公開日 2022/12/10 08:00
オーディオアクセサリー銘機賞2023受賞モデル
オヤイデの電源ケーブルが進化!「L/i50 V6」とノイズ抑制テープ「NRF-005T」を評論家3名が聴く
井上千岳/炭山アキラ/福田雅光
OYAIDEブランドは、秋葉原に電材専門店として創業以来、2022年10月1日で70年を迎えた“ケーブルの老舗”、(株)小柳出電気商会のオリジナルブランド。本年の「オーディオアクセサリー銘機賞2023」のグランプリを受賞した電源ケーブル「L/i50 V6」と、部門賞受賞のノイズ抑制テープ「NRF-005T」の効果をレポートする。
「L/i50」は、オヤイデ電気の創業者、小柳出一二氏が独自に開発し、1983年には「低インダクタンス電源用コードL/i50」として実用新案を取得。1985年に登場の元祖オーディオ用電源タップ「OCB-1」にも起用された。
「L/i50 V6」はその6代目で、導体は長時間低温焼鈍を施した高純度OFC。低温でゆっくり時間をかけた伸線で内部組織を均質化し、安定した伝送を実現。電源プラグとIECコネクターはケーブルの優れた特性を引き出す、オヤイデ最新のARMOREDシリーズ「AP/AC-029」。アップデートを重ねながらいまに続くロングランと信頼性を誇る、進化した最新世代として評価され、「オーディオアクセサリー銘機賞2023」でグランプリを受賞した。
■ノイズや歪み低減を図る構成に、現代の素材と最新パーツを採用(井上)
低インダクタンス電源用コード「L/i50」として実用新案を取得したのが1983年。以来着実にリファインを重ねながら、ロングセラーを続けている定番モデルである。その18年ぶりのリニューアルとなる新しいシリーズの一環がこの「L/i50 V6」だ。
導体は高純度OFCとし、これを長時間の低温焼鈍で伸線することによって、内部応力を均質化し歪みの低減を図っている。内部構成は4芯スターカッド。径0.12mmの素線25本を撚り合わせたものを7組束ねたうえで、シリコンゴムの絶縁を施している。さらにその上から強化繊維テトロン編組で被覆して1つの芯線が形成される。
この芯線をホット/コールド2本ずつ対角線状に配置し、それぞれの間には綿糸の介在が挟んである。また中心には錫メッキ銅のアース線が1本通っている。芯線相互の磁界が相殺されるためインダクタンスが低く、輻射ノイズを低減することが可能だ。
プラグ/コネクターには、同社ARMOREDシリーズの「AP-029/AC-029」を採用している。強固なデュアルハウジングと、可動式でケーブルを挟むフレックスケーブルクランプ方式による新設計。ARMOREDメカニカルアースシステムで、本体とハウジングを強固に一体化する。ブレードは無垢の黄銅製である。また電磁波吸収体MWAテープも標準装備されている。
■濁りや誇張がなく繊細で潤う音。自然で柔和だが鮮やかに映える
「L/i50 V6」を聴く。信号とエネルギーの通りが良く、濁りのない音調がどこでも確保されている。誇張のない出方である。
古楽器によるバロックは繊細で潤いのある響きが素直に引き出され、アンサンブルが丁寧に描き出されて瀟洒な雰囲気が自然に立ち込めている。低域の深いところまで曇りがなく、全体が明快にほぐれた鳴り方である。
ピアノはエネルギーがよく乗って手触りも暖たかく、タッチが厚手で肉質感がちょうどいい。しかし音が甘くなることはなく、高域の弱音部でも透き通るような響きが混じり気なく引き出されている。余韻が過剰に付きすぎることがなく、音場が自然だ。
オーケストラはしなやかさが増して、質感に柔軟さが加わっている。柔和だが質感の密度は高く、また色彩が明るく鮮やかに映える。
■長きにわたり定番品であり続け、現代に対応して着実に進化した(炭山)
オヤイデ電気は創業70年。当初「秋葉原の電線屋さん」だったが、創業者の小柳出一二氏は1980年代頃からケーブル高音質化の祖というべきオーディオ評論家の故・江川三郎氏との二人三脚で、先駆的なオリジナル製品の数々を送り出してきた。
そんなオヤイデの凄いところは、初期の電源ケーブル「L/i50」や電源タップ「OCB-1」を、モデルチェンジを繰り返しつつ、現在も現役の品番としてバリエーションを揃えて生かし続けていることだ。
このたび「L/i50」が第6世代へと生まれ変わった。導体4本の対角側を、それぞれ+と−の導体として撚り合わせるスターカッド構造は第1号からずっと変わらず、3ピンの電源プラグと端子へ対応するため、近年の改良で中心部にアース線を仕込んだ形状のケーブルとなった。
導体は長時間のアニールにより、しなやかさを増したOFCである。細い芯線を多数撚り合わせた導体で、太さは4スケアとそこそこ太い。特にシールドはされていないが、スターカッド構造で撚り合わせた芯線は、それ自身が緩やかなシールド効果を持つ。
プラグとコネクターは同社ARMOREDシリーズの中から、無メッキブレードの「AP-029/AC-029」が採用されている。
■穏やかながら俊敏さを獲得し、有機的にゆったりと音楽を紡ぐ
自宅レファレンスで「L/i50 V6」を聴いた。「L/i50」というと穏やかでほんのり明るい音という印象だったが、新作はその持ち味を受け継ぎながら、ピシリと素早い立ち上がり、そしてそこそこの力強さを得たように感じさせる。
クラシックは音場がフワリと広がり、オーケストラのスケールも相当のレベルで再現する。筋金入りの力感や火花散る立ち上がりというよりは、オーケストラの編成をしっかりと表現しながら穏やかめの風合いを聴かせるタイプである。
ジャズは落ち着いた雰囲気の中に声をピリッと立て、わずかなスパイスが香る。こちらもバスドラムやシンバルの炸裂というより、トリオが有機的に音楽を紡ぐ姿を表現することを得意とするようだ。
ポップスはS/N良く、たゆたうような音の波へゆったりと身を浸すような感触が味わえた。そうは言っても声の再現は得意分野で、明るくピシリと背筋の伸びた歌声が快い。全体に、音楽へ対峙することをリスナーへ強要しない、本ケーブルの持つある種の緩さに響き合うマニアは結構多いのではないか。好ましき個性である。
■リファイン強化された、伝統の電源ケーブル現代版(福田)
「L/i50 V6」には、1983年に日本で初めてオーディオ用の電源ケーブルを開発した、オヤイデ伝統のケーブル「L/i50」が継承されている。ノイズを低減する4芯スターカッド構造をバージョンアップした現代仕様になっている。
導体は低温アニールOFCを採用し、導体断面積は合計4スケアである。また、錫メッキOFCによるアースラインを4芯の中心部に配置している。
「L/i50 V6」で最も大きく強化されたのが端子である。最新鋭のメッキレス電極を採用した、オヤイデのARMORED(アーマード)シリーズのプラグ「AP-029」と、コネクターには同シリーズの「AC-029」を起用した。またオヤイデの電磁波吸収体「MWAテープ」0.1mm厚を採用して、ノイズや磁気歪みの対策も施された。
■歪みや濁り、キャラクターが少なく、SN比を高めてクオリティを強化
「L/i50 V6」の音質はキャラクターが少なく、解像度のしっかりした性能が魅力である。透明度が高く、低歪みで濁りもたいへん少ない。滑らかさのある音質で、綺麗なまとまりのいいバランスを示している。ヴォーカル帯域を充実させて、声はハッキリして、リズム系のサウンドも分解力は良好である。
構造デザインもかなり高級仕様に生まれ変わっているが、音質には従来の雰囲気をみせながら、SN比を高め、クオリティが強化されている。またケーブルは柔軟で取り回しがたいへん良く、使いやすいことも見逃せないポイントである。
輻射ノイズ軽減と信頼性、定番電源ケーブルの最新版「L/i50 V6」
「L/i50」は、オヤイデ電気の創業者、小柳出一二氏が独自に開発し、1983年には「低インダクタンス電源用コードL/i50」として実用新案を取得。1985年に登場の元祖オーディオ用電源タップ「OCB-1」にも起用された。
「L/i50 V6」はその6代目で、導体は長時間低温焼鈍を施した高純度OFC。低温でゆっくり時間をかけた伸線で内部組織を均質化し、安定した伝送を実現。電源プラグとIECコネクターはケーブルの優れた特性を引き出す、オヤイデ最新のARMOREDシリーズ「AP/AC-029」。アップデートを重ねながらいまに続くロングランと信頼性を誇る、進化した最新世代として評価され、「オーディオアクセサリー銘機賞2023」でグランプリを受賞した。
■ノイズや歪み低減を図る構成に、現代の素材と最新パーツを採用(井上)
低インダクタンス電源用コード「L/i50」として実用新案を取得したのが1983年。以来着実にリファインを重ねながら、ロングセラーを続けている定番モデルである。その18年ぶりのリニューアルとなる新しいシリーズの一環がこの「L/i50 V6」だ。
導体は高純度OFCとし、これを長時間の低温焼鈍で伸線することによって、内部応力を均質化し歪みの低減を図っている。内部構成は4芯スターカッド。径0.12mmの素線25本を撚り合わせたものを7組束ねたうえで、シリコンゴムの絶縁を施している。さらにその上から強化繊維テトロン編組で被覆して1つの芯線が形成される。
この芯線をホット/コールド2本ずつ対角線状に配置し、それぞれの間には綿糸の介在が挟んである。また中心には錫メッキ銅のアース線が1本通っている。芯線相互の磁界が相殺されるためインダクタンスが低く、輻射ノイズを低減することが可能だ。
プラグ/コネクターには、同社ARMOREDシリーズの「AP-029/AC-029」を採用している。強固なデュアルハウジングと、可動式でケーブルを挟むフレックスケーブルクランプ方式による新設計。ARMOREDメカニカルアースシステムで、本体とハウジングを強固に一体化する。ブレードは無垢の黄銅製である。また電磁波吸収体MWAテープも標準装備されている。
■濁りや誇張がなく繊細で潤う音。自然で柔和だが鮮やかに映える
「L/i50 V6」を聴く。信号とエネルギーの通りが良く、濁りのない音調がどこでも確保されている。誇張のない出方である。
古楽器によるバロックは繊細で潤いのある響きが素直に引き出され、アンサンブルが丁寧に描き出されて瀟洒な雰囲気が自然に立ち込めている。低域の深いところまで曇りがなく、全体が明快にほぐれた鳴り方である。
ピアノはエネルギーがよく乗って手触りも暖たかく、タッチが厚手で肉質感がちょうどいい。しかし音が甘くなることはなく、高域の弱音部でも透き通るような響きが混じり気なく引き出されている。余韻が過剰に付きすぎることがなく、音場が自然だ。
オーケストラはしなやかさが増して、質感に柔軟さが加わっている。柔和だが質感の密度は高く、また色彩が明るく鮮やかに映える。
■長きにわたり定番品であり続け、現代に対応して着実に進化した(炭山)
オヤイデ電気は創業70年。当初「秋葉原の電線屋さん」だったが、創業者の小柳出一二氏は1980年代頃からケーブル高音質化の祖というべきオーディオ評論家の故・江川三郎氏との二人三脚で、先駆的なオリジナル製品の数々を送り出してきた。
そんなオヤイデの凄いところは、初期の電源ケーブル「L/i50」や電源タップ「OCB-1」を、モデルチェンジを繰り返しつつ、現在も現役の品番としてバリエーションを揃えて生かし続けていることだ。
このたび「L/i50」が第6世代へと生まれ変わった。導体4本の対角側を、それぞれ+と−の導体として撚り合わせるスターカッド構造は第1号からずっと変わらず、3ピンの電源プラグと端子へ対応するため、近年の改良で中心部にアース線を仕込んだ形状のケーブルとなった。
導体は長時間のアニールにより、しなやかさを増したOFCである。細い芯線を多数撚り合わせた導体で、太さは4スケアとそこそこ太い。特にシールドはされていないが、スターカッド構造で撚り合わせた芯線は、それ自身が緩やかなシールド効果を持つ。
プラグとコネクターは同社ARMOREDシリーズの中から、無メッキブレードの「AP-029/AC-029」が採用されている。
■穏やかながら俊敏さを獲得し、有機的にゆったりと音楽を紡ぐ
自宅レファレンスで「L/i50 V6」を聴いた。「L/i50」というと穏やかでほんのり明るい音という印象だったが、新作はその持ち味を受け継ぎながら、ピシリと素早い立ち上がり、そしてそこそこの力強さを得たように感じさせる。
クラシックは音場がフワリと広がり、オーケストラのスケールも相当のレベルで再現する。筋金入りの力感や火花散る立ち上がりというよりは、オーケストラの編成をしっかりと表現しながら穏やかめの風合いを聴かせるタイプである。
ジャズは落ち着いた雰囲気の中に声をピリッと立て、わずかなスパイスが香る。こちらもバスドラムやシンバルの炸裂というより、トリオが有機的に音楽を紡ぐ姿を表現することを得意とするようだ。
ポップスはS/N良く、たゆたうような音の波へゆったりと身を浸すような感触が味わえた。そうは言っても声の再現は得意分野で、明るくピシリと背筋の伸びた歌声が快い。全体に、音楽へ対峙することをリスナーへ強要しない、本ケーブルの持つある種の緩さに響き合うマニアは結構多いのではないか。好ましき個性である。
■リファイン強化された、伝統の電源ケーブル現代版(福田)
「L/i50 V6」には、1983年に日本で初めてオーディオ用の電源ケーブルを開発した、オヤイデ伝統のケーブル「L/i50」が継承されている。ノイズを低減する4芯スターカッド構造をバージョンアップした現代仕様になっている。
導体は低温アニールOFCを採用し、導体断面積は合計4スケアである。また、錫メッキOFCによるアースラインを4芯の中心部に配置している。
「L/i50 V6」で最も大きく強化されたのが端子である。最新鋭のメッキレス電極を採用した、オヤイデのARMORED(アーマード)シリーズのプラグ「AP-029」と、コネクターには同シリーズの「AC-029」を起用した。またオヤイデの電磁波吸収体「MWAテープ」0.1mm厚を採用して、ノイズや磁気歪みの対策も施された。
■歪みや濁り、キャラクターが少なく、SN比を高めてクオリティを強化
「L/i50 V6」の音質はキャラクターが少なく、解像度のしっかりした性能が魅力である。透明度が高く、低歪みで濁りもたいへん少ない。滑らかさのある音質で、綺麗なまとまりのいいバランスを示している。ヴォーカル帯域を充実させて、声はハッキリして、リズム系のサウンドも分解力は良好である。
構造デザインもかなり高級仕様に生まれ変わっているが、音質には従来の雰囲気をみせながら、SN比を高め、クオリティが強化されている。またケーブルは柔軟で取り回しがたいへん良く、使いやすいことも見逃せないポイントである。