公開日 2021/02/26 06:30
いま買うべきディスクプレーヤーをガチンコ対決で決める!
デノン「DCD-A110」vs マランツ「SACD 30n」 最強のミドル級プレーヤーはどっちだ!?
土方久明/生形三郎 構成:季刊・オーディオアクセサリー編集部
全世界で圧倒的な人気を誇る老舗オーディオブランド、デノンとマランツ。
製造元である会社が経営統合して同じ“D&Mグループ”となってからも、“白河ワークス”を拠点に数多くの銘機を誕生させてきた。そんな両ブランドは奇しくもアニバーサリーイヤーを迎え、オーディオファイルを唸らせるとっておきの主力製品を発表。その大注目2モデルを、生形三郎氏と土方久明氏の両名が徹底比較した。
全2回にわたり対決する今回は、SACDプレーヤー編をお届けしよう。
DENON「DCD-A110」280,000円(税抜)
【PROFILE】110周年を記念して登場したデノンのSACDプレーヤー「DCD-A110」。PCM信号を1.536MHz/32bitに変換する最新のアナログ波形再現技術「Ultra AL32 Processing」を搭載。同社が誇る最高水準のアナログ波形の再現、そして原音再生を実現した。さらに、Quad-DAC構成、アナログオーディオ回路のフルディスクリート化、高音質パーツとカスタムパーツなどを用いてサウンドチューニングを行うなど、最上位モデル「DCD-SX1 LIMITED」に迫るサウンドを追求した、渾身のアニバーサリーモデル。
MARANTZ「SACD 30n」270,000円(税抜)
【PROFILE】シンメトリーなマランツ伝統のデザインエレメントを受け継ぎながら、サウンドからデザイン、そしてリスニングスタイルに至るまで、現代的に昇華した新世代と呼ぶに相応しいマランツのネットワークSACDプレーヤー「SACD 30n」。SACD/CDドライブ、ネットワークオーディオ機能、USB-DACを搭載するなど、様々なデジタルコンテンツの再生に対応。独自のディスクリートDAC「Marantz Musical Mastering」を搭載し、卓越した忠実性と音楽性の高次元の融合を図った。
■値段も近く好敵手として注目を集める二大プレーヤー
土方 ファイル再生にこだわり始めてから、実は数年ほどCDプレーヤーを持っていなかったんです。一昨年に導入した、CDリッピングが可能なミュージックサーバーはCDドライブを搭載していますが......。だけど、最近は「この音いいな、使いたいな」っていう個性的なモデルが増えてきました。その最たる例がデノン「DCD-SX1 LIMITED」で、この音が聴けるならSACDプレーヤーを導入したいなと考えており、そんな時にデノンのサウンドマスター山内さんが「DCD-SX1 LIMITEDに準じたサウンドを目指した」と語る「DCD-A110」が登場して、期待が高まっていたところでした。
生形 「DCD-SX1 LIMITED」は衝撃でしたよね。これは欲しい!と思いましたもの(笑)。私自身で録音したCDを再生したとき、「ここまでソースを忠実に、かつ魅力的に再現させるのかっ」と、山内さんの手腕に心底感動しましたよ。最近は、各社ファイル再生の音質がかなり安定してきたからこそ、土方さんのおっしゃるように魅力的なCDプレーヤーが求められる時代なんだと思います。そして、僕もファイル再生派ですが、マランツはサウンドから使い勝手、デザインまで新しい試みをしていて、常に一目を置いているメーカーです。「SACD 30n」は、ネットワーク再生においても歴代で一番音がいいと言い切れるくらい力を入れていますね。
土方 マランツのサウンドマスター尾形さんは、機器の組み合わせのしやすさをかなり意識されているみたいですよね。特にオーディオって、どこで音を作るかが永遠のテーマじゃないですか!? ソース機器をストレートで出した方がコントロールしやすいけれど、もちろんプレーヤーで音楽性を求めたい人もいますよね。
生形 音大で講師をしていてわかったのですが、若い世代はHi-Fiなサウンドを好む傾向も多いみたいです。ヘッドホンやイヤホンを使って、ハイレゾ音源を耳に近い位置で聴いて育ってきたため、よりナチュラルなサウンドのニーズも高まっているのかもしれません。
土方 興味深いデータですね。DCD-A110とSACD 30nは、値段的にも近くて当然オーディオファンの中でも好敵手として注目を集めています。今回は正面からしっかり両モデルを聴き比べられるとのことで、非常に楽しみにしていました。
■ブランドが1つのグループとなり、より強力な製品開発を実現
生形 デノン、マランツはそれぞれ節目を迎えましたね。110周年のデノンは、日本コロムビアというレーベルが成り立ちにあって、B&K社と共同開発した画期的な無指向性マイクロフォンによる収録を実現するなど、デジタル録音の幕開けを支えてきました。そのバックボーンに加え、カートリッジ「DL-103」に代表される放送の黎明期からNHKと一緒に標準的なものを作ってきた、確固たるブランドというイメージがあります。日本が世界に誇る盤石な基礎があり、信頼性も高くて本当に魅力的ですよね。
土方 伝統的にデジタルが強いんですよ。CDプレーヤーは特に1980年代後半の錚々たるモデルが発売されていた時代に、圧倒的にデノンはアナログを聴いているような、歪みのないサウンドを奏でていた強いインパクトが今も残っています。対して70周年のマランツは、ソウル・B・マランツ氏が設立した後に、スーパースコープ社やフィリップス社と一緒になるなど、ブランドとして紆余曲折がありました。その長い歴史の中で「Model 7」や「Model 9」、「CD-63」といった、現在も語り継がれる銘機を数多く誕生させていますね。
生形 SACD 30nも、昔のデザインのいろんな年代の要素が感じられますよね。DCD-A110は、アニバーサリー仕様のグラファイト・シルバーが渋くて、存在感もあってカッコいいですね。
土方 いやぁ、こうしてみるとデノンとマランツはD&Mグループとして一緒になってからも、それぞれの魅力がしっかりと引き立てられているのは嬉しいことですよ。
生形 例えば、HEOSなどのソフトウェアでコストのかかる部分は共通の技術を持ち寄り、その分のコストをそれぞれの個性にかけて切磋琢磨している。まさに理想的と言えるのではないでしょうか。
土方 このコスパの高さは、なかなかできないことでしょうからね。
製造元である会社が経営統合して同じ“D&Mグループ”となってからも、“白河ワークス”を拠点に数多くの銘機を誕生させてきた。そんな両ブランドは奇しくもアニバーサリーイヤーを迎え、オーディオファイルを唸らせるとっておきの主力製品を発表。その大注目2モデルを、生形三郎氏と土方久明氏の両名が徹底比較した。
全2回にわたり対決する今回は、SACDプレーヤー編をお届けしよう。
■値段も近く好敵手として注目を集める二大プレーヤー
土方 ファイル再生にこだわり始めてから、実は数年ほどCDプレーヤーを持っていなかったんです。一昨年に導入した、CDリッピングが可能なミュージックサーバーはCDドライブを搭載していますが......。だけど、最近は「この音いいな、使いたいな」っていう個性的なモデルが増えてきました。その最たる例がデノン「DCD-SX1 LIMITED」で、この音が聴けるならSACDプレーヤーを導入したいなと考えており、そんな時にデノンのサウンドマスター山内さんが「DCD-SX1 LIMITEDに準じたサウンドを目指した」と語る「DCD-A110」が登場して、期待が高まっていたところでした。
生形 「DCD-SX1 LIMITED」は衝撃でしたよね。これは欲しい!と思いましたもの(笑)。私自身で録音したCDを再生したとき、「ここまでソースを忠実に、かつ魅力的に再現させるのかっ」と、山内さんの手腕に心底感動しましたよ。最近は、各社ファイル再生の音質がかなり安定してきたからこそ、土方さんのおっしゃるように魅力的なCDプレーヤーが求められる時代なんだと思います。そして、僕もファイル再生派ですが、マランツはサウンドから使い勝手、デザインまで新しい試みをしていて、常に一目を置いているメーカーです。「SACD 30n」は、ネットワーク再生においても歴代で一番音がいいと言い切れるくらい力を入れていますね。
土方 マランツのサウンドマスター尾形さんは、機器の組み合わせのしやすさをかなり意識されているみたいですよね。特にオーディオって、どこで音を作るかが永遠のテーマじゃないですか!? ソース機器をストレートで出した方がコントロールしやすいけれど、もちろんプレーヤーで音楽性を求めたい人もいますよね。
生形 音大で講師をしていてわかったのですが、若い世代はHi-Fiなサウンドを好む傾向も多いみたいです。ヘッドホンやイヤホンを使って、ハイレゾ音源を耳に近い位置で聴いて育ってきたため、よりナチュラルなサウンドのニーズも高まっているのかもしれません。
土方 興味深いデータですね。DCD-A110とSACD 30nは、値段的にも近くて当然オーディオファンの中でも好敵手として注目を集めています。今回は正面からしっかり両モデルを聴き比べられるとのことで、非常に楽しみにしていました。
生形 デノン、マランツはそれぞれ節目を迎えましたね。110周年のデノンは、日本コロムビアというレーベルが成り立ちにあって、B&K社と共同開発した画期的な無指向性マイクロフォンによる収録を実現するなど、デジタル録音の幕開けを支えてきました。そのバックボーンに加え、カートリッジ「DL-103」に代表される放送の黎明期からNHKと一緒に標準的なものを作ってきた、確固たるブランドというイメージがあります。日本が世界に誇る盤石な基礎があり、信頼性も高くて本当に魅力的ですよね。
土方 伝統的にデジタルが強いんですよ。CDプレーヤーは特に1980年代後半の錚々たるモデルが発売されていた時代に、圧倒的にデノンはアナログを聴いているような、歪みのないサウンドを奏でていた強いインパクトが今も残っています。対して70周年のマランツは、ソウル・B・マランツ氏が設立した後に、スーパースコープ社やフィリップス社と一緒になるなど、ブランドとして紆余曲折がありました。その長い歴史の中で「Model 7」や「Model 9」、「CD-63」といった、現在も語り継がれる銘機を数多く誕生させていますね。
生形 SACD 30nも、昔のデザインのいろんな年代の要素が感じられますよね。DCD-A110は、アニバーサリー仕様のグラファイト・シルバーが渋くて、存在感もあってカッコいいですね。
土方 いやぁ、こうしてみるとデノンとマランツはD&Mグループとして一緒になってからも、それぞれの魅力がしっかりと引き立てられているのは嬉しいことですよ。
生形 例えば、HEOSなどのソフトウェアでコストのかかる部分は共通の技術を持ち寄り、その分のコストをそれぞれの個性にかけて切磋琢磨している。まさに理想的と言えるのではないでしょうか。
土方 このコスパの高さは、なかなかできないことでしょうからね。
DENON ブランド背景
創立110周年を迎えた「デノン」は、日本初の音楽会社「日本コロムビア株式会社」と、日本初の放送用録音機器メーカー「株式会社日本電音機製作所」の2社を源流に誕生。創業以来、最高水準の音質と信頼性を兼ね備えた製品づくりで、世界初の業務用PCMレコーダー「DN-023R」やPCM初録音レコード「スメタナ四重奏団 モーツァルト“狩”」、世界初のCDプレーヤー「DCD-2000」を発売するなど、常にテクノロジーの先を目指した製品を届けている。サウンドマスターを務める山内慎一氏は、サウンドフィロソフィーに“Vivid & Spacious”を掲げ、傑作「SX1 LIMITEDシリーズ」などの革新的なモデルを手掛けている。
創立110周年を迎えた「デノン」は、日本初の音楽会社「日本コロムビア株式会社」と、日本初の放送用録音機器メーカー「株式会社日本電音機製作所」の2社を源流に誕生。創業以来、最高水準の音質と信頼性を兼ね備えた製品づくりで、世界初の業務用PCMレコーダー「DN-023R」やPCM初録音レコード「スメタナ四重奏団 モーツァルト“狩”」、世界初のCDプレーヤー「DCD-2000」を発売するなど、常にテクノロジーの先を目指した製品を届けている。サウンドマスターを務める山内慎一氏は、サウンドフィロソフィーに“Vivid & Spacious”を掲げ、傑作「SX1 LIMITEDシリーズ」などの革新的なモデルを手掛けている。
MARANTZ ブランド背景
1953年にソウル・B・マランツ氏が設立した「マランツ」。1958年のプリアンプ「Model 7」、1961年のパワーアンプ「Model 9」など、数々の銘機を生み出した。1968年には日本にてマランツ製品の生産を開始し、1982年にCDプレーヤー「CD-63」、1999年にはSACDプレーヤー「SA-1」を世界に先駆けて発売。現在は、サウンドマスターを務める尾形好宣氏が、オールドマランツの伝統的なデザインを継承しながらも、現代のリスニングスタイルにマッチした新世代と呼ぶに相応しいプロダクトを手掛けている。70周年を迎えるにあたり、製品コンセプトを“Modern Musical Luxury”に一新。その第1弾となる「30シリーズ」を投入した。
1953年にソウル・B・マランツ氏が設立した「マランツ」。1958年のプリアンプ「Model 7」、1961年のパワーアンプ「Model 9」など、数々の銘機を生み出した。1968年には日本にてマランツ製品の生産を開始し、1982年にCDプレーヤー「CD-63」、1999年にはSACDプレーヤー「SA-1」を世界に先駆けて発売。現在は、サウンドマスターを務める尾形好宣氏が、オールドマランツの伝統的なデザインを継承しながらも、現代のリスニングスタイルにマッチした新世代と呼ぶに相応しいプロダクトを手掛けている。70周年を迎えるにあたり、製品コンセプトを“Modern Musical Luxury”に一新。その第1弾となる「30シリーズ」を投入した。
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