公開日 2021/06/21 06:30
−「シンプルさは究極の洗練である」(レオナルド・ダ・ヴィンチ)−
ゼンハイザーがまたひとつ、新たな扉を開いた。ダイナミック型ドライバーと精巧にデザインされたアルミハウジング。自然かつ原音に忠実な「パーフェクトサウンド」のために最先端の音響技術とクラフツマンシップを融合させた究極のフラグシップ「IE 900」の秘密に、山本敦が迫る。
■高域表現をさらに磨くべくドライバーとハウジングを刷新
ゼンハイザー「IE 900」は、設計と開発、および基幹部分の製造まで、すべてをドイツ本社で行う約4年ぶりの新たなフラグシップだ。2018年後半から開発が始まり、ゼンハイザーが誇る最先端の音響技術やノウハウを注入しながら、完成まで約3年をかけて練り上げた。ハイレゾ帯域をカバーする超広帯域ダイナミック型ドライバーと、アルミニウム製ハウジングの設計が刷新された渾身作。シンプルな外観だが、その中身は深い。
ここからは、開発を担当したJermo Koehnke(以下、ケーンケ氏)のコメントを引用しつつ、詳細をみていこう。
IE 900には、ゼンハイザーが新たに独自に設計・開発・製造した7mm口径の超広帯域ダイナミック型ドライバー「TrueResponse トランスデューサー」が搭載されている。従来のフラグシップ「IE 800S」や「MOMENTUM True Wireless 2」など、ゼンハイザーの高級イヤホンではずっと7mm口径のドライバーが搭載されてきたが、今回はじめて導入されたドライバーは、どこが違うのか。ケーンケ氏は次のように解説してくれた。
「新しいドライバーの振動板には、減衰特性に優れるポリマー系素材を採用しています。また、これまで熟練したエンジニアが手作業により組み上げていたドライバーの製造ラインに、最新鋭の産業機械を導入してオートメーション化を実現しました。このことが奏功して生産の歩留まり率を下げず、一貫して精度の高いパーツを量産できるようになりました。改良試作も迅速にできるため、日々細かなチューンアップを果たせます」(ケーンケ氏)
ポイントはそれだけではない。本機に初搭載された「X3Rテクノロジー」は、ハウジング内部のエアーフローを制御する仕組みまで含めた総称となっている。
「美しいハウジングは、ゼンハイザーのイヤホンとして初めて、アルミニウムブロックから削り出して成形しています。剛性が高く、優美な外観も魅力的ですが、音質向上に大きく寄与する重要なパーツになっています。
ハウジング内にはマスキング効果による音響エネルギーの乱れを整えてスムーズなサウンドを実現するために、エアフローを制御する機構を新設しました。3つの溝になっている音響室が、それぞれに異なる高音域の不要な共振成分を押さえ込む<トリプルレゾネーターチャンバー>が、そのひとつです。これによって、ハウジングを試作した段階ではピークが立っていた高音域を、極端なピークやディップの少ない、よりスムーズな傾向に整えることができました。
そのほかノズルの前に自然に広がるサウンドを創出するための機構<アコースティックヴォルテックス>も新たに組み込みました」(ケーンケ氏)
幾度となく微調整を繰り返しながら、ついに可聴帯域の高音域に洗練されたなめらかな質感をもたらし、広大な音場を描き出せるパフォーマンスを獲得したという。また、イヤホンを組み上げる工程で入念な音質テストが実施できるように、ドライバーユニットとノズルの間に音響調整機構も設けたという。
左右のチャンネルマッチを含めて仕上がりの品質がバラつかないように品質管理体制も徹底強化したことが、傑出したプレミアムイヤホンの誕生につながったとケーンケ氏は誇らしげにコメントしてくれた。
機能面ではあらゆるユーザーが快適なフィット感を得られるように、イヤーモニターの開発から得た知見を活かしながら装着スタイルに耳掛け式を採用。バランス/アンバランス仕様の計3種類を同梱する交換用ケーブルは、パラアラミド繊維を編み込んで折り曲げや引っ張りに対する耐性を高めている。数千回の折り曲げ試験にも耐え抜く強さだという。また、イヤホン側の端子は耐久性を高めた「Fidelity Plus MMCX コネクター」としている。
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精巧を極めたフラグシップ。ゼンハイザー ダイナミック型イヤホンの究極系「IE 900」を聴く
山本敦ゼンハイザーがまたひとつ、新たな扉を開いた。ダイナミック型ドライバーと精巧にデザインされたアルミハウジング。自然かつ原音に忠実な「パーフェクトサウンド」のために最先端の音響技術とクラフツマンシップを融合させた究極のフラグシップ「IE 900」の秘密に、山本敦が迫る。
■高域表現をさらに磨くべくドライバーとハウジングを刷新
ゼンハイザー「IE 900」は、設計と開発、および基幹部分の製造まで、すべてをドイツ本社で行う約4年ぶりの新たなフラグシップだ。2018年後半から開発が始まり、ゼンハイザーが誇る最先端の音響技術やノウハウを注入しながら、完成まで約3年をかけて練り上げた。ハイレゾ帯域をカバーする超広帯域ダイナミック型ドライバーと、アルミニウム製ハウジングの設計が刷新された渾身作。シンプルな外観だが、その中身は深い。
ここからは、開発を担当したJermo Koehnke(以下、ケーンケ氏)のコメントを引用しつつ、詳細をみていこう。
IE 900には、ゼンハイザーが新たに独自に設計・開発・製造した7mm口径の超広帯域ダイナミック型ドライバー「TrueResponse トランスデューサー」が搭載されている。従来のフラグシップ「IE 800S」や「MOMENTUM True Wireless 2」など、ゼンハイザーの高級イヤホンではずっと7mm口径のドライバーが搭載されてきたが、今回はじめて導入されたドライバーは、どこが違うのか。ケーンケ氏は次のように解説してくれた。
「新しいドライバーの振動板には、減衰特性に優れるポリマー系素材を採用しています。また、これまで熟練したエンジニアが手作業により組み上げていたドライバーの製造ラインに、最新鋭の産業機械を導入してオートメーション化を実現しました。このことが奏功して生産の歩留まり率を下げず、一貫して精度の高いパーツを量産できるようになりました。改良試作も迅速にできるため、日々細かなチューンアップを果たせます」(ケーンケ氏)
ポイントはそれだけではない。本機に初搭載された「X3Rテクノロジー」は、ハウジング内部のエアーフローを制御する仕組みまで含めた総称となっている。
「美しいハウジングは、ゼンハイザーのイヤホンとして初めて、アルミニウムブロックから削り出して成形しています。剛性が高く、優美な外観も魅力的ですが、音質向上に大きく寄与する重要なパーツになっています。
ハウジング内にはマスキング効果による音響エネルギーの乱れを整えてスムーズなサウンドを実現するために、エアフローを制御する機構を新設しました。3つの溝になっている音響室が、それぞれに異なる高音域の不要な共振成分を押さえ込む<トリプルレゾネーターチャンバー>が、そのひとつです。これによって、ハウジングを試作した段階ではピークが立っていた高音域を、極端なピークやディップの少ない、よりスムーズな傾向に整えることができました。
そのほかノズルの前に自然に広がるサウンドを創出するための機構<アコースティックヴォルテックス>も新たに組み込みました」(ケーンケ氏)
幾度となく微調整を繰り返しながら、ついに可聴帯域の高音域に洗練されたなめらかな質感をもたらし、広大な音場を描き出せるパフォーマンスを獲得したという。また、イヤホンを組み上げる工程で入念な音質テストが実施できるように、ドライバーユニットとノズルの間に音響調整機構も設けたという。
左右のチャンネルマッチを含めて仕上がりの品質がバラつかないように品質管理体制も徹底強化したことが、傑出したプレミアムイヤホンの誕生につながったとケーンケ氏は誇らしげにコメントしてくれた。
機能面ではあらゆるユーザーが快適なフィット感を得られるように、イヤーモニターの開発から得た知見を活かしながら装着スタイルに耳掛け式を採用。バランス/アンバランス仕様の計3種類を同梱する交換用ケーブルは、パラアラミド繊維を編み込んで折り曲げや引っ張りに対する耐性を高めている。数千回の折り曲げ試験にも耐え抜く強さだという。また、イヤホン側の端子は耐久性を高めた「Fidelity Plus MMCX コネクター」としている。
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