公開日 2024/02/22 15:15
【特別企画】いい音にするための基礎部分、電源の経路の価値を高める
【音質レポート】フルテックの最新電源ボックスとケーブル、評論家が自宅システムで実力検証
角田郁雄
オーディオ機器が本来持つ、音の性能や魅力を引き出ために大切なのは「電源」。フルテックは、その関連アクセサリーの豊富なラインアップを持つ。ここでは、音質を徹底追求しつつ使い勝手も良い、最新の電源ボックスとケーブルの効果を、角田郁雄氏が自宅システムに使って詳しく音質レポートする。
フルテックは、特殊素材「NCF」を開発以来、ケーブル/コネクターホルダーの「NCF Boosterシリーズ」のみならず、電源コネクター、ラインコネクターなどにも、積極的に製品群を拡張している。
とりわけアナログレコード再生では、静電気は大敵だ。トーンアームケーブルやフォノイコライザーのラインケーブルにも帯電する。「NCF Boosterシリーズ」は、こうした箇所にも有効だ。
クレイドル(ケーブルやプラグを受ける部分)との接触面積を確保するために、付属のゴムバンドで固定するとさらに効果的で、私は実践している。個人的には、再生の上流から下流のスピーカーまで順番に導入を進めてきたが、さらに個人的な関心ごととしては、NCF素材を使用した画期的でリーズナブルな価格の電源ボックスの登場を期待した。それが、ついに登場した。4連コンセント仕様の「GTO-D2 NCF(R)」だ。
外観はシンプルながら、その内容は実に高品位だ。まず全体の特徴は、NCF素材とアルミなどの異種素材とを組み合わせ、静電気除去と振動を低減させるマルチ・マテリアル・ハイブリッド構造だ。
各部を説明すると、筐体は特殊グレードのCNC加工された高硬度なアルミ製。外部からの高周波干渉(RFI)を防止するため、特殊なフルオロポリマー製ダンピングフォイルも採用。実に理想的な筐体だ。
上部のコンセントカバーには、フルテックのハイエンド・オーディオグレード・アウトレットカバー、「106-D Plus NCF」を使用。このカバーは、他に類を見ない究極の仕様。NCFカーボンフィバーやNCF調合特殊ダンピング材などを使用した、多層のマルチレイヤー構造だ。高い制振効果、静電気除去、ノイズ除去性能を得ている。
コンセントは、アース付き2連コンセントで、NCFポリカーボネート・カバー部に制振素材のナノサイズのセラミックパウダー及びカーボンパウダーを調合。これを特別なオーディオグレードのナイロン/グラスファイバーで絶縁した。電極部のブレードには特殊ロジウムメッキ処理の非磁性リン青銅を使用。
内部配線は、フルテックの「高純度μ-OFC Alpha-22導体」(断面積:3.8sq)を採用し、2層フッ素ポリマーとポリエチレンを外被に使用。これは、オーディオグレードのフルオロポリマーとポリエチレンの絶縁材だ。これにより、静電気の発生も低減した。
電源入力用のインレットには、やはりロジウムメッキのフルテック「FI-06 NCF(R)」も採用。筐体の底板には、同社独自で開発した電磁波吸収素材、GC-303を内部配線とは非接触で設置している。このように、この電源ボックスは、電源ケーブルとの確実な勘合を行い、外部振動の排除、外来ノイズと静電気の低減を徹底して行っているのだ。
試聴は自宅でも行ったが、まさに搭載技術が反映され、音の透明度や解像度が一気に向上した。特に、楽器や声の微細音が浮き上がり、倍音を豊かに再現したことに感激した。当然のことながら、空間描写性も向上した。明らかに電源タップのノイズ除去、微細振動の低減、静電気除去が情報量に影響することが、あらためて理解できたのだ。
続いて、組み合わせたフルテックの新しいフラッグシップ電源ケーブル、「Powerflux-C15 NCF-18」も紹介しよう。
その特徴は、IECコネクターがスリムな角形のNCF仕様の「CF-C15 NCF(R)」になり、従来のホスピタルグレードのような円筒形では接続できない機器にも対応したことだ。プラグ部には「FI-50M NCF(R)」を採用。いずれも、ボディ部(絶縁体部)にNCF材を調合し、強力な制振効果に静電除去効果を加えた。
ケーブル素材は、フルテックの「α-導体(OCC)」の高密度導体を採用した。伝送特性に影響をもたらす絶縁体には、振動とノイズを低減させるカーボンパウダー調合の2重シース構造のPVCを使用し、柔軟性も考慮した。
ケーブルの中間には、独自のEMI吸収フィルターGC-303も装備し、振動低減するネオダンパーテクノロジーも採用。また、細かな注目点では、両端子のブレードに線材を挟むネジ止め方式を強化。多層の非磁性ステンレスと、銀メッキ・カーボンファイバーのシェル部には、特別な減衰と絶縁を行うアセタールポリマーを使用し、特許技術アースジャンパーを採用することだ。
「Powerflux-C15 NCF-18」の試聴は、「GTO-D2 NCF(R)」と組み合わせて行った。大きく変化したことは、前述の特徴に加えて、さらに静寂感と解像度が高まったことで、音の透明感やダイナミックレンジが拡張した印象を受けた。音楽の躍動感も増し、機器が良い意味でハイスピード化されたように実感。アナログを極める方にも、ぜひ体験して欲しい。
【GTO-D2 NCF(R)】
●型式:電源ボックス●筐体:特製CNC加工特殊グレードアルミシャーシ+特殊フルオロポリマー製ダンピングフォイル(RFI防止)●IECインレット:「FI-06 NCF(R)」(非磁性ロジウムメッキ)●アウトレットコンセント:GTO-D2 NCF(R)専用・特製NCF仕様・非磁性ロジウムメッキコンセント●アウトレットカバー:「106-D Plus NCF」●内部配線:高純度μ-OFC Alpha-22(3.8sq mm)導体+2層フッ素ポリマーとポリエチレン絶縁体●サイズ:約108.5W×77H×283.4Lmm(スパイク部除く)●質量:約2.1kg(ネット)
【Powerflux-C15 NCF-18】
●型式:電源ケーブル●接続部端子部(端子接点は非磁性ロジウムメッキ):プラグ「FI-50M NCF(R)」(カーボンファイバーNCF仕様)、IECコネクター「CF-C15 NCF(R)」(スリムタイプのカーボンファイバーNCF仕様)●ケーブル素材:α-導体(OCC素材)の高密度導体●絶縁材:カーボンパウダー調合の高機能PVCを用いた2重シース構造(振動と外部からのノイズを遮断するとともに柔軟性を合わせ持つ)●ケーブル直径:約17.5mm●定格:15A 125
(協力:フルテック)
本記事は『アナログ82号』からの転載です。
リーズナブルでNCF効果が活きる最新ボックス「GTO-D2 NCF(R)」
フルテックは、特殊素材「NCF」を開発以来、ケーブル/コネクターホルダーの「NCF Boosterシリーズ」のみならず、電源コネクター、ラインコネクターなどにも、積極的に製品群を拡張している。
とりわけアナログレコード再生では、静電気は大敵だ。トーンアームケーブルやフォノイコライザーのラインケーブルにも帯電する。「NCF Boosterシリーズ」は、こうした箇所にも有効だ。
クレイドル(ケーブルやプラグを受ける部分)との接触面積を確保するために、付属のゴムバンドで固定するとさらに効果的で、私は実践している。個人的には、再生の上流から下流のスピーカーまで順番に導入を進めてきたが、さらに個人的な関心ごととしては、NCF素材を使用した画期的でリーズナブルな価格の電源ボックスの登場を期待した。それが、ついに登場した。4連コンセント仕様の「GTO-D2 NCF(R)」だ。
外観はシンプルながら、その内容は実に高品位だ。まず全体の特徴は、NCF素材とアルミなどの異種素材とを組み合わせ、静電気除去と振動を低減させるマルチ・マテリアル・ハイブリッド構造だ。
各部を説明すると、筐体は特殊グレードのCNC加工された高硬度なアルミ製。外部からの高周波干渉(RFI)を防止するため、特殊なフルオロポリマー製ダンピングフォイルも採用。実に理想的な筐体だ。
上部のコンセントカバーには、フルテックのハイエンド・オーディオグレード・アウトレットカバー、「106-D Plus NCF」を使用。このカバーは、他に類を見ない究極の仕様。NCFカーボンフィバーやNCF調合特殊ダンピング材などを使用した、多層のマルチレイヤー構造だ。高い制振効果、静電気除去、ノイズ除去性能を得ている。
コンセントは、アース付き2連コンセントで、NCFポリカーボネート・カバー部に制振素材のナノサイズのセラミックパウダー及びカーボンパウダーを調合。これを特別なオーディオグレードのナイロン/グラスファイバーで絶縁した。電極部のブレードには特殊ロジウムメッキ処理の非磁性リン青銅を使用。
内部配線は、フルテックの「高純度μ-OFC Alpha-22導体」(断面積:3.8sq)を採用し、2層フッ素ポリマーとポリエチレンを外被に使用。これは、オーディオグレードのフルオロポリマーとポリエチレンの絶縁材だ。これにより、静電気の発生も低減した。
電源入力用のインレットには、やはりロジウムメッキのフルテック「FI-06 NCF(R)」も採用。筐体の底板には、同社独自で開発した電磁波吸収素材、GC-303を内部配線とは非接触で設置している。このように、この電源ボックスは、電源ケーブルとの確実な勘合を行い、外部振動の排除、外来ノイズと静電気の低減を徹底して行っているのだ。
試聴は自宅でも行ったが、まさに搭載技術が反映され、音の透明度や解像度が一気に向上した。特に、楽器や声の微細音が浮き上がり、倍音を豊かに再現したことに感激した。当然のことながら、空間描写性も向上した。明らかに電源タップのノイズ除去、微細振動の低減、静電気除去が情報量に影響することが、あらためて理解できたのだ。
スリム端子で適応力を最高峰ケーブル「Powerflux-C15 NCF-18」
続いて、組み合わせたフルテックの新しいフラッグシップ電源ケーブル、「Powerflux-C15 NCF-18」も紹介しよう。
その特徴は、IECコネクターがスリムな角形のNCF仕様の「CF-C15 NCF(R)」になり、従来のホスピタルグレードのような円筒形では接続できない機器にも対応したことだ。プラグ部には「FI-50M NCF(R)」を採用。いずれも、ボディ部(絶縁体部)にNCF材を調合し、強力な制振効果に静電除去効果を加えた。
ケーブル素材は、フルテックの「α-導体(OCC)」の高密度導体を採用した。伝送特性に影響をもたらす絶縁体には、振動とノイズを低減させるカーボンパウダー調合の2重シース構造のPVCを使用し、柔軟性も考慮した。
ケーブルの中間には、独自のEMI吸収フィルターGC-303も装備し、振動低減するネオダンパーテクノロジーも採用。また、細かな注目点では、両端子のブレードに線材を挟むネジ止め方式を強化。多層の非磁性ステンレスと、銀メッキ・カーボンファイバーのシェル部には、特別な減衰と絶縁を行うアセタールポリマーを使用し、特許技術アースジャンパーを採用することだ。
「Powerflux-C15 NCF-18」の試聴は、「GTO-D2 NCF(R)」と組み合わせて行った。大きく変化したことは、前述の特徴に加えて、さらに静寂感と解像度が高まったことで、音の透明感やダイナミックレンジが拡張した印象を受けた。音楽の躍動感も増し、機器が良い意味でハイスピード化されたように実感。アナログを極める方にも、ぜひ体験して欲しい。
【GTO-D2 NCF(R)】
●型式:電源ボックス●筐体:特製CNC加工特殊グレードアルミシャーシ+特殊フルオロポリマー製ダンピングフォイル(RFI防止)●IECインレット:「FI-06 NCF(R)」(非磁性ロジウムメッキ)●アウトレットコンセント:GTO-D2 NCF(R)専用・特製NCF仕様・非磁性ロジウムメッキコンセント●アウトレットカバー:「106-D Plus NCF」●内部配線:高純度μ-OFC Alpha-22(3.8sq mm)導体+2層フッ素ポリマーとポリエチレン絶縁体●サイズ:約108.5W×77H×283.4Lmm(スパイク部除く)●質量:約2.1kg(ネット)
【Powerflux-C15 NCF-18】
●型式:電源ケーブル●接続部端子部(端子接点は非磁性ロジウムメッキ):プラグ「FI-50M NCF(R)」(カーボンファイバーNCF仕様)、IECコネクター「CF-C15 NCF(R)」(スリムタイプのカーボンファイバーNCF仕様)●ケーブル素材:α-導体(OCC素材)の高密度導体●絶縁材:カーボンパウダー調合の高機能PVCを用いた2重シース構造(振動と外部からのノイズを遮断するとともに柔軟性を合わせ持つ)●ケーブル直径:約17.5mm●定格:15A 125
(協力:フルテック)
本記事は『アナログ82号』からの転載です。