デノン プロダクトレビュー
シュミレーションサラウンド「ドルビープロロジックIIz」のデコーダーを初搭載
AVアンプ
AVC-1610
¥55,650(税込)
レポート/大橋伸太郎
シュミレーションサラウンド「ドルビープロロジックIIz」のデコーダーを初搭載
ドルビーTrueHD、DTS-HD Master Audioのビットストリーム再生に対応する5.1chサラウンドアンプで、ドルビープロロジックIIzデコーダーを初搭載した。ドルビープロロジックIIzは、LS/RSの逆位相成分を利用してフロントセクションに高さ方向と奥行きの表現を加える。ポストプロセッシング処理で動くので予めエンコードされたソフトの必要がなく、あらゆるソフトから効果を引き出すことができる。本機の場合、プリアウト出力でステレオアンプに出力して、フロントヴァーティカルハイトスピーカーを追加する。
パワーアンプ出力は130W(6Ω JEITA)×5、デコーダーに浮動小数点演算型32ビットを採用。信号の引き回しを最小経路としたミニマムシグナルパスサーキット、 振動の発生源となるヒートシンクと電源トランスを脚部間近に直付けするダイレクトメカニカルグラウンドなど、上級機譲りの設計手法が盛り込まれている。アナログビデオ信号をHDMIに変換出力できるビデオコンバ−ジョン機能、480i映像のI/Pコンバーターも搭載。プラグインのオートセットアップ、Audyssey Dynamic Volume、OSDも装備し、HDMI端子は入力3/出力1の構成である。昨年のエントリー機AVC-1909から引き継いだ機能には、圧縮処理時に省かれた信号を再生成し復元するCompressed Audio Restorerがある。MP3等圧縮された音声ソースに合わせたRESTORER 64から、RESTORER 96、RESTORER HQ(128kbps)まで3モードを選択できる。低音の量感の補正も同時に行う。
ドルビープロロジックIIzの効果は、音場の高さ方向の拡張以上に、フロントセクションに深い奥行き感と立体的な広がりを生み出す。音楽BDの場合、歌手(ソリスト)、バンド、オーケストラの位置関係がくっきり描き出され、視覚情報との一致が生まれる。だから、スクリーン映像で効果が大きい。映画BDの場合、音場のスケール感が増し、格上の劇場で見ている充実感を味わえる。手堅い構成の5.1chエントリー機だが、爪を隠し持っている印象だ。
本機の背面端子部
【SPEC】
【SPEC】●定格出力:75W×5(8Ω、20Hz-20kHz、THD0.08%) ●実用最大出力:130W×5(6Ω、JEITA) ●外形寸法:434W×171H×378Dmm ●質量:9.2kg ●問い合わせ先:デノン TEL/044-670-6612