公開日 2023/04/17 06:35
オーディオシステムの新たな音質向上策として、いま「仮想アース」が人気沸騰中だ。アンプやスピーカーにつなぐだけという使い勝手の良さもあり、さまざまなブランドが参入して一大ジャンルを形成している。
なかでもサエクの仮想アース「SGS-042」は、特殊な鉱石を内部に封入しており、手のひら大のサイズで強力な効果があるとして注目の的だ。
若干オカルトチックな呼び名ではあるが、そもそも「仮想アース」とは何だろう。アースは英語のearthで「地球」の意味だが、オーディオでアースをとるといえば、本来は地面に接地させることを指す。これが「大地アース」である。だが、大掛かりな工事が必要であったり、工事の関係で効果がでなかったりとハードルも高い。そこで手軽にアース効果を得るべく考案されたのが「仮想アース」だ。
バーチャルだから接地の手間もなく、仮想アース本体とコンポをアースケーブルでつなぐだけ。オーディオ機器よりも安定したところ、つまり「仮想アース」につなぐことで基準グランド電位が安定し、ノイズ対策にもなって音質改善につながるというものだ。今回は、アースケーブルは同じくサエクのPC-Triple C導体を採用した「SE-400」を活用している。
今回は、CDプレーヤーにアキュフェーズの「DP-750」、同じくアキュフェーズのプリアンプ「C-3900」、パワーアンプに「A-75」、それにモニターオーディオの「Platinum PL200」というシステムを用意。この環境で、上流から下流まで、接続場所によってどのような効果があるかをテストしてみた。具体的には(1)CDプレーヤー、(2)プリメインアンプ、(3)スピーカー(2台使用)と3箇所に使用している。
■試聴1 CDプレーヤーで試す - S/Nが向上し雑味が収まる
まず最上流のCDプレーヤー。これは信号がデリケートなためノイズの影響を受けやすい。試聴ソフトは、差が分かりやすいダイアナ・クラールの『Turn Up the Quiet』と、クラシックは山下一史指揮、愛知室内オーケストラによる「ブラームス:大学祝典序曲」を主にかけよう。
これが仮想アースの効果なのか! 周辺が静かになりS/Nが向上。きつさや雑味がスッっと収まった。ノイズレベルが下がって、微細音や音楽が浮き上がってきた感じだ。仮想アースを外すとこれが一変。パタっと微細音が出なくなり、全体に太くて大ざっぱな表現だ。ダイアナ・クラールの声の表情が平面的だし、楽器もべたっとくっついて音楽が楽しめない。
もう一度仮想アースありに戻すと、ノイズ感が消え霧が晴れたようにクリアに。マスクされていた情報が次々に現れる。分離鮮明、かつ目に見えるようなナチュラルな広がりだ。ピアノは粒が立ち、ベースやヴォーカルの生き生きした躍動や表情が心地よい。ドラマーはリーチの長さが分かり、ダイアナ・クラールは10年若返った感じである。
■試聴2 プリアンプで試す - サウンド全体のまとまりや厚みがアップ
次にシステムの要、プリアンプだ。CDプレーヤーから仮想アースをつなぎかえると、かなりその効果が違う。微細音や情報量では最上流ほどの効果は感じないのだが、それよりもサウンド全体のまとまりや、特にハーモニー的な厚み感がアップ。音楽を豊かにコントロールする感じである。
クラシックは特に音の重なりやハーモニーが美しい。弦や金管、打など色々な楽器が次々にあらわれ、色彩的なグラデーションを愉しむ。遠近もより深くなった感じだ。クライマックスにむけての盛り上がりが雄大で、ジャズヴォーカルは広がり感豊かにふわっと包まれた。声質もより多彩に表現され、クラシックでいえばハーモニーの美しさに通じる感じである。これがプリでの印象だ。
■試聴3 スピーカーで試す - 逆起電流を吸収し透明なサウンドに
最下流のスピーカーは、エネルギーの大きな電気信号を扱うもの。この試聴では、SGS-042を2台用意し、SGS-042とモニターオーディオのPL200のマイナス端子側とそれぞれ接続。なお、アースケーブルは同じく「SE-400」のYラグ - バナナのものを使用している。
逆流電流を吸収し歪み感も抑えるためか、濁りのないすっきりとした透明サウンドだ。実に見通しがよく演奏の隅々までピンポイントで定位する。まさに指で指せるような実在感だ。オーディオ用語でいう “プレゼンス” だが、音が出る前の気配さえも分かる反応の良さに驚くはず。
ダイアナ・クラールはギターが前に出ると、次はベースが下がってヴォーカルへと引き継がれた。演奏の熱気を肌で感じながら聴くリアリティがあり、目の前にステージができたような実感である。同時に力強さとボトムのノビがすごい。膨らみをおさえ、よく締まったキレと弾力のある低音再現だ。低音が変わると音全体が変わるので、高域にむけてレンジが広がり、スピーカーがワンサイズ大型になったかと錯覚してしまう。
PL200はもともと低音がたっぷりしたスピーカーだが、SGS-042にはさらに深く沈めるパワーがあるようだ。続けて聴いたヘルゲ・リエン・トリオの、地底から響くようなベースサウンドにも圧倒された。
◇
仮想アースは分かりやすい効果で、3パターンそれぞれに共通する部分や違いが発見できたのが収穫だ。どう変化するのか。自分のシステムに合わせ、気になっている箇所にあわせて使いわけて欲しい。今回はCDでテストしたが、仮想アースがアナログやネットオーディオではどう効くのか、ぜひみなさんの耳で確認してほしい。
(提供:サエクコマース)
【特別企画】気になるところに合わせて使い分けよう
仮想アースは“どこ”が効く?サエク「SGS-042」を上流から下流までつないで効果をチェック!
林 正儀基準電位を安定させ、ノイズ対策にもつながる「仮想アース」
オーディオシステムの新たな音質向上策として、いま「仮想アース」が人気沸騰中だ。アンプやスピーカーにつなぐだけという使い勝手の良さもあり、さまざまなブランドが参入して一大ジャンルを形成している。
なかでもサエクの仮想アース「SGS-042」は、特殊な鉱石を内部に封入しており、手のひら大のサイズで強力な効果があるとして注目の的だ。
若干オカルトチックな呼び名ではあるが、そもそも「仮想アース」とは何だろう。アースは英語のearthで「地球」の意味だが、オーディオでアースをとるといえば、本来は地面に接地させることを指す。これが「大地アース」である。だが、大掛かりな工事が必要であったり、工事の関係で効果がでなかったりとハードルも高い。そこで手軽にアース効果を得るべく考案されたのが「仮想アース」だ。
バーチャルだから接地の手間もなく、仮想アース本体とコンポをアースケーブルでつなぐだけ。オーディオ機器よりも安定したところ、つまり「仮想アース」につなぐことで基準グランド電位が安定し、ノイズ対策にもなって音質改善につながるというものだ。今回は、アースケーブルは同じくサエクのPC-Triple C導体を採用した「SE-400」を活用している。
ソース機器、アンプ、スピーカーと上流から下流まで3箇所で効果をテスト
今回は、CDプレーヤーにアキュフェーズの「DP-750」、同じくアキュフェーズのプリアンプ「C-3900」、パワーアンプに「A-75」、それにモニターオーディオの「Platinum PL200」というシステムを用意。この環境で、上流から下流まで、接続場所によってどのような効果があるかをテストしてみた。具体的には(1)CDプレーヤー、(2)プリメインアンプ、(3)スピーカー(2台使用)と3箇所に使用している。
■試聴1 CDプレーヤーで試す - S/Nが向上し雑味が収まる
まず最上流のCDプレーヤー。これは信号がデリケートなためノイズの影響を受けやすい。試聴ソフトは、差が分かりやすいダイアナ・クラールの『Turn Up the Quiet』と、クラシックは山下一史指揮、愛知室内オーケストラによる「ブラームス:大学祝典序曲」を主にかけよう。
これが仮想アースの効果なのか! 周辺が静かになりS/Nが向上。きつさや雑味がスッっと収まった。ノイズレベルが下がって、微細音や音楽が浮き上がってきた感じだ。仮想アースを外すとこれが一変。パタっと微細音が出なくなり、全体に太くて大ざっぱな表現だ。ダイアナ・クラールの声の表情が平面的だし、楽器もべたっとくっついて音楽が楽しめない。
もう一度仮想アースありに戻すと、ノイズ感が消え霧が晴れたようにクリアに。マスクされていた情報が次々に現れる。分離鮮明、かつ目に見えるようなナチュラルな広がりだ。ピアノは粒が立ち、ベースやヴォーカルの生き生きした躍動や表情が心地よい。ドラマーはリーチの長さが分かり、ダイアナ・クラールは10年若返った感じである。
■試聴2 プリアンプで試す - サウンド全体のまとまりや厚みがアップ
次にシステムの要、プリアンプだ。CDプレーヤーから仮想アースをつなぎかえると、かなりその効果が違う。微細音や情報量では最上流ほどの効果は感じないのだが、それよりもサウンド全体のまとまりや、特にハーモニー的な厚み感がアップ。音楽を豊かにコントロールする感じである。
クラシックは特に音の重なりやハーモニーが美しい。弦や金管、打など色々な楽器が次々にあらわれ、色彩的なグラデーションを愉しむ。遠近もより深くなった感じだ。クライマックスにむけての盛り上がりが雄大で、ジャズヴォーカルは広がり感豊かにふわっと包まれた。声質もより多彩に表現され、クラシックでいえばハーモニーの美しさに通じる感じである。これがプリでの印象だ。
■試聴3 スピーカーで試す - 逆起電流を吸収し透明なサウンドに
最下流のスピーカーは、エネルギーの大きな電気信号を扱うもの。この試聴では、SGS-042を2台用意し、SGS-042とモニターオーディオのPL200のマイナス端子側とそれぞれ接続。なお、アースケーブルは同じく「SE-400」のYラグ - バナナのものを使用している。
逆流電流を吸収し歪み感も抑えるためか、濁りのないすっきりとした透明サウンドだ。実に見通しがよく演奏の隅々までピンポイントで定位する。まさに指で指せるような実在感だ。オーディオ用語でいう “プレゼンス” だが、音が出る前の気配さえも分かる反応の良さに驚くはず。
ダイアナ・クラールはギターが前に出ると、次はベースが下がってヴォーカルへと引き継がれた。演奏の熱気を肌で感じながら聴くリアリティがあり、目の前にステージができたような実感である。同時に力強さとボトムのノビがすごい。膨らみをおさえ、よく締まったキレと弾力のある低音再現だ。低音が変わると音全体が変わるので、高域にむけてレンジが広がり、スピーカーがワンサイズ大型になったかと錯覚してしまう。
PL200はもともと低音がたっぷりしたスピーカーだが、SGS-042にはさらに深く沈めるパワーがあるようだ。続けて聴いたヘルゲ・リエン・トリオの、地底から響くようなベースサウンドにも圧倒された。
仮想アースは分かりやすい効果で、3パターンそれぞれに共通する部分や違いが発見できたのが収穫だ。どう変化するのか。自分のシステムに合わせ、気になっている箇所にあわせて使いわけて欲しい。今回はCDでテストしたが、仮想アースがアナログやネットオーディオではどう効くのか、ぜひみなさんの耳で確認してほしい。
(提供:サエクコマース)