公開日 2023/09/14 18:22
アップル独自の無線技術で実現
Lightningモデルは非対応!新AirPods Proの「ロスレスオーディオ対応」についてわかったこと
山本 敦
アップルが米国の本社Apple Parkで開催したスペシャルイベントで、iPhoneとApple Watchだけでなく、新しい「AirPods Pro」も発表した。実は本製品には、MagSafe充電ケースのコネクタがLightningからUSB-Cに変わること以外にも注目すべき機能があった。ロスレスオーディオ再生に対応することだ。本件について、現地で取材してわかったことをレポートしよう。
アップルは2022年9月にノイズキャンセリングを強化するなどした第2世代のAirPods Proを発売した。今年の新製品は、基本的にこの第2世代のAirPods Proをベースにしている。搭載するドライバーなどアコースティックまわりでほぼ変更された点はなさそうだし、SiP(システム・イン・パッケージ)も同じ「Apple H2」チップだ。
今回のUSB-C版第2世代AirPods Proの注目すべきポイントは、来年前半に米国から発売を予定するヘッドセット型 “空間コンピュータ”「Apple Vision Pro」と連携し、超低遅延のロスレスオーディオ再生に対応することだ。
オーディオのサンプリング周波数は最大48kHzを実現。アップルがプレスリリースで公開しているビット深度は「20ビット」となっている。転送ビットレートでいうと、CD品質を超える最大1.9Mbpsの大容量オーディオストリームにもなる。
アップルはこのオーディオストリームを「Bluetoothではない独自の無線通信技術」で通信するいことが、現地で取材をしてわかった。その詳しい仕組みは明らかにならなかったが、2つのデバイスそれぞれがApple H2チップを搭載し、これによって無線通信を最適化するところに「種と仕掛け」がありそうだ。なお、低遅延性能がどの程度かという数値も公開されていない。Apple Vision Proが発売を迎える頃、また詳細を掘り下げて報告したい。
なお、今回の取材を通じて、Apple Vision Proでのロスレスオーディオ/低遅延再生は同じ第2世代AirPods Proであっても、充電ケースのコネクタがLightningのモデルでは使えず、今回発表されたUSB-Cモデルのみ対応していることがわかった。理由は、AirPods Proのイヤホン側にも大きなアーキテクチャの変更が行われたからだ。
つまり、Apple Vision Proで迫力あるロスレスオーディオサウンドを楽しみたいのであれば、USB-C充電機能を搭載した新しいAirPods Pro(第2世代)を買い求める必要があるのだ。
であるならば、Lightning仕様の充電ケースを採用した同じ第2世代のAirPods Proと、もう少し区別しやすいネーミングにすべきだと思うが、今後AirPods Proの購入を考えている方はこの記事が参考になれば幸いだ。
アップルは、新たにUSB-Cコネクタを搭載したiPhone 15/15 Proシリーズから、充電ケースにUSB-Cコネクタを搭載した第2世代AirPods Proを充電できることをアピールしている。本件について補足しておくと、Lightning充電ケース仕様のAirPodsやApple Watchも「USB-Cコネクタ搭載iPhone」から充電することができる。
今回のスペシャルイベントでは、第2世代のAirPods Pro(USB-C/Lightningともに)とiOS 17搭載iPhoneの組み合わせで実現する、3つの新機能を体験できた。
これらはいずれもWWDC 23で予告された機能で、9月19日を予定するiOS 17の正式リリース以降、AirPods Proのソフトウェアをアップデートすることで使用可能になる。
そのひとつは「適応型オーディオ」だ。iOSのコントロールセンターからノイズコントロールを開くとメニューの中に新設されている。AirPods ProのANCと外部音取り込みの「間」を取って、バックグラウンドノイズを全体に落としながら、クラクションやサイレンなどを聞きやすくするための機能と捉えるとよい。ANCの効果は継続するため、近くにいる人の話し声は聞きにくくなる。
自宅やオフィスなど、屋内で適応型オーディオが役立つ場面も多くありそうだ。デモンストレーションを体験したところ、AirPods ProのANCをオンにしたフルパワーの状態だと聞こえなくなるドアベルや子どもの泣き声のような生活音が、適応型オーディオにすると小音量ながら聞こえてくるので、ノイズを適度に抑えながら周囲に気を配ることができる。同時に換気扇や調理用ミキサーのモーター音など、明らかにノイズと言える音は機械学習により判別。AirPods Proのデバイス上の処理によって「特定して消音する」という使い方ができる。
AirPods Proを装着したまま、一時的に対面の会話などをスムーズにこなしたい場面では「会話感知(Conversation Awareness)」機能が便利だ。こちらもAirPods Proのノイズコントロールの設定に入ると、機能のオン・オフが選択できる。
オンの状態でAirPods Proを耳に装着して、ユーザーが会話を始めると、ANCはオンのまま目の前にいる人の声をピックアップし、聞ける環境になる。この機能を発動させるトリガーはあくまで「自分の声」であり、周囲の話し声でオンになることはない。またユーザーがしばらく話さないでいるとANCモードに戻る。本機能もiPhoneの処理能力に寄らず、AirPods Proのデバイス上の処理だけで行われるため、動作はキビキビとしていた。
もうひとつ、「パーソナライズされた音量」という追加機能も注目だ。これはユーザーがいる環境に合わせた最適な音量をAirPods Proが自動調整し、ユーザーの耳の健康をケアしてくれるというものだ。機械学習によって「時間をかけてユーザーの好みを学習」する機能であることから、検証に少し時間がかかる。また機会をあらためて実機でレポートしたいと思う。
■「最新の」第2世代AirPods Proが対応するロスレスオーディオ再生
アップルは2022年9月にノイズキャンセリングを強化するなどした第2世代のAirPods Proを発売した。今年の新製品は、基本的にこの第2世代のAirPods Proをベースにしている。搭載するドライバーなどアコースティックまわりでほぼ変更された点はなさそうだし、SiP(システム・イン・パッケージ)も同じ「Apple H2」チップだ。
今回のUSB-C版第2世代AirPods Proの注目すべきポイントは、来年前半に米国から発売を予定するヘッドセット型 “空間コンピュータ”「Apple Vision Pro」と連携し、超低遅延のロスレスオーディオ再生に対応することだ。
オーディオのサンプリング周波数は最大48kHzを実現。アップルがプレスリリースで公開しているビット深度は「20ビット」となっている。転送ビットレートでいうと、CD品質を超える最大1.9Mbpsの大容量オーディオストリームにもなる。
アップルはこのオーディオストリームを「Bluetoothではない独自の無線通信技術」で通信するいことが、現地で取材をしてわかった。その詳しい仕組みは明らかにならなかったが、2つのデバイスそれぞれがApple H2チップを搭載し、これによって無線通信を最適化するところに「種と仕掛け」がありそうだ。なお、低遅延性能がどの程度かという数値も公開されていない。Apple Vision Proが発売を迎える頃、また詳細を掘り下げて報告したい。
なお、今回の取材を通じて、Apple Vision Proでのロスレスオーディオ/低遅延再生は同じ第2世代AirPods Proであっても、充電ケースのコネクタがLightningのモデルでは使えず、今回発表されたUSB-Cモデルのみ対応していることがわかった。理由は、AirPods Proのイヤホン側にも大きなアーキテクチャの変更が行われたからだ。
つまり、Apple Vision Proで迫力あるロスレスオーディオサウンドを楽しみたいのであれば、USB-C充電機能を搭載した新しいAirPods Pro(第2世代)を買い求める必要があるのだ。
であるならば、Lightning仕様の充電ケースを採用した同じ第2世代のAirPods Proと、もう少し区別しやすいネーミングにすべきだと思うが、今後AirPods Proの購入を考えている方はこの記事が参考になれば幸いだ。
アップルは、新たにUSB-Cコネクタを搭載したiPhone 15/15 Proシリーズから、充電ケースにUSB-Cコネクタを搭載した第2世代AirPods Proを充電できることをアピールしている。本件について補足しておくと、Lightning充電ケース仕様のAirPodsやApple Watchも「USB-Cコネクタ搭載iPhone」から充電することができる。
■適応型オーディオなど、アップデートにより追加される3つの機能を体験
今回のスペシャルイベントでは、第2世代のAirPods Pro(USB-C/Lightningともに)とiOS 17搭載iPhoneの組み合わせで実現する、3つの新機能を体験できた。
これらはいずれもWWDC 23で予告された機能で、9月19日を予定するiOS 17の正式リリース以降、AirPods Proのソフトウェアをアップデートすることで使用可能になる。
そのひとつは「適応型オーディオ」だ。iOSのコントロールセンターからノイズコントロールを開くとメニューの中に新設されている。AirPods ProのANCと外部音取り込みの「間」を取って、バックグラウンドノイズを全体に落としながら、クラクションやサイレンなどを聞きやすくするための機能と捉えるとよい。ANCの効果は継続するため、近くにいる人の話し声は聞きにくくなる。
自宅やオフィスなど、屋内で適応型オーディオが役立つ場面も多くありそうだ。デモンストレーションを体験したところ、AirPods ProのANCをオンにしたフルパワーの状態だと聞こえなくなるドアベルや子どもの泣き声のような生活音が、適応型オーディオにすると小音量ながら聞こえてくるので、ノイズを適度に抑えながら周囲に気を配ることができる。同時に換気扇や調理用ミキサーのモーター音など、明らかにノイズと言える音は機械学習により判別。AirPods Proのデバイス上の処理によって「特定して消音する」という使い方ができる。
AirPods Proを装着したまま、一時的に対面の会話などをスムーズにこなしたい場面では「会話感知(Conversation Awareness)」機能が便利だ。こちらもAirPods Proのノイズコントロールの設定に入ると、機能のオン・オフが選択できる。
オンの状態でAirPods Proを耳に装着して、ユーザーが会話を始めると、ANCはオンのまま目の前にいる人の声をピックアップし、聞ける環境になる。この機能を発動させるトリガーはあくまで「自分の声」であり、周囲の話し声でオンになることはない。またユーザーがしばらく話さないでいるとANCモードに戻る。本機能もiPhoneの処理能力に寄らず、AirPods Proのデバイス上の処理だけで行われるため、動作はキビキビとしていた。
もうひとつ、「パーソナライズされた音量」という追加機能も注目だ。これはユーザーがいる環境に合わせた最適な音量をAirPods Proが自動調整し、ユーザーの耳の健康をケアしてくれるというものだ。機械学習によって「時間をかけてユーザーの好みを学習」する機能であることから、検証に少し時間がかかる。また機会をあらためて実機でレポートしたいと思う。
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