デノン最新鋭の高音質技術を結集させた
先進的ネットワーク機能とデノンの音質技術の結晶が同居する、ミドルクラスのAVアンプ。下の価格帯のAVR-1912と重なる部分も多いが、各所に上位モデルらしい強みがある。
AirPlayの標準搭載など、ネットワーク再生周りは弟機のAVR-1912と共通の仕様も多く、FLAC形式においては96kHz/24bitのファイル再生に対応。ハイレゾ対応のネットワーク再生と使いやすさが特長のAirPlayを、任意に使い分けられる。iOSアプリ「Denon Remote App」も利用可能。
パワーアンプは、全7chが高水準同一クオリティのディスクリート構成。ミニマムシグナルパスサーキットとダイレクトメカニカルグラウンド構造は、デノンアンプの中核要素だ。
AVR-1912に対しての優位点としては、D.D.S.C-HDの搭載が挙げられる。サラウンド再生に必要な信号処理回路を各ブロックごとに独立させ、専用回路でディスクリート化して構成。デノンのサラウンド技術の結集だ。独自のアナログ波形再現技術、AL24 Processing Plusも含まれており、例えばホールの残響のような微細音の再現性の向上に役立っている。
音場の高さを拡張するハイトスピーカー技術としては、Dolby Pro Logic IIzに加えてAudyssey DSXも搭載。音場のニュアンスが異なる両者を好みに応じて選択できる。
音質的には、AVR-1912との延長線上にありつつ、さらに細やかで力強い描写が特長だ。「涼宮ハルヒの消失」序盤の文芸部室の場面では、感情の機微を伝えてくれる細部描写力がAVR-1912よりもさらに良好だ。感情を爆発させる手前での声の震え、体の震えでの衣擦れ。それらが生み出す生々しい気配感が、キャラクターに命を吹き込んでいる。ハードカバーの本が数冊、木の床に落ちるところでは、本と床のそれぞれの重さや感触まで伝わってくる。その自然な描き込みにはっとさせられた。
「キック・アス」終盤の派手な場面では、パンクロックなスコアのエネルギー感、低音の力強さに、AVR-1912に対しての優位を特に感じられた。銃声は太さや圧力を増している。全体に、細身ではない図太いキレを得た印象だ。音の良さと機能の充実というAVアンプの命題をハイレベルにクリアしたモデルである。
本機の背面端子部。HDMIは入力7、出力2を備える
【SPEC】
【SPEC】●定格出力:125W×7ch(8Ω) ●実用最大出力:195W×7ch(6Ω) ●HDMI:入力7、出力2 ●外形寸法:435W×167H×382Dmm ●質量:11.8kg ●問い合わせ先:デノンお客様相談センター TEL/044-670-5555