公開日 2024/06/06 06:35
【特別企画】最高峰Yラグ&バナナプラグが登場
切り売りスピーカーケーブルをグレードアップ。NCF採用フルテックのYラグ&バナナプラグの効果を検証
福田雅光
スピーカーケーブルは信号経路の最終的な出口で、音に関わる大事な部分だ。その端末プラグに優れたものを選べば、再生音のクオリティアップを図ることができる。ここで紹介するフルテックの新製品プラグ「CF-201 NCF Plus(R)」と「CF-202 NCF Plus(R)」は、信頼性と装着性、そして音質に徹底したこだわりで改良されたもの。数多のアクセサリー試聴を続ける福田雅光氏が“最強プラグ”と語る、その抜群の効果をレポートする。
その効果はまるで、カートリッジをグレードアップしたかのようなインパクトで衝撃を受けた。これは、切り売りスピーカーケーブルの裸線端末に、フルテックのYラグ端子とバナナプラグを装着しての音の変化である。
アナログ再生はともすれば入口に関心が集中し、出口がおろそかになっていることがある。音の入口であるカートリッジが重要なことは誰もが承知しているが、信号経路は最終的にスピーカーを鳴らすためのスピーカーケーブルが支配している。結構な高級ケーブルを使っているからと、裸線で接続して安心している人は多い。
半端な端子を使うとマイナス点があるのも確かで、筆者もそのメリットとデメリットをさんざん研究してきた。裸線は直接端子に繋ぐので最も有利なはずという考え方には一理ある。
しかし、今般フルテックから発売された新製品の端子、Yラグ「CF-201 NCF Plus(R)」とバナナプラグ「CF-202 NCF Plus(R)」を試すと、間違いなく抜群のプラス効果を示したのである。それが冒頭の話になる。例えば高級アンプでも、端末アクセサリーにも洗練された性能を追求しなければ、システム全体の音はマイナス要素を抱えることになる。であるから、信号経路の小さな端子も重要度は同じように大きい。
フルテックの端子「CF-201 NCF Plus(R)」と「CF-202 NCF Plus(R)」は、ロジウムメッキとシルバーメッシュの美しい宝飾品のような豪華な作りで嬉しくなる。スピーカーやアンプの裏方になるパーツだが、高級オーディオでは見えない部分も大切にしたい。それを使う価値感としての効果も意識するようになる。
今回新製品として登場したYラグとバナナプラグは、2023年に発売された製品のグレードアップ仕様である。型名には「Plus」が追加されている。音質重視の性能や作業性にさらにメスを入れ、見えない部分の改良が徹底されている。したがって、外観デザインでは新旧の見分けはつけにくい。LchとRchを示す赤白リングの位置だけである。
しかし内部の改良点は5カ所ある。その主な部分を抜粋すると、純銅ロジウムメッキワンピース構造の改良がある。これはスピーカーターミナルとの接触部分と、ケーブルワイヤー導体の接続部分に継ぎ目のない一体構造を採用しているが、構造や厚みが修正された。
また、装着するダンピングリングも改良されている。これは制振効果や静電気排除に作用し、材料はセラミックパウダー、NCF液晶ポリマー樹脂などを調合したもので音質に重要な働きをする。
同じスピーカーケーブル(フルテックOCC導体製)両端に新旧のYラグとバナナプラグを装着した2ペアを用意し、比較試聴した。
まず旧モデル「CF-201 NCF(R)」と「CF-202 NCF(R)」を聴くと、決して大きな不満がある訳ではない。帯域内のバランスが良く透明感のある音で、ヴォーカル帯域の音質も力がある。弱点を探せば、中高音がすっきり伸びきらずにややデッドな傾向がある。音楽の彫りがやや浅いため、表現全体にぬるさがあるといったことが挙げられる。
次に新製品の「CF-201 NCF Plus(R)」と「CF-202 NCF Plus(R)」を試聴すると、唖然とするほど全体が変化して驚いた。これまであらゆる端子をテストしてきたが、今回の変化の大きさは想像以上である。帯域展開が拡大して高域まですっきり伸びきり、中音・高音のトランジェントが冴えて輪郭を明確に表現する。
キャロル・キッドの「ホエン・アイ・ドリーム」の声は洗練されて瑞々しい。伴奏のギターの旋律は立ち上がりに優れ、アルペジオが冴える。そして低音も分解力とダンピングが強化され、低音楽器は音の動きが明確になる。
試聴は、ケーブルの入口側にバナナプラグ、出口側にYラグを装着したものだが、このようなパーツで全帯域の表現力が大きく変化する。このことを伝えたく、冒頭のような感想となった。
さらに、筆者がよく使っているスピーカーケーブル、クリプトンSC-HR1500のスピーカー側でも新旧のYラグを比較する(アンプ側は裸線のまま)。これも新Yラグでは大きな変化があり、中高音はすっきりと洗練された表情が出てきた。解像度を高め、サウンド全体の純度(SN比)も強化されている。また、低音の効果も大きい。馬力と分解力は強力になり、大きな威力をみせる。
この大きな効果を聴けば、フルテックの新プラグは使うべきという結論になる。この種の端子の中では最強になるからだ。
一方、スピーカー側だけで4個必要なのでコスト的には躊躇するかもしれないが、最終的な伝送経路の対策には意味があり、アンプをいくらグレードアップしてもこの問題は残り続ける。また裸線はターミナル部で押しつぶされてバラけるため、導体の接続状態は不安定で劣化しやすいことも覚えておきたい。
【共通仕様】●固定リング:耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂制振材●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボン製●本体:α(アルファ)非磁性ステンレスワンピース構造●導体固定ネジ:銅合金製●導体結線方法:ネジ止めまたはハンダ●ワイヤー適応径:7.0mm●付属品:2mm六角レンチ(H2.0)×1、六角形ソケット止めネジ(M4×4)×2個セット
【CF-201 NCF Plus(R)】●コンタクトパーツ:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造●外部サイズ:φ15.2×全長約70.0mm●質量(ネット):約38.8g
【CF-202 NCF Plus(R)】●コンタクトセンターピン:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造、センターピンロック機構●外部サイズ:φ15.2×全長約60.5mm●質量(ネット):約33.4g
(協力:フルテック)
本記事は『季刊・アナログ83号』からの転載です。
カートリッジを高級化したように端子が音を向上させる
その効果はまるで、カートリッジをグレードアップしたかのようなインパクトで衝撃を受けた。これは、切り売りスピーカーケーブルの裸線端末に、フルテックのYラグ端子とバナナプラグを装着しての音の変化である。
アナログ再生はともすれば入口に関心が集中し、出口がおろそかになっていることがある。音の入口であるカートリッジが重要なことは誰もが承知しているが、信号経路は最終的にスピーカーを鳴らすためのスピーカーケーブルが支配している。結構な高級ケーブルを使っているからと、裸線で接続して安心している人は多い。
半端な端子を使うとマイナス点があるのも確かで、筆者もそのメリットとデメリットをさんざん研究してきた。裸線は直接端子に繋ぐので最も有利なはずという考え方には一理ある。
しかし、今般フルテックから発売された新製品の端子、Yラグ「CF-201 NCF Plus(R)」とバナナプラグ「CF-202 NCF Plus(R)」を試すと、間違いなく抜群のプラス効果を示したのである。それが冒頭の話になる。例えば高級アンプでも、端末アクセサリーにも洗練された性能を追求しなければ、システム全体の音はマイナス要素を抱えることになる。であるから、信号経路の小さな端子も重要度は同じように大きい。
音質重視で徹底して改善した最新の高級プラグが新発売
フルテックの端子「CF-201 NCF Plus(R)」と「CF-202 NCF Plus(R)」は、ロジウムメッキとシルバーメッシュの美しい宝飾品のような豪華な作りで嬉しくなる。スピーカーやアンプの裏方になるパーツだが、高級オーディオでは見えない部分も大切にしたい。それを使う価値感としての効果も意識するようになる。
今回新製品として登場したYラグとバナナプラグは、2023年に発売された製品のグレードアップ仕様である。型名には「Plus」が追加されている。音質重視の性能や作業性にさらにメスを入れ、見えない部分の改良が徹底されている。したがって、外観デザインでは新旧の見分けはつけにくい。LchとRchを示す赤白リングの位置だけである。
しかし内部の改良点は5カ所ある。その主な部分を抜粋すると、純銅ロジウムメッキワンピース構造の改良がある。これはスピーカーターミナルとの接触部分と、ケーブルワイヤー導体の接続部分に継ぎ目のない一体構造を採用しているが、構造や厚みが修正された。
また、装着するダンピングリングも改良されている。これは制振効果や静電気排除に作用し、材料はセラミックパウダー、NCF液晶ポリマー樹脂などを調合したもので音質に重要な働きをする。
新旧プラグを比較試聴すると唖然とするほど表現力が強化
同じスピーカーケーブル(フルテックOCC導体製)両端に新旧のYラグとバナナプラグを装着した2ペアを用意し、比較試聴した。
まず旧モデル「CF-201 NCF(R)」と「CF-202 NCF(R)」を聴くと、決して大きな不満がある訳ではない。帯域内のバランスが良く透明感のある音で、ヴォーカル帯域の音質も力がある。弱点を探せば、中高音がすっきり伸びきらずにややデッドな傾向がある。音楽の彫りがやや浅いため、表現全体にぬるさがあるといったことが挙げられる。
次に新製品の「CF-201 NCF Plus(R)」と「CF-202 NCF Plus(R)」を試聴すると、唖然とするほど全体が変化して驚いた。これまであらゆる端子をテストしてきたが、今回の変化の大きさは想像以上である。帯域展開が拡大して高域まですっきり伸びきり、中音・高音のトランジェントが冴えて輪郭を明確に表現する。
キャロル・キッドの「ホエン・アイ・ドリーム」の声は洗練されて瑞々しい。伴奏のギターの旋律は立ち上がりに優れ、アルペジオが冴える。そして低音も分解力とダンピングが強化され、低音楽器は音の動きが明確になる。
試聴は、ケーブルの入口側にバナナプラグ、出口側にYラグを装着したものだが、このようなパーツで全帯域の表現力が大きく変化する。このことを伝えたく、冒頭のような感想となった。
さらに、筆者がよく使っているスピーカーケーブル、クリプトンSC-HR1500のスピーカー側でも新旧のYラグを比較する(アンプ側は裸線のまま)。これも新Yラグでは大きな変化があり、中高音はすっきりと洗練された表情が出てきた。解像度を高め、サウンド全体の純度(SN比)も強化されている。また、低音の効果も大きい。馬力と分解力は強力になり、大きな威力をみせる。
この大きな効果を聴けば、フルテックの新プラグは使うべきという結論になる。この種の端子の中では最強になるからだ。
一方、スピーカー側だけで4個必要なのでコスト的には躊躇するかもしれないが、最終的な伝送経路の対策には意味があり、アンプをいくらグレードアップしてもこの問題は残り続ける。また裸線はターミナル部で押しつぶされてバラけるため、導体の接続状態は不安定で劣化しやすいことも覚えておきたい。
【共通仕様】●固定リング:耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂制振材●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボン製●本体:α(アルファ)非磁性ステンレスワンピース構造●導体固定ネジ:銅合金製●導体結線方法:ネジ止めまたはハンダ●ワイヤー適応径:7.0mm●付属品:2mm六角レンチ(H2.0)×1、六角形ソケット止めネジ(M4×4)×2個セット
【CF-201 NCF Plus(R)】●コンタクトパーツ:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造●外部サイズ:φ15.2×全長約70.0mm●質量(ネット):約38.8g
【CF-202 NCF Plus(R)】●コンタクトセンターピン:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造、センターピンロック機構●外部サイズ:φ15.2×全長約60.5mm●質量(ネット):約33.4g
(協力:フルテック)
本記事は『季刊・アナログ83号』からの転載です。