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公開日 2024/03/26 06:30
【特別企画】フラグシップシリーズ「Project V1」にも注目集まる

世界市場を見据えるフルテックの新挑戦。ミュンヘン・ハイエンド2023のブースを振り返る

ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈

世界市場で信頼される高品質なフルテック製品



2023年5月に開催された世界最大規模のオーディオショウ、ミュンヘン・ハイエンド2023。新型コロナウイルス感染防止を目的とした制限も大幅に緩和され、世界各国から1000以上のブランドが出展、かつてないほどの熱気が会場に渦巻いていた。

ミュンヘン・ハイエンド2023にて展開されたフルテックブース。1Fアトリウムの入り口近くにあり、常に多くの来場者で賑わっていた

オーディオメーカーだけではなく、アクセサリーやオーディオグレードの部品・ソリューションメーカーの出展が多いのも大きな特徴。フルテックもまた、ミュンヘンに大きな力を入れる国産ブランドのひとつである。

葉山吉祥社長によると、「フルテックの出展の目的は、オーディオファンに自社の製品を深く知ってもらうことだけではありません。パーツ供給ブランドとして、海外のオーディオブランドに対して自社のコネクタやアクセサリー類を売り込む、OEM先を見つけるということも重要な目的です」と力強く語る。

フルテックの海外展開をサポートするスタッフ。葉山社長(中央)も、「世界中のオーディオブランドに自社製品をアピールできるミュンヘン・ハイエンドは、フルテックにとってとても重要なショウです」と力を込める

1Fのアトリウムには自社のラインアップのほぼ全てを網羅した大型のブースを展開。2Fはドイツの代理店であるProgressive Audioによる試聴スペースを設け、世界中の顧客に対して自社の製品を力強くアピールする。

ドイツのオーディオメーカーProgressive audioがフルテックのドイツ代理店を担当。スピーカーシステム、CDプレーヤ−、アンプ類と一通りのラインアップを揃えており、接続ケーブルやアクセサリー類にはフルテック製品が多数投入されている

Project V1には各国メディアから熱い注目



2023年のショウでは、フルテックのフラグシップシリーズとなる「Project V1」シリーズを発表し大きな話題を集めた。第1弾モデルとして、電源ケーブルとトーンアームケーブルが登場。電源ケーブルは9,900ユーロと既存モデルを大きく上回る価格レンジであるが、長年に渡りオーディオのための素材研究を繰り返してきたフルテックだからこそ実現できることだ、と葉山社長も胸を張る(国内展開は未定)。

世界中のメディアも注目したフルテックのフラグシップ電源ケーブル「Project V1」。1.8mで9,900ユーロという価格にも驚き

導体には三菱電線のD.U.C.C.と独自のOCC導体をハイブリッドし、α処理を施したもの。またピエゾ素子による共振の排除、独自のダンピングシステム、NCFやカーボンファイバーなどの同社の振動対策、ノイズ対策が惜しげもなく投入されている。電源ケーブルの直径は32mmと非常に太い。断面図も公開されていたが、葉山社長は「私どもの素材技術があってこそ実現できる音質ですから、他に真似できるようなものではありません」と自信を見せる。

Project V1の断面図。入念なシールドも施されている

パーツに関しては、特にスピーカーターミナルが世界各国のハイエンドブランドで採用実績があるという。特許技術のトルクリミッター機能を搭載した製品への関心も高く、差し込みやすく抜けにくい構造など、使い勝手の良さが高く評価されているという。

空き端子に挿入するオプティマイザー「NCF Clear Line-RCA」「NCF Clear Line-XLR」もミュンヘンで初お披露目。プリアンプやSACDプレーヤーなどに挿入すると効果が高いという

新製品としては、NCF技術を応用したターミナル「FT-866 NCF」なども発表。「私どもの製品は、マジコやパスラボなど世界のハイエンドオーディオブランドの内部パーツとして採用されています。今後もさまざまなメーカーから新製品が出てくると思いますよ」と期待を寄せる。

NCF対応のスピーカーターミナルとして、FT-866 NCF(R)(写真はその内部)は今後のフラグシップクラスのスピーカーへの搭載の期待が高い。FT-818(R)は特許技術であるトルクリミッター機能を搭載。何度も抜き差ししても、傷がつきにくい仕上げにもフルテック独自の技術が込められているという

ハイエンドのデモルームでもアクセサリーが大活躍



もうひとつ、2023年のミュンヘン・ショウで驚かされたのが、多くのハイエンドブランドのデモルームでフルテックのNCF Boosterシリーズが活用されていたこと。

ざっと例をあげるだけでも、エステロン(エストニア)、イプシロン(ギリシャ)、ヴィタス・オーディオ(デンマーク)、ルーミン(香港)、VAC(アメリカ)と、世界各国でNCF Boosterによる音質が高く評価されていることが窺える。

イプシロン(同じ部屋にはテクダスのAirForceも展示されていた)のブースで、こちらはプリ-パワー間にNCF Booster-Signalを活用

エステロンのブースでは最新スピーカー「AURA」をお披露目。シルテックのケーブルに、フルテックのNCF Booster-Signalを組み合わせたデモを行っていた。


ヴィタス・オーディオのブースでもパワーアンプ周辺にNCF Boosterを使用

ネットワークプレーヤーに強みを見せる香港・ルーミンのブース


アメリカの真空管アンプブランドVACのブース

世界市場に向けたさらなる飛躍を狙うフルテックブランド、今後の製品展開に注目していきたい。

(提供:フルテック)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.190』からの転載です

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