公開日 2021/09/09 06:30
ヒットソングの注目曲5選
評論家が選んだ“オーディオ楽曲”を聴こう!厳選サブスクプレイリスト『J-POPでオーディオチェック!編』
選出と解説:高橋 敦
オーディオビジュアルの専門サイトPHILE WEBがオーディオファンにおすすめの楽曲をテーマごとにぎゅっとセレクトして紹介する厳選プレイリスト。今回のテーマは「J-POPでオーディオチェック!」です。
何気なく耳に届いてくるヒットソングや注目曲の中には、オーディオの観点からも興味深い、オーディオチェックにも使えるようなポイントを備えた楽曲もあります。そしてまた、いつもと違うオーディオ的な観点からチェックすることで、その楽曲の音楽的な魅力として新たに見えてくることもあったりするのです。そういった楽しみ方のきっかけや参考にしていたければと、こんなプレイリストを作ってみました。
■YOASOBI「怪物」
この楽曲はまず、冒頭からボーカルと拮抗する存在感で曲の雰囲気を作り上げているシンセベースが大きなポイント。それをオーディオ側がどのような太さや厚み、エッジで描き出すかによって、楽曲全体の見え方も変わってきます。例えばドンと大柄に描き出せば残される余白が減って、狭い空間に閉じ込められているような感覚が強まりますよね。それはそれでこの曲の序盤の内容に合っているかもしれません。一方、メインボーカルを中央だけではなく左右など幅広く配置していることなど、広さを使った空間表現もこの曲のポイントです。その広さをちゃんと再現できることもオーディオ側に強く求められます。
■Aimer「カタオモイ」
エレクトリックギターのクリーントーンの美しさを生かした楽曲と演奏、それを見事に収録した録音です。楽曲提供の内澤崇仁さんはビンテージStratocasterを愛用しているとのことですから、その音色を引き出した演奏なのでしょう。特に耳をそばだててみてほしいのは演奏のダイナミクス。ここで言うダイナミクスは単なる音量の大小だけではなく、強く弾けばクリーントーンに微かに歪みが混じり、そっと弾けばより透明なクリーンになるといった、エレクトリックギターならではの音色変化も含めたダイナミクスです。その細やかなダイナミクスを細やかに届けてくれるか。オーディオ側の繊細さも試されます。
■宇多田ヒカル「One Last Kiss」
聴きどころだらけの楽曲ですが今回は特に空間表現に注目。このプレイリストの中で特にこの曲こそが、広い空間にて優秀なスピーカーシステムから再生されたときにいちばん映えることを意識して制作されているであろう楽曲だからです。あのスケールの劇場作品のテーマソングですからね。様々な音が様々な場所に配置されていますが、ピンポイントにビシッとそこから聴こえてくるような音の置き方ではありません。音自体やその周囲に「滲み」や「馴染み」を伴い、何となくそのあたりから響いてくるような音の置き方がされています。その滲みや馴染みの絶妙さを綺麗に再現するには、オーディオ側では逆に、余計な滲みや馴染みの付加は許されません。
■星野源「不思議」
アルバム「POP VIRUS」以降の星野源さんのサウンドの特徴のひとつは、バンドサウンドとエレクトリックサウンドの素晴らしい融合。この楽曲もまさにそれで、オーディオ的なポイントもバンドとエレクトリックのそれぞれにあります。バンド側ではハマ・オカモトさんが初めて5弦ベースを使用。その5弦から1弦までを使った音域の広いフレーズは、再生帯域バランスに癖のあるオーディオで聴くと音像の大小や濃淡が凸凹してしまいがちです。エレクトリック面ではビンテージシンセの名機たちの音色に注目。再生側でもその質感や色彩を明瞭に描き分けることができてこそ、この楽曲の淡く薄暗い中でのカラフルさといった魅力が生きてきます。
■Uru「白日」
このプレイリストの他の楽曲もそれぞれ素晴らしいシンガーによる素晴らしい歌唱ですが、歌の細部にまで注目してオーディオチェックしたいときにはやはり、ピアノやギターの弾き語りなど近い、よりシンプルなサウンドの楽曲の方が判断しやすいでしょう。そこでこの曲。例えば冒頭の歌詞にはサ行ザ行の音が多く使われていますが、Uruさんは声質の美しさ、丁寧な息の入れ方などによって、そのサ行ザ行を鋭くきつくせず、綺麗にすっと届かせるように歌っていますし、録音もそのように捉えています。それが鋭くきつく聴こえてくるようならそれは再生しているオーディオ側の癖かも? と探れるわけです。
本プレイリストはApple Musicで公開中。すべての曲が配信されており、試聴可能です。
何気なく耳に届いてくるヒットソングや注目曲の中には、オーディオの観点からも興味深い、オーディオチェックにも使えるようなポイントを備えた楽曲もあります。そしてまた、いつもと違うオーディオ的な観点からチェックすることで、その楽曲の音楽的な魅力として新たに見えてくることもあったりするのです。そういった楽しみ方のきっかけや参考にしていたければと、こんなプレイリストを作ってみました。
■YOASOBI「怪物」
この楽曲はまず、冒頭からボーカルと拮抗する存在感で曲の雰囲気を作り上げているシンセベースが大きなポイント。それをオーディオ側がどのような太さや厚み、エッジで描き出すかによって、楽曲全体の見え方も変わってきます。例えばドンと大柄に描き出せば残される余白が減って、狭い空間に閉じ込められているような感覚が強まりますよね。それはそれでこの曲の序盤の内容に合っているかもしれません。一方、メインボーカルを中央だけではなく左右など幅広く配置していることなど、広さを使った空間表現もこの曲のポイントです。その広さをちゃんと再現できることもオーディオ側に強く求められます。
■Aimer「カタオモイ」
エレクトリックギターのクリーントーンの美しさを生かした楽曲と演奏、それを見事に収録した録音です。楽曲提供の内澤崇仁さんはビンテージStratocasterを愛用しているとのことですから、その音色を引き出した演奏なのでしょう。特に耳をそばだててみてほしいのは演奏のダイナミクス。ここで言うダイナミクスは単なる音量の大小だけではなく、強く弾けばクリーントーンに微かに歪みが混じり、そっと弾けばより透明なクリーンになるといった、エレクトリックギターならではの音色変化も含めたダイナミクスです。その細やかなダイナミクスを細やかに届けてくれるか。オーディオ側の繊細さも試されます。
■宇多田ヒカル「One Last Kiss」
聴きどころだらけの楽曲ですが今回は特に空間表現に注目。このプレイリストの中で特にこの曲こそが、広い空間にて優秀なスピーカーシステムから再生されたときにいちばん映えることを意識して制作されているであろう楽曲だからです。あのスケールの劇場作品のテーマソングですからね。様々な音が様々な場所に配置されていますが、ピンポイントにビシッとそこから聴こえてくるような音の置き方ではありません。音自体やその周囲に「滲み」や「馴染み」を伴い、何となくそのあたりから響いてくるような音の置き方がされています。その滲みや馴染みの絶妙さを綺麗に再現するには、オーディオ側では逆に、余計な滲みや馴染みの付加は許されません。
■星野源「不思議」
アルバム「POP VIRUS」以降の星野源さんのサウンドの特徴のひとつは、バンドサウンドとエレクトリックサウンドの素晴らしい融合。この楽曲もまさにそれで、オーディオ的なポイントもバンドとエレクトリックのそれぞれにあります。バンド側ではハマ・オカモトさんが初めて5弦ベースを使用。その5弦から1弦までを使った音域の広いフレーズは、再生帯域バランスに癖のあるオーディオで聴くと音像の大小や濃淡が凸凹してしまいがちです。エレクトリック面ではビンテージシンセの名機たちの音色に注目。再生側でもその質感や色彩を明瞭に描き分けることができてこそ、この楽曲の淡く薄暗い中でのカラフルさといった魅力が生きてきます。
■Uru「白日」
このプレイリストの他の楽曲もそれぞれ素晴らしいシンガーによる素晴らしい歌唱ですが、歌の細部にまで注目してオーディオチェックしたいときにはやはり、ピアノやギターの弾き語りなど近い、よりシンプルなサウンドの楽曲の方が判断しやすいでしょう。そこでこの曲。例えば冒頭の歌詞にはサ行ザ行の音が多く使われていますが、Uruさんは声質の美しさ、丁寧な息の入れ方などによって、そのサ行ザ行を鋭くきつくせず、綺麗にすっと届かせるように歌っていますし、録音もそのように捉えています。それが鋭くきつく聴こえてくるようならそれは再生しているオーディオ側の癖かも? と探れるわけです。
本プレイリストはApple Musicで公開中。すべての曲が配信されており、試聴可能です。
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