公開日 2018/09/20 06:15
同社を代表する高音質ラックが誕生
コンポを覚醒させるオーディオラック。ティグロン10周年記念モデル「MAGNESIA EX」をレポート
林 正儀
ティグロンはオーディオラックの中核モデルを刷新。「MAGNESIA EX」シリーズとして生まれ変わった。この新シリーズは同社の創業10周年の記念として発売されるもので、2年以上の歳月をかけ、音質面で一切の妥協なく仕上げたオーディオラックとなっている。上位シリーズと同じ最高級ロシアンバーチ耐水合板製の棚板と、細身ながら高い制振効果を発揮するマグネシウム合金製の支柱で構成。音質はもちろんのこと、軽量で使いやすさも追求したシリーズとなっている。全てが国内生産品で手掛けられた逸品。林 正儀氏のレポートをお届けすることにしよう。
オーディオラック
TIGLON
M-EX3
¥87,000/3段(税別)※標準支柱は200+330mm
■限られたコストのなかで 究極を求めたシリーズ
ティグロンのオーディオラックは勢いがある。ポータブルサイズのマグネシウムラックMPRシリーズに続いて、今回新たに「マグネシアEX」が登場。惜しまれつつ生産完了となった、ベーシックモデルTRSシリーズの後継となるものだ。開発期間2年というのはかなり長いのだが、そこはこだわり屋である同社代表の沖野賢太郎さんのこと。10周年記念に恥じない音のクオリティとデザイン性をとことん追求した結果がEXモデルだ。EXはEXPANSIONで、意味するところは“広がり”である。
そんなイメージを持ちながら本モデルを見ると、意外にシンプルで軽量そうな作りに驚かされる。
今回全ての部品を国内で調達したそうで、棚板はマグネシアTMRと同じ最高級のロシアンバーチ耐水合板を採用。厚みを21?から15?とスリム化し、マグネシウム合金の支柱も32?φから20?φへと、少し細身になっている。金属と自然木のハイブリッドだが、限られたコストの中で究極を求めたといってよいだろう。プライスは3段もので87,000円と、従来のTRSよりは2万円高であるが、クオリティのすごさは聴いてからのお楽しみだ。
素材そのものを生かし 使いやすさも追求する
もう少し補足しておくと、ロシアンバーチそのものがレアで高品質なため、素のままの良さを引き出そうというコンセプトだ。突き板やシートを貼るメーカーが多いなかで、スッピンにこだわったのは音が複雑になったり違和感が乗るのを嫌ったためという。見れば両面ともきれいな木質で、塗装はそれぞれ3回仕上げ。裏側は手を抜きがちだが、そうしなかった。両面同じ条件が音にどう反映されるのか?一方「軽金属中最速」という制振性能の良さを生かしたマグネシム合金の支柱は、シンプルな円筒構造だ。上位シリーズのような二重構造ではないが、しっかりと珪素を充填したもの。TRSと同じパイプを用い、接合部のネジはグレードアップされていた。
こうした音質対策に加え、あと3つポイントがある。組み立てるのが簡単で作業性がよく、移動もスムーズなことがひとつ。耐荷重は約70?でこれも安心材料となる。軽くて堅牢ということだ。最後に棚板の有効面積がマグネシアよりちょっと広くなり、アナログプレーヤーが乗せられるようになったことも見逃せない。サイズは530W×430Dmmで、アナログユーザーも大型アンプユーザーも大歓迎だ。
棚板サイズもゆとりがあり 自然な広がり感を引き出す
シンプルな美しさが引き立つ感じである。高級木材とストレートな金属支柱がルックス的にもナイスマッチで、棚板サイズやスペース的にもたっぷりとゆとりがあるのはよい。空間がありすぎる感じもあるが、窮屈にならず、ケーブルのとりまわしも楽で、コンポがせいせいしている感じだ。
サウンドはティグロンらしい緻密さと帯域バランスのよさをキープしながら、積極的に広がり感を出してくる感じである。厳正な忠実指向ではなく、力まず音楽の流れにまかせた自然体。
ストリングスをバックに歌うステイシー・ケントは、たっぷりと広がるステージ感で、伸び伸びとした開放感や、いい意味での軽さも感じられる。生演奏のような広がる音はそう簡単に出るものではなく、ラックのクオリティが問われる部分だと思うがどうだろう。このあたり、水分の少ないバーチ材にこだわった成果かもしれない。水分を含むと鈍さが出たり、ぼてっと重くなるからだ。
神経質なところはないが、小音量でも分解能やクリアさを失わない点は見事だ。出すべき情報は弦、ピアノの粒立ちや余韻感まで、レスポンスよく正確に拾い上げてくれる。大音量や音圧的な負荷にも強く、ダイナミックレンジの変化にもタフ。ジャズの低音域までナチュラルに伸びており、キックドラムやオルガンの風圧感もスムーズに再現。見た目は簡素だが、コンポを覚醒させるポテンシャルを有し、ティグロンを代表する高音質モデルになるだろう。さらにラックのパワーアップアイテムとして、同社のオーディオボードTMB-300とTMB-10Eで段階的に重量感やS/Nや解像度などチューニングしながら自分流の音に仕上げるのも楽しい。オーディオボードも同じ高級ロシアンバーチを使用しており、相性のよさは太鼓判である。
TIGLON「MAGNESIA EX」オーディオラックラインアップ
・「M-EX1」¥33,000/1段(税別)
・「M-EX2」¥60,000/2段(税別)●標準支柱:330mm
・「M-EX3」¥87,000/3段(税別)●標準支柱:200+330mm
・「M-EX4」¥114,000/4段(税別)●標準支柱:200+280+330mm
・「M-EX5」¥141,000/5段(税別)●標準支柱:200+200+280+330mm
※支柱は70/150/200/280/330mmの5種類から選択可
■追加オプション
・Mg支柱
¥13,000/70mm,¥14,000/150mm,¥14,000/200mm,\16,000/280mm,\16,000/330mm
・Mg脚¥12,000
・トップエンドピン¥3,000
・棚板¥21,000
・重量キャスターセット¥8,800
・ソフトスパイクセット¥8,000
問い合わせ先:ティグロン株式会社 問い合わせはこちらから。
本記事は「季刊オーディオアクセサリー」170号所収記事を転載したものです。雑誌の購入はこちらから。
オーディオラック
TIGLON
M-EX3
¥87,000/3段(税別)※標準支柱は200+330mm
■限られたコストのなかで 究極を求めたシリーズ
ティグロンのオーディオラックは勢いがある。ポータブルサイズのマグネシウムラックMPRシリーズに続いて、今回新たに「マグネシアEX」が登場。惜しまれつつ生産完了となった、ベーシックモデルTRSシリーズの後継となるものだ。開発期間2年というのはかなり長いのだが、そこはこだわり屋である同社代表の沖野賢太郎さんのこと。10周年記念に恥じない音のクオリティとデザイン性をとことん追求した結果がEXモデルだ。EXはEXPANSIONで、意味するところは“広がり”である。
そんなイメージを持ちながら本モデルを見ると、意外にシンプルで軽量そうな作りに驚かされる。
今回全ての部品を国内で調達したそうで、棚板はマグネシアTMRと同じ最高級のロシアンバーチ耐水合板を採用。厚みを21?から15?とスリム化し、マグネシウム合金の支柱も32?φから20?φへと、少し細身になっている。金属と自然木のハイブリッドだが、限られたコストの中で究極を求めたといってよいだろう。プライスは3段もので87,000円と、従来のTRSよりは2万円高であるが、クオリティのすごさは聴いてからのお楽しみだ。
素材そのものを生かし 使いやすさも追求する
もう少し補足しておくと、ロシアンバーチそのものがレアで高品質なため、素のままの良さを引き出そうというコンセプトだ。突き板やシートを貼るメーカーが多いなかで、スッピンにこだわったのは音が複雑になったり違和感が乗るのを嫌ったためという。見れば両面ともきれいな木質で、塗装はそれぞれ3回仕上げ。裏側は手を抜きがちだが、そうしなかった。両面同じ条件が音にどう反映されるのか?一方「軽金属中最速」という制振性能の良さを生かしたマグネシム合金の支柱は、シンプルな円筒構造だ。上位シリーズのような二重構造ではないが、しっかりと珪素を充填したもの。TRSと同じパイプを用い、接合部のネジはグレードアップされていた。
こうした音質対策に加え、あと3つポイントがある。組み立てるのが簡単で作業性がよく、移動もスムーズなことがひとつ。耐荷重は約70?でこれも安心材料となる。軽くて堅牢ということだ。最後に棚板の有効面積がマグネシアよりちょっと広くなり、アナログプレーヤーが乗せられるようになったことも見逃せない。サイズは530W×430Dmmで、アナログユーザーも大型アンプユーザーも大歓迎だ。
棚板サイズもゆとりがあり 自然な広がり感を引き出す
シンプルな美しさが引き立つ感じである。高級木材とストレートな金属支柱がルックス的にもナイスマッチで、棚板サイズやスペース的にもたっぷりとゆとりがあるのはよい。空間がありすぎる感じもあるが、窮屈にならず、ケーブルのとりまわしも楽で、コンポがせいせいしている感じだ。
サウンドはティグロンらしい緻密さと帯域バランスのよさをキープしながら、積極的に広がり感を出してくる感じである。厳正な忠実指向ではなく、力まず音楽の流れにまかせた自然体。
ストリングスをバックに歌うステイシー・ケントは、たっぷりと広がるステージ感で、伸び伸びとした開放感や、いい意味での軽さも感じられる。生演奏のような広がる音はそう簡単に出るものではなく、ラックのクオリティが問われる部分だと思うがどうだろう。このあたり、水分の少ないバーチ材にこだわった成果かもしれない。水分を含むと鈍さが出たり、ぼてっと重くなるからだ。
神経質なところはないが、小音量でも分解能やクリアさを失わない点は見事だ。出すべき情報は弦、ピアノの粒立ちや余韻感まで、レスポンスよく正確に拾い上げてくれる。大音量や音圧的な負荷にも強く、ダイナミックレンジの変化にもタフ。ジャズの低音域までナチュラルに伸びており、キックドラムやオルガンの風圧感もスムーズに再現。見た目は簡素だが、コンポを覚醒させるポテンシャルを有し、ティグロンを代表する高音質モデルになるだろう。さらにラックのパワーアップアイテムとして、同社のオーディオボードTMB-300とTMB-10Eで段階的に重量感やS/Nや解像度などチューニングしながら自分流の音に仕上げるのも楽しい。オーディオボードも同じ高級ロシアンバーチを使用しており、相性のよさは太鼓判である。
TIGLON「MAGNESIA EX」オーディオラックラインアップ
・「M-EX1」¥33,000/1段(税別)
・「M-EX2」¥60,000/2段(税別)●標準支柱:330mm
・「M-EX3」¥87,000/3段(税別)●標準支柱:200+330mm
・「M-EX4」¥114,000/4段(税別)●標準支柱:200+280+330mm
・「M-EX5」¥141,000/5段(税別)●標準支柱:200+200+280+330mm
※支柱は70/150/200/280/330mmの5種類から選択可
■追加オプション
・Mg支柱
¥13,000/70mm,¥14,000/150mm,¥14,000/200mm,\16,000/280mm,\16,000/330mm
・Mg脚¥12,000
・トップエンドピン¥3,000
・棚板¥21,000
・重量キャスターセット¥8,800
・ソフトスパイクセット¥8,000
問い合わせ先:ティグロン株式会社 問い合わせはこちらから。
本記事は「季刊オーディオアクセサリー」170号所収記事を転載したものです。雑誌の購入はこちらから。