公開日 2022/10/13 06:30
【特別企画】ペルソナを愛する評論家たち(5)
パラダイム「Persona B」導入記。「性能と豊潤な表現が両立するハイエンド・ブックシェルフの銘機」林 正儀氏
林 正儀
カナダ発のスピーカーブランド、パラダイム。なかでもブランドの最上位クラス「Persona」シリーズは、オーディオ評論家の間でも愛用者が増えてきている。
今回紹介するのはオーディオ評論家の林 正儀氏。ハイエンド・ブックシェルフの銘機と評する「Persona B」、その導入までのいきさつも含めてお楽しみいただきたい。
「Persona B」が我が家に来ることになったのは、とあるオーディオ誌でライブ盤をライブらしく聴くためのスピーカー・セッティングという取材を、拙宅で行ったのがきっかけ。愛用するフロア型のPlatinum PL300は大型のために動かしづらく、LS50はサイズ不足。そこでひらめいたワードがハイエンド・ブックシェルフだった。このクラスには先端をいく話題のスピーカーが候補としていくつか存在したが、カナダ・パラダイム社の「Persona B」が最も心に刺さった。
唯一無二のオール・ピュアベリリウムで、音色の統一感はシリーズ随一を誇る。フロア型のFやHよりも思想が純粋で潔い。ひと目惚れ、聴き惚れして、すっかりヤラれてしまった。
普通なら貸し出し製品を返却して終わりなのだが、今回ばかりは私の物欲はどうも15年おきにやってくるらしい。前回PL300の時もそうだが、まずルックスにやられ音にノックアウトされる。今回の物欲度はそのプラチナムの時に匹敵するだろう。「ペルソナ」という語感も気に入った。舞台の「仮面」や「役割」の意味もあるそうで、ミステリアスな魅力を発散するスピーカーだ。
届いた「Persona B」は、曲面が美しく実にエレガント。色は何がいいかって……。横から見ると踵の高いパンプスのようで、新幹線のようなルックスには黒でも青でもない。アリアブルー・メタリックがよく似合う。色の選択はとやかく言われたくない。人は人、俺は俺だ。
キラキラ眩しい光を放つラメ入りで、勝手にクールビューティと呼ぶことにした。PPAと呼ばれる音響レンズは、音への効果(位相や拡散性)もそうだが、近未来な質感が映える。
部屋に入る度に、新しい塗装の匂いと現代ハイスピード系の音の鮮度に誘惑される。全域でフラットかつハイレスポンス。まだまだ音は硬いが、高性能レンズのように精密なフォーカスで、あるべき空間情報を根こそぎ出し尽くす。
低音は量ではなく質そのものを追求した正確な再現性といえ、さらにピークでの歪みや色づけがない。ボリュームを上げても少しもきつくならず、さまざまな音楽ジャンルでのダイナミズム表現もほぼ完璧。私が求めるハイエンド・ブックシェルフにふさわしい。正確なモニタリング性能と豊潤な音楽表現が両立した銘機の予感である。と、ベタ褒めだが今回は許されるはずだ。
ただひとつ不満がある。付属のスピーカースタンドだ。ルックス的に剛直すぎる。私の場合KRYNAの「Stage2」というマグネシウム系のハイブリッドスタンドが断然相性がよい。
使用機器はこれまで通りオクターブのプリとファースト・ワットの「SIT-1」(純A級)×2台で鳴らす。さらに今回、実はスピーカーケーブルをおごった。ケーブル工房TSUKASAの「ミネルヴァ」(音楽の女神)と、新作の「ミネルヴァ・ジャンパーケーブル」を導入したが、これがまんまと成功した。エージングが進むにつれ、上質な音楽の柔らかさや表現力に深さが加わって幸福感に包まれるのだ。とはいえ僕の主観なので、あくまで使い手の好む音に合わせて選んで欲しい。
今年はパラダイム社の創業40周年にあたり、その記念として日本だけの特別な色の「Persona B」を企画。赤とシルバーによるロッソ・フォッコと黄色と黒のカナリー・イエローの2モデルで、各色共に5ペアの限定品。標準色はもちろん、カスタムにも含まれていない色で、同社が今回のみ特別に製造した限定色モデル。いずれも日本で今回のみ入手が可能だ。
Persona B スピーカーシステム 1,650,000円(ペア/税込)
Specifications
●構成:2ウェイ・バスレフ型●クロスオーバー:2kHz●周波数特性:60Hz〜45kHz ±2dB●ドライブ・ユニット:1×φ25mm Truextent べリリウムドーム型、1×φ178mm Truextent、べリリウムコーン型●感度:92dB●インピーダンス:8Ω●推奨アンプ出力:15〜250W●最大入力:150W●質量:14kg●サイズ:225W×330D×435Hmm●取り扱い:(株)PDN
取材photo by 君嶋寛慶
(提供:PDN)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.186』からの転載です。
今回紹介するのはオーディオ評論家の林 正儀氏。ハイエンド・ブックシェルフの銘機と評する「Persona B」、その導入までのいきさつも含めてお楽しみいただきたい。
純粋で潔い思想と曲線美、物欲が覚醒してしまった
「Persona B」が我が家に来ることになったのは、とあるオーディオ誌でライブ盤をライブらしく聴くためのスピーカー・セッティングという取材を、拙宅で行ったのがきっかけ。愛用するフロア型のPlatinum PL300は大型のために動かしづらく、LS50はサイズ不足。そこでひらめいたワードがハイエンド・ブックシェルフだった。このクラスには先端をいく話題のスピーカーが候補としていくつか存在したが、カナダ・パラダイム社の「Persona B」が最も心に刺さった。
唯一無二のオール・ピュアベリリウムで、音色の統一感はシリーズ随一を誇る。フロア型のFやHよりも思想が純粋で潔い。ひと目惚れ、聴き惚れして、すっかりヤラれてしまった。
普通なら貸し出し製品を返却して終わりなのだが、今回ばかりは私の物欲はどうも15年おきにやってくるらしい。前回PL300の時もそうだが、まずルックスにやられ音にノックアウトされる。今回の物欲度はそのプラチナムの時に匹敵するだろう。「ペルソナ」という語感も気に入った。舞台の「仮面」や「役割」の意味もあるそうで、ミステリアスな魅力を発散するスピーカーだ。
届いた「Persona B」は、曲面が美しく実にエレガント。色は何がいいかって……。横から見ると踵の高いパンプスのようで、新幹線のようなルックスには黒でも青でもない。アリアブルー・メタリックがよく似合う。色の選択はとやかく言われたくない。人は人、俺は俺だ。
キラキラ眩しい光を放つラメ入りで、勝手にクールビューティと呼ぶことにした。PPAと呼ばれる音響レンズは、音への効果(位相や拡散性)もそうだが、近未来な質感が映える。
高性能レンズのような、精密なフォーカス感
部屋に入る度に、新しい塗装の匂いと現代ハイスピード系の音の鮮度に誘惑される。全域でフラットかつハイレスポンス。まだまだ音は硬いが、高性能レンズのように精密なフォーカスで、あるべき空間情報を根こそぎ出し尽くす。
低音は量ではなく質そのものを追求した正確な再現性といえ、さらにピークでの歪みや色づけがない。ボリュームを上げても少しもきつくならず、さまざまな音楽ジャンルでのダイナミズム表現もほぼ完璧。私が求めるハイエンド・ブックシェルフにふさわしい。正確なモニタリング性能と豊潤な音楽表現が両立した銘機の予感である。と、ベタ褒めだが今回は許されるはずだ。
ただひとつ不満がある。付属のスピーカースタンドだ。ルックス的に剛直すぎる。私の場合KRYNAの「Stage2」というマグネシウム系のハイブリッドスタンドが断然相性がよい。
使用機器はこれまで通りオクターブのプリとファースト・ワットの「SIT-1」(純A級)×2台で鳴らす。さらに今回、実はスピーカーケーブルをおごった。ケーブル工房TSUKASAの「ミネルヴァ」(音楽の女神)と、新作の「ミネルヴァ・ジャンパーケーブル」を導入したが、これがまんまと成功した。エージングが進むにつれ、上質な音楽の柔らかさや表現力に深さが加わって幸福感に包まれるのだ。とはいえ僕の主観なので、あくまで使い手の好む音に合わせて選んで欲しい。
創業40周年記念の特別色を発売(編集部)
今年はパラダイム社の創業40周年にあたり、その記念として日本だけの特別な色の「Persona B」を企画。赤とシルバーによるロッソ・フォッコと黄色と黒のカナリー・イエローの2モデルで、各色共に5ペアの限定品。標準色はもちろん、カスタムにも含まれていない色で、同社が今回のみ特別に製造した限定色モデル。いずれも日本で今回のみ入手が可能だ。
Persona B スピーカーシステム 1,650,000円(ペア/税込)
Specifications
●構成:2ウェイ・バスレフ型●クロスオーバー:2kHz●周波数特性:60Hz〜45kHz ±2dB●ドライブ・ユニット:1×φ25mm Truextent べリリウムドーム型、1×φ178mm Truextent、べリリウムコーン型●感度:92dB●インピーダンス:8Ω●推奨アンプ出力:15〜250W●最大入力:150W●質量:14kg●サイズ:225W×330D×435Hmm●取り扱い:(株)PDN
取材photo by 君嶋寛慶
(提供:PDN)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.186』からの転載です。