした思い出を録り残す使い方も、しっかり作り込んでくるのがスゴイところ。よく考えられたインターフェイスに仕上がっているのは間違いない。
本機はGPS受信も行う。これによって撮影した位置の緯度経度情報を映像に常時記録していく。時刻もGPS情報に基づいて自動修正するため、セットした際の時刻合わせをする必要もない。この情報はPCで展開するビューワーソフトにも対応しており、走行した位置情報はもちろん、各区間ごとの走行状態までもPC上で把握できる。
さらに、このビューワーソフトでは走行動画をはじめ、速度やGセンサーチャート、GPSデータを読み込んだ地図表示などが可能。動画映像からは静止画を切り出せるので、お気に入りのシーンを静止画として残すのにも役立つ。
■「総合的に見てドラレコとして本機の能力は極めて高い」
ドラレコとしてかなり良くできた本機だが、気になる部分もあった。撮影映像を見て気付いたのだが、横方向から太陽光を受けると再生映像にオレンジ色の影が発生するのだ。
これは左右いずれの角度から光が当たっても発生し、正面から当たると発生しないため、当初は何らかの映り込みかとも思ったが、何度チェックしてもそれに該当するものは見当たらない。日陰ではこのような現象は見られないため、おそらくカメラ部の内面反射が悪さをしている可能性もある。いずれにしてもこのような現象は初めての経験だ。早急な対応が欲しいところだ。
そのほか、最近になってドラレコに多く搭載されるようになった運転支援機能は本機にも搭載されている。前方衝突警告や車線逸脱警告、発進遅れ警告の3点だが、いずれも画像処理で対応する機能となっている。
一応、中心線などを設定して精度挙げる工夫はされているが、精度という点ではあまり期待は持てないことは知っておいて欲しい。この機能はメニューでOFFとすることもできるので、好みに応じて設定しておくといいだろう。
取り付けは簡単で、電源をシガーライターソケットから取り、画像を確認しながら取り付け位置を決める。あとはエアバッグなどと干渉しないよう、ケーブルをクリップなどで留めるだけ。
最初はデフォルトの状態で使うことになるが、それで十分。使っているうちに好みに設定していけばいい。取り付けの所要時間は長く見ても15分程度だろう。ただ、駐車監視用電源を使うとなるとバッテリーからの電源を取る必要があるため、取り付けは少々ハードルが上がる。心配なら費用はかかってもカー用品店に任せるのが最良策となる。
総合的に見てドラレコとして本機の能力は極めて高い。撮影した映像のクオリティはもちろんのこと、使い勝手の良さは機能として安心感を生み出す。家電量販店では3万円弱で販売されている高級機として十分に納得がいくレベルにある。高級機を購入したという満足感をしっかり感じ取れるスペックに仕上がったモデルと言えるだろう。